('A`)ドクオが一歩踏み出したようです 第二部
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/28(金) 22:18:28.12 ID:6f07WetP0
- ('A`)「昔…昔俺が、引きこもりを始めたきっかけ…、きっとモニュさんの気持ちと通ずる部分があると思うんです。
…いや、これはもちろん、俺の勝手な考えでモニュさんの感情を想像しているに過ぎません。
だから、気分を害してしまうかもしれません…。でも、伝えておきたいんです。」
(=゚ω゚)ノ「…」
モニュは口を真一文字に結んだまま、ドクオの顔をじとっと見据えている。
('A`)「俺が…引きこもりを始めたきっかけ…」
ドクオはゆっくりと自分の過去を語り始めた。
その詳細はツンでさえ初めて聞く内容も含まれ、自分の目の届かないところで行われていた惨状を思うと思わず涙ぐんでしまうのだった。
そして、宝物を蹂躙されたあの日…
ドクオの心に止めをさした、あの出来事。
('A`)「俺の家は別段裕福でもなかったし、むしろ生活するのに精一杯なところがあって…、
オモチャらしいオモチャは殆ど持ってなかったんだ。
みんながファミコンをしてる横で、俺の宝物は父さんがヘソクリで買ってくれた子供向きの物理の本だったんだ。」
- 16 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/28(金) 22:30:44.34 ID:6f07WetP0
- (=゚ω゚)ノ「…」
モニュも静かにドクオの話を聴いている。
その目に当初のじっとりとした湿り気はなく、ただまっすぐに、ドクオを見据えていた。
('A`)「そんなある日、俺が大事にしてたものが壊されてしまったんだ。
俺も…悔しかったから、つい自分の誇りみたいなものだった夢を曝け出してしまったんだと思う。
…一度大事なものを失うと、今まで張り詰めてたものがスパッと消えちゃう感じがしたよ。
また外に出れば、その分だけ大事なものを失うんじゃないのかって…」
(=゚ω゚)ノ「…負け犬根性…ってやつか?」
思いのほか冷たい言葉を発したモニュを、ツンはキッと睨み付けた。が、すぐに驚きの表情に変わる。
馬鹿にしたような言葉を発しながらも、モニュはさびしげで、どこか虚しい、けれど真摯な目つきでドクオを見据えていたから。
('A`)「…ひらたく言うと、そうなんだろうな。どうせ奴等にまた壊される。だから外に行きたくない。道で会ってしまうかもしれない。
今思えば、ひどい怯えようだけど…、当時の俺にはまぎれも無い現実だった。」
- 18 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/28(金) 22:38:59.74 ID:6f07WetP0
- (=゚ω゚)ノ「…お前の言いたいことは、なんとなく分かってきたよ。
お前が壊された夢と、俺が奪われそうな夢…、それが、そのほんの一部分だけど、そこが似てるって事なんだろ?」
('A`)「はい…、だから、俺はホントは嫌なんです、自分も、ほかの誰かも…こんな思いをさせてしまうことが。」
(=゚ω゚)ノ「…そりゃぁ、お前からしたらそうだろうけど、社会なんてのはどこも競争だと思う。
俺はまだ社会人としてきっちり自立出来るわけじゃないし、親だって裕福でお前みたいな気持ちになったことはないかもしれない。
だけど、そんな俺でも思うよ。
犠牲者の存在しない社会なんてのは、ありえない。って。お前は甘いっていうか、優しすぎる。」
('A`)「そうかもしれません、だけど、それは社会のことで、ここの研究室でくらい、みんなで仲良くやりたいんです。
誰も本当に辛い思いをしないで、頑張っていけるような。
新参の俺がこんな事を言い出すなんて差し出がましいし、厚かましいのは分かってます。
でも、それはきっと…、誰にとってもマイナスにはならないから。」
/ ,' 3 「…」
荒巻は心の中で自らを恥じていた。
夢のために周りが見えなくなっていた自分、そしてドクオがこれだけ立派な事を言うとは思っていなかった自分。
教授だからといって人間的に優れているというわけではないという事を改めて実感していた。
- 19 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/28(金) 22:48:08.14 ID:6f07WetP0
