('A`)ドクオが一歩踏み出したようです 第二部

670 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/20(月) 17:50:32.33 ID:QYc0ekgX0
ドクオがモニュに殴られた日、あれから2ヶ月が経った。

ドクオは相変わらず新聞配達と、研究室の生活を続けている。
モニュとの会話は必要最低限である。
あの後、自分がどうなったのか、モニュはどこに行ったのか、知りたい気持ちもあったが
会話するのを躊躇う気持ちの方が大きかったのだ。

ドクオは、2ヶ月前と殆ど変わること無い生活を送っていた。

しかし、ただ一つ違うこと、それは…。


ピンポーン

('A`)「はい」

呼び鈴に促されドアを開けるドクオ、そこにはツンが立っていた。

ξ///)ξ「カ…カレー…、作りすぎちゃったから、あげるわよ…、どうせロクなもの食べれてないんでしょ…」

('A`*)「あ、いつもありがとう、ツン」



671 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/20(月) 17:58:21.97 ID:QYc0ekgX0
ドクオは引っ越していた。

昔のように郊外ではなく、研究室にも新聞配達にも便利な町の中に。
すぐ近くには、ツンの住む高級マンションがあった。

ここに越してきたのはツンの提案だった。

ツンの提案は二ヶ月前、モニュに殴られたあの日の電話だった。

*------*-----------*--------*------*------*-------*-----*

ピピピピピピピピピピッ
朝だ。目覚まし時計のアラームが鳴る。

('A`)「んん…、朝か…。…って、いてて…。あーあ、アザになっちゃってら…。」

傷まみれのドクオが目覚めたのは朝7時だった。

('A`)「…とりあえず、朝飯食うか…。今日は新聞休みだし、ゆっくりしてから研究室行こう。」



688:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/20(月) 18:14:23.84 ID:QYc0ekgX0
トーストとコーヒーを平らげ、携帯を見るとツンからの着信があった。

('A`)「…あっ!やっべ、これ昨日の夜…」

慌ててツンの番号をコールしようとする・・・が、不思議なことに気付いた。
着信履歴が12件、それも全て呼び出し時間が100秒を超えている。

('A`)「ツ…ツン?」

何かあったのかと、ドクオは急いで発信ボタンを押す。

トゥルルル…トゥルルル…トゥル

ξ゚听)ξ「ドクオくん!?」

('A`)「あ!ツ、ツン、昨日は出れなくてごめん、どうかしたの!?」

ξ゚听)ξ「出れない・・・って、何やってたのよ!?なんであんなにコールしても出ないのよ…」



698:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/20(月) 18:21:48.98 ID:QYc0ekgX0
('A`)「昨日は…昨日はちょっと疲れちゃってさ…、マナーモードのまま寝ちゃって…」

ξ゚听)ξ「マ…マナーモード?もう…バカ…」

('A`*)「ツン…?…もしかして心配してくれたの・・・?」

ξ///)ξ「か…勘違いしないでよ!電話しても出なかったから…、
えと…わ、私のケータイがダメになっちゃったと勘違いしちゃった…だけなんだから!」

('A`)「そ…そうなのか…。で、ツン、用事っていうのは?」

ξ゚听)ξ「そっそうね、用事っていうのは…、ちょっと長くなるからどこかで会わない…?」

('A`)「え?でも、これから研究室で会うんじゃ…」

ξ゚听)ξ「まったくバカね!今日は日曜日で研究室も休みよ!」

('A`)「あ、そか…。」(そういや新聞休みだもんな…)



699:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/20(月) 18:29:45.63 ID:QYc0ekgX0
駅近くのスタバで二人は待ち合わせた。

(('A`))ソワソワ

('A`).o(なんか…、なんかコレってデートじゃね!!!11111???)

そんな浮ついたことをドクオが考えている時、ツンはやってきた。

ξ゚听)ξ「お待たせ」

('A`*).o(やっぱ白衣姿もいいけど、こういう私服も可愛いもんだなぁ…、
改めてこんな美人と俺みたいなのが一緒にいていいのかと思うよ…)

ξ゚听)ξ「? どうしたの?早く入りましょ。聞きたいこと、色々あるから…って、どうしたのよ、その怪我!」

('A`)「え?あ、いや、なんでも…」

モニュのことを言うべきか、いや、ツンは講師、モニュは院生。
ここでの告げ口はなんだか汚いやり方じゃないか。そもそも、ここで告げ口するようなことをすれば、
昨日の俺が必死に言ったことと矛盾する。

