('A`)ドクオが一歩踏み出したようです

276 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/15(水) 12:20:12.26 ID:T0s4rnCC0
('A`)「…え!?」

ドクオは事の顛末を説明しようと思ったが、一瞬、荒巻の立場を思い出し、何も言えなくなってしまった。
考え出すと、ここでツンに今までの自分を説明すれば落胆されるかもしれない、失望されるかもしれない。

('A`;)「…え…っと…その…」

ξ゚听)ξ「…?…ドクオくん?」

('A`;)「ちょ…ちょっと…待ってて…」

ドクオはツンをその場に置いたまま、研究室を出ていってしまった。
教授室に戻った荒巻を探しに行ったのだが、ツンにはそう映らなかった。

ξ゚听)ξ「ドクオくん…、何か隠してる…?…私に…言えないこと?」



296 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/15(水) 13:15:00.25 ID:T0s4rnCC0
('A`)「あ、荒巻教授!」

/ ,' 3 「ん?どうしたかね?今日はもう帰るかい?」

('A`)「い!いや!そうじゃなくて、俺の身の上の話なんですけど、やっぱり口外しないほうが良いんですよね?」

/ ,' 3 「ふむ…そうだなぁ。あまり言わないほうがいいだろう」

('A`)「ツン…にもですか?」

ドクオの真剣な眼差しに荒巻はドクオの気持ちを察したが、すぐに「良いよ」と言えるものでもなかった。
腕を組んで天井を見上げて考え出す荒巻をドクオはじっと見ていた。

/ ,' 3 「んー…、ふむ。」



298 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/15(水) 13:18:04.45 ID:T0s4rnCC0
そこにツンが追ってきた。

ξ゚听)ξ「ちょっとドクオくん!?」

('A`)「ツ…ツン!」

/ ,' 3 「あ〜…らら…」

ξ゚听)ξ「どういうことなの?私に言えない様な後ろめたい事でもあるの!?」

/ ,' 3 「ん〜、結構ピンチってやつだな」

ξ゚听)ξ「教授?教授は何か知っていらっしゃるんですよね!教えてください!」

/ ,' 3 「俺にはそこまで君が固執するような問題じゃないと思うんだがなぁ。
まぁ君は頑固だし、好きな人の事を知りたくなったら一直線っていうことかな?」

ξ゚听)ξ「ちょっ…!は、話をはぐらかさないで下さい!」



303 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/15(水) 13:23:57.79 ID:T0s4rnCC0
ξ゚听)ξ「べ…別に私は彼のことを好きとかじゃ・・・!」

/ ,' 3 「ふむ…」

荒巻は大きく息をついて、二人の顔を眺めながら行った。

/ ,' 3 「まぁ、いっかぁ」

ξ゚听)ξ「…は?」

/ ,' 3 「色々ドクオくんもこれから大変だろうから、俺以外に味方を持っておくべきだしな」

ξ゚听)ξ「…?」

/ ,' 3 「二人とも、ちょっと教授室に来なさい。」

ξ゚听)ξ('A`)「は…はぁ…」



345 :1 ◆kcxtiIaUlc : 2006/03/15(水) 19:10:15.18 ID:YdTJbXP90
荒巻が二人を教授室に連れてきた。
他にまったく誰もいない、3人だけの空間である。

/ ,' 3 「さて…」

ξ゚听)ξ「どういう…ことなんですか?なにかドクオくんに問題でもあるんですか?」

/ ,' 3 「…いや、別にないよ?だってお手伝いさんだもん、どうやったら問題が起こるというんだね?」

ξ゚听)ξ「は…はぁ…?」

/ ,' 3 「俺はね…彼の科学者としての素質を買ったんだ。だが彼は学歴がない。
研究者の素質に学歴は直接関係はない、だが、今の世間はそうは思わないだろう。」

ξ゚听)ξ「…」

/ ,' 3 「彼の熱意、素質、夢を追う姿勢そのもの…、どれも単純な学歴よりも価値があるかもしれん。
そこで俺は、彼にとっては困難を極める受験を避ける道として今回の方法を取った」

ξ゚听)ξ「何よ……何よそれ…」

/ ,' 3 「ん…んん?」

ξ゚听)ξ「バカじゃないの?受験如き耐えられない人に何が出来るの?私はドクオくんがもっと努力してきてるんだと思ってた。
夢を語るのに恥ずかしくない立派な人になったと思ったのに…。」

('A`;)「…つ…ツン」



349 :1 ◆kcxtiIaUlc : 2006/03/15(水) 19:17:42.25 ID:YdTJbXP90
/ ,' 3 「ま…まぁ、ツンくん、君も最後まで話を…」

