( ^ω^)ブーンが剣と魔法の学園に入学したようです

667:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 22:30:56.68 ID:lCs8s8fI0
  
( ,,゚Д゚)「ようし、そこまでだゴルァ」

教室にギコの声が響き渡る。
そしてその一声と共に、全ての答案が机上から姿を消した。

( ,,゚Д゚)「初めての定期試験、お疲れ様だゴルァ。だが気を緩めず勉学に励めゴルァ」

ギコはそう呼びかけると、教室を去った。
騒がしい教室の中ほど、2人の学生が机に倒れ伏していた。

(;^ω^)「お、終わったお……いろんな意味で」

(;'A`)「終わりじゃ……この世の終わりじゃ!」

( ;ω;)「ああっ、周囲が答え合わせをする声が心に突き刺さるお」

(;'A`)「ゲッ、最後の問題見逃してた!」

こうして、VIP魔法学園の前期試験日程が終了した。



670:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 22:34:35.26 ID:lCs8s8fI0
  
部室棟20階には、今日もブーンの姿があった。

(;^ω^)「ひぃ、やっぱりこの階段は慣れないお……」

ブーンは片手に盾を備えている。
そしてそれを、部室の扉に向けて構えた。
その直後に爆音。更に、ブーンに向けて突撃する扉。
部室の扉は、ブーンの盾に弾かれて床に倒れた。

(;゚∀゚)「ぐえっ、げほ……よお、ブーン」

(;^ω^)「なんだかもう、パターンが読めてきましたお」

部室から這い出てきたジョルジュに手を貸しながら、ブーンがつぶやいた。



672:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 22:36:49.83 ID:lCs8s8fI0
  
( ゚∀゚)「ところでフクスケール知らない? またどっか行っちゃったんだけど」

( ^ω^)「どうせモナーが捨てたんじゃないのかお?」

( ゚∀゚)「う〜ん、違うって言ってたんだが……まあいいか」

ジョルジュは卓上のすすをふき取りながら、実験器具を片付けている。
どうやら失敗したらしい。

( ゚∀゚)「ところでブーン、予選の申し込みはしたのか?」

( ^ω^)「予選の申し込み……なんだお、それ?」

(;゚∀゚)「って、夏季武闘大会の申し込みだ! 締め切り今日だぞ!」

(;^ω^)「冗談ですお、ちゃんと運営委員に申し込んだお」

(;゚∀゚)「お前が言うとシャレにならん」



675:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 22:40:05.83 ID:lCs8s8fI0
  
( ゚∀゚)「さて、夏季大会の予選が明後日から始まるわけだが、その概要を説明しよう」

( ^ω^)「心して聞くお」

( ゚∀゚)「夏季大会は学年別の個人戦って話は、モナーから聞いてるよな。
     本選には各学年のベスト32が出るんだが、参加希望者はそれを大きく上回る。
     そこで、人数調整のために予選をやるわけだ」

( ^ω^)「ほうほう」

( ゚∀゚)「予選の方法だが、まず全参加者を4つのブロックに分ける。
     そして各ブロックごとに、バトルロワイヤルで8人の本選参加者を決定するんだ。
     これにはかなり運の要素がかかわってくるな」

( ^ω^)「運?」

( ゚∀゚)「例えば、同じブロックに友人がいれば有利だ。
     ブロック毎の勝利者は8人なんだから、8人までなら無条件で組める。
     逆に協力者がいないと、徒党を組んだやつらに襲われたらジエンドだな」

(;^ω^)「テラコワスwww」



677:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 22:43:15.57 ID:lCs8s8fI0
  
( ゚∀゚)「更に戦法も重要だ。
     攻撃は結構だが、あまり目立ちすぎると危険視されるだろう。
     漁夫の利を得るような戦い方が求められる」

(;^ω^)「奥が深いお」

( ゚∀゚)「そうか? で、肝心のリタイア条件だが……」

ジョルジュはポケットを漁ると、しぼんだ風船をブーンに見せた。

( ^ω^)「風船……?」

( ゚∀゚)「そう、風船。予選ではこれをヘルメットにつけて被る。
     割られたら即リタイア。会場に敷かれた魔方陣により、退場させられる」

( ^ω^)「なるほどだお」

( ゚∀゚)「まあ勝っても負けても、所詮祭りみたいなもんさ。
     モナーは賞金に対してうるさかったかもしれんが、気楽にがんばれ」



680:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 22:47:10.06 ID:lCs8s8fI0
  
2日後の朝、ブーンは大掲示板に指定されたとおり、第2体育館へと足を運んでいた。

('A`)「しかし運がいいな。3人が同じブロックになるとは」

(´・ω・`)「協力してがんばろう」

ブーンにとって幸運なことに、ドクオとショボンも同じ組であった。

('A`)「部員と組めって言われたんだが、やっぱりお前たちを見捨てられないからな!」

( ^ω^)「ありがとうだお、ドクオ!」

会場には選手が30人ほど集まっているはずだ。
その中から8人しか勝ち残れない……ブーンは強い緊張を覚えた。

(;^ω^)「勝ち残るために、最大限の努力をするお!」

(´・ω・`)「まあ努力なら既にしたけどね」

('A`)「?」



684:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 22:50:19.89 ID:lCs8s8fI0
  
隣の第1、第3体育館からは、怒声や歓声、悲鳴がひっきりなしに聞こえてくる。
しかし、第2体育館は未だに静寂を保ったままであった。
なぜなら……

運営委員「え〜っと、運営委員本部から連絡がありました。
     どうやら10名ほど、腹痛により出場を辞退するようです。
     よって、今この場にいる19名により、予選を開始します」

