( ^ω^)ブーンが高校野球で1番を目指すようです

86: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 16:56:40.20 ID:/XNlT2lg0
  
―――第八話「ショボンがなにやらたくらんでいるようです」――――



奇跡的に先輩達を挑発する事に成功したブーン達。
今の所、全ての事は順調にはこんだ。しかしここからが正念場だ、
ドクオファイターズの掛け声で気合を入れた後試合は始まった。

コイントスの結果、下級生チームは後攻に決定した。
一回の表、上級生チームの先頭打者、竹原が打席に入りプレイのコールがグラウンドに響いた。



87: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 16:57:28.47 ID:/XNlT2lg0
  
竹原「しゃあーこいやーーーーーーーーーなにがじゃ!!!」

(´・ω・`)(さぁ、前もって打ち合わせしたとおりに頼むよ、ドクオ)

ショボンがドクオにサインを出す。すぐにうなずくドクオ。
一球目、アウトローにギリギリ、ボールになるストレート。
竹原は手を出してこない。

審判「ボール」


竹原「なんじゃこの玉ぁ!!おっそいのー」

ピッチャーのドクオに聞こえる声の大きさで言う。明らかに挑発している。



88: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 16:58:18.00 ID:/XNlT2lg0
  
('A`)(・・・大丈夫、挑発には乗らない。最終的に勝負に勝てばいい)

二球目、すぐにうなずくドクオ、放たれた玉は一球目と同じコース、同じボールだった。

審判「ボールツー」

竹原「どういうつもりじゃ?まさかびびっとるんか?ストライクにボールがこんと野球にならんぞ?」

ボールが二球先行した、明らかに投手不利のカウントである。
しかし―――

(´・ω・`)(よし、これでいい。ナイスコントロールだ、ドクオ)



90: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:08:57.78 ID:/XNlT2lg0
  
('A`)(よし・・・今の所ショボンの作戦通りだ・・・これで打たれたら仕方が無い。)

三球目――
インコース寄り、腰の高さのストライクゾーンにボールが行く――

竹原「これじゃあ!!」
待ってました、絶好球とばかりに打ちに行く。直後、バットとボールがぶつかる。
鋭いスイングに弾き返されたボールは

(´・ω・`)「サード!!」

バシィ!!

三審「アウト!!」

サードライナー、真正面でグラブに収まった。



91: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:09:23.91 ID:/XNlT2lg0
  
竹原「ちぃ!!打ち損じたのう・・・。次の打席はこうはいかんぞ・・・じゃあの」

('A`)(よし!!ワンナウト!!)

まず一つ、さいさき良くアウトを取れた。
次の打者は二番、フサギコ―――

(´・ω・`)(二番のフサギコさんにさっきの作戦は要らない。とりあえず「アレ」いっとこうか)

