( ^ω^)ブーンが剣と魔法の学園に入学したようです
- 7:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:08:57.74 ID:lhR4HcWx0
- 司会「さて今年も始まりました、夏季校内武闘大会!
今年のスローガンは、『斬撃に挑め。優勝率3%』です。
みなさん、優勝目指してがんばりましょう!」
拡声魔法によって拡大された運営委員の声が、会場に響く。
会場では現在、決勝トーナメントに勝ち進んだ全選手が石畳の闘技場に上り、
開会式が行われている。
その選手たちの中に、ブーンの姿があった。
( ^ω^)(意味のわからないスローガンだお……)
司会「では、選手の皆さんにはこれをつけてもらいます」
司会者がそう言うと、選手たちに腕輪のようなものが配られた。
( ^ω^)(何だお、これ?)
司会「一応皆さんに説明させていただきます。
今選手に配られた腕輪こそが、この大会において最も重要なアイテムなのです」
その腕輪に手を通してみるブーン。
すると、腕輪はぴったり左手首にはまり、抜けなくなってしまった。
(;^ω^)「おおお!?」
- 9:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:11:20.89 ID:lhR4HcWx0
- 司会「その腕輪は装着すると、敗退するか大会が終了するまで外すことはできません。ご注意ください」
(#^ω^)(注意が遅いお!)
司会「この腕輪には2つの重大な効果があります。
1つ目は、装備者が攻撃を受けた際に、ダメージを軽減する効果です。
もともと武器の殺傷能力は抑えてありますが、これにより、
大ケガしたり死んじゃったりするのを防ぎます。
もちろん、万が一ケガした場合も、優秀な治療班が控えていますのでご安心を」
(;^ω^)「死んじゃったりって……」
司会「2つ目は、軽減したダメージを蓄積する効果です。
腕輪にはメーターのようなものがついているのが、選手の皆さんには分かることでしょう」
確かに腕輪を良く見ると、そのようなものがついているのが分かった。
今は空っぽのようである。
司会「その腕輪がダメージを軽減すると、ダメージ量に応じてメーターがたまっていきます。
そして全部たまった時点で敗北、ゲームオーバーとなります。
以上の点を忘れないでください」
- 12:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:13:07.15 ID:lhR4HcWx0
- 開会式が終わり、選手は試合の開始時間までは自由行動となった。
ブーン・ドクオ・ショボンは合流し、2年の部を見学するために観客席へと向かっている。
(´・ω・`)「ツンも大変だね。この大会中、治療班は大忙しらしい」
( ^ω^)「へー、ツンはスタッフ側なのかお」
('A`)「白魔法研究会は毎年治療班を担うらしいからな。……お、ありゃなんだ?」
ドクオが指差す先には、人だかりができている。
その中心で机についている人物に、ブーンは見覚えがあった。
( ^ω^)「兄者先輩!」
( ´_ゝ`)「ん? ブーンか。何をやっている?」
( ^ω^)「こっちのセリフだお! 何をやっているんだお?」
( ´_ゝ`)「トトカルチョ」
(;^ω^)「は?」
- 18:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:16:20.44 ID:lhR4HcWx0
- ( ´_ゝ`)「どの選手が勝つかでトトカルチョをやってるんだ。
やるか? 1クチGでもケロでも300」
(;^ω^)「……遠慮するお」
( ´_ゝ`)「そうか、残念だ」
兄者はブーンに興味を失くし、机の上にある機械に目を向けた。
( ^ω^)「それは何ですかお?」
( ´_ゝ`)「コンピュータという魔法機械。魔法で学校中の書物を参照できる機械だ。
まあ今は、トトカルチョの集計にしか使ってないがな。
先公に見つからないよう、けっこう前から準備してたんだよ」
(;^ω^)「ここは大丈夫なのかお?」
