( ^ω^)ブーンが剣と魔法の学園に入学したようです

628:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:00:17.38 ID:LCk6HOpE0
  
(;^ω^)「ひぃ、ふぅ、はぁ。なんで転送魔方陣を敷いてくれないんだお……」

部室棟20階まで上がったブーンは、生活魔法部部室の前までたどりついた。

( ^ω^)「お、扉が直ってるお」

部室の扉は、昨日の爆発が嘘のように直っていた。
どう見ても新品にしか見えない。

( ´∀`)「修復魔法部のやつらに来てもらったからモナ」

( ^ω^)「あ、モナー……先輩!」

( ´∀`)「モナーでいいモナ」

2人は部室に入った。
煙のにおいは微塵も残っておらず、カビ臭さがブーンの鼻をつく。
モナーは机の上のリンゴを手に取ると、取り出した果物ナイフで皮をむき始めた。

( ^ω^)「へ〜、いろいろなものがあるお……」

ブーンは部室を歩き回り、室内の備品を1つ1つ観察している。
その時、タンスの上に載っている物が、ブーンの興味を引いた。

( ^ω^)「これは……」



631:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:01:31.05 ID:LCk6HOpE0
  
ブーンが見つけたのは、「4位入賞」と刻まれた銅製の盾だった。
日付を見てみると、どうやら一昨年のものらしい。

( ´∀`)「それは2年前の冬季校内戦で、ウチの部がもらったんだモナ」

まるで解体するかのごとく、丸いリンゴを数羽のウサギに変えながら、モナーが言った。

( ^ω^)「冬季校内戦? なんだお、ソレ」

( ´∀`)「冬に行われる学園主催の部活対抗団体戦だモナ。いい機会だし、説明するモナ」

モナーはブーンに自分の向かいのイスを勧めた。

( ´∀`)「この学園は武芸を強く奨励しているモナ。軍や騎士団が就職先に多いからモナ。
      そこで年に3回、学園公式の武闘大会が開かれているモナ」

ブーンはシャリシャリと赤いウサギを食べながら聞いている。

( ´∀`)「大会は夏季、冬季、春季に行われるモナ。
      夏季は学年別の個人戦。冬季はさっき言ったとおり。春季は全校生徒による個人戦だモナ」

( ^ω^)「ふむふむ」

( ´∀`)「試合はトーナメント方式。まあ一種のお祭りみたいなものだモナ。
      ざっと説明するとこんな感じモナ」



634:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:03:00.78 ID:LCk6HOpE0
  
( ^ω^)「その大会で入賞したのかお? すごいお!」

( ´∀`)「俺も先輩に聞いただけなんだけどモナ」

モナーは自分の口にも、ウサギを放り込んだ。

( ^ω^)「そう言えば、ジョルジュ先輩は今日は来ないのかお?」

( ´∀`)「そうそう、それそれ。そのことを忘れていたモナ」

リンゴを食べ終えると、モナーはポケットから紙を何枚か取り出した。
そしてその中の1枚をブーンに手渡す。

( ^ω^)「何だおコレ……アルバイト募集?」

ブーンが手にした紙は求人広告であった。

( ´∀`)「それは学校が認可しているバイトモナ。ほとんどが校内のものだけどモナ」

( ^ω^)「時給800ケロ? Gじゃないのかお?」

( ´∀`)「ケロは、学校が発行している地域通貨モナ。正規通貨のGとは違って、校内でしか使えないモナ。
      1ケロ=1Gとなっているモナ」

( ^ω^)「なるほどだお」



636:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:04:30.55 ID:LCk6HOpE0
  
( ^ω^)「じゃあジョルジュ先輩は、アルバイト中ということかお?」

( ´∀`)「その通りモナ。ウチの部には借金がいっぱいあるからモナ」

( ^ω^)「借金?」

(;´∀`)「あいつが壊したドアの修理代その他たくさんモナ。何度も何度も修復魔法部から請求が来てるモナ」

(;^ω^)「ゲッ」

ブーンは、ジョルジュが扉破壊の常習犯だということを思い出した。
恐らく、昨日みたいな魔法薬を毎日のように調合しているのだろう。

(;´∀`)「それと大きい声では言えないが、ジョルジュが山のようにエロ本を部費で買ってくるんだモナ」

(;^ω^)(……ちょっと見たいお)



641:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:06:00.65 ID:LCk6HOpE0
  
( ´∀`)「というわけで、ブーンには借金返済に協力して欲しいんだモナ」

(;^ω^)「や、約束が違うお! 部活をするだけでいいって――」

( ´∀`)「これも部活の一環だと思って、な?」

(#^ω^)「断固拒否するお!」

( ´∀`)「手伝ってくれたら、ジョルジュのエロ本を横流しするモナ」

( ^ω^)「僕に任せてくださいお!」

ブーンはモナーと固い握手を交わした。



646:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:07:32.47 ID:LCk6HOpE0
  
( ´∀`)「じゃあ早速その広告をしっかりと読むモナ」

再び広告に目を通すブーン。
バイトの内容は実験の助手を務めること。
時給800ケロ。期間は1週間。依頼主は教授の1人のようだ。
面接審査あり。面接日は……

(;^ω^)「って、面接の日にちが今日になってるお!」

( ´∀`)「そういうわけだモナ。元々俺がやるつもりだったから、部活名義で申請はしてあるモナ。今から行ってこいモナ」

(;^ω^)「あうあう、忙しい1日だお」

( ´∀`)「おっと、その前に面接必勝の秘策を伝授するモナ」

( ^ω^)「秘策?」

( ´∀`)「そう、それは――」



648:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:09:00.83 ID:LCk6HOpE0
  
教授「次の人どうぞー」

ここは某教授の実験室。バイトの面接が行われている部屋である。
教授の声を聞いて、ブーンが実験室に入ってきた。

( ^ω^)「失礼します。ブーンと言いますお。生活魔法部の1年ですお」

教授「よろしく。早速ですが、あなたの特技は何ですか?」

( ^ω^)「はい、『イオナズン』ですお」

教授「え、『イオナズン』?」

( ^ω^)「はい、そうですお。敵全員に大ダメージを与えますお」

教授「……で、『イオナズン』はこのバイトにおいて何のメリットがあるとお考えですか?」

( ^ω^)「はい。敵が襲って来ても守れますお」

教授「いや、今回の実験には襲ってくるような敵はいません」

( ^ω^)「でも、保安部にも勝てますお」

教授「いや、勝つとかそういう問題じゃなくてですね……」



656:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:10:32.04 ID:LCk6HOpE0
  
( ^ω^)「敵全員に100以上与えるんですお」

教授「ふざけないでください。それに100って何ですか。だいたい……」

( ^ω^)「100ヒットポイントですお。HPとも書きますお」

教授「聞いてません。帰って下さい」

( ^ω^)「あれあれ? 怒らせていいんですかお? 使いますお、『イオナズン』」

教授「……私も使えるんですよ、その『イオナズン』」

(;^ω^)「おっ!?」

教授「ちょうど目の前に消えて欲しい敵がいますので、使わせていただきますね」

教授の手のひらに、魔力が集中する!

(;^ω^)「ちょwwwおまwwwwwたすけ――」



その日、C実験棟から立ち上る煙が観測された。



660:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:12:02.92 ID:LCk6HOpE0
  
(; ω )「ただいまだお〜……」

( ´∀`)「あ、おかえりモナ……って、ブーン! どうしたモナ?」

(; ω )「いろいろあったんだお……」

ブーンが全身黒いススまみれで、部室に入ってきた。
モナーはタオルを渡して、ブーンが顔のススを取るのを待つ。
程なくして、ブーンはいきさつを話した。

(;´∀`)「それはきっと『イオナズン』じゃなくて『イオ』だモナ。『イオナズン』だったら、ブーンは生きてここにはいないモナ。
      ケガもほとんどないってことは、直接狙われたわけでもないみたいモナ」

(;^ω^)「あれでも手加減してくれたのかお」

(;´∀`)「いやあ、まさかブーンが面接魔法『イオナズン』を本気にするとは思わなかったモナ」

(#^ω^)「って冗談だったのかお!」


この事件により、生活魔法部の借金が更に増えたことは、言うまでもない。



第5話 おわり



666:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/23(金) 23:13:00.73 ID:LCk6HOpE0
  
今回登場した魔法
・イオナズン……(その他)就職やバイトの面接に役立つ……かもしれない。
・イオナズン……(黒)爆発呪文。最大級の破壊力を持ったイオ系の上級魔法。元ネタはドラクエ
・イオ……(黒)小爆発を起こして攻撃する。イオ系の下級魔法



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