サインの交換が行われる。
そして、フサギコに投じた第一球―――
それはショボンの頭上を越えてバックネットに突き刺さった。



92: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:10:10.16 ID:/XNlT2lg0
  
ミ,,・Д・彡「・・・すっぽ抜け・・・緊張?・・・ださい・・・」

向こうから喧嘩を売ってきといて緊張してるのかこの一年は。
キャッチャーが慌てて投手へと駆け寄っていった、やれやれだ、目に見えて動揺している。



93: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:10:42.69 ID:/XNlT2lg0
  
よし、いい感じだぞドクオ。口にキャッチャーミットを当ててショボンが喋る。

(´・ω・`)「ヒソヒソ・・・完璧だ、ドクオかわいいよドクオ」

('A`)「今の感じでよかったのか?」

(´・ω・`)「あぁ、向こうから見てたら完璧だったよ、この打者への作戦は終わりだ
       後は適当に出塁させちゃってよ」

('A`)「把握した。」



95: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:12:41.31 ID:/XNlT2lg0
  
ミ,,・Д・彡「・・・ピッチャー・・・緊張・・・とれた?・・・」

わざわざそんな事を聞いてくるなんて悪趣味なひとだ、そう思いながら

(´・ω・`)「すいませんお手数かけて」

とだけ答えておいた。さあドクオ、適当にど真ん中とかに投げちゃってよ。

三球目、注文どおりのど真ん中だ。

ミ,,・Д・彡「・・・へぼピッチャー・・・」

打球は綺麗にセンター前に弾き返された。



96: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:13:15.91 ID:/XNlT2lg0
  
ミ,,・Д・彡「・・・退屈・・・」
一塁に出塁したフサギコが呟いた。言ってくれるじゃないか。

そして打順はここからクリーンナップに入ってくる。
三番、キャプテンのモナー、―――唯一、一年生を目の敵にはしていない―――
打席に入り、ヘルメットのツバを触りながらこう呟いた。

( ´∀`)「ショボン君・・・僕は野球をするモナ」

潔い。

(´・ω・`)「わかりました」

こう、答えておいた。

(´・ω・`)(モナーさんには竹原さん同様の作戦は危険だ。・・・おっきいほうでおねがいします)

('A`)(把握した。)



97: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:16:06.20 ID:/XNlT2lg0
  
モナーへの第一球、外角に逃げるスライダー―――
その時、絶妙のタイミングで一塁ランナー、フサギコがスタートを切った。


(´・ω・`)(・・・来たな!!)

セカンドを守る国分が顔を二塁の方に向ける―――
同時に、モナーが打球を流す体制で打ちに来た。

( ^ω^) (エンドランだお!!前進してあわよくばファーストで殺すお!!)

ブーンは一二塁間の方向へ全力で走った。エンドラン同様、ブーンも賭けにでた――



98: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:17:44.71 ID:/XNlT2lg0
  
( ・∀・)(ブーンが行った!!俺もブーンのカバーをしないと!!)

モララーも動く、そしてモナーが来たボールを確実に芯で捕らえ、地面に叩きつけ
一二塁間―――

カキン!!

打球はセカンド、国分のグラブに収まった。



99: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:18:07.43 ID:/XNlT2lg0
  
そして冷静にまず二塁カバーに入ったショートの田中へ送球、田中が流れのまま一塁いように送球し―――

一審「アウト!!スリーアウトチェンジ!!」

4−6−3 ダブルプレーが完成した。


(;´∀`)「えっ!!セカンドはランナーに釣られてベースカバーにいったはずモナ!!」

ミ,,・Д・彡「・・・なぜ?・・・」

上級生達は不思議そうな顔を隠せなかった。



102: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:19:12.44 ID:/XNlT2lg0
  
唖然とする下級生チーム達、その中でショボンが口を開いた。

(´・ω・`)「だめじゃないか国分君、ちゃんとベースカバー行かないと。バッターが打ってくるとは限らないんだから。
       ごめんなさいしなきゃね。でも結果オーライ、ナイスだよ。」

国分「サーセン、気をつけるっすwwwwwwwwwwww」

やった!!ナイスプレー!!いい雰囲気でベンチに戻って行く一年生達。

ミ,,・Д・彡「・・・理由・・・わかった・・・」

( ´∀`)「あのセカンド・・・ついていけなかったんだモナ」



103: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:19:41.73 ID:/XNlT2lg0
  
( ´∀`)「セカンドは下級生チームの助っ人モナ、それが後二人もいる・・・
      いわば急造チームモナ。」

ミ,,・Д・彡「・・・高校野球・・・シニア・・・スピード違う・・・」

( ´∀`)「連携の確認が出来ていなかった・・・その上、フサギコの素早い盗塁・・・
      固まってしまうのも無理はないモナ・・・」

ミ,,・Д・彡「・・・不運・・・」

そう、運悪くプラスになるはずの要素がマイナスに出ただけ・・・
上級生チームの答えはそれでFAだった。



104: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:20:29.43 ID:/XNlT2lg0
  
元気良くベンチに引き上げていく下級生達、皆「奇跡だ!!」と思っていた。

しかし、それはなにやらヒソヒソ話をする数名以外の者達だけであった―――

(´・ω・`)「国分君―――
                    キミ、冗談抜きでナイスだよ。」

('A`)「流石、俺が影で恐れる男ナンバーワンだな。」

国分「余裕っすよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwサーセンwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

何の話をしているんだ。この男達、実は数日前から幾度と無くヒソヒソ話を繰り返していた―――



105: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:21:17.47 ID:/XNlT2lg0
  
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上級生と試合をする数日前、ドクオとショボンはVIPシニア球場の室内ブルペンで
投球練習を行っていた。

バシィ!!