ξ゚听)ξ「…ホント、どうしたのよ…。かなり酷いわよ。ホラ、ここなんて内出血して腫れてるじゃない…」

('A`)「…アパートの階段から、滑っちゃって」

ξ゚听)ξ「はぁ!?なによそれ、だらっしないわねぇ〜。心配して損したわ、ホラ、早く中入って入って」



702:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/20(月) 18:37:28.76 ID:QYc0ekgX0
二人が奥の席に向かい合って腰掛け、注文をして一息つくとツンは早速切り出した。

ξ゚听)ξ「で、色々聞きたいことがあるのよ。」

('A`)「ん、ああ」

ξ゚听)ξ「率直に言うわ、まずは今まで引き篭もりをしていたっていうのは聞いたけど、その間のお金はどうやって工面してたの?
借金まみれじゃコレから何かと大変よ?」

('A`)「あぁ…、実は親父が亡くなって、その遺産と保険金なんだ…。親父には悪いことしたよ…」

ξ゚听)ξ「!! …おじさま、亡くなっていらしたの!?」

ツンは幼い頃、ドクオの家に遊びに来た事が何度もあった。
優しそうで、子煩悩で…、ツンも父親として羨んだことのある人物であった。

ξ゚听)ξ「…そう、残念だわ、もう一度お会いしておきたかったのだけど…」



704:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/20(月) 18:45:16.69 ID:QYc0ekgX0
ξ゚听)ξ「そしたら…おばさまも…?」

('A`)「いや、お袋は…」

ドクオは少し具合の悪そうな顔をして座りなおした。
少し何かを考えていた様子だが、溜息をつきながらこう言った。

('A`)「多分…、多分だけど、生きてる」

ξ゚听)ξ「…は?多分って…どういうことよ…」

('A`)「会ってないんだ、ずっと。俺が引き篭もってから…もう年なのに置いてきぼりにしちゃったんだ…」

ξ゚听)ξ「…何考えてるのよ!早く迎えに…」

遮るようにドクオが言う。

('A`)「行ったよ!迎えに…、でも、もう家、無くなってた…。俺の育った家、俺のせいで…」

ξ゚听)ξ「…跡形も?もう何もなくなってたの?」



708:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/20(月) 18:53:34.25 ID:QYc0ekgX0
('A`)「いや…、燃えてた…」

ξ゚听)ξ「え?」

('A`)「不審火で…、何年かまえ火事にあって、でももうすっかり寂れたところだから、買い手もなくてそのまま野ざらしになってた…。」

ξ゚听)ξ「そんな…おば様、本当に無事なの?」

('A`)「お袋は無事だったらしい…。近くの交番のおまわりさんに聞いたら、確かに軽い火傷で済んだって。
でも…、ここじゃなくてどこかに違う場所に移り住んだらしい。」

ξ゚听)ξ「そ…そう、不幸中の幸いね、とりあえず生きていてくれたんだもの。」

('A`)「あぁ…」

ξ゚听)ξ「うん、ご両親のことは分かったわ。あまり良い状況じゃないらしいけど…。心配だったから聞けて良かった。
…それと、今どこに住んでるの?」

('A`)「あぁ、真駒内よりちょっと向こうの郊外だよ…」

真駒内とは、市内を走る地下鉄の最南端である

ξ゚听)ξ「そんな遠くに住んでるの?不便でしょうに…」



710:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/20(月) 18:58:21.28 ID:QYc0ekgX0
('A`)「まぁ確かに不便だけど、引越しも面倒だし」

ξ゚听)ξ「バイト生活じゃあまり収入もないんでしょ?移動費だけでもかさむじゃない、私の家の近くに越せば?」

('A`)「え?」

ξ゚听)ξ「ちょっと古いけど、研究室の近くにアパートあるから、どうかしら?」

('A`)「そ…それなら、ツンの部屋に」

そう言おうとするやいなや、ドクオはツンのコーヒーを顔面に浴びていた。

('A`;)「…は、はい…。引っ越させていただきます」

ξ///)ξ「…たまには遊びに来てもいいから、今は我慢して…ね?」



715:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/20(月) 19:05:45.01 ID:QYc0ekgX0
その数日のうちにドクオはツンの近くのアパートに引っ越したのだ。
荷物の整理に追われている最中、せっかくだしとパソコンを一度フォーマットし、
遊び道具ではなく仕事のための道具とした。

