('A`)ドクオが一歩踏み出したようです 第二部

106:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/04(火) 15:07:09.35 ID:mA9VFCoM0
昼休み…

一人パンをむさぼっていたモニュは焦っていた。
ドクオの早すぎる台頭、偶然かもしれないがアレが続くようなことがあればと考えると背中に冷たいものが走る。

(=゚ω゚)ノ 「…そもそも、なぜドクオにはツンさんがついてるんだ?」

先ほどの感じからすると、どうにもツンがドクオの協力者のように思えてならない。
もしそうなら、これは間違いなく不公平だ。これは見逃せない。

後で話すときにドクオを攻める糸口になるかもしれない。

精神的に追い詰めれば、ひょっとしたら自分から来なくなるかも知れない。そう、不登校児のように。
ヤツは所詮は引き篭もり、根っこは臆病で愚鈍なはず。まだ俺に勝機がある━━━━。



115:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/04(火) 15:22:08.69 ID:mA9VFCoM0
(=゚ω゚)ノ 「…相手を論破する時は相手のミス、間違いを徹底的に指摘し、自らの隙はみせないことだ。
…ミスがないのが理想だが、先ほど既に頭に血が昇ってやっちまったからな…」

モニュのような少し完璧主義者に傾いているような人間でも、間違いと言うのは必ず起こる。
予防も大事だが、それを見せないことがもっと大事なのだ。

(=゚ω゚)ノ 「ドクオに責めるには…」

モニュは一人ぶつぶつと論破する材料を考え集めていた。

しかし、実際に考えてみると案外ドクオをミスを犯していないのだ。
ツンがついているというのは責める材料になりうるが、現状はただのお手伝い。
力を発揮すれば教授との約束はあるものの、現時点で何も教授がしていないので、これは意味をなさない。
ここに来た事自体は掃除のオバチャンがきたのと変わりないのだから、責めようがない。

それにほどほどに腰が低く、優しく穏やかでトゲのない性格のドクオは他の人間には人気があったのだ。

(=゚ω゚)ノ 「最初の頃はもっと小汚かったけど、ツンさんが色々直してやったみたいで格好もわりとカジュアルで清潔だしなぁ…
って、そんなことは良いんだよ、何か…、何か穴がないか…」



118:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/04(火) 15:29:57.59 ID:mA9VFCoM0
(=゚ω゚)ノ 「ちょっと考えを切り替えるか…ドクオを責める手立ても大事だけど、俺が何をするかも考えなきゃならないしな」

深呼吸しながら顔を上げ、モニュは少し考えてみた。
俺のやりたいこと、本当にやりたいこと…。
考えても考えても、漠然と「すごい発見をしたい」というビジョンしか見えてこない。長く名を残せるような。

(=゚ω゚)ノ 「タイムマシン…な。確かに凄いけど現実的ではない。そもそもアイツと同じことをやるのは釈然としないし。」

モニュは前述の通り、秀才肌であった。
物事を与えられた条件下でテキパキとこなすことはよく出来たが、まったく新しい角度から切り込みをいれるという事を苦手とするタイプ。
それゆえに発見された一見バラバラの定義・定理を検討し、一つにまとめるという名の残し方がどちらかというと向いているのだが、
本人はというとアインシュタインやニュートン・ファラデーのような発見をする科学者に憧れを抱いていた。

その為に、「やりたいこと」は漠然と考えて出るようなものではないのだ。
その「やりたいこと」とはこれから発見する、未知の領域の中にあるのだから。



125:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/04(火) 15:45:13.77 ID:mA9VFCoM0
(=゚ω゚)ノ 「うーん・・・」

ボリボリと頭をかきむしり、時計に目をやると昼休みがもうすぐ終わりそうだった。

(=゚ω゚)ノ 「ま、すぐに結論が出るようなもんじゃない… とりあえずは日々の研究をやらなきゃな」

そう言いながら、モニュは研究室に戻って行った。
研究室ではまだ昼食をとりながら、各々が将来のビジョンについて話していた。

(*゚ー゚)「私はどこか大手の企業の開発職に就きたいかなぁー」
(´∀`)「俺はもう、間違いなくトヨタ!車最高!!俺が不朽の名車を作ってみせるぜ!」
(゚Д゚)「俺はこのまま教授になって、技術者育成したいね。日本の産業空洞化を防ぐ力になりたいぜゴルァ」
ξ゚听)ξ「へぇー、ギコくんってすごい立派な考え持ってるのねー」
('A`)「うん、そこまで考える人、そんなにいないと思うよ」
(゚Д゚)「日本の職人魂、町工場を消しちゃいけねぇぞゴルァ!」



129:ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/04(火) 16:06:47.59 ID:mA9VFCoM0
(=゚ω゚)ノ 。o(能天気な話してるな…)

横を通り過ぎ、そばの椅子に腰掛けたモニュは詰まってしまった考えをなんとかする方法を探していた。

(゚Д゚)「んで、ツンさんとドクオさんはどうなんだゴルァ」
ξ゚听)ξ「そうねぇ…、とりあえずはこのまま出世したいわ、あまり明確なビジョンは無いもの」
('A`)「俺は…、まぁなんらかの形で科学に関係ある仕事したいな」

(=゚ω゚)ノ 。o(…ハッ、なにが「なんらかの形で〜」だ。大発見する気満々でここにいるくせに…)



モニュとドクオの違いはそこにあった。
言ってみればドクオにとってはタイムマシンの開発とは夢であり、研究室とは夢への架け橋。
後についてくることが考えられる名誉や勲章などはどうでもよく、あの頃の自分の夢を取り返すのが目的だった。
モニュは少し違った。
名誉や勲章にとらわれ、その過程などというものはかなりどうでも良かった。
自らの欲求、それはまさしく名誉であり、それが視界を曇らせていたのだろう。

****
(=゚ω゚)ノ 「…失礼します」

ちらほらと帰宅する人間が現れた頃、モニュは再び教授室に姿を現せた。



22 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/22(土) 00:17:12.72 ID:4qgIDLaO0
**********************

モニュが現れる直前、教授室では荒巻、ショボーン、ツン、そしてドクオが集まっていた。

/ ,' 3 「…今朝のやりとり、どう思ったか聞かせてもらいたいんだが。
もちろん、君たちも当事者なんだから思ったことをどんどん言ってもらって、みんなが納得できる結果になればと思っているのでね。」

(´・ω・`)「…まぁ、悪くないんじゃねーの?単純に敵意ギラギラでいられるよか、ライバルみたいなポジションの方が平和的だよ。」

ξ゚听)ξ「そうですね…、ただ私が心配なのはモニュくんの秘める暴力性です。
仮に、ドクオくんに圧倒的な力を見せ付けられるようなことがあったとすれば…。何が起こるかは想像に難くないんじゃないかしら。」

('A`)「…とりあえず、いいかな。前提からして、少しみんなに直して欲しいことがあるんだけど…」

(´・ω・`)「…・?」

('A`)「あまり…あまり俺を買いかぶらないでほしいんだ。」

/ ,' 3 「…ドクオくん?」



23 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/22(土) 00:24:11.82 ID:4qgIDLaO0
少し息を呑むように、何か秘めていた思いを口にする為のスイッチを入れる、そんな間が流れた後、ドクオは口を開いた。

('A`)「…そもそも、モニュさんが俺を疎むのは仕方がないことだと思うんです。
だって状況からしてみたら…、モニュさんがどれだけ嫌な気持ちになったかなんて、誰にでも分かることじゃないですか。
それでも、みんな俺の方ばかり見てくれて…いや、見てくれるのは本当にうれしいんですけど…。
でもやっぱり、それは何か違うっていうか、間違ってます。俺に期待してくれるっていうことには感謝しています。
…でもそれとは別に、教授はみんなの教授なんです、俺だけ見てちゃ…いけないと思います。」

/ ,' 3 「むぅ…」

ξ゚听)ξ「ドクオくん…」

それはドクオがここに来て、少ししたころから考えていることだった。
時には実験の際に、院生たちの意見よりも先にドクオに意見を聞いてみたり、食事にドクオを頻繁に誘ったり…
その時に、ドクオが可愛がられている影で、確実に不信感を募らせている人物がいるということはドクオ自身がもっとも早く気づいていたのだ。

(´・ω・`)「…モニュにも…ごめんなさいしなきゃね」



32 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/22(土) 00:37:34.41 ID:4qgIDLaO0
/ ,' 3 「すまなかったな、ドクオくん…、俺は自分が恥ずかしいよ。教授という立場にありながら、
自分の研究を最も手伝ってくれている、大事な人たちのことを忘れていたとはね…」

