( ^ω^)ブーンが剣と魔法の学園に入学したようです

505:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:41:01.13 ID:u4mYbpNR0
  
(;^ω^)「がぼっ、もぐっ……!!」

崖から落ちたブーンは、ツンと共に川に飲み込まれていた。
ブーンは離さないように、ツンの身体を抱きかかえる。
なんとか水面に顔を出すブーン。

(;^ω^)(流れが早すぎて泳いで戻るのは無理だお!……あっ、剣がっ!)

ブーンの手から剣が離れ、川底に沈んだ。

(;^ω^)(ツンは気を失ってるお……僕が、なんとか、しない、と……)

(;^ω^)「ブハッ、『エ、ア…………ボール』……ブッ」

ブーンの唱えた魔法が、ツンの頭を気泡で包みこんだ。
ブーンがそれを見届けると、2人の身体は力尽きたかのように、再び水中へと沈んでいった。



506:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:42:50.99 ID:u4mYbpNR0
  
川 ゚ -゚)「学生が川に落ちたというのは本当ですか!?」

(*;゚ー゚)「はい。詳細はこの2人が知っているそうです」

最初に訪れたドーム状の場所では、学生たち全員が集まっていた。
事態を知ったしぃは単身学園に戻り、クーを連れてきたのである。

川#゚ -゚)「流されたのは一体どこのバカだ?」

(;'A`)「ツンは、ブーンは助かるんでしょうか!?」

<ヽ;`∀´>「助けて欲しいニダ!」

川 ゚ -゚)「何? お前、今ブーンと言ったのか!?」

(;'A`)「は、はい。そうです」

川 ゚ -゚)「そうか……『デュマピック』」

クーが魔法を唱えた。
クーの持つ無地の羊皮紙に、だんだんと地図らしき模様が浮き出てくる。

川 ゚ -゚)「あいつ……帰ったら覚えておけよ」



507:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:44:20.87 ID:u4mYbpNR0
  
(;ーωー)「……」


ξ゚听)ξ「ブーン、起きて。ブーン!」

(;ーωー)「うーん、屁のツッパリはいらんですお……」

ξ#゚听)ξ「何わけのわからないことを呟いてんのよ!」

ツンの手刀が、ブーンの胸に振り下ろされた。

(;^ω^)「ぐほっ! つ、ツン、もう少し優しく起こしてくれても……」

ξ゚听)ξ「なんだ、起きてたの」

2人がいるのは浜辺であった。
かなり下流のほうまで流されたらしく、川の流れはかなり緩やかになっている。
ブーンのすぐ隣では、焚き火がくすぶっていた。



508:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:46:06.66 ID:u4mYbpNR0
  
( ^ω^)「なんとか2人とも生きてて良かったお」

ξ゚听)ξ「そうね……ブーンのおかげだわ」

( ^ω^)「へ? 今なんて言ったお?」

ξ///)ξ「な、なんでもない!」

ブーンは生活魔法『ドライヤー』で、2人の衣服を乾かした。

ξ゚听)ξ「へー、あんた役に立つ魔法を覚えてるわね」

(;^ω^)(意外と役に立つお、生活魔法)

ξ゚听)ξ「それにしても、ここはどこら辺かしら」

( ^ω^)「分からないお……みんなの所からかなり離れてると思うお」

ξ゚听)ξ「ここで救助を待つしかなさそうね……」



511:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:48:10.28 ID:u4mYbpNR0
  
「おい、ブーン……」

( ^ω^)「んお? 何か言ったかお、ツン?」

ξ゚听)ξ「何も言ってないわよ」

「おい、ブーン」

(;^ω^)「やっぱり何か、人の声が聞こえるお」

ξ゚听)ξ「ちょっと、怖いこと言わないでよ。幽霊かと思うじゃない」

(;^ω^)「ゆ、幽霊!? それは恐いお!」

「ブーン? 聞こえてるか、ブーン!」

( ;ω;)「ひぃぃぃ! やっぱり聞こえるお! 幽霊が黄泉の国から僕を迎えに来たんだおっ!」

「ブーン、落ち着け! 私だ、クーだ!」

( ;ω;)「……お?」

「今、私は洞窟内にいる。念話が聞こえるか?」



512:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:49:40.41 ID:u4mYbpNR0
  
「……はいですお、聞こえますお」

川 ゚ -゚)「よし。もう1人のツンとかいう娘はいっしょか?」

「今隣にいますお。あ、ツン、今先生と念話をしてるんだお」

川 ゚ -゚)「それを聞いて安心した。今自分たちがどこにいるかわかるか?」

「ちょっとわからないお。かなり下流のほうまで流されたようですお」

川 ゚ -゚)「下流か。いくつか浜辺があるみたいだが」

「多分その1つですお。火を焚いてそこにいますお」

川 ゚ -゚)「分かった、すぐに向かおう。イメージがないから瞬間移動はできないがな」

クーは念話を切り、しぃやドクオたちに顔を向けた。

川 ゚ -゚)「大丈夫、2人とも無事のようだ」

(*゚ー゚)「良かった……」

('A`)「ひやひやしたぜ……」

<ヽ`∀´>「危うく人殺しになるところだったニダ……」



514:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:51:03.15 ID:u4mYbpNR0
  
( ^ω^)「すぐに救助が来るって言ってたお」

ξ゚听)ξ「良かったー。こんな寒いところに長居はしたくないわ」

ξ゚听)ξ(ブーンと2人きりの時間ではあるんだけど、ね)

