( ^ω^)と4色の音色達のようです

3: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:39:07.01 ID:TUI9RzqJ0



       《 第6音 「双駆吹奏」 》




(;^ω^)「僕が…世界を滅ぼした人間の、子孫?」

川 ゚ -゚)『…』


誰に対するでも無く呟いた言葉は、静かな空間に吸い込まれるように消えていき
皆一様に黙り込む様子がそれを肯定していた。


(  ω )「………」

ξ゚听)ξ『内藤…』

(;・∀・)「あ、いや…」


しばしの間を置き、黙り込んだ僕の様子を見ると
困ったような表情を浮かべながらモララーさんが口を開いた。



5: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:40:19.86 ID:TUI9RzqJ0

(;・∀・)「そうは言ってもね、過去の事は過去の事で…時代の流れと言うか…
      この場合はしかたない事だったのだと僕は思うのだよ」

(;'A`)「そ、そっすよ! そんな昔の事なんか関係ないってかいうかさ!」

ノハ;゚听)「い、今を生きろおおおおおお!!!」

「そうだそうだ!!」

「がぁんばれーーー!!まっけーんなァーーー!!」


すると空気に流されたのか、すかさず他の方々も激励の言葉を送り始めた
やがてその場に居た全員が一斉に声を張り上げ
既に個の音を捉えられなくなったと言うそれは正にララパルーザであった。

ノハ*゚听)「ちぃからぁのぉおお、かぎり生きてやれぇえええええ!!」

Σ(;^ω^)「ちょ、え、なんぞ!?」

('A`)「まあ元気だせ、な?」

ノパ听)「デネブキャンディもあるぞ」

単に考え事をしてただけなのだが
これは、つまり、僕が心配されている状況……なのだろうかこれは

(;^ω^)「お? あー、いや、えーと、別にそれについては何とも思ってないお…」



7: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:41:51.51 ID:TUI9RzqJ0

( ・∀・)「じゃあ…何か思う所でもあったかい?」

( ^ω^)「…その」


その過去というのは、僕が見るあの夢

赤く火の海に包まれ、滅び行く見知らぬ何処かの情景…あれと何か関係があるのだろうか?

…もしかして

実はその世界が滅ぶ当時の光景が僕の中に眠っていて云々とか、なんかそんな凄い夢なのだろうか?
そして、その夢の中に例の失った技術があってどうこうとか、そういう話の流れなんだろうか?


(;^ω^)「…かなぁ、とか思ってみたり」

( ・∀・)「ふむ…」


川*゚∀゚)『ねーよwwwwwww中二乙wwww』


Σ(゚ω゚;)「!?」

川 ゚ -゚)『なんでもないぞ』



8: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:44:35.96 ID:TUI9RzqJ0

(li ω )「……」

言わなきゃよかった事って、世の中あるよね

(;・∀・)「…まあとにかく、これは少しショックな話かと思ってたんだけど…そうでも無いみたいだね?」

(;^ω^)「うーん…あんな話いきなり言われても全然ピンと来ないお」

そう、我ながら当然だ、僕はそもそもブーンと呼ばれた人達が居た事すら知らなかったんだから
そんなの作り話だろ…とまでは言わないが、まるでその話に対して実感が湧かない
つまり、へぇボタンを何度か押す程度にしか感じないのだ。


( ・∀・)「そう…そうかもね、じゃあ後何か聞きたい事はあるかい?」

(;^ω^)「むう…」

( ^ω^)「あ、それで結局どうして僕を狙ったんだお?」

(;・∀・)「狙っ…いや、だから君がそのブーンの血を」

(;^ω^)「そうじゃなくて、何で僕がそうだと分かる、いや分かったんだお?」

( ・∀・)「ああ、そういう事か、それはね…」

川 ゚ -゚)『ボクが起動したからさ』



10: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:46:14.84 ID:TUI9RzqJ0

(;^ω^)「kwsk」

( ・∀・)「そうだね…少し面倒な話だけど
      これは随分と昔の話、僕等の家は先祖代々ブーンについてを研究してたんだよ
      けどずっとその謎を解き明かす事はできなかった…」

(´・ω・`)「当時に分かってたのはせいぜい振動機が音に反応するって事くらいかな?」


(;・∀・)「あれ君、生きてたの?」

(;´・ω・)「…え?」


( ・∀・)「まあ、そんな訳で八方詰まりだったんだけど
      僕の叔父だったかな、クーが宿る4奏器の内一つを見つけたのは
      そしてそのピアノを元に更に研究していったんだけど、対して成果は挙げられなかった」

( ・∀・)「と、そんな時…」


(;´・ω・)(しゃ、喋っていいのかな…)

('A`)「っ…早く台詞言えよ」

(´;ω;`)「ある日を境に時折、振動機、及びそのピアノが何かの音に大きく反応する事があった!
      それでその発生源を辿っていくとある場所に辿り着いた!!」



11: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:47:43.82 ID:TUI9RzqJ0

(´;ω;`)「それでその音って言うのが君、内藤君が街中で演奏している所だったんだ!」


('A`)「おう、んで俺がその調査をしてた…ら、あんたが持ってる物が4奏器なんじゃないかと疑惑が湧いた
   そしてこっそりと音源を持ち帰って反応を見てみたらどんぴしゃり、そこのクーが突然目を覚まし起動したんだよ」


( ・∀・)「そして、彼女の協力を得た事で一気に振動機の研究が進み
      各震動波の相違による振動機の応用法、音源供給と発生動力保持運動、奏法認識、エトセトラ…
      そしてそれら全てを保持利用の為に、