('A`)「こんなに優遇してもらっておいて、こんな事言うのも変ですけど…、俺は今、普通のお手伝いなんですから。」

/ ,' 3 「うむ…、分かったよ、ドクオくん。君にもすまないことをしたね。君は俺の夢だ。ついつい、な。
察するに、ずっと気に病んでいたんだろう…」

('A`)「…否定は、しません」

そう、小さな声でぽつりとこぼし、ドクオは明るい声で言った。

('A`)「ま!俺が言いたいのはそれだけです!今朝のことは、俺としては助かった部分が大きいし、また何かあればその時に対処していきましょ?」

(´・ω・`)「そうだね…、うん、今はとりあえず収まったんだからな!
今日みたいなドクオのファインプレーをいっぱい見れて、そんで動きがあれば追々なんとかしようじゃないか!」

ξ゚听)ξ「今日みたいな調子だと、またすぐに動かなきゃいけないかもしれないわね!期待してるわよ、ドクオくん!」

('A`)「ちょwww買いかぶるなって言ったばっかwwwww」

/ ,' 3 。o(天才科学者には変人が多いといわれるが…、案外そうでもないのかもしれんなぁ)

荒巻はその光景に目を細めつつ、すこし気持ちが緩んでいた自分を引き締めていた。



42 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/22(土) 00:50:34.99 ID:4qgIDLaO0
(=゚ω゚)ノ 「…失礼します」

ちらほらと帰宅する人間が現れた頃、モニュは再び教授室に姿を現せた。

/ ,' 3 「うむ、良く来たね。まぁ話と言っても少し伝えたいことがある程度みたいだ、すぐに終わるだろう。
…そして、実は俺からも少しあってな。」

(=゚ω゚)ノ「…?(おいおい、オッサン話なげーよ、まだあるのかよ)」

/ ,' 3 「すまなかった」

そう言って突然深く頭を下げた荒巻を目の前にして、モニュはあっけにとられた。

(;゚ω゚)ノ「な…、な…んです…か?」

/ ,' 3 「俺は人として大事なことを忘れていたようだ。君たちには本当に無礼をした。」

(=゚ω゚)ノ。o(な…何事だよいったい…。 ! まさか自分のしたことに気づいてドクオ解雇ktkr!ってやつか!?)



44 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/22(土) 01:04:36.37 ID:4qgIDLaO0
/ ,' 3 「俺は自分の夢に固執するあまり、君たちの存在を軽んじていた節があった。そこの点は君には弁解できることもない。
…どうか許してくれ。」

ドクオ追放以外なら、ふんと一言で片付けてやろうかと思っていたくらいのモニュだが、固まってしまっていた。
自分も、もしかしたらドクオに嫉妬していただけなのかもしれないという考えが胸をかすめる。
そんな思いをかすかに思った自分に嫌気がさす、しかしそれを否定することは出来ないのだ。

(=゚ω゚)ノ「…別に」

唯一口に出来たのは、それだけ。
モニュは心の奥底にあるものを、なにか棒切れでつつかれたような、むずがゆいような、
気持ち悪いのに少しだけ気持ちいいような、不思議な感覚にとらわれていた。

('A`)「モニュさん」

奥からドクオが出てきた。
憎くて憎くて堪らない男のはずなのに、なぜか心はすっきりとしている自分がいた。



51 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/22(土) 01:23:27.68 ID:4qgIDLaO0
ただ向き合い、黙りこむ二人。
モニュの心と違い、ドクオは内心ドキドキと、緊張しっぱなしで動けないようだ。


(´・ω・`)「ほらほら、座った座った。ちゃっちゃと話済ませて帰ろうぜ?早く借りた映画見たいんだよ。」

('A`)(=゚ω゚)ノ「あ…、はい」

二人が向かいあって座り、ドクオの隣にはツンが。教授机のところに荒巻とショボーンがいる。
モニュも少し気を引き締めたのか、厳しい目で臨んでいる。

(=゚ω゚)ノ「…で、なんですかね?」

('A`)「こんなこと言うと、怒られるかもしれませんが、モニュさんって…、俺と同じだと思うんです。昔の…俺と。」

(=゚ω゚)ノ「…は?俺が?引きこもりと同じ?どういうことだ?」

モニュの目つきは厳しいままだ。



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