('A`)ドクオが一歩踏み出したようです

522 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/16(木) 17:51:06.09 ID:gbcz2zGt0
/ ,' 3 「むっ…いや…、なんだ…。昨日のことなんだが・・・」

(´∀`)コソコソ「昨日!?」

ξ゚听)ξ「…昨日は…、私も感情的になってしまい失礼しました。
…ですが、私は教授の考えを支持することは出来ません。」

/ ,' 3 「ま…まぁ、待ちたまえ、君はまだ俺の話を最後まで聞いてくれていないじゃないか。」

ξ゚听)ξ「…一応、お聞きしますが、この場でよろしいのですか?」

/ ,' 3 「ん…、まぁ…そうだな、早いほうが良い。10時に教授室に来てくれ。」

ξ゚听)ξ「分かりました、それでは後ほど伺います。」

スタスタと相変わらず美しい歩き方で、モデル歩きとでも言えば良いのだろうか、ツンは研究室のドアをくぐって行った。



524 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/16(木) 17:56:09.91 ID:gbcz2zGt0
(´∀`)「ありゃぁスクープって奴だな」
(゚Д゚)「あ?」
(*゚ー゚)「なになに〜?何か聞いちゃったの?」
(´∀`)「やっぱ荒巻教授はツンさんにセクシャルしちゃったみたいってな感じだぜ!」
(*゚ー゚)「えぇーーー!うっそ、信じらんない!」
(゚Д゚)「なんかそれっぽい事言ってたのかゴルァ」

(´∀`)「ふふふ、このモナーがきっちり『昨日、セクハラの後ツンさんが感情的になってしまった』と
『荒巻教授の言い分をこれからしっかりツンさんに話す』という会話を聞いてしまったぜ!」

(*゚ー゚)「やだ〜、本当なのぉ?」
(゚Д゚)「ドクオさん知ったらキレっかもなぁノルァ」

(´∀`)「面白いことになりそうだwww」



531 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/16(木) 18:11:26.05 ID:gbcz2zGt0
ツンは学内の喫煙所で、一人何か考え事をしながら煙草を吸っていた。
モアメンソールを静かに吸いながら、ドクオのことを考えるツンはどこか寂しげであった。

ξ゚听)ξ「ドクオくん、今日も来るのかしら…」

ポツリとそうつぶやくと、静かに瞳を閉じた。
研究者とか、講師とか、そういうのを抜きにしたツンの正直な感情…それはドクオが側にいてくれることを望んでいた。
しかしツンは、今のドクオの事をそこまで愛しているのか分からなく、
そしてその一方で、今の状況がドクオの為になると思えないのが腹立たしかった。

ξ゚听)ξ「私…どうしたいの?わからない…。」

灰を落とし、ツンは頭を垂れて苦悶の表情を浮かべていた。



543 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/16(木) 18:21:36.39 ID:gbcz2zGt0
ξ゚听)ξ「そろそろ10時だわ、行かなきゃ」

ツンは喫煙所を後にし、教授室に向かった。

ξ゚听)ξ「失礼します。」

/ ,' 3 「あぁ、よく来てくれたよ、すっぽかされてしまうんじゃないかと思っていたよ」

(´・ω・`)「ほーれ見ろ、早速問題起きかけじゃないか。」

ショボーン助教授が毒を吐いている。事情を知っている様子だ。

ξ゚听)ξ「…いえ、私もあのままではスッキリしませんので」

/ ,' 3 「ふむ、まぁ早速だが、…君は昨日、俺に言ったね。『気まぐれでドクオくんを弄んだだけ』だと」

ξ゚听)ξ「…えぇ」

/ ,' 3 「それは完全には否定できない、何故なら今回の事には俺の勝手な夢も多かれ少なかれ影響しているからな」

ξ゚听)ξ「…」



545 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/16(木) 18:32:11.54 ID:gbcz2zGt0
(´<_`;)「あ…兄者…。彼らは一体何をしているのだ?」
( ´_ゝ`)「弟者よ、例えどこであろうと不審者は気にしないのが身の為だ」
(´<_` )「さ…流石だな、兄者」

教授室のドアの外、聞き耳を立てている3人が居た。

ヒソヒソ(;゚Д゚)「おいコラモナー!話が違うじゃねーかゴルァ」
ヒソヒソ(´∀`;)「ド…ドクオくんが荒巻教授に弄ばれただなんて!!」
ヒソヒソ(*゚ー゚)「やだもう!本当に信じられな〜い、そんな趣味だったなんて…」
ヒソヒソ(´∀`;)「うほっ ってやつか?」



/ ,' 3 「だが気まぐれでは断じてないし、俺もそこまでするつもりは無かった。ドクオくんはここに来る事を少なからず望んではいたがな。」

(´・ω・`)「あぁ、ツンちゃん、俺は望んでなかったからな?俺、ツンちゃんと同じ意見」

ξ゚听)ξ「…助教授、失礼ですが全く聞いてませんし、興味もありません」

(´・ω・`)



