( ^ω^)ブーンが剣と魔法の学園に入学したようです

253:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:20:34.82 ID:lE97Q6130
  
(;^ω^)「おりゃっ! おりゃっ!」

(;・∀・)「この、この! でやああっす!」

ミ,,゚Д゚彡「まだまだ甘いぞ二人とも!」

第3体育館では、今日もブーンとモララーが、フサギコと激しく切り結んでいた。
汗だくの2人と比べ、フサギコは涼しい顔で次々と斬撃を受け流している。
流石兄弟は既に奇襲に失敗し、体育館の隅で気絶していた。

(;・∀・)「くらえっす! 巻き打ち!」

モララーが正眼の構えから一気に間合いを詰め、剣を打ち込んだ。

ミ,,゚Д゚彡「もっと足を速く動かせ!」

しかしフサギコはその一刀を受け止めると、モララーの頭にハイキックをくらわせた。

(;・∀・)「へだぷらぎょっ!?」

(;^ω^)「はあっ!」

ブーンがドロップキックを放った。フサギコは難なく両手で止める。
しかしその瞬間、ブーンは足を開き、フサギコのガードを強引にこじ開けた。
フサギコの剣が手を離れ、床を滑っていく。

ミ,,゚Д゚彡「むっ!?」



255:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:22:01.22 ID:lE97Q6130
  
(;^ω^)「かかったなアホが!」

ブーンは剣を放ると両手を胸の前で交差し、そのまま打ち下ろした。

( ^ω^)「稲 妻 十 字 空 烈 刃(サンダークロススプリットアタック)! 」

( ^ω^)(勝ったおッ! 第1部完!)

ブーンは勝利を確信した。
しかし現実はそんなに甘くはない。

ミ,,゚Д゚彡「おりゃあああああああっ!」

フサギコはブーンの両脚を掴むと、両腕を上げてブーンの身体を持ち上げた。
ブーンの攻撃は空を切る。

(;^ω^)「な、何ィッ!?」

ミ,,゚Д゚彡「『バイキルト』だ。えいっ」

フサギコはそのまま、ブーンをぶん投げた。
ブーンはきりもみ回転をしながら、敷いてあるマットに墜落した。



256:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:23:31.29 ID:lE97Q6130
  
ミ,,゚Д゚彡「なかなか筋が良くなってきた。そろそろ魔法戦士のスキルを教えても良いかな」

死屍累々という感じの体育館には、フサギコの話を聞く人間はいない。

ミ,,゚Д゚彡「ただ夏季大会の期間中、私は用事で学園を離れなければならなくなった。
      君たち2人には是非、それまでにスキルを覚えて欲しい。
      では、また次の授業の時に」

そう言うとフサギコは、荒巻を連れて瞬間移動で去っていった。

(;・∀・)「あいたたたたた、やっと終わったっすか」


(;^ω^)「相変わらずマイペースな人だお……」

2人は立ち上がり、
体育館を後にした。

( ^ω^)「昼食後は回復薬学の講義だったお!」

( ・∀・)「そうっすか、がんばれっす!」



258:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:25:00.90 ID:lE97Q6130
  
昼食後、ブーンはグラウンドへと足を運んだ。
続々と学生たちが、グラウンドへと集まっている。

( ^ω^)「こんなところで何の講義を行うんだお……?」

ξ゚听)ξ「ブーン、こっちこっち!」

('A`)「よっ」

声をかけてきたツンとドクオに、ブーンは会釈を返した。

(*゚ー゚)「さーて、全員集まりましたね?」

しぃの声がグラウンドに響く。
地面に視線を落とすと、ブーンは白線が何かの模様を描いていることに気づいた。

(*゚ー゚)「今日は実習です。地面に敷いてある転送魔方陣で、学園外の洞窟に飛びます」

学生たちの間にどよめきが走る。

(*゚ー゚)「じゃあ行きます。1、2の、3!」

ブーンは身体が浮くような感覚を覚えた。



259:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:26:31.10 ID:lE97Q6130
  
('A`)「うおー、すげー!」

ξ゚听)ξ「一瞬でついちゃったわね」

学生たちが飛ばされたのは、洞窟内のドーム状になっている場所であった。
周囲には松明が焚かれ、人の手の入りようが伺える。
地面には、学園のグラウンドにあったのと同じような魔方陣が敷いてあった。

