( ^ω^)ブーンが剣と魔法の学園に入学したようです

19:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:10:01.64 ID:dCRykJ0X0
  
ここは大魔法教室。
現在、クーによる講義が継続中である。

( ^ω^)「この睡眠魔法はあと何分くらいで終わりかお〜?」

('A`)「もうすぐじゃねえの〜?」

いつものようにブーン、そしてドクオは、講義を完全に聞いていなかった。

ξ゚听)ξ「あんたたち、もうちょっと真面目に受けなさいよ」

(´・ω・`)「まったく、後でノートは見せてあげるけど教えてはあげないよ」

( ^ω^)「ショボンさまさまだお〜」

4人全員が揃っているのは、この講義が1年の必修であるからだ。
壇上では、クーのマシンガントークが炸裂している。

川 ゚ -゚)「このように、『ウォータ』と『バトルポカリ』は、五行で言う水行の魔法であるという点では同じであるが、
     水分の凝固方法を始め、その性質の違いなどを主な理由に『ウォータ』は黒魔法、
     『バトルポカリ』は白魔法に分類できる。ちなみに――」

キーンコーンカーンコーン

川 ゚ -゚)「む、終わりか。では解散」



20:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:11:30.26 ID:dCRykJ0X0
  
('A`)「や〜っと終わった! 食堂行こうぜ!」

ξ゚听)ξ「ギザールとオニオンのサラダが美味しいのよね」

('A`)「俺は貝のヴェスティア風がオススメだ」

(´・ω・`)「僕はギンギー料理がいいな」

ξ゚听)ξ「何それ? ……材料は?」

(´・ω・`)「ギンギー」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)(お……?)

その時ブーンは、クーがそそくさと教室を出て行くのを見た。

( ^ω^)(確か前のときもそうだったお……なんで瞬間移動を使わないのか気になるお)

( ^ω^)「みんな、先に行っててくれだお! 僕は用事があるお」

そう言うとブーンは、筆記用具を持って走り出した。



21:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:13:00.38 ID:dCRykJ0X0
  
クーの尾行は困難を極めた。
かなりの早足の上に、角を曲がる時に必ず一瞬、見逃してしまうのである。

(;^ω^)(何か魔法がかかってるのかもしれないお)

ブーンは、ほとんど駆け足でクーを追っている。
クーは、どんどんひと気のない方向へ進んでいるようだ。

( ^ω^)(どこへ行こうとしているんだお)

すると突然、クーが建物の裏へと回り始めた。
気づかれないように細心の注意をはらって進むブーン。

(;^ω^)(この角を曲がって……うお!)

ブーンが曲がろうとした角のすぐ向こう、そこにクーがしゃがみこんでいた。
あわてて角に身を隠すブーン。

( ^ω^)(何かつぶやいてる? 独り言かお……?)

ブーンは、クーの言葉が聞こえるように身を乗り出した。
その時――


パキリ



25:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:14:32.01 ID:dCRykJ0X0
  
(;^ω^)(しまったお! 小枝を踏んでしまったお!)

川 ゚ -゚)「誰だ!」

ブーンは身を翻し、逃走を試みた。
しかし、そうやすやすと逃走を許すクーではない。

川 ゚ -゚)「逃がさん! 『ダルマサンガコロンダ』!」

(;^ω^)(おおっ!?)

クーが何かを唱えた瞬間、ブーンは走るのをやめた。
いや、走りたくても走れないのだ。

(;^ω^)(か、からだがうごかないお……)

まるで金縛りにあったかのごとく、ブーンの身体は全く動かなかった。

川 ゚ -゚)「『ダルマサンガコロンダ』は術者が見ている間、対象の呼吸と思考以外の動作を封じる魔法だ。
     どんなに暴れようと私が魔法を解かない限り、動けはしないぞ」



27:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:16:00.70 ID:dCRykJ0X0
  
川 ゚ -゚)「どうやら学生のようだな……間抜けそうな顔をしている」

(#^ω^)(っておい!)

川 ゚ -゚)「隠蔽魔法が効いていなかったのか? 最大限の注意を払ったつもりだったが」

不意に、ブーンの身体の自由が戻った。
倒れこみそうになるのを、なんとか踏みとどまるブーン。

(;^ω^)「ふー、助かったお」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「どうしたんだお?」

川 ゚ -゚)「いや、逃げないんだなと思ってな」

(;^ω^)(あっ!)