(´・ω・`)「おk!!ナイスボールだよドクオ!!じゃあそろそろ終わりにしようか。」

('A`)「把握した!!」



106: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:22:07.86 ID:/XNlT2lg0
  
二人はクールダウンの軽いキャッチボールをしながら話を続ける。

(´・ω・`)「しかし、本当にコントロールがいいな君は。
      投手としての球威があるわけじゃないけどこれだけで十分カバーできるよ。」

('A`)「そうなのか?今まで意識したことなかったんだけどな。」

(´・ω・`)「それに変化球の覚えも早い、シュート、ツーシーム、カットボール、スライダー。どれも
      完璧にコントロール出来てる。さすがVIPシニアで四番を打った男だ。野球センスの塊みたいだよ。」

('A`)「しかしだぜ?その球威ってやつが無いんだよな俺は。」



108: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:22:57.45 ID:/XNlT2lg0
  
(´・ω・`)「仕方がないよ、君は今までサードを守っていたんだろ?
      サードも内野手の一員、やっぱり速さは意識してしまうよね。」

('A`)「・・・そういわれればそうだな。紙一重の送球もあるし、素早く投げないととは
   考えてるな。」

(´・ω・`)「それだよ。素早く投げようとしたらやっぱりフォームは小さくなってしまう。
      スナップスローの延長線みたいなものだよね。やっぱりボールのバックスピンは削られてしまう。
      たとえ、いくら強肩だとしてもだ。
      キミは努力家だったんだろう、長い年月でその投げ方が体に染み付いてしまったみたいだね。」

('A`)「ほほう、それでそれで?」

(´・ω・`)「これから長い目でみていけば少しずつフォームを修正していってもいい、
      だけど上級生との試合はそうはいかないからね。
      明日からは今まで覚えてきた変化球とそのコントロールを生かすための特訓といこうか。」



109: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:23:57.38 ID:/XNlT2lg0
  
そういって、ショボンは小さな手鏡を取り出した。
(´・ω・`)「毎日、この手鏡に向かって表情を作る練習をするんだ。
      表情だけじゃなく、感情も自由に操れるようになったらなおいいね。」

(;'A`)「・・・それとコントロールになんの関係があるんだ?」

(´・ω・`)「じゃあ、目的を先に言ってしまおうか。
      上級生との試合、キミにはノーコンでヘタレでチキンなピッチャーを演じてもらおうと思う。」



110: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:24:42.25 ID:/XNlT2lg0
  
(;'A`)「・・・ナニヲイッテイルノカワカリマセン・・・」

(´・ω・`)「じゃあこういう考え方をしよう。君が先輩達の立場になったと考えて欲しい、
      実力的に確実に勝てる相手と試合して、相手のピッチャーがノーコンでヘタレでチキン
      だったらどう感じるだろうか?」

('A`)「勝ったな。って感じる。」

(´・ω・`)「そうだろ。そこに付け込むのさ。
      だが、もしホントはそのピッチャーが演技でコントロールが良くて変化球もいっぱい
      持っていたらどうなる・・・?」

('A`)「ちょっとヤバイだろうな・・・でもそれだけじゃ微妙だぜ?いくらコントロールが良くても
   球威がなければ滅多打ちに出来るな。」



111: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:25:37.58 ID:/XNlT2lg0
  
(´・ω・`)「そうだよね・・・でもそれはキャッチャーがクルクルパーのときの話さ。
      ・・・昼間の基礎トレでランニングの時、僕が居ない事結構あるよね?
      その居ない間、僕が何をしてるか知ってる?」