( ´_ゝ`)「心配無用。いつでも消すことができる。それよりも、お前の連れがいってしまったぞ」
(;^ω^)「おおお? ま、待ってくれだおー!」
- 16:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:15:23.73 ID:lhR4HcWx0
- ('A`)「お、あの人やるなあ。すごい気迫だ」
(´・ω・`)「いやいや、もう一方もすごいよ。卓越した黒魔法の使い手だ」
観客席に座った3人は、2年の試合をゆっくりと眺めていた。
それぞれポップコーンとドリンクを両手に掴んでいる。
( ^ω^)「いやあ、観戦もなかなか楽しいお」
('A`)「ん? お前、1年の部の初戦じゃなかったか?」
( ^ω^)「そうだお」
('A`)「って、さっきアナウンスがあっただろ! 第1ロビーに集合って!」
(;^ω^)「え、あったかお、そんなの?」
(#'A`)「さっさと行け! 失格になるぞ!」
ブーンはドクオに追い立てられ、その場を後にした。
(´・ω・`)「全く、昔から世話の焼ける人だよね」
- 19:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:19:28.72 ID:lhR4HcWx0
- <ヽ`∀´>「ウェーハッハッハ! よく逃げ出さずに来たニダ、我がライバル!」
(;^ω^)「誰がライバルだお……」
第1ロビーに着いたブーンを、ニダーが待ち構えていた。
さっき見た、靴と盾を身につけている。
運営委員「ニダー選手とブーン選手ですね?」
2人がうなずく。
運営委員「では、簡単にルールの復習をさせて頂きます。
試合時間は10分。勝利条件は3つ。
相手の腕輪のメーターをいっぱいにする。
場外もしくはダウンで10カウントを奪う。
相手が降参を表明する。以上です。
それでも決着がつかない場合は、レフェリーの判定になります」
( ^ω^)「把握したお」
<ヽ`∀´>「把握したニダ」
運営委員「では試合が始まります。闘技場に上がってください」
- 20:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:21:41.23 ID:lhR4HcWx0
- 闘技場に上がった2人を待っていたのは、観客席からの大声援だった。
(´・ω・`)「がんばれ、ブーン!」
('A`)「負けたら許さん! 勝てよ、ブーン!」
観客席は見物にやってきた学生や教員により、ほぼ埋まっているようだ。
ブーンは知らず知らず、恐縮していた。
司会「では選手紹介です。魔法科召喚魔法専攻、ニダー選手!」
<ヽ`∀´>「ウリが1番強いニダー!」
司会「魔法戦士科、ブーン選手!」
(;^ω^)「ど、どうもだお」
<ヽ`∀´>「さっさと試合を始めるニダ!」
司会「では1年の部、第1試合……開始です!」
レフェリーがゴングを鳴らした。
- 23:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:23:30.03 ID:lhR4HcWx0
- <ヽ`∀´>「まずは、この超スピードで動ける靴を試してやるニダ!」
そう言うとニダーは、まっすぐにブーンへ向かって駆け寄った。
しかしその速度は常人と変わらない。
<ヽ`∀´>「ホルホルホル! ブーンが止まって見えるニダ!」
ブーンは全く動いていないので、当然である。
(;^ω^)(き、緊張して身体が動かないお)
(;'A`)「ブーン、動けっ!」
ニダーの剣がブーンを捉える直前、ブーンはなんとか腕を動かし、盾で斬撃を防いだ。
( ^ω^)「そりゃっだお!」
ブーンは攻撃に転じ、大きく振りかぶって、剣を打ち下ろした。
<ヽ`∀´>「そんな攻撃、盾が勝手に……へぶっ!?」
ブーンの剣が、見事にニダーの顔面にめり込んだ。
- 24:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:25:24.19 ID:lhR4HcWx0
- (;^ω^)(うわあ、生々しい感触がしたお)
<ヽ;`∀´>「ぐ、ぐええ、どうなってるんニダ、この盾は!」