ξ゚听)ξ「教授も教授です、自分勝手なことをして、一体何を考えてるんです?ドクオくんの為だとか言っておきながら、
結果的にこれはドクオくんを傷つけるだけのものになるかもしれないのに!」

/ ,' 3 「む…むぅ、ま…待ちたまえツン君!」

ξ゚听)ξ「なんですか?これ以上何を言うって言うんですか?教授は…教授は自分の気まぐれでドクオくんを弄んだだけじゃないですか!?」

('A`)「つ…ツン!最後まで話を…」

ξ゚听)ξ「…ドクオくんは当事者だから分からないこともあるのよ、第三者から見たら酷い事よ…。すみません、今日は失礼します。」

ツンは不機嫌そうに荒巻に背を向け、そのまま外に出て行ってしまった。

/ ,' 3 「…す、スマン。ドクオくん、ツンには必ず俺からしっかり伝えておくから…」

('A`)「…すみません、今日は…失礼します。」

同じく背を向けるドクオに荒巻が出来たことは、

  すまない、明日も来てくれ

という一言だけだった。



428:1 ◆kcxtiIaUlc : 2006/03/16(木) 01:41:00.27 ID:cALQTqs/0
研究室の前では内藤が迎えに来ていた。
不機嫌そうに出て行ったツン、それに続いて気まずそうに思いつめた顔で出てきたドクオを見て内藤は天を仰ぎこういった。

( ^ω^)「…大切なのは、ドクオくんが信じているものを育て上げることだお…」

('A`)「…」

何も言わずに俯いて立ち尽くすドクオの頭をくしゃくしゃと撫でると、内藤は優しく言った。 ( ^ω^)「どうしたお?せっかくの夢への第一歩だお。お祝いに、冷たいビールでも飲んで帰るお…、
今はちょうど駅前ででピアガーデンをやってるはずだお…」

('A`)「…内藤…さん、…おれ…間違ってたのかな」

( ^ω^)「うじうじ悩むなお!…ドクオくんは夢に向かって頑張るって誓ったお。夢への道は決して平坦なものなんてないお。
でも障害があれば乗り越えればいいお、困難があれば立ち向かえばいいお。…みんなそうやって、夢をかなえるもんだお。」

('A`)「立ち向かう…」

( ^ω^)「今日は色々あっただろうからドクオくんも疲れてるお、
疲れた頭で考えるのは無駄無駄!うまいソーセージにビールで一息入れるお!」

('A`)「…は、はい!」

内藤はドクオの肩に手を回し、夜の街に消えていった。



432:1 ◆kcxtiIaUlc : 2006/03/16(木) 01:50:34.96 ID:cALQTqs/0
その夜、マンションの一室には卒業アルバムを眺めながら俯くツンの姿があった。
ページを捲ってはドクオの姿を探す。当時の噤まれた思い出を紐解くように。

ξ゚听)ξ「ドクオくん…、タイムマシンの夢を語ってくれた頃と…なんか違ってしまったみたい…」

ドクオが中学校でいじめにあっていたのは、ツンも知っていた。
何度かいじめている同級生を注意したこともあったが、一向に聞き入れられる様子もなく、ツンはおもしろくない毎日だった。

*------*------*-----*----*----*-----*-----*----*-----*----*----*

[゚Д゚]「おいクズのドクオ、俺の焼きそばパン買ってこいよー」
[゚-゚]「ドクオくーん?焼きそばパン買ってきてだってぇー。ドクオくんの見解をお聞かせくださーいww」
[゚Д゚][゚∀゚]アヒャヒャヒャヒャヒャ

('A`)「い…嫌だ…、俺は今勉強してんだから…邪魔…しないでくれ」

[#゚Д゚]「んだとぉコラァ!!ドクオみてぇなウジウジしてる女みてぇな奴は黙って言う事聞けばいいんだよ!」
[゚∀゚]ニヤニヤ 「あーあぁ、たっちん怒らせちゃったーwww」

ξ゚听)ξ「ちょっとアンタ達!中学生にもなってバカじゃないの!やめなさいよ!」



434:1 ◆kcxtiIaUlc : 2006/03/16(木) 01:56:47.90 ID:cALQTqs/0
[゚Д゚]「あ?ツンには言ってねぇから黙ってろってーの」

ξ゚听)ξ「黙るのはそっちよ!聞いてる方の身にもなってみなさい!気分悪くて仕方ないわ!」

[゚∀゚]「ツーンちゃーん、怒ったらさぁー、くぁわゆいお顔がだぁーい無しよぉーwww」
[゚Д゚][゚∀゚]アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒゃ

