('A`)ドクオが一歩踏み出したようです 第二部

739 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 17:00:43.32 ID:3gE6U5nt0
/ ,' 3 「…ドクオくん、すまないg」

荒巻が何か言いかけたとき、ツンがハッと何かに気付いた。

ξ゚听)ξ「…ドクオくん、ドクオくんが分からないって言ってる部分…、これって科学は関係ないわ」

(´・ω・`)「…ん?…あ、本当だな…こりゃ数学だ。」

/ ,' 3 「!! な…なんだと!!?」

ガタガタン!
一旦は席を離れた荒巻が慌てて机に戻り、嘗め回すように書類を見ている。

('A`;)「あ…荒巻教授…?」

あまりの勢いに3人は少し驚いている。
しかも荒巻は少しずつだが肩を揺らして笑い出したのだ。

気でも違ってしまったかのような様子に、もう3人は完璧に引いている。



746 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 17:12:37.78 ID:3gE6U5nt0
/ ,' 3 「あはははは!すまん!忘れていたよ、ドクオくん!きみは数学できないんだった!はははは!」

何かバカにされたような態度に、ドクオは少しムッとしたが、いつもとあまりに異なる荒巻の姿に驚き、怒る気も失せた。

ξ゚听)ξ「…教授、これはドクオくんに分からないと知っててやったんですか?」

ツンも少し機嫌が悪そうだ。自分の愛する人間が試されたように感じるのは、やはり気分を害すものだ。

/ ,' 3 「ふふふ…、すまない、すまない。そんなつもりは無かったんだよ、ドクオくんが来てもう2ヶ月だろう?
すっかり忘れてしまっていてね…、くく…そうかそうか、それは数学だものなぁ。」

ξ゚听)ξ「…いえ、でも分からないところが数学だからとは言っただけで、他が理解できているとは言ってませんが…」

/ ,' 3 「…むぅ、それもそうだな…」

笑いころげていた荒巻が身体を起こす。やっといつもの教授に戻ったようだ。
ショボーンが書類を眺めているドクオの横に行き、問う。

(´・ω・`)「で、ドクオよ、他のところはどうなんだ?……って、こりゃ無理だ。荒巻。」

/ ,' 3 「…え?」



758 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 17:29:55.25 ID:3gE6U5nt0
(´・ω・`)「この論文は数学的知識を前提条件としたやつだろが、数学が出来ない限りこの論文を理解するのは無理ってやつだ」

/ ,' 3 「むぅ、そういえば…そうだな…」

('A`)「…」

ドクオは少し申し訳なさそうに俯いているが、ここで気落ちしてはダメだと一念発起して言った。

('A`)「俺やりますよ!今からでも数学を!」

/ ,' 3 「し…しかしドクオくん、君には…」

誰の目から見ても明らかである。そんなすぐには無理だ。口で言うほど簡単ではない。
受験勉強をしていたころ、ドクオは約半年間みっちり数学をやっていたが、中学生レベルもままならないまま。
自分の熱意に反し、ドクオは数学は決定的に苦手だというのをここにいる人間は知っていた。



760 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 17:32:58.26 ID:3gE6U5nt0
ξ゚听)ξ「…無理よ」

ぽつりと、ツンが漏らした。

('A`)「…え?」

ξ゚听)ξ「…数学、苦手なの知ってるもの。そんな事したって多分時間の浪費になるだけ…」

ツンの口から出た思いのほか厳しい意見に、ドクオの顔は曇る。

ξ゚听)ξ「だから…」

/ ,' 3 「…? だから?」

ξ゚听)ξ「私がドクオくんの、数学の穴を埋めさせてもらいます。」



770 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 17:39:52.89 ID:3gE6U5nt0
/ ,' 3 「君が…?」

ξ゚听)ξ「私が…普通に研究を続けるよりそうした方が全体の為になるかもしれないし…、
それ以前にドクオくんの純粋な力を測る上で余計な障害を除くのは有益だわ。やらせてください。」