( ^ω^)「ん?」

ξ゚听)ξ「どうしたの?」

( ^ω^)「何か影が動いたような……」

ξ゚听)ξ「また先生の魔法かしら?」

(;^ω^)「これは……ツン、伏せるお!」

ブーンはツンに飛び掛り、彼女を押し倒した。

ξ///)ξ「ちょ、ちょっと! ブ――」

次の瞬間、たくさんの何かが、2人の上を掠めた。

(;^ω^)「ぐ、おっ」



515:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:52:30.78 ID:u4mYbpNR0
  
ξ゚听)ξ「ブーン! 背中が!」

ツンに被さったブーンは、背中にたくさんの裂傷を負っていた。
ツンが急いで治癒魔法『ケア』をかける。

(;^ω^)「あ、ありがとうだお、ツン」

ξ゚听)ξ「今の何かが攻撃してきたの? 一体……」

(;^ω^)「どうやらそうみたいだお……」

2人が天井を見上げると、そこには赤く丸い何かが、無数に光っていた。
その光景は恐ろしく、不気味だ。

ξ゚听)ξ「一つ目コウモリの群れ……」

(;^ω^)「来るおっ!」

一つ目コウモリたちは一斉に、2人に襲い掛かった。



517:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:54:14.91 ID:u4mYbpNR0
  
(;^ω^)「って、剣がないお!」

ブーンの剣は川底。今のブーンは手ぶらである。

ξ゚听)ξ「コレを使いなさい!」

ツンは腰に佩いている細身の剣を抜くと、ブーンに向かって放った。

( ^ω^)「サンキューだお!」

ブーンは剣をキャッチすると、すぐさま1匹の一つ目コウモリを斬り落とす。

(;^ω^)(これが、剣で生き物を斬る感覚かお……)



519:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:55:01.37 ID:u4mYbpNR0
  
ξ゚听)ξ「『ドリームノック』!」

ツンの魔法がコウモリの群れをとらえた。
何匹かのコウモリは眠ってしまい、ひょろひょろと床に落ちていく。

「ブーン、何があった?」

ブーンの頭に、クーの念話が響いた。

(;^ω^)「一つ目コウモリの群れに襲われてるんですお!」

「何!?」

(;^ω^)「数が多くて、けっこうやばいお」

「落ち着け、ブーン。個人授業の初日、私がなんて言ったか覚えてるか?」

(;^ω^)「えっと、初日ですかお……」



520:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:56:05.36 ID:u4mYbpNR0
  
   ( ^ω^)「おー、色んな物があるお!」

   川 ゚ -゚)「こら、あまりはしゃぐな!」

   ブーンはクーの実験室を訪れていた。
   実験室には様々なマジックアイテムが置いてあり、ブーンは目を輝かせて
   それらを見ている。

   ( ^ω^)「クー先生はいつぐらいから学園に勤めてるんだお?」

   ふと思い当たったことが、ブーンの口をついた。   

   川 ゚ -゚)「ふむ。今年で教職は3年目だ」

   ( ^ω^)「意外と短いですお」

   川 ゚ -゚)「学園を卒業した後、すぐに就いたんだ。師の跡を継いでな」

   ( ^ω^)「学園を卒業後、すぐ……? 僕が今19だから……」

   暗算するブーン。すると突然、ブーンの動きが止まった。

   (;^ω^)「…………え、えええええ!? 23歳!?」

   川 ゚ -゚)「まだ22だ」



522:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:57:30.76 ID:u4mYbpNR0
  
(;^ω^)「あれは衝撃でしたお……」

「アホ、そんなことではない! 集中力の話だ!」

( ^ω^)「あ、そっちでしたかお」



   川 ゚ -゚)「お前に足りないのは魔導力もさながら、集中力だ」

   クーが教鞭を持ちながら、ブーンに言った。

   川 ゚ -゚)「集中力は魔法の効果を強める大事な要素。お前は少々、注意力が散漫気味だな」

   教室を歩きながら、クーが説明する。

   川 ゚ -゚)「魔法を唱える時は、そのイメージに全てをかけろ。集中すればするほど、効力が増す」

   クーは立ち止まり、ブーンに教鞭を向けた。

   川 ゚ -゚)「分かったか?」

   (;^ω^)「先生、聞いてなかったのでもう1回……」

   教鞭の先から、ブーンに電撃が走った。



523:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 22:59:03.17 ID:u4mYbpNR0
  
