('A`)ドクオが一歩踏み出したようです 第二部

265:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/29(水) 00:33:46.51 ID:ja2Cvfus0
(=゚ω゚)ノ 「ええ、邪魔ですね。それから修正させていただきますと、僕はこの世界で"偉くなりたい"わけじゃないんですよ
アインシュタインやニュートンのように”名前を残す”人物になりたいのです。
その為には自らが主導で研究を行う立場に早くなりたいんですよ。”偉くなる”のはその手段に過ぎません」

/ ,' 3 「…教授になることだけが"偉くなること"ではないのだよ、モニュくん。
青色発光ダイオードを開発した中村氏、彼は決して偉いから開発ができたわけではない。
だが、君の目標に近しい実績を収めている。
…そういうのも一括して"偉くなる"という言葉を使ったんだよ。」

(=゚ω゚)ノ 「はぁ、そうですか。まぁそんなことはどうでもいいですね。話が脱線しつつあります。」

相変わらず自身満々という態度でモニュは言ったが、荒巻の目つきは変わらない。

/ ,' 3 「脱線などしていない。君は院生という立場に甘えて、自分の夢を実現しようとしていないだけだ。
院生でも自分に出来ることをしてみてはどうかね?中村氏は教授じゃないからといって、開発をやらなかったわけじゃなかろう。」

(=゚ω゚)ノ 「…理屈こねるの、お好きなんですね」



269:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/29(水) 00:43:37.97 ID:ja2Cvfus0
/ ,' 3 「あぁ、理系の学者だからな。理屈は大好きだ。それに正しい理屈は、いつも人を服従させてきたぞ。」

(=゚ω゚)ノ 「院生の立場に甘えて…ですか、それは甘んじて認めましょう。
確かに僕はまだ動く時期ではないと簡単に決め付けて日々の研究しかしていませんでしたね。」

/ ,' 3 「そうだな、研究の合間に自分がやりたい開発の正確なプランでも立て、それに向かって集中的に知識を蓄えるという事を怠っていた。
それは理想的な研究者志望の院生の姿だったのだが。」

しつこくその話題を続け、自らの非をぐちぐちと並べる荒巻にモニュはイライラを募らせた。
あまり普段感情を表に出さないタイプだが、今目の前にいるモニュは明らかに敵意をむき出しにして荒巻に臨んでいる。

(=゚ω゚)ノ 「…認めるって言いましたよね、もうこの話題を続ける意味はないでしょう。」

/ ,' 3 「…そうかな。君が甘えてる間にどん底から這い上がってきた人物がいるんだが」

(=゚ω゚)ノ 「…ドクオですか。あんなニートあがりと一緒にされるなんて、僕の評価もその程度だったんですね。悲しいですよ。」

/ ,' 3 「一緒?ある意味そうかもしれんな。ドクオくんがニートで怠けてた間、君は頑張って受験・院試をパスしてきた。
そして君が院で怠けだしたころ、ドクオくんは這い上がってきたのだから。」

(=゚ω゚)ノ 「…僕の努力量と、彼の努力量が同等だとでも?」



274:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/29(水) 00:55:45.83 ID:ja2Cvfus0
/ ,' 3 「君のように裕福な家庭で何一つ不自由なく育ってきた坊ちゃんが勉強を頑張ってきたのと、
数年間続けたニートから必死に一日一日を生き抜きながら研究者を目指す努力。大して差があるとは思えんがな。」

(=゚ω゚)ノ 「…そんな御託並べなくて良いんですよ、何が言いたいか早く言ってもらえませんかね。」

/ ,' 3 「…君は甘いんだよ、認識から何から全てが。
まぁ、金持ちの子にありそうな考え方だ。努力すれば必ず報われると思うな。そんなのは一握りだ。」

(=゚ω゚)ノ 「ぐだぐだぐだぐだ…ッざけんじゃねぇ!!…何が言いたいのか早く言えっつってんだろ!」

モニュがついに椅子を蹴飛ばして荒巻に詰め寄る。
ショボーンが慌てて後ろから抑えるが、モニュの鼻息は荒いままだ。

(=゚ω゚)ノ 「俺はなぁ!ずっとずっと努力してきたんだ!中学入試から、ずっとずっと遊びもせずに必死に勉強してきたんだよ!
そんな俺の努力が報われないだと!?そんなの認めれられるか!」

/ ,' 3 「…発言に誤りがあった。モニュ君、君は認識が甘いんじゃない。認識を誤っている。
勉強を努力だと思っているうちは、研究者としては三流だ。
…言おうと思った条件を提示する気も失せる。
聞く気があるなら言うが、そのすぐ暴力に訴える小学生のような態度を改善しないなら、今すぐ出て行きなさい。」



476:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/30(木) 10:25:08.10 ID:zhRGChYs0
(=゚ω゚)ノ 「…っ!なんですか、条件って、何に対しての、どういう条件なんですか。」

/ ,' 3 「…君は俺がドクオくんを連れて来た事で、俺を素人と天才の区別もつかん凡夫と思っているようだが、
いくら俺でも多少の才能じゃここまで連れてくるようなことまではせん。
…そもそもね、俺は実力主義なんだよ。
条件というのは、君が有能だということを示せばいいんだよ。ドクオくんよりね。」

(=゚ω゚)ノ 「…?」

/ ,' 3 「だが、同じ一つのことに対してというのも釈然とせん、得手不得手というものがあるからな。
それぞれの夢で勝負すればいい。君とドクオくんが互いに競い合って伸びてくれれば折れとしても理想だ。」

(=゚ω゚)ノ 「…つまり、俺に歴史に名が残るくらいの発明をしろと?そして、ドクオはタイムマシンを・・・」

/ ,' 3 「…不満かね?」



493:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/30(木) 11:13:17.76 ID:zhRGChYs0
/ ,' 3 「…正直な話、俺は今すぐ君とドクオくんが仲直りなんてしなくていいと思うんだ。
仲直りなんてものは外からの強制力でするもんじゃあないしな。
だが、研究室内で暴力沙汰なんかがあると迷惑なんだ。だから当面は二人で競うと言う形で、場を収めてくれんかな。
条件と言った以上、モニュくんには少し自分の研究に時間を避けるようにしてやろう。どの道もう半年で君は博士号だがな。
もちろん、ドクオくんは何か形として力を示すまでは下働きのままだ。」

(=゚ω゚)ノ 「…いいですよ、別に。俺がドクオなんかに負けるわけねぇし…。
だけど良いんですか、そんな何年がかりになるかも分からないような話。」

/ ,' 3 「言ったろう?俺は別に今すぐ完全に仲直りしろとは言ってない。競い合うなかで仲直りできれば一番いいしな。
最終的にお前らの仲違いがなくなれば良いんだ。ま、とりあえずは表面上だけでもドクオくんと普通に接してくれたまえ。」

(=゚ω゚)ノ「…まぁ、少しいい環境を戴けるようですし、その条件で甘受いたします。
ただ、僕が最も気に食わないのは正規ではないルートでドクオがここに来て、
しかも事の次第によっては自分の研究が出来るという優遇っぷりなんですよ。その点、教授の考えをお聞かせくださいますか?」

話は殆ど全て聞いていたモニュだったが、わざとらしくそう聞いた。



500:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/30(木) 11:23:14.00 ID:zhRGChYs0
/ ,' 3 「…君もきっと今に分かる、彼の持つ才能がね。」

(=゚ω゚)ノ 「…答えになってませんね、はっきりと具体化されてもいないものを挙げられても困りますよ。」

/ ,' 3 「確かに答えになってないかもしれんな。だからこそ、最初はわざと『お手伝い』という立場にしたのだが。
彼自身がどの程度の力を見せるか、周りに納得させてから彼を正式にスタッフに加えるつもりだった。」

(=゚ω゚)ノ 「…才能があるからって、それで周りが納得するとでも?そりゃ穏やかなモナーやしぃさんは納得するかもしれませんけどね。
間違いなくそれを煙たがる人間が現れると、そういう考えはなかったんですか?」

/ ,' 3 「…そりゃああったさ。」

荒巻は少し溜息をしながら手元のカップに手を伸ばした。

/ ,' 3 「ず〜っと昔の研究室を羨ましく思ったよ、特に学歴なんて無くても、力があれば誰でも研究に加わってた時代だったらしいからなぁ」

(=゚ω゚)ノ 「…は?そんなこと今関係ないじゃないですか…」



505:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/03/30(木) 11:37:43.08 ID:zhRGChYs0
/ ,' 3 「俺は、人間ってのは圧倒的な力を示されたら認めざるを得なくなるもんだと思っている。
最近はやれ中高一貫だ、やれ旧帝だと色々うるさいが、本当の才能なんてのはそんなことじゃないだろう。
全く教育を受けていないが故に、現象に対して敏感に反応し、
学問で凝り固まった頭では考えられない奇想天外な発想で成功した学者もいるんだぞ。」

(´・ω・`)。o(またファラデーか…)

(=゚ω゚)ノ 「…だから、今は、ドクオが結果を出すまでは黙ってみてろと?」

/ ,' 3 「うむ、まぁそういうことだ。どの道ドクオくんがずっと結果を出せなければ、彼はお手伝いのまま、君はちょっと良い環境をもらえる。
何か問題があるかね?むしろ得ばかりだと思うが。」