548 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/16(木) 18:39:04.45 ID:gbcz2zGt0
ヒソヒソ(゚Д゚;;)「ドクオさんは望んで弄ばれたって言うのかノルァ!?」
ヒソヒソ(´∀`|||)「おえー、マジでー?ケツ穴掘られるのが好きなのか?」
(*゚ー゚)「……」
ヒソヒソ(´∀`)「うっわ、ちょっと見てみろよ、しぃの目マジになってるwwwお前もしかしてBL好きなの?腐女子かwww」
ヒソヒソ(*゚ー゚)「ちょ!何言ってんのよぉ!」



/ ,' 3 「俺だってな、こんなの狂気の沙汰だってのは分かってるんだよ。…だが、俺は見てしまったんだよ、彼の才能の一片を」

(´・ω・`)「たかがノートで…言いすぎだバカ」

助教授が力なくそう言った、酷く落ち込んだ様子であるが、ツンは気にせず問いかける。

ξ゚听)ξ「才能…?」



550 :1 ◆kcxtiIaUlc :2006/03/16(木) 18:50:28.17 ID:gbcz2zGt0
(´∀`)「知らなかったなー、しぃちゃんエロスwwww」
(*゚ー゚)「ちょ!いい加減にしなさいよっ!!」

バタバタと廊下を走っていく二人の後ろをギコが半ば呆れ顔でついていく。

(;゚Д゚)「ったく、あいつら小学生かゴルァ、どうにもなんねぇ奴らだ。」


(´<_`*)「あ、兄者!あんな低身長ロリフェイス巨乳な女性がひどくエロイらしいぞ…」
( ´_ゝ`)「引っかかるな弟者、エロ関係は大抵罠だ、何千万も掠め取られるぞ」
(´<_` )「…」

教授室の中では話が続けられていた。

/ ,' 3 「アマルディの超対象性統一理論の可能性と、SLC実験の話をしたんだ」

ξ゚听)ξ「はぁ…」

/ ,' 3 「院生向けの講演会でね。それにドクオくんが来ていたんだ、そしてノートを取っていた。
そのときのノートは…、正直異常なんだ」

ξ゚听)ξ「どういうことです?」

/ ,' 3 「そうだな…、分かりやすく言えば、原子というものを知らない人間が自力で原子モデルの概形を完成させてしまうようなものだ。」

ξ゚听)ξ「!!?」



558名前: 1 ◆kcxtiIaUlc 投稿日: 2006/03/16(木) 19:00:12.81 ID:gbcz2zGt0
ξ゚听)ξ「…ドクオくんが、ラザフォードや長岡半太郎並の才能の持ち主だと…?」

/ ,' 3 「まだそうは言い切れん、たまたまかもしれんしな。ただ、あのようなノートは素人が書けるものではない。
…俺の説明がいくら素晴らしくてもな。」

ξ゚听)ξ「全部…把握してしまったようなノートだったんですか?」

/ ,' 3 「いや、それとはまたベクトルが違う、言ったろう?概形、と。
つまり与えられた情報から、どれが科学的に大事な意味を持つ事象かを選び出し、
そこから応用して広げるという能力において、彼は傑出しているのだよ」

/ ,' 3 「…彼を支えているのは熱意だ、科学者になってタイムマシンを作ろうというな。
…俺は怖くなってしまったんだよ、あれほどの才能が埋もれてしまう危険を孕む行動を取るのが。
彼にとって困難を極める受験、大学生活での突発的な出来事…、その全てが多少なりの危険性を持っていると思ってしまってね…。」

ξ゚听)ξ「彼は…彼なら、大丈夫です」

/ ,' 3 「ん?」

ξ゚听)ξ「彼は…きっと、死ぬまで、いえ、死んでも夢を捨てない人だと思います、どこかで休んでしまうことがあっても、
きっと最後には夢に向かっている人…です。」

少し俯き加減に、恥ずかしそうにしながらツンは言った。まるで恋人への賛辞かのように。

(´・ω・`)



792 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/17(金) 17:10:20.14 ID:EjPrMsRs0
ξ゚听)ξ「…私が納得できない部分は他にもありますが…。」

/ ,' 3 「ん?」

ξ゚听)ξ「…どういう経緯で、ドクオくんがここに来る事になったのか…、詳しく教えていただけますか?」

/ ,' 3 「それは…、俺よりドクオくんに聞いたほうが良いだろう。
今日も来るように…言ってあるが、昨日の今日だ、来るかな…?」

(´・ω・`)「知るか、俺は今心が冷えてるんだ、話かけんな。あ、ツンちゃんなら話かk」

ξ゚听)ξ「来ます!彼ならきっと…、きっと来ます!来てくれないと…私も…謝らないと…」

/ ,' 3 「うむ。」

荒巻はやさしく微笑んだ。

(´・ω・`)