(;;´・ω・`)「だ…!ダメだよおおお!!そんなのズルイズルイいいいい!!」

ξ;゚听)ξ「!?」

(´;ω;`)「ドクオばっかりいいい!ドクオばっかりいいい!!!!」

('A`;)「は…はぁ!?俺が何を・・・」

/ ,' 3 「あぁ、すまんすまん、病気なんだ、病気。」

そう言いながら荒巻はショボーンの口をガムテープでふさぎ、椅子に縛り付けた。
何故か手馴れた様子だ。

(´;ω;`)「んぅうううぁぁぁ゛!!」



788 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 17:53:17.02 ID:3gE6U5nt0
(´;ω;`)


叫びは収まったが、ショボーンは未だ泣きじゃくり鬼気迫る目線をドクオに送っている。
ドクオはショボーンから直接見えない本棚の影にまわり、話を続けた。

('A`)「で…でも、ツン、自分の仕事あるんじゃ…」

ξ///)ξ「だ…だから言ってるでしょ!そうした方が…全体の為になるかもしれないじゃないかって…
それに…数学の問題を一問二問解いて説明するくらい…、帰ってからも出来るじゃないの…」

('A`*)「ツンが教えに部屋まで来てくれるの?」

ξ///)ξ「な!何勘違いしてるのよ!…アンタに会いに行くんじゃなくて、研究の為なんだからね!」

/ ,' 3 「ふふ…、いいねぇ、若いのはww」

荒巻はそんな様子をニヤニヤしながら眺めている。
その横でショボーンは嗚咽しながら泣きじゃくっていた

(´;ω;`)。o(ちくしょう、ちくしょう…、こんなことならモニュの話に乗ればよかった…。いいなぁ、いいなぁ…、ツンちゃんの家庭教師…)



799 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/24(金) 18:11:14.27 ID:3gE6U5nt0
/ ,' 3 「じゃあとりあえず、早速だが論文を一部渡しておこう。ゆっくり考えてきてくれ。二人でねww」

('A`*)「は、はい!」
ξ///)ξ「わ、分かりました。仕方ないわ、仕方ないから、夕方に、アンタの部屋行くからね…」

(#´;ω;`)「んーーっ!んーーーっ!」(荒巻てめぇえええええ!!!!!)

/ ,' 3 「それじゃあ今日はお開きだ、明日はモニュくんとじっくり話すとしよう。」



***********

日が落ち、誰もいなくなったはずの教授室。
そのドアが開き、人影が入ってきた。

ゴソゴソと蠢くその影が、部屋の端から何かを拾い上げ、そのスイッチを入れた。

『ザー…ザッザザ…  モニュ・・を…つい放…すんのか…?
…・・・うそ…信じら…れない…あのモニュくんがそこまで…るなんて…ザー…』

(=゚ω゚)ノ 「助教授…俺を売ったか…。明日何を言って来るか見ものだな。」

盗聴器を手にしたモニュは、ドアを閉め暗い廊下を歩いていった。



107:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/28(火) 01:00:09.17 ID:jFCh8rZ90
その夜…

('A`)「ツン、これはどういうこと?」
ξ゚听)ξ「なによ、こんなのただの微分じゃないの、こうやって…」

ツンが持つシャープペンが紙の上を走ると数式の意味が見えてくる。
すらすらとグラフを描き、上手に説明するツンにドクオはただただ関心するばかりだった。

ξ゚听)ξ「…で、こういう風に変化するっていうことよ」
('A`)「…すっごいな、ツンは…。分かりやすいよ、こんな俺でも理解できるんだもん」

ξ゚听)ξ「大したことはないわ、解き方を教える必要はないものね、式の意味を教えれば良いだけだもの。
…なんだかお腹すいたと思ったら、もう7時半かぁ…。そろそろご飯でも食べない?」

('A`)「お、いいね。どうしよっか?ツン作ってくれたりするの?」

ドクオの目が輝く。わざとらしい催促だが、そう良い顔をされるとツンだって一人の女性として悪い気はしない。
実際ツン自身、こっそり玄関の影に買ってきたネギやら肉やらを隠している手前待ってましたと言わんばかりだ。

ξ゚听)ξ「…仕方ないわねぇ、作ってあげるわよ」

口ではそう言いながらも内心はウキウキしつつ、玄関に向かう。

('A`)。o(? なんで玄関行くの?)



113:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/28(火) 01:09:52.64 ID:jFCh8rZ90
('A`)「え!?ツン材料まで買ってきてくれてるなんて、素敵すぎるwwwww」

ξ///)ξ「ち!…違うわよっ!これは自分で食べるために買ってきて、ドクオくんはついでなんだからっ!勘違いしないでよっ!」

('A`)「あはは、分かったよ。それでツンは何を作ってくれるの?」

ξ゚听)ξ「…いつもはカレーばっかりだし、だから今日は私の得意料理作ってあげる」

('A`)「得意料理?なにかなぁ?」

ξ゚听)ξ「ふふっ、出来てからのお楽しみ〜vV」

上機嫌で持ってきたエプロンをつけると、ツンは台所へ向かう。
傍目から見ればまるで新婚夫婦のような光景だ。そんな幸せなムードにドクオはすっかり惚けている。

('A`*)。o(こりゃたまらんわいwwwwww)



ξ゚听)ξ「はい、肉じゃがお待たせv」

('A`*)。o(こやつ!出来る!!wwwwww)



118:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/28(火) 01:25:31.02 ID:jFCh8rZ90
二人で肉じゃがを美味しく戴き、食後のお茶を飲んでいたとき、ツンが切り出した。

ξ゚听)ξ「モニュくん、どう出るかしらね…」

('A`)「ん…」

ほかの話題なら遮ってでも甘い空気を堪能し続けたいドクオであったが、その話題ともなるとそうもいかない。
ドクオはドクオなりに少し考えてもいたが、なかなかそう簡単にはいかないだろうな。と考えていた。
何しろ殴るときの剣幕である。あの勢いというか、なんとも言葉にしがたい様子を思うと当然だ。

('A`)「話し合い…で済めばかなり儲けじゃないのかな。そうそううまくいくとも…」

ξ゚听)ξ「…そう」

殴られた。
その事実を聞いている以上、その理由を深くは知る由もないがドクオの下した結論にツンは頷いた。
今まで楽しく一緒に研究してきた仲間、そして自分の愛する人の喧嘩。

ξ゚听)ξ「なんだか…ちょっぴり悲しいな…」

ツンはぽつりとこぼした。



125:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/28(火) 01:38:35.22 ID:jFCh8rZ90

…場を静寂が支配する

ドクオにしてみたらモニュなどという人物は、過去の自分を投影しつつもどうでもいい人物といえばそれまでで、
いなくなるならいなくなれ。という気持ちが少しあった。
モニュのおかげで「俺は教授に認められるほどの才覚がある」という驕りを捨てることが出来たのも否めないのではあるのだが。

しかし、ツンにしてみたら違うのだ。彼は共に協力してがんばってきた仲間だった。

('A`)「俺が…モニュさんにも認められれば話は早いかもね」

ξ゚听)ξ「!…そうよ、そうよね!ドクオくんがモニュくんに認めさせるくらいの力を発揮すれば、きっとモニュくんだって…!」

簡単に言うが、逆効果になることも考えられる。その力をモニュが恨むことも考えられる。
そのわずかな狂いを調整できるのは、やはり明日の話し合い次第か。

ξ゚听)ξ「そうと決まれば、明日までにこの論文なんとかしちゃいましょ!
ほらほらドクオくん、続きやろっ!」

('A`;)「え、しょ…食休みは…?」

ξ゚听)ξ「なーに甘ったれたこと言ってるのよっ、もう今日は最後まで読みきらないと寝かせないんだから!」

('A`;)「ヒ…ヒェー…」

深夜になっても、二人の論文考察作業は終わらなかった。



243:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/29(水) 00:01:55.00 ID:ja2Cvfus0
翌日、ドクオ達はモニュの説得に備え、早めに集まった。