ξ゚听)ξ「ふざけてんじゃないわよ!」

[゚Д゚]「うっせぇーなぁー、あんまゴチャゴチャ抜かしてると放課後の体育準備室で犯すぞコラ」
[゚∀゚]ニヤニヤ 「たっちんコテコテだよー!アヒャヒャヒャヒャ、俺も混ぜてーーww」

ξ゚听)ξ「…なっ!!?」
('A`)「ツン!良いんだよ、気にしないで!」

ξ゚听)ξ「だ…だってドクオくん…」
('A`)「いいんだよ、俺がいじられるくらいなら…。あいつらなら…本当にツンに酷いことするかも…。
それくらいなら…、俺が殴られたほうが100倍マシだよ…」

ξ゚听)ξ「ど…ドクオくん…」



435:1 ◆kcxtiIaUlc : 2006/03/16(木) 02:04:40.08 ID:cALQTqs/0
-------*------------*---------*----------*----------*---------*
当時のいじめっ子達は本当に危うさがあった。
それを察したドクオは自ら矢面に立とうとするツンを幾度と無く止めていたのだ。
ちなみに数年後、彼らは女子校生に対する婦女暴行で少年院に送られることになる。

ξ゚听)ξ「…あの頃のドクオくんは…、もっと真っ直ぐで、ちょっと頼りないけど、正々堂々してたのに…。
なんであんな…コネで裏口入学みたいな真似を…。」

ドクオの行為、それは自分の知っているドクオのそれではなく、どこか汚らわしい感じすらするものだった。
自分の愛していたドクオはもっと高潔…というのは言い過ぎなのかも知れない、でも、もっと真面目で正直で…

ξ゚听)ξ「…なんで、あんなことになっちゃったんだろう…」

ツンはドクオとは違う女子高に進学していたが、ドクオが過度のいじめを苦に高校を辞めたという話は風の噂で耳にしていた。
いじめのせいで、ドクオくんは変わってしまったのだろうか…。
あのドクオくんを奪ったのは、いじめだったのだろうか。ツンの脳裏にはそんな考えがよぎっていた。



440:1 ◆kcxtiIaUlc : 2006/03/16(木) 02:14:59.22 ID:cALQTqs/0
翌朝、ツンが研究室に姿を現した。

ξ゚听)ξ「おはようございます。」

(´∀`)「おっはよーですっ!相変わらず、ナイスなプロポーション!むさくるしい研究室のオアシスですねっ!」
(*゚ー゚)じとーーーーーー

(゚Д゚)「モナー、しぃがキレるぞゴルァ、俺シーラネ」

(´∀`)「し…しぃちゃんだってもちろん、そのロリフェイスに似合わぬ巨乳が…」

バシッ しぃの平手が飛ぶ

(*゚ー゚)「このっ、変態さんめぇー!どこ見てんの!…って、あれ?ツンさん……?」

いつもはツンも絡んでくる、何の変哲も無い朝の情景だが、
今日のツンはそれに殆ど反応せずに、ツンはスタスタと自分のデスクに荷物を置いてため息をついた。

(;゚Д゚)「な…なんか悩んでるみたいだぞノルァ…」

(*゚ー゚)「なにかあったのかしら…」

(´∀`)「悩む姿も素敵んぐ!美人は何をやっても絵になるなぁ!」



441:1 ◆kcxtiIaUlc : 2006/03/16(木) 02:22:12.41 ID:cALQTqs/0
/ ,' 3 「あ…ツンくん…おはよう…」

ξ゚听)ξ「おはようございます教授。」

少しばかりオドオドした様子の荒巻の挨拶に対して、ツンは素っ気無く答えた。
それを見たモナーたちはヒソヒソと話し出す。

(´∀`)「…見たぞ」
(゚Д゚)「…何をだゴルァ」
(´∀`)「荒巻教授の態度だよ!ツンさんに何かうしろめたい事があると見た!」
(゚Д゚)「後ろめたいこと?不倫でもしたのかあのオッサン」
(*゚ー゚)「いやーんvv…って、荒巻教授って独身じゃない」
(゚Д゚)「それじゃあ考えられることは…。も・・・もしや…」
(´∀`)(゚Д゚)(*゚ー゚)「 せ、 セ ク ハ ラ かーーーーっ!?」

そんな話がなされているのを知ってか知らずか、荒巻はツンの後ろで何か言いたげにモジモジとしていた。
ツンから思わず溜息が漏れる。

ξ゚听)ξ「…はぁ…、教授、何か御用でしょうか?そのように後ろにずっと立たれると私も大変やりにくいのですが。」



戻る次のページ