「集中しろ! イメージを頭のキャンバスに描け!」

(;^ω^)「わ、わかりましたお!」

ブーンの脳裏に、燃え盛る炎のイメージが浮かぶ。
ブーンはそのイメージをとどめたまま、コウモリたちに指先を向けた。

( ^ω^)「『ファイア』!」

詠唱。そして発揮。
コウモリの群れの一部が、激しい炎に包まれた。

( ^ω^)「おおー!」

ξ゚听)ξ「やるわね、ブーン!」

だがなお、一つ目コウモリの勢いはとまらない。

(;^ω^)「どうなってるんだお、コレ!」

ξ゚听)ξ「野生のモンスターなのに、恐ろしいくらい統率がとれてる……」

(;^ω^)「このままじりじりと消耗戦かお……」



525:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 23:00:36.86 ID:u4mYbpNR0
  
その時、

川 ゚ -゚)「『マグナムトルネード』!」

何かが旋風を巻き起こしながら、一つ目コウモリの群れに突っ込んだ。
それにより、コウモリの統率が乱れ始める。

('A`)「大丈夫か、2人とも!」

<ヽ`∀´>「ウリが来たからには、安心する二ダ!」

ξ゚听)ξ「ドクオ! ニダー! クー先生!」

( ^ω^)「た、助かったお!」

川 ゚ -゚)「『ギゾンデ』!」

クーが雷撃魔法で追撃をかけ、コウモリの群れは完全に姿を消した。

川 ゚ -゚)「ふぅ、大丈夫なようだな」

(;^ω^)「ダメかと思ったお……」



529:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 23:02:06.43 ID:u4mYbpNR0
  
助けられたブーンたちとドクオ、ニダーの4人は、学園に戻ってくるや否やギコの説教を受け、
学園中のトイレ掃除1週間、30枚の反省文の罰則を与えられた。

ξ゚听)ξ「ふう……」

川 ゚ -゚)「大変だったな」

1人ベンチに座るツンに、クーが話しかけた。

ξ゚听)ξ「あ、クー先生! ありがとうございました」

川 ゚ -゚)「いや、なに、気にするな。ところで、尋ねたいことがあるのだが」

ξ゚听)ξ「何でしょう?」

川 ゚ -゚)「ブーンとは付き合っているのか?」

ξ///)ξ「な!? つ、付き合ってなんかいません!」

川 ゚ -゚)「そうか。なら、ブーンは私がもらうぞ」

ξ゚听)ξ「……は?」



533:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 23:03:30.95 ID:u4mYbpNR0
  
ツンは一瞬、クーの言葉が理解できなかった。

ξ゚听)ξ「あの……もらうって?」

川 ゚ -゚)「私の恋人にさせてもらう、という意味だが?」

ξ;゚听)ξ「だって……先生と生徒ですよ」

川 ゚ -゚)「関係ない」

ξ;゚听)ξ「……」

沈黙が、2人の間に流れる。

( ^ω^)「あ、ツンとクー先生だお! おーい」

ブーンが気楽な顔をしながら、2人に駆け寄ってきた。
それを見ると、クーはクスリと微笑んで、ツンに向き直る。

川 ゚ー゚)「冗談だ。聞き流してくれ」

クーはそう言って、瞬間移動でその場を去った。

( ^ω^)「あれ、クー先生行っちゃったお。何を話していたんだお?」

ξ;゚听)ξ「……」

ツンの心中はこれまでにないほど、混乱していた。



538:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 23:05:01.79 ID:u4mYbpNR0
  

………………

ブーンたちがいた洞窟から、遠く離れた地。
そこに、漆黒のローブを着た、1人の男がいた。

「……?」

「いくつかの生命反応が、消えた?」

「まさかあんな奥地まで人が来ることもないだろう……他のモンスターに襲われたか?」

「……まあいい」

「まだ代わりは、いくらでもある」

「計画を頓挫させるわけにはいかない」

謎の人物はひとりごちると、瞬間移動で姿を消した。


第10話 おわり



542:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/27(火) 23:08:32.81 ID:u4mYbpNR0
  
今回登場した魔法
・エアボール……(白)大きな気泡を頭にかぶせ、呼吸を可能にする。
・デュマピック……(黒)マップと自分たちの座標を表示する。元ネタはWIZ
・ドライヤー……(生活)熱風を起こして乾かす。
・ドリームノック……(白)夢の門を叩き、眠気を誘う。元ネタはアークザラッド
・ファイア……(黒)火炎を起こして攻撃。元ネタはFF
・マグナムトルネード……(黒)小石などに旋風を引き起こさせながら飛ばす。元ネタは某ミニ四
・ギゾンデ……(黒)雷撃を複数の敵にくらわせる。元ネタはPSO



戻る第11話