('A`)「これで、100%今までの俺とはサヨナラだな。引き篭もりの…苦い思い出の詰まったこの家も…」

('A`)「荷物少なくて楽だな。」

ボロいテレビ、冷蔵庫、パソコン、数冊の書物。
そして、何よりも忘れてはいけないものがあった。

焼け焦げた木片。あの日の思い出が詰まった大黒柱、半分ほど炭になってはいたが、
ドクオは丁寧に風呂敷に包んでダンボールにしまった。

('A`)「父ちゃん、母ちゃん、見ててくれ…、俺は…今度こそは、最後まで走りぬくよ…」



815:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/21(火) 01:25:36.32 ID:tzC2fl6v0
*--------------*-------------*-----------*--------------*
こうして、ドクオはここに越してきた。
最初は家賃も大して変わらないし、研究室も近く、悪くない。
せっかくだしバイトを増やして金銭的な余裕を持とうかとも思ったが、それはツンに静止された。

ツン曰く、「そんなことは心配しなくてもいいから勉強しなさい」だそうだ。
心配しなくても、と言われても生きていく以上心配しなくてはならないのだが、
実際ツンが何かと世話を焼いてくれるので、現実問題でいえばあまり心配していない。




('A`)「ツン、いつもありがとな、ツンのカレーおいしいから好きなんだよね」

ξ///)ξ「! そ…そんなこと言ったって、余りものは余ったときにしか出ないんだからねっ!
カレーなんか食べてないで、早く教授に認められなさいよ!」


|ω・`)



831:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/21(火) 01:34:45.37 ID:tzC2fl6v0
秋が近づいていた。
日に日に風の冷たさが増す中で、ショボーン助教授はマンションを出てコンビニに向かっていた。

(´・ω・`)「あーぁ…、まさか俺と同じアパートにドクオくんが来るとはねぇ…」

ショボーンは貧乏だった。
給料は悪くなかったが、パチンコが大好きで給料の大半をつぎ込んでいたため、経済的にはいつも切迫していたのだ。

(´・ω・`)「…ったくよー、ドクオくんは嫌いじゃねーけど、ああ見せつけられるとなぁ。ドクオくんは俺にひどいことしたよね」

お茶、そしてカレーパンとサトウの御飯を籠に入れてショボーンはレジに向かった。

(´・ω・`)「これください」

(=゚ω゚)ノ 「ローソンパスはお持ちでs…助教授じゃないすか」

(´・ω・`)「ん?」



839:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/21(火) 01:41:07.42 ID:tzC2fl6v0
(´・ω・`)「なんだ、君はモニュくんじゃないか。ここでバイトしていたのかね。」

(=゚ω゚)ノ 「助教授こそ、ここに買い物来るんですね。」

(´・ω・`)「まぁ研究室に近いからね、バイトはいつまでだい?」

(=゚ω゚)ノ 「あ、もうそろそろですけど…」

(´・ω・`)「それじゃあ待つことにしよう、一緒に飲みにでも行かないか?」

(=゚ω゚)ノ 「あ、良いッスね。行きましょう行きましょう」

(´・ω・`)「じゃあ、このサトウの御飯はチンしてくれ」

(;゚ω゚)ノ 「…え?今、メシ食うんすか?」

(´・ω・`)「あぁ、このカレーパンの中身と一緒にね」

(;゚ω゚)ノ



853:ドS ◆DOS.18R.Tg : 2006/03/21(火) 01:51:59.47 ID:tzC2fl6v0
(´・ω・`)「むぐむぐ、まずい。メシにかけて食うような味付けじゃねーなコレ。ヤマザキパンは俺にひどいことしたよね。」

(=゚ω゚)ノ 「うわぁ、マジで食ってるんスか。終わりましたよ」

(´・ω・`)「よし、じゃあつぼ八でも行くか」

近くのつぼ八に乗り込むと、二人は座敷に座る。

(´・ω・`)「乾杯」
(=゚ω゚)ノ 「何がめでたいのか分かりませんがw乾杯」

ぐびぐびとビールを飲みつまみを食べながら世間話をしていた二人だが、酔いが回るとやはり愚痴が多くなる。

(*´・ω・`*)「もうさー、ツンちゃんにくびったけなの!」

(*゚ω゚)ノ 「美人スよねー、ツンさん!俺も結構好きですね!」

(*´・ω・`*)「…お前もツン狙いか?ぶち殺すぞ」



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