(*゚ー゚)「では、こちらで決めた4人ずつのパーティを組んでいただきます。
    そのパーティで洞窟を探索し、治癒結晶Aを採取してください。
    たまに弱いモンスターが出る場合がありますので、1人1振りの剣を持っていってください」

しぃは次々と学生の名前を呼び上げていく。

(*゚ー゚)「ではEグループのメンバーを読み上げます。魔法戦士科、ブーン」

( ^ω^)「お、呼ばれたお」

(*゚ー゚)「戦士科、ドクオ。魔法科、ツン」

('A`)「お、同じパーティだな」

ξ゚听)ξ「最後の1人は……?」

(*゚ー゚)「4人目は、魔法科、ニダー」



261:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:28:03.58 ID:lE97Q6130
  
<ヽ`∀´>「ウェーハッハッハ! ウリがいれば治癒結晶なんぞ簡単に集まるニダ!」

ξ゚听)ξ(こいつ、魔法科の講義でよく見るヤツだわ)

( ^ω^)「よろしくだお、ニダー」

('A`)「よろしくな」

<ヽ`∀´>「よろしくニダ! ウリに任せれば万事上手くいくニダ」

4人は最初にいた場所を離れ、洞窟の奥地へと進んでいた。
途中から松明はなくなっており、4人は『ライト』を唱えながら探索している。
しばらく歩くと、一行は少しばかり開けた場所に出た。
周りは岩壁に囲まれ、天井はあまり高くない。

<ヽ`∀´>「ここら辺にある気がするニダ。みんな、探すニダ」

ξ゚听)ξ「ちょっと待ちなさいよ。治癒結晶Aは水気があるところに見られるのよ?
     こんなところにあるわけないじゃない」

<ヽ;`∀´>「お、お前らを試しただけニダ! 知らなかったわけじゃないニダ!」

( ^ω^)「……」

('A`)「……」



262:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:29:33.54 ID:lE97Q6130
  
もう20分は歩いているだろうか。
治癒結晶Aは欠けらも見つからず、重い空気が一行を包む。
ドクオはふと、崖になっている一角を見下ろした。

('A`)「おい……あ、あれ!」

( ^ω^)「どうしたお、ドクオ? ……あっ」

眼下の崖は1m程とあまり高くなく、その下には勢いのある川が流れていた。

ξ゚听)ξ「川よ! ということは、治癒結晶Aはこの付近にあるはず」

<ヽ`∀´>「探すニダー!」

4人は散って、各々が治癒結晶を探す。

( ^ω^)「あったお!」

('A`)「こっちもだ!」

ξ゚听)ξ「迂闊に触っちゃダメよ! ちゃんとした手順を踏まなきゃ」

<ヽ`∀´>「……」

ニダーは周囲を見回すも、治癒結晶を見つけることができなかった。



263:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:31:02.43 ID:lE97Q6130
  
<ヽ`∀´>「やめ! やめ! やめニダ!」

いきなりのニダーの声に、3人の作業が止まった。

ξ゚听)ξ「どうしたのよ、急に」

<ヽ`∀´>「ふふん、こんなことをしていても面白くないニダ!
      それよりもこの中で誰が1番強いか、勝負するニダ!」

('A`)「ハア?」

ニダーは腰から剣を抜くと、ツンに向かって構えた。

<ヽ`∀´>「さあ、剣を抜くニダ! ウリと勝負ニダ!」

ξ゚听)ξ「……アホらし。1人でやってなさいよ」

<ヽ`∀´>「腰抜けニダ! ウリが怖くて勝負できないニダ! ホルホルホル」

( ^ω^)「……」

<ヽ`∀´>「お前! 勝負から逃げるニダ?」

ニダーはブーンに剣先を向けた。



264:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:32:30.93 ID:lE97Q6130
  
ξ゚听)ξ「ブーン、挑発に乗っちゃダメよ」

('A`)「さっさと結晶集めて帰ろうぜ、ブーン」

ブーンに3人の視線が集まる。
だが、ツンとドクオの願いは届かなかった。

( ^ω^)「……やるお」

ξ;゚听)ξ「ブーン!?」

(;'A`)「正気か!?」

( ^ω^)「ここまで言われちゃ黙っていられないお。それに……」

( ^ω^)(僕の強さがどれくらいなのか、知りたいんだお)

ブーンは腰から剣を抜き、ニダーと対峙した。

<ヽ`∀´>「行くニダ!」



266:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:34:01.11 ID:lE97Q6130
  
ニダーはブーンに走りより、その勢いのままブーンに斬りかかった。
ブーンはそれを受け流し、なんとか弾き返す。

(;^ω^)(くっ、なかなかのパワーだお! ホントに魔法科かお!)