(=゚ω゚)ノ 「…それも…そうですね。いいでしょう、それで結構です。」

/ ,' 3 「…唯一つ、君に約束してもらわねばならんことがある。」

(=゚ω゚)ノ 「?」

モニュはすっかり話は終わったものと思っていたので、少しキョトンとした表情を見せた。

/ ,' 3 「二度と無駄な暴力をふるうな、君も科学者志望ならとことん頭で勝負するんだ。力づくで何か物を得ても益はないぞ。」

(=゚ω゚)ノ 「…分かりましたよ。」

少しうざったそうにモニュは返事をした。



76:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/04(火) 13:31:09.64 ID:mA9VFCoM0
モニュはため息をつきながら研究室を出た。
あんなやつが研究室にいるという現実は確かに煙たいが、自分にとってはそう損はない条件。そう、今のところは…。
しかしもしドクオが才能とやらを発揮し始めたら。
確かに巨大な才能を目の前にしたとき、俺は何も出来なくなるかもしれない、そしてそれを俺は我慢できないだろう。
何かそれを回避するためにするべきなのだろうが、さまざまな方面からどうやって考えても終着駅は同じだった。

(=゚ω゚)ノ「とりあえずは…、今出来ることをやるしかない…か」

廊下を歩くモニュの背中に誰かが声をかけた。あの情けない声はショボーンだろう。

(´・ω・`)「モニュ、今日帰る前にもう一度教授室に来てくれ。ドクオが直接話し合いの場を持ちたいそうだから」

(=゚ω゚)ノ「…かまいませんよ」

(´・ω・`)「…酒の席の言葉とはいえ…お前の話したことを口外してすまなかったな…」

あの話は、たしかに本音ではあるが探りといえばそれまでであったし、ショボーンが荒巻にリークするのは読めたことだった。

(=゚ω゚)ノ「…別に」

そういい残してモニュは研究室に戻っていった。



78:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/04(火) 13:48:45.40 ID:mA9VFCoM0
(*゚ー゚)「あ!モニュくんじゃん、おっはよー!」
(´∀`)「おはよーございます」
(゚Д゚)「おはようだゴルァ」

(=゚ω゚)ノ「おはようございます…」

何も知らず、いつものテンションの明るい3人組を見ると、モニュはなんだか気が抜けてしまった。
自分こそが正義と思って余裕綽々で臨んだはずだったが、やはりどこか緊張していたようだ。

ξ゚听)ξ「おはよう」
('A`)「おはようございます」
/ ,' 3 「おはよう」
(´・ω・`)「おはよう」

続々とみんなが集まり、いつもの朝が始まった。



86:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/04(火) 14:08:33.74 ID:mA9VFCoM0
/ ,' 3 「さて、じゃあ今日も引き続き論文の検討をしようか」

ξ゚听)ξ「あ、それでしたらいくつか氷解した疑問点があるので説明しますね。ドクオ君」

(=゚ω゚)ノ 。o(!? ドクオだと!?)

ツンが目配せするとドクオとツンは二人で説明を始めた。
どの点も数人がかりで頭を悩ませていた部分であるにも関わらず、みるみると疑問が解けていく。

(´∀`)「す…すっげぇ…」
(*゚ー゚)「あんなに考えこんでたのが嘘みたいに分かったわ!」
(゚Д゚)「こんな簡単なことだったのになんでこの間は分からなかったんだゴルァ」

(´・ω・`)「ふーん、どうやらちょっと俺たちは頭が固かったようだな」

/ ,' 3 ニヤニヤ

ショボーンの一言は別に荒巻のためとか、モニュへの煽りといった意味はなく、ただただ自然に出た言葉だった。

(=゚ω゚)ノ 「…」



90:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/04(火) 14:22:50.48 ID:mA9VFCoM0
(´∀`)「これ、ツンさんが考えてきたんですか?」

それこそが、一番モニュが知りたいこと。
これをもしツンが考えてきたと言うならば、別段問題はない…が、もしドクオなら…

ξ゚听)ξ「ドクオくんが考えてきたのよ、まぁ私も手伝ったけどね。」

(*゚ー゚)「え〜!すっごいじゃない!さっすが勉強熱心なドクオさんだねっ!」

('A`*)「エヘヘ…」

ドクオはなんともいえない嬉しそうな表情をしている。
横で朗らかに微笑んでいるツンを初め、みんながとても嬉しそうにしている。
モナーなどはドクオに軽いプロレス技のようなものをかけてからかっていたりする。すっかり場の空気は盛り上がっていた。

…ただ一人を除いて。



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