- ('A`)「だから・・・俺が研究の邪魔になるようなことがあれば遠慮なく言って欲しいんです。
教授が俺を贔屓しているように感じたら、遠慮なく言ったらいいと思うんです。
何もひとつの研究室でひとつの夢を追う必要はないじゃないですか。
俺はタイムマシンを作るために頑張るし、モニュさんも夢を叶えるために頑張ればいい。」
(=゚ω゚)ノ「…お前が悪い奴じゃないってのは分かったし、俺が殴ったのは間違いだった。それは認めるよ。
だけど、俺自身お前が好きになれないんだよ。
なんでかは分からないがな、おそらくお前がいじめっ子に抱いた感情の一端と似てるんだろうが。」
('A`)「…」
ドクオは黙っていた。
自分の話を黙って聞いてくれたモニュの話をしっかり聞くのが今の自分のやるべきことだと分かっていたからだ。
(=゚ω゚)ノ「そこの部分が本当にすっきりするまで、お前を許すことができない。
これはもう俺の中の問題だからあまり悪くは思わないで欲しい。
それから、もう一個だけ、ハッキリさせたい問題がある。」
- 29 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/28(金) 23:04:34.40 ID:6f07WetP0
- (=゚ω゚)ノ「なんでお前にはツンさんが付いてるんだ?」
ξ゚听)ξ「へ?あたし…?」
すっかり涙目でグズグズのツンが振り返る。せっかくの美人顔が台無しだ。
(=゚ω゚)ノ「そうです、ツンさんですよ。とりあえず鼻くらいかんでください。
で、俺が教授から聞いた話によると、これからは俺とお前で競争することになりそうだ。
それなのに1対2はちょっと納得いかないな。」
/ ,' 3 「…それについては私から説明する。」
鼻をかむツンの前に、ぐいと荒巻が割り込んで説明し始める。
/ ,' 3 「この話し合いで仲良くなれるのなら、競争の話自体無かったことにしても構わなかったのだが、まぁ仕方ないだろう。
先ほどは言葉足らずだったが、誰の手を借りようと自由だ。
モニュくんが必要ならモナーくんだろうがギコくんだろうが、私だって今までどおりに必要とあらば協力しよう。
そうしないと大学院の意味すら薄れるしな。」
(=゚ω゚)ノ「…そういうことですか、了解しました。」
モニュの顔にはどこか不満の色が浮かんでいるようにも見えた。
- 31 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/28(金) 23:15:09.61 ID:6f07WetP0
- それから少し、モニュの内面的な問題について語ったが、当面は荒巻の提示した条件のもと、競い合っていくという形になった。
ドクオはともかく、モニュはどこかから声がかかれば、別の大学で研究室も持てるという環境下なだけに、その条件で甘受したようだ。
日が傾き、今日も研究室に人がまばらになり始めた頃、ドクオとツンは二人で帰路についていた。
('A`)「…今日は…なんだか疲れちゃったなぁ…」
ξ゚听)ξ「本当ね…、でも、ドクオくんちょっとカッコよかったわよ?」
('A`*)「え…?フヒヒwwwそうかな?wwww」
ξ゚听)ξ「やっぱり、ああいう優しくて芯の強そうなドクオくん見てた方が気分良いわ」
('A`)「普段弱そうってことかよw」
ξ゚听)ξ「んーん、でもね、あんな姿見たのはホント何年ぶりかって感じだったもの…」
- 40 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/28(金) 23:34:03.51 ID:6f07WetP0
- 翌朝、いつもどおりの研究室の情景があった。
/ ,' 3 「おやー?ツンさんやツンさんや、昨日とお洋服が同じじゃございませんか?」
ξ゚听)ξ「なっ!!?」
(´∀`)(゚д゚)「マジですかー!?」
(*゚ー゚)「あらら…、ツンさん、下着くらいは替えないと不潔ですよー?」
ξ;゚听)ξ「ななな何言ってるのよ!しぃちゃんまで!セっセクハラですよ!教授!」
/ ,' 3 「おお嫌だ、最近の若いのはすぐにセクハラだのなんだのって…ぶつぶつ」
(=゚ω゚)ノ「教授、マジで訴えられても知りませんからね。」
(´・ω・`)oO(ま…間違いない、あの服をツンさんが着てたのは先月4日10日16日28日と昨日だ…!
