( ^ω^)ブーンが高校野球で1番を目指すようです

  
―――第2話 ブーンは野球が嫌いになったようです


七月、セミの声がやかましい。しかし、力強い。
全ての少年は夏を生きる。時に間違いを犯しながら―――


そして、ここ神宮球場にも夏を生きる少年達。


審判「集合!!」

('A`)「行くぞ!!」
選手達「おおおおおおおお!!!」














ウグイス「只今より、全日本選手権3回戦
     VIPシニア対ラウンジシニアの試合を開始いたします。
     一回表、ラウンジシニアの攻撃、一番、センター・・・・」

('A`)(ブーンは・・・来てないのか)
三塁側スタンド、VIPシニアのユニフォームを着た80あまりの選手達の方へ目を向ける。
ドクオはその中の親友の顔を探すが、見当たらなかった。自分が打ち砕いた親友の顔を。
すぐに審判からプレイ開始のコール。
その瞬間、ドクオは三塁の守備位置からバッターをにらみつけた。


















( ^ω^)「おいすー!配達終わったお!」
ブーン父「おう!!おつかれぃ!!冷蔵庫にコーラが入ってるからのみな!!」
( ^ω^)「父GJwwwwwwwありがたくいただくお!!」


同じ頃、所変わってここはブーンの実家、兼酒屋さん。
ブーンは父が生業としている酒屋で夏休みの間、仕事を手伝っていた。

( ^ω^)(ドクオやチームの皆は今頃試合かお・・・。3年間野球しかやってなかったから
    ドクオやチームの皆ぐらいしか遊び相手がいないお・・・)














( ^ω^)(せっかくの夏休みだけど遊び相手もいないし、酒屋の配達か受験勉強位しか
     やることないお・・・欝。でも父の仕事がちょっとでも楽になれば・・・ウレシス)

ブーンの家は父子家庭だった。母がいない悲しさから反抗的な行動を取っていた時期もあったが
最近は父の苦労を知り、いかに父が自分の事を思ってくれているかがわかってきた。
いまどきめずらしい、ええ子やアンタは。

( ^ω^)「そういえば冷蔵庫にコーラが・・・でも、コーラはだめだお。体力が落ちるお」

現役の時、監督から口うるさく言われていた言葉である。













( ^ω^)「あ・・・でも、もう関係ないお・・・」

そう、ブーンはもう野球なんてやっていない。もう二度とする事は無い。
そう決めていたのだった。

2ヶ月前、最後の紅白戦が終わった後の事をブーンは思い出していた。










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辺りは夕暮れ、激戦の繰り広げられたグラウンドも1年生たちの手によって
綺麗にトンボがかけられて、試合前のように、試合があった事も嘘のように整備されていた。

( ω )「・・・お・・・お・・・」

ブーンは試合が終わってからずっと放心状態だった。あんなに気を使っていたグラブの手入れ
すらしなかった。しかし、だれも気に止めはしない。そんな状態の者はブーン以外にも沢山いたから。


('A`)「ブーン・・・」

ドクオは一度、ブーンに声を掛けた。しかし、ブーンは遠くを見つめたまま返事さえしてはくれなかった。
ドクオはそれっきりブーンに声を掛けなかった。自分のやってる事は偽善的な感情から来るものだと
気着いてしまったから。







監督「今から夏の大会のベンチ入りメンバー、背番号を発表する!!
   1番!!ニダー!!」

<丶`∀´>「はい!!ニダ!!」
   
ピッチャーから順番にメンバーが発表されていく、しかしあいかわらず放心するブーン。
それを遠巻きに見つめる事しかできないドクオ。

監督「5番!!ドクオ!!・・・5番ドクオ!!」

('A`)「あ・・・はい!!ありがとうございます!!」

その後も、淡々とメンバー発表が続いていく。
そして、最後の番号になった。











監督「18番!!白組ピッチャー!!」

白ピ「うはwwwwwwwwwwktkrwwwwwwwwwあざーすwwwwwwwww」

監督「以上の18名で今年の夏を戦う!!これからも精進を怠るな!!」

選ばれ組「はい!!!!!!」


( ; ω;)「おおお・・・」

終わった。完全に終わった。もしかしたら、と少しだけ思っていた。
しかし、それさえ潰えた。










監督「選ばれたものはここで解散だ!!明日からの練習に備えて、今日は鋭気を養え!!」

選ばれ組「お疲れ様でした!!!!!!」

18名は意気揚々と帰り支度を始めた。

監督「選ばれなかったものはここに残れ!!」

今さら何なんだ。早く帰らせてくれ。ブーンはそう思っていた。






監督「俺は不甲斐ない指導者だったと思う。指導者は勝つ為に居るんじゃない、
   選手の為にあるべきだ、俺はそう思っている。
   選手の為に勝つべきだ、そう思っている。
   しかし、俺はお前たちを勝たしてやれなかった。本当にすまない。
   そして、いままで苦しい時にも根を上げず、よく頑張ってくれた、ありがとう」

周りにいるチームメイト達が嗚咽をあげて涙した。遠くの方では保護者達が泣いていた。
感動ドラマでも見ているつもりだろうか、下らない。本気でそう思った。

監督「でも、まだ終わってはいない。選ばれた18人、あんな頼りない奴らだけで
   勝てるほど甘くはない。そこでお前たちの力が必要なんだ」







監督「だから、これからは奴らのサポートをしてやってほしい。
   全員で、勝とう。」

チームメイト達「はい!!!!!!!!」


( ω )「僕は嫌ですお」

監督「ブーン・・・」

( ω )「僕はこれ以上、誰かが野球やってる所なんて見たくないですお・・・。
    いままでお世話になりましたお。では、失礼しますお。」

監督「待て!!ブーン!!」

自分の事を呼ぶ声がした。でも、聞こえないふりをした。もうこれ以上野球の事を
考えたくは無かった。

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( ^ω^)「もう、野球はやりたくないお・・・」

そう言って、ブーンはコーラを一気に飲み干した。味わいもせず、一気に流し込んだ。



―――第2話 ブーンは野球が嫌いになったようです 完―――



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