807 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/17(金) 17:26:44.79 ID:EjPrMsRs0
そのとき、教授室のドアをノックする音が聞こえた。

/ ,' 3 「ん?もしやドクオくんかな。入りたまえ」

ドアが開いて現れたのは、ドクオだった。

('A`)「おはようございます、今日は何をすればいいでしょうか」

ξ゚听)ξ「ド…ドクオ!」

/ ,' 3 「いや、よく来てくれた!昨日あんなことがあったから、ひょっとしたら来てくれないかと…」

('A`)「…え?あ…あぁ、いや、確かに俺も結構凹んでたんですけど、内藤さんが相談にのってくれて…」

/ ,' 3 「アイツめw」

ξ゚听)ξ「ドクオ、私あなたに言わなきゃいけないことが…」

(´・ω・`)「…外で頼めますかね?」

ξ///)ξ「あ…っ、そ、それも…そうね。ドクオ、行きましょう。」

('A`)「あ、ああ…」

ドクオはツンに腕を引っ張られながら外に出て行った



821 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/17(金) 17:51:16.09 ID:EjPrMsRs0
('A`;)「ツ…ツン?どこまで?」

ぐいぐいと腕を引っ張って歩き続けるツンにドクオはやっと声をかけた。
既に二人外に出ていたにも関わらず、ツンは歩くのをやめなかったのだ。

ξ゚听)ξ「…あっ、そ、そうね…、もう…良いわよね、ここで…」

('A`)「あ、あぁ」

ξ゚听)ξ「…」

俯いてツンは何も言えずにいた。
経緯については詳しく分かってはいなかったが、少なくともドクオはコネに頼った小狡い手段でここに来たのではないことが分かったからだ。
それを知らずに昨日自分が教授に言ったこと…、ドクオを直接的に責めてはいないものの、
責任を感じているドクオにどう謝ればいいのか分からなかった。

ξ;゚听)ξ「ぁ…、え…えっと…」



889 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/17(金) 21:01:38.33 ID:iKIPhBLg0
('A`)「ツ…ツン?」

ξ゚听)ξ「…ドクオくんは…」

('A`)「え…?」

ξ゚听)ξ「…ドクオくんは、ここに来るまで、何を…してたの?不登校になったっていうのは…聞いたんだけど」

('A`;)「あ…あぁ…」

言葉が詰まる。
自分の暮らしぶりはとても他人に言えるものではない、増してツンには・・・・。

('A`;)「お…俺は…、別に…」

どうしようもない、そう思ったとき、内藤の言葉がドクオの頭に浮かんだ。



892 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/17(金) 21:08:08.01 ID:iKIPhBLg0
( ^ω^)「何かを目標にすることが大事なんだお、何か前進することが大事なんだお、その過程がどれだけ無様でも、それは尊いものなんだお」
( ^ω^)「ぼくは君が引き篭もりから復帰したことを聞いたときも感心したお、腐らずに前進できるのは立派な強さだお。」


('A`)「…」

俺の生き様は無様だ、でもそれも俺の一部。
今の俺が引き篭もっているわけではない、たとえ引き篭もっていたことをカミングアウトして、
軽蔑されても…、それはそれで俺に責任がある。隠したままツンと向き合う方がつらい…。
ドクオはそう考え、なんとか言った。

('A`)「不登校になったと同時に…、ずっと引き篭もってた…。」

ξ゚听)ξ「…え?」

('A`)「一日中寝るか、パソコンしてるか…そんな生活を去年まで続けてた…」

ξ゚听)ξ「…」

('A`)「でも去年、夢を思い出したんだ…」

ξ゚听)ξ「!…それって…」



893: ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/17(金) 21:13:58.65 ID:iKIPhBLg0
('A`)「うん…、タイムマシンだ…」

ξ゚听)ξ「私に…話してくれた夢…」

('A`)「新聞配達とかも始めてたんだけど、そこの内藤さんが荒巻教授の友達だったんだ」

ξ゚听)ξ「…それで…」

('A`)「『夢を語るのに恥ずかしくない男』、俺にはなれなかった…」

ξ゚听)ξ「…いいのよ」

('A`)「え?」

ξ゚听)ξ「まだ終わりじゃないわ、誰かタイムマシンを作ったわけじゃないもの…。まだなれないと決まったわけじゃないじゃない。
ドクオくんはこれからまだチャンスがあるわ」

('A`*)「ツ…ツン…」

ξ゚听)ξ「ドクオくん…、引き篭もりになってたのは…、正直、少しガッカリしたの…」

('A`)「…」



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