な…なんてことを…なんてことを…)
(´・ω・`)「ドクオきさまーーーーっ!!!!」
('A`)「ふごぁっ!!」
- 46 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/28(金) 23:43:31.85 ID:6f07WetP0
- ドクオとツンがしてしまったのかどうかはともかく、このノリこそがいつもの研究室だった。
殆ど何も知らないモナーギコしぃはともかくとして、荒巻達にしてみると、
ここのところの忙しさと心労を考えると妙な落ち着きが心にあるのだった。
( ^ω^)「おいすー」
/ ,' 3 「お?」
('A`)「な…内藤さん?」
突然研究室に内藤が現れた。
いきなりの恩人の登場にドクオはひどく驚いたが、ハッと内藤に駆け寄って言った。
('A`)「ど、どうしたんですか?もしかして今朝の朝刊、配り間違いでも…」
( ^ω^)「いやいや、ちょっと今日は暇だったから様子を見に来たんだお。荒巻、調子はどうだお?」
/ ,' 3 「あぁ、ここんところバタついてたけど、まぁ落ち着いたかな。なぁモニュ。」
(=゚ω゚)ノ「あーはいはい、俺がわるぅございましたよ。」
書類を抱えながら忙しそうに走り回るモニュはめんどくさそうに言った。
- 49 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/28(金) 23:52:55.54 ID:6f07WetP0
- (*゚ー゚)「ドクオくーん、ちょっとこの新しいガラス素材の屈折率調べたいから、分光計持ってきてくれるかな?」
('A`)「あ、はい、今行きまーす。 それじゃ、内藤さん失礼します」
( ^ω^)「うんうん、頑張ってくるといいお」
よたよたと重たい分光計を運ぶドクオを尻目に荒巻と内藤は静かに学内の食堂へ向かった。
コーヒーを飲みながら内藤がドクオについて、口を開いた。
( ^ω^)「で、どうだお?彼は。お前の夢実現に希望をもてそうかお?」
/ ,' 3 「まぁそうすぐに分かることではないがな、しかしついこの間、みんなでうんうん唸ってた論文を一晩で解決してみせたね
問題自体は分かってみれば難解でもなかったが、あれはそうそう出来ることじゃない。
夢実現が可能かどうかはさておき、なかなか有力な新人だよ。」
( ^ω^)「そうか、それはよかったお、こっちとしても紹介した甲斐があったってもんだお」
- 51 :ドS ◆DOS.18R.Tg :2006/04/29(土) 00:01:45.60 ID:SCzXbQ8B0
- / ,' 3 「そうだな、あれだけの人材はそうそういるもんじゃない、お前には感謝しなきゃな」
( ^ω^)「いや、俺とお前の仲だお、今更改まられても気持ち悪いおww
…なんかモニュっていう奴とトラブルが起きてたみたいだけど、今見た感じだとなんとかなったみたいだおね」
/ ,' 3 「ん?誰からそんなこと聞いたんだ?まぁ解決…したと言えなくも無いかな。」
( ^ω^)「いんや、ショボーン助教授とこないだバッタリ会って色々聞いたんだお。お前も実は大変なんだおね」
そんな世間話を続けていると、食堂に研究室の面々が現れた。
/ ,' 3 「お?もう昼飯時か」
(*゚ー゚)「もおー、教授、仕事しなさすぎですよっ、午後からはみっちり講義入ってるんですよね?
早く食べてお仕事お仕事!」
しぃが急かされて、慌てて荒巻はカレーライスを注文しに行った。
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