確かに、魔法が解けたのだから、逃げる絶好のチャンスであった。
ブーンは自分のバカさ加減を恨めしく思った。

川 ゚ -゚)「ちょうどいい。こっちに来てくれ」

( ^ω^)「お?」



28:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:17:43.81 ID:dCRykJ0X0
  
クーについて角を曲がると、そこには1箱のダンボールがあった。

( ^ω^)「何ですお、コレ」

川 ゚ -゚)「中を覗いてみろ」

クーに言われたままに、ブーンが中を覗く。
そこには、

「ニャー」
「ミャー」

2匹の子猫が、こちらを見上げて鳴いていた。

( ^ω^)「こ、子猫だお! かわいいお!」

ブーンは2匹の頭をなでてやった。

川 ゚ -゚)「問題はこいつらのことなんだ」

クーは深刻な顔で子猫たちを見ている。

( ^ω^)「どうしたんですお?」



30:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:19:01.21 ID:dCRykJ0X0
  
川 ゚ -゚)「牛乳を飲まないんだよ、こいつら」

見るとダンボールの隅に、牛乳の注がれた小皿がおいてある。
それはあまり減っていないように思えた。

川 ゚ -゚)「最初のほうは飲んでたんだが、最近はさっぱりだ。どうしてか分かるか?」

( ^ω^)「う〜ん、確かどこかで読んだ気がするお……」

必死に記憶の糸をたどるブーン。

( ^ω^)「あっ! 思い出したお!」

川 ゚ -゚)「どうなんだ? 何が悪い?」

( ^ω^)「猫は牛乳を消化することができないんですお。飲むと下痢をしちゃうんですお。
       だから使い魔屋さんで猫用のミルクを買ってあげるといいお!」

川 ゚ -゚)「ふむ、それは知らなかった。いったいどこで読んだんだ?」

( ^ω^)「バーローで読んだんですお」

川 ゚ -゚)「バーロー?」



35:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:20:44.89 ID:dCRykJ0X0
  
2人は一時その場を離れ、使い魔屋へと向かった。
猫は使い魔の定番なので、難なく猫用ミルクを購入することができた。

川 ゚ -゚)「ほら、ちゃんと飲めよ」

「ミャー」
「ニャー」

川 ゚ -゚)「おお、飲んでるぞ! ……えーと、お前」

( ^ω^)「ブーンですお!」

川 ゚ -゚)「そうか。ブーン、ありがとう」

( ^ω^)(この子猫たちのために回り道をして、徒歩で帰っていたのかお……)

( ^ω^)「いやいや、こちらこそつけたりして悪かったですお、クー先生」

川 ゚ -゚)「そういえば、どうして私をつけたりなどしたんだ?」

ブーンは少し回答に困った。

(;^ω^)「えっと……大魔法教室の授業の時、クー先生は瞬間移動魔法で来るのに、
       帰りは徒歩で帰るから、何でだろう……って思ったんですお」

川 ゚ -゚)「……そんな単純なことで?」

( ^ω^)「はいですお。すみませんでしたお」

川 ゚ -゚)(そう言えばコイツ、確かこの前の講義で……)



36:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:22:26.39 ID:dCRykJ0X0
  
川 ゚ -゚)「……フッ」

(;^ω^)「笑わないでくださいお……」

クーは軽く笑みを浮かべた。
自嘲的な含みをもっていたが、ブーンは自分が笑われたと思ったらしい。

川 ゚ -゚)「お前、アウラ曜日はあいているか?」

( ^ω^)「予定ですかお? 特にないはずですけど……」

川 ゚ -゚)「これから毎週、アウラ曜日に私の実験室へ来い」

(;^ω^)「ええっ!?」

自分が反省文を徹夜で書いている場面を、ブーンは想像する。

川 ゚ -゚)「勘違いするな。お前に個人授業をしてやろうと言っているんだ」

(;^ω^)「こ、個人授業!?」

ブーンにとって、それは反省文よりも過酷に思えた。

川 ゚ -゚)「いいか、毎週必ずだぞ」

このときブーンの心中は、いかに個人授業を切り抜けるかを真剣に模索していた。
が、その方法はブーンには一生見つかりそうもない……。


第7話 おわり



38:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:23:20.90 ID:dCRykJ0X0
  
おまけ


( ^ω^)「そういえば、子猫たちの名前は決めたんですかお?」

川 ゚ -゚)「ああ、決めたぞ」

( ^ω^)「教えてくださいお!」

川 ゚ -゚)「ああ、『ニャー』と鳴くほうが『ニャー』。『ミャー』と鳴くほうは『ミャー』だ」

(;^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「……不服か?」

(;^ω^)「い、いえ、滅相もない!」



45:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/24(土) 22:29:08.85 ID:dCRykJ0X0
  
今回登場した魔法
・ウォータ……(黒)空気中の水分を凝固し、水圧で攻撃。元ネタはFF
・バトルポカリ……(白)喉を潤す。無味無臭。元ネタはレベルE
・ダルマサンガコロンダ……(黒)術者が見ている間、対象の呼吸と思考以外の動作を封じる。



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