<ヽ`∀´>「まだまだいくニダ!」

ニダーは更に連続した斬撃を繰り出していく。
ブーンはかろうじて全てを受け止めた。最後の1撃を叩き落し、ニダーの腹に蹴りをいれる。

<ヽ`∀´>「グッ……」

(;^ω^)「フサギコ先生に比べたら、子供のお遊戯だお!」

<ヽ`∀´>「言ったなニダ……」

ニダーは左の手のひらを、ブーンに向けた。

ξ゚听)ξ「ブーン! 魔法が来るわよ!」



267:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:35:01.16 ID:lE97Q6130
  
<ヽ`∀´>「『スプー召喚』ニダ!」

ニダーが魔法を唱えると、ニダーの周囲にコウモリのような生き物が数体出現した。
1匹の大きさは大体30cmといったところだ。黄色い毛色に、焦点の合わない目をぎらつかせている。
スプーと呼ばれたそれは、一斉にブーンに襲い掛かった。

(;^ω^)「くっ!」

右に跳び、スプーたちの攻撃を避けるブーン。しかし、なおもしつこく追いすがってくる。

(;^ω^)「『メラ』! 『メラ』!」

2つの火球がブーンの指から発せられた。それらは1匹ずつに当たり、爆ぜた。
だがその隙を狙い、ニダーが間合いを詰めていた。そのまま右手で剣を振り下ろしてくる。

<ヽ`∀´>「うりゃあああっ!」

(;^ω^)(うっ、まずいお!)

ブーンは諸手で剣を握り、ニダーの剣めがけて斬り上げた。

(;^ω^)「おおおおおおっ!」

2人の剣がぶつかりあう。
そして1振りの剣が、宙を舞った。



269:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:37:02.48 ID:lE97Q6130
  
<ヽ;`∀´>「アイゴーッ!」

力負けしたのは、ニダーのほうであった。
体重を乗せた斬撃ではあったが、片手では十分に力をこめることができなかったようだ。
ニダーの剣は持ち主の手を離れ、岩壁に突き刺さった。

(;^ω^)(か、勝ったお!)

('A`)「よっしゃあ! ブーンの勝ちだ!」

ξ゚听)ξ「やったわ!」

<ヽ`∀´>「まだニダ……まだ終わってないニダ!」

(;^ω^)(なっ……ぐ!?)

突然の衝撃が、ブーンを襲った。
死角から生き残りのスプーが、ブーンの腹に突撃したのだ。
吹き飛ばされるブーンの身体。その後方には……

<ヽ;`∀´>「あっ」

(;'A`)「あっ」

ξ;゚听)ξ「あっ」

崖と、川があった。



270:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:38:40.43 ID:lE97Q6130
  
(;^ω^)(お、落ちるおっ!?)

もはや空中に浮いたブーンには、重力に抗う術はなかった。

ξ゚听)ξ「ブーン!」

(;^ω^)(ば、ばか、きちゃダ――)

ツンがブーンを助けようと、ブーンの衣服を掴んだ。
しかし、女のツンにその体重を支えられるはずもない。

ξ゚听)ξ「き、キャー!」

ツンはブーンに引きずられ、体制を崩す。

(;'A`)「ブ、ブーン! ツン!」

ドッボーン!!

大きな水音と水しぶきの後、崖にはブーンとツンの姿はなかった。

<ヽ;`∀´>「た、大変なことになったニダ……」

(;'A`)「くっ、ツン……ブーン……」

残されたドクオにできるのは、ただ濁流を眺めることだけだった。


第9話 おわり



272:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/25(日) 22:40:02.51 ID:lE97Q6130
  
今回登場した魔法
・バイキルト……(白)対象の攻撃力を一時的に2倍にする。効能はさまざま。元ネタはドラクエ
・スプー召喚……(召喚魔法)ヘンテコUFOから生まれた魔法生物を召喚する。



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