( ^ω^)ブーンが伝説のポケモンを探しに行くようです

25: ◆HIDEBJzPlA :2006/09/03(日) 23:48:27.00 ID:LxfuaLxE0
  
夏の始まりの昼下がり、内藤家にて


( ^ω^)「カーチャン」

J('ー`)し「なんだい」

昼ドラを見ているカーチャンに声を掛けたがまだ少し緊張する。
テレビの中では中学生くらいの女の子が川に突き落とされている。
ストーリーは知らないが今のシーンだけで、痛々しくてあまり見る気にはなれない。
いや、そうじゃない。そんなのは今どうでもいい。

以前から決めていた。
決行はあの夏から十年目の夏。その始まりの日にしようと決めていたのだ。

だから精一杯の勇気を掻き集め、

( ^ω^)「今から旅に出るお」



26: ◆HIDEBJzPlA :2006/09/03(日) 23:49:13.40 ID:LxfuaLxE0
  
J('ー`)し「そう」

ありえないほど滑らかに流されてしまい、数秒の間固まってしまった。

(;^ω^)「いいのかお?」

J('ー`)し「自分で決めたことなんでしょう。それなら止めるつもりはないわ。
     可愛い子には旅をさせろ、とも言うし」

嬉しかった。カーチャンは僕を信頼していてくれたのだ。少なくとも、一人旅を許すくらいには。

J('ー`)し「でもね、」
カーチャンは続けた。

J('−`)し「夏が終わるまでには帰ってきなさい。それまでに全部終わらせなさい。」

( ^ω^)「それを過ぎたらどうなるお?」

率直に聞きたいことを口にすると、カーチャンはひどく無邪気な笑みを浮かべながら、

J('ー`)し「教えない。そっちのほうが面白いでしょう?」



28: ◆HIDEBJzPlA :2006/09/03(日) 23:49:53.15 ID:LxfuaLxE0
  
J('ー`)し「とりあえず旅に出るのならウツギ博士に挨拶してから行きなさい」

ウツギ博士―――確かあの空き地だった場所に建てられた研究所の所長さんだったっけ。

( ^ω^)「なんでだお。僕はポケモンになんか興味はないお」
ポケモンになんか興味はない。その言葉は半分は嘘だ。しかし半分は真実。

J('ー`)し「野生のポケモンに襲われたらどうするの?対処法ぐらい聞いていきなさい」

それぐらいはもうやっていた。
どこを歩くと危険なのか、出会ってしまったらどうすればいいのかぐらいちゃんと知っている。
伊達に何年も夢を見ていたわけではなかった。
旅する時の障害、真っ先に浮かぶのは野生のポケモンなのだから。

しかしそうはいってもそれを実際に活用できるかどうかはわからない。
ならば博士にいろいろ詳しく実戦的なことを聞いてみるのも悪くはないだろう。

( ^ω^)「わかったお」



30: ◆HIDEBJzPlA :2006/09/03(日) 23:52:35.81 ID:LxfuaLxE0
  
そしてウツギ研究所。

内装はとても立派で掃除も行き届いているように見える。
しかしなぜか壁の所々にまるで火でも浴びたかのように焦げた部分があり、少し違和感があった。
目的の博士は意外にも建物に入ってすぐの所に立っていた。どうやら休憩中らしい。

内藤が近づくと博士は、

(-@∀@)「やあ、内藤君……だったっけ」

( ^ω^)「はい、そうですお。今日はちょっと聞きたいことがあって来たんだお」

(-@∀@)「ふむ、なんだい?」



29: ◆HIDEBJzPlA :2006/09/03(日) 23:51:13.61 ID:LxfuaLxE0
  
( ^ω^)「・旅に出るお
     ・野生のポケモン怖いお
     ・だから野生のポケモンへの対処法教えてくれお」

(-@∀@)「把握。じゃあちょっと待っててね」

そう言うと奥の研究室に戻っていった。


数分後、戻ってきた博士の手には赤と白で境目は黒に塗られたボールがあった。
(-@∀@)「やっぱり一番いい対処法はポケモンを持つことだよ」

そういって笑っているが、あいにく僕はあまりそんな気分にはなれない。



31: ◆HIDEBJzPlA :2006/09/03(日) 23:53:27.26 ID:LxfuaLxE0
  
(-@∀@)「出て来い!」

博士がボールを足元に投げるとボールからヒノアラシが現れた。
(,,゚Д゚)「ゴルァ!」

確かヒノアラシは気性は荒くなかったはずだが、このヒノアラシはかなり荒そうだ。
( ^ω^)「ヒノアラシかお。でも……」

(-@∀@)「わかる?ぶっちゃけるとこの子は気性が荒すぎて困っているんだ。
     実力はあるんだけど、研究器具を片っ端から壊してしまうんだよ。ボヤ騒ぎもたまに起こすし。」
顔は笑ってはいたが目は全く笑っていなかった。

( ^ω^)「で、そんな危ないやつをどうするんだお」

(-@∀@)「君にあげようと思ってね」



32: ◆HIDEBJzPlA :2006/09/03(日) 23:54:12.65 ID:LxfuaLxE0
  
一瞬、言葉の意味が分からなかった。しかしその意味を理解して、
(;^ω^)「……はい?」

(-@∀@)「どうやらこの子は旅に出たいみたいなんだ。
     だから君が旅に出ると聞いてあげるのもいいかな、と思って」

(;^ω^)「でも僕はポケモン使ったことが一度もないですお?」

(-@∀@)「だからだよ。この子なら一人でもある程度は戦える。それにこの子意外に……」

博士が何か言いかけたとき、急に寒気がした。冷房のせいじゃない。
見ると、ヒノアラシがこちらを睨んでいる。

(;-@∀@)「・・・・・・あ、なんでもないよ。とにかく君に持っていってほしいんだ」

なんとなく、博士の今までの苦労が分かったような気がした。
( ^ω^)「わかりましたお」



33: ◆HIDEBJzPlA :2006/09/03(日) 23:54:52.89 ID:LxfuaLxE0
  
研究所を出て大切なことを思い出した。

( ^ω^)「そうだ、自己紹介まだしてないお。
     僕は内藤、あだ名のブーンで呼んでくれると嬉しいお」

(,,゚Д゚)「俺はギコだゴルァ!」

( ^ω^)「把握したお。よろしくだお、ギコ」

(,,゚Д゚)「よろしくな!」

これが、内藤とギコの出会いだった。





     1話終わり



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