(;^ω^)「……」

(;'A`)「……」

(´・ω・`)「さ〜て、なんでだろうね。集団食中毒でも起こしたのかな?」

(;^ω^)(ショボンが呪詛・呪術部だったことを忘れていたお……)

(;'A`)「やりすぎではないでしょうか?」

(´・ω・`)「さて、なんのことかな?」

(;^ω^);'A`)(ショボンだけは、絶対に敵に回せない……)



688:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 22:53:34.80 ID:lCs8s8fI0
  
選手が全員、配られた風船つきヘルメットを被った。
さらにそれぞれが、運営委員会規定の剣を手にしている。

運営委員「では、予選開始!」

運営委員の言葉と共に、ゴングが鳴り響いた。

('A`)「!! ブーン伏せろ!」

( ^ω^)「!」

ドクオの叫びに、ブーンの身体は勝手に動いた。
しゃがんだブーンの頭上で、剣がなぎ払われる。
後ろから奇襲を受けたのだ。

選手A「ちぃっ、外したか!」

('A`)「うおおおおっ!」

ドクオが突進し、奇襲をかけた男に体当たりをくらわせた。

選手A「ぐっ、おっ!?」

体勢が崩れた男に、ショボンの足払いが決まる。
無様に倒れ仰向けとなった男の風船を、ドクオが踏み潰した。

選手A「そ、そんな、もうリタイ――」

男は叫びながら、体育館外に強制転送された。



691:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 22:56:22.88 ID:lCs8s8fI0
  
体育館内は熾烈を極めている。
既に7人ほどがリタイアし、残る出場枠を奪い合っている状態だ。

(´・ω・`)「『ウインドアロー』!」

ショボンが魔法を唱える。
風の矢が一直線に、1人の選手の風船を貫いた。

(;^ω^)「だいぶ減ってきたお、あと少し……」

(;'A`)「まずい! ブーン、後ろだ!」

(;^ω^)「なっ」

振り向いたブーンに、再び斬撃が迫る。しかも、先の攻撃より遥かに強力だ。
ブーンはなんとかそれを受け止め、後退した。

(*‘ω‘ *)「よく受け止めたっぽ!」

(;^ω^)「あ、危なかったお。新手の敵かお!?」

(*‘ω‘ *)「弱いやつのお守りってわけじゃないっぽか、ドクオ」

(;'A`)「よせ、お前とは戦いたくない」



696:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 23:00:21.23 ID:lCs8s8fI0
  
(´・ω・`)「彼とは知り合いかい、ドクオ君?」

(;'A`)「ああ、同じ武闘術部のやつだ。名前はちんぽっぽ。けっこう強いぞ」

(*‘ω‘ *)「問答無用だっぽ。裏切り者を成敗するっぽ!」

(;'A`)「くっ、2人とも気をつけろ!」

ちんぽっぽがドクオに斬りかかる。
ドクオは慣れた手つきでそれをさばくが、顔に余裕はかけらもない。

(;^ω^)「助太刀するお!」

(;'A`)「よせ! 敵はコイツだけじゃない!」

( ^ω^)「お?」

(´・ω・`)「『ハリト』!」

ショボンが魔法を唱え、ブーンの後ろに火球を放った。
ブーンの背後に迫っていた男がそれに気づき、後退する。

( ><)「よく気づきましたね!」

(;^ω^)「お、お!?」

(;'A`)「ブーン、後ろをとられすぎだ! ……くっ」

(*‘ω‘ *)「他人の心配をする場合っぽ!?」



699:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 23:03:45.92 ID:lCs8s8fI0
  
( ><)「ちんぽっぽと同じ武闘術部のビロードと言います。よろしくです」

(;^ω^)「あ、こちらこそよろし――っくお!?」

ブーンが挨拶を返したその時、ビロードの裏拳が、ブーンを襲った。
ブーンはそれを紙一重で防御する。

( ><)「反射神経はなかなかなんです!」

(´・ω・`)「ドクオ、そっちはまかせた! 僕たちはこいつを倒す!」

ドクオからの返事はない。苦戦しているようだ。

( ><)「あなた方2人でですか? 無謀なんです!」

(;^ω^)「それはやってみなければわからないお!」

ブーンは勢いよビロードに斬りかかった。
後方からはショボンが魔法で援護攻撃を行っている。

(;^ω^)「おおおりゃあ!」

ブーンの斬撃が、ビロードを襲った。
しかしビロードは素手でそれを受け止めると、ブーンの頭に手刀を振り下ろした。
ブーンはとっさに剣を離し、手刀を避ける。ビロードも、ショボンの魔法を避けて後退した。

(;^ω^)「こいつ、素手で剣を……」



704:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 23:13:05.32 ID:lCs8s8fI0
  
(´・ω・`)「多分戦士科の拳闘術専攻だよ。武器より体術を得意としているんだ」

( ><)「その通りです! 行きますよ!」

ビロードはブーンの剣を捨てると、ブーンとの間合いを詰めにかかった。

(´・ω・`)「ブーン、僕の剣を使え!」

(;^ω^)「わかったお!」

ショボンがブーンに向けて、剣を放り投げる。

( ><)「甘いんです!」

(;´・ω・`)「なっ!」

(;^ω^)「あっ」

しかしその時、いつの間にかわかんないんですが、ショボンとブーンの間に入り込んでいた。
ビロードはショボンの剣を掴むと、床に落として蹴飛ばした。

( ><)「さて、どうするんですか……?」

(;´・ω・`)(一瞬で僕らの間に入った……やばいぞ……)

初めて会う強敵に、ショボンは不安をぬぐいきることができなかった。


第11話 おわり



707:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/06/28(水) 23:15:10.68 ID:lCs8s8fI0
  
今回登場した魔法
・ウインドアロー……(黒)風の矢を作りだし、放つ。



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