ニダーは顔面を押さえ、ゴロゴロと転げまわっている。
(;^ω^)「だ、大丈夫かお?」
しかし腕輪の効果が発動したのか、ニダーは鼻血を出しているくらいで、とくに大きなケガはしていないようだ。
ニダーは転がるのをやめると、立ち上がって盾を見た。
<ヽ;`∀´>「おかしいニダ! 確かに店員は自動で防ぐって……」
(;^ω^)「あのう、先輩から聞いた話なんだけど……」
ブーンは丁寧にも、ニダーが騙されたことを説明した。
<ヽ;`∀´>「アイゴー! 騙されていたニダか! 謝罪と賠償を(ry」
- 25:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:27:03.92 ID:lhR4HcWx0
- (;^ω^)(なんかやる気なくしたお……)
<ヽ`∀´>「こんなもの、こうしてやるニダ!!」
ニダーは靴を脱ぐと、盾と共に地面に叩きつけた。
盾や靴のプロテクターがいとも簡単に割れ、破片が飛び散る。
ニダーは裸足に鎧という、珍妙な格好で闘技場に立っていた。
( ^ω^)「まあ、覚悟してもらうお」
<ヽ;`∀´>「うっ……」
ブーンがニダーににじりよる。
ニダーが恐れをなし、1歩退いたその瞬間。
壊れたはずの盾と靴が、一筋の光をはなった。
ニダーに向けて。
(;^ω^)「おお?」
<ヽ;`∀´>「ななな、何が起こったニダ!?」
- 26:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:28:54.24 ID:lhR4HcWx0
- 発せられた光はニダーにあたると、掻き消えた。
<ヽ`∀´>「な、何だったニダ?」
(;^ω^)「わからないけど、お命覚悟ー!」
ブーンはニダーとの間合いを詰め、剣をニダーの身体目がけて突き出した。
<ヽ;`∀´>「お、お助けニダー!」
(;^ω^)「なっ……」
ブーンは一瞬、何が起こったのかわからなかった。
確かに決まったと思った。しかし、手ごたえは感じられない。
<ヽ`∀´>「……あれ?」
ニダーは、ブーンが斬りかかった場所から2mほど離れた場所に立っていた。
(;^ω^)「…………おりゃっ!」
再びブーンが、ニダーに斬りかかる。
しかし今度も攻撃が命中する直前に、ニダーの姿は消えていた。
- 27:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:31:52.94 ID:lhR4HcWx0
- その後もブーンは何度も攻撃をするが、なぜかニダーに避けられてしまう。
最初は自分自身驚いていたニダーであったが、既に慣れたのか、笑みすら浮かべていた。
(;^ω^)「あ、ありのまま起こったことを話すお!
『おれは剣を突き出したと思ったら、いつのまにか避けられていた』
な…何を言ってるのかわからねーと思うが、
おれも何をされたのかわからなかったお…。頭がどうにかなりそうだったお…。
催眠術とか超スピードとかもしれないお。恐ろしいものの片鱗を味わったぜお…… 」
<ヽ`∀´>「ウェーハッハッハ! ブーンの攻撃が当たる気がしないニダ!」
汗ひとつかかず、ニダーはブーンの攻撃を避け続けている。
逆に、攻撃しているブーンのほうが、スタミナを浪費していた。
- 29:1 ◆cSlzYPtEdU :2006/07/01(土) 23:37:07.82 ID:lhR4HcWx0
- <ヽ`∀´>「そろそろ攻撃に移させてもらうニダ」
ブーンの視界からニダーが消えた、ように見えた。
次の瞬間、ニダーは眼前に迫っていた。
ブーンの肩に鈍痛が走る。
(;^ω^)「ぐっ」
<ヽ`∀´>「ホルホルホル! 逆転ニダ!」
(;^ω^)「3択、一つだけ選びなさい。
1 ハンサムなブーンは突如として反撃のアイディアを思いつく。
2 仲間が来て助けてくれる。
3 当てられない。現実は非常である」
ブーンは反撃をするも、ニダーは既に射程外へと逃げていた。
(;^ω^)「ど、どうすればいいんだお……」
答え3、答え3、答え3……。
第13話 おわり
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