(;'A`)「・・・まさか・・・」

(´・ω・`)「そう、上級生達の練習を
         ず っ と 見 て い る の さ 。」



113: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:26:12.42 ID:/XNlT2lg0
  
(´・ω・`)「そんなわけで、近頃はもう完璧に上級生達のプレースタイルが頭の中に入ってきた。
      性格や得意なコース、苦手なコース、それだけじゃない、彼等の事でわからない事は  無い。」

(;'A`)「・・・」

正直、この人怖い。真剣にそう思った。

(´・ω・`)「そんなわけで、最後に必要なものがあと二つ残ってる。
      一つはさっき言ったとおり、キミの演技力だ。
      そして後一つ、僕らとこの作戦を共有して作戦に参加してくれるセカンドだ。」



114: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:26:44.84 ID:/XNlT2lg0
  
('A`)「セカンド?どうしてセカンドなんだ?ブーン達から誰かじゃ駄目なのか?」

(´・ω・`)「理由は二つ、まずなぜセカンドなのか。
      セカンドは高度で複雑なフィールディングを求められるよね?
      それだけ守備機会も多くなってくるということは―――
                             それだけ相手を騙すチャンスも多いってことさ。」


(;'A`)「それは把握した。でも、ブーンだって野球歴は長い。それだけ野球も知っている。
    セカンドでもこなすぐらいは出来ると思うぞ?」

(´・ω・`)「だって、ブーンが嘘とかつけると思う?」

('A`)「把握した」

(´・ω・`)「それゆえ、この作戦も僕達だけで遂行する必要がある。
      だから、他の皆には秘密にしとえおこうか。」

異論は無かった。



116: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:27:33.67 ID:/XNlT2lg0
  
('A`)「じゃあ、セカンドはシニアから助っ人を呼ぶか・・・
   誰がいいだろう・・・」

(´・ω・`)「と び き り の ペ テ ン 師 を 頼 む 」


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118: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:28:39.17 ID:/XNlT2lg0
  
国分は自然を装うためにブーンに誘ってもらった。

そして、今日まで俺は表情や感情をコントロールする特訓を繰り返し行った。
その成果もあって、今日学校を早退する演技をしたとき先生にすげー心配された。
ちょっと悲しかった。



119: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:30:29.72 ID:/XNlT2lg0
  
先頭打者の竹原への投球の組み立て、それは球筋を見やすい外角に二球続けた後、
竹原の得意なコースにストレートと見せかけた「カットボール」を投げ込み
打ち損じを狙うというものであった。
気性の荒い上に下級生たちを舐めている竹原、得意な内角に投げ込めばフルスイングで引っ張ってくる。
そこに芯を微妙に外すカットボールがくれば打ち損じてくれる。
その自信がショボンにはあった。



121: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:31:13.10 ID:/XNlT2lg0
  
モナーをダブルプレーにしとめた場面、モナーの性格とミートが巧いという特徴
からして正攻法で来るだろうとショボンは予想していた。
あの場面で確実にチャンスを広げるならエンドランしかない。
二番打者、フサギコを塁に出しておけば向こうのやる事は限られてくる。
フサギコの足は速くは無い、もし走ってきたらエンドランだ、その場で首だけを二塁に向けて
相手を欺け――ショボンは前もって国分にそう指示していたのだ。
しかしこのプレー、一流のペテン師である国分だから出来た事だ。
マジで、国分の目立たないファインプレーであった



122: 作者 ◆9G12fmecqU :2007/05/07(月) 17:31:41.61 ID:/XNlT2lg0
  
(´・ω・`)「次はこっちの攻撃だ先頭バッターモララー!!頼むよ切込み隊長!! 」

( ・∀・)「任せろ!!先頭打者ホームランだ!!」

もう、ショボンの言うことは全部嘘に聞こえる。こうやってただモララーを励ましている時でさえ・・・。
あぁ、もう戻れない、昔の純白の自分には、あぁ、もどれない、もどれない・・・。


一回表終了

上級生0−0下級生

―――第八話「ショボンがなにやらたくらんでいるようです」完



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