('A`)「…」
ξ゚听)ξ「…」
/ ,' 3 「…ん?どうしたね二人とも。なんだか疲れ気味のようだが…」

そう言いかけると、荒巻はクイクイっと腰を動かし、にやにやしながら言った。

/ ,' 3 「ふふふ、若いもんはいいねぇ〜」

('A`*)ξ///)ξ「!!!」
ξ#゚听)ξ「教授…、なんでしたら今すぐモニュくんも研究も気にならないようにして差し上げましょうか?」
('A`#)「教授…、論文ですよ、遅くまで論文の考察をしてたんですよっ!」
(´・ω・`)「荒巻ぶち殺すぞ」

/ ,' 3 「…ごほん…」

申し訳なさそうに荒巻が咳払いをした。



247:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/29(水) 00:12:13.00 ID:ja2Cvfus0
/ ,' 3 「さ…さて、モニュくんのことだが…」

一刻も早くこの空気を変えたいと言わんばかりに荒巻が話を始める。

/ ,' 3 「まず、俺とショボーンで話をしてみよう。流れにもよるが、そこでドクオくんと話してみて欲しいという旨を伝える。」

('A`)「段取りはそれで構わないと思いますが、教授はなんて話すつもりなんですか?」

それは最も気がかりな部分である。
ショボーンはモニュの秘める「ヤバさ」を知っている、ドクオも自分の経験からしてモニュが生半可な理由で引き下がるとは思えない。
自分の夢を遮る邪魔者を排除しない限り、モニュは止まらないという考えが自然ではないか、そうとすら思える。

/ ,' 3 「…取引とでも言えばいいかな。ま、見ててくれ。」

そういうと荒巻は得意げにデスクに座った。

院生達が集まってくる時間まで、もう残り数十分である。
あと数時間後に、自分には納得できる結末が待っているのだろうか。ドクオは落ち着かなかった。



249:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/29(水) 00:17:56.28 ID:ja2Cvfus0
(=゚ω゚)ノ 「おはようございます。」

研究室の扉を開けてモニュが入ってきた。

/ ,' 3 「モニュくん、ちょっと教授室までいいかね」

すかさず荒巻が声をかける。

(´・ω・`)。o(…きっと、この一言で察するんだろうな。俺がモニュのことを話したってことを。)
ショボーン助教授は、背徳感のようなモヤモヤしたものが心にかかり、いやな気分だった。
モニュは俺をどんな目で見るのだろうか。

(=゚ω゚)ノ 「良いですよ、今からですよね」

モニュはいつもと変わらない様子で荒巻の後ろについて教授室に向かう。
その後ろからショボーンがついていくが、ショボーンは俯いたままだった。



258:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/29(水) 00:25:21.95 ID:ja2Cvfus0
/ ,' 3 「…さて単刀直入に言おう。モニュくん、暴力はいかん」

(=゚ω゚)ノ 。o(あのクズ、チクるとはな、プライドの欠片も無しってか…)

/ ,' 3 「…ドクオくんを殴ったという話を聞いたよ、いや、ドクオくんを責めてはいかん。告げ口というより、俺達が聞き出したんだからな。」

(=゚ω゚)ノ 「…その件については、僕が子供でした。一時の感情に任せ暴力に訴えるなどあってはならないこと。…反省しています。」

その喋り口はどうにも心がこもっておらず、口先だけという感じがする。
言ってることが正しい以上、自分の非は理解しているようだが、「だから何だよ」という開き直りの感情が読み取れるのだ。

/ ,' 3 「…確かに、君はいけないことをした。だが小学生じゃないんだ。そんなことをギャアギャアとまくし立てるつもりもない。
それより聞きたいのは君の気持ちだ。
ショボーンから聞いたが、君はこの世界で偉くなりたい。しかしその為にドクオが邪魔だというのだろう?」

(´・ω・`)「…すまんな、俺はなんだかんだで荒巻の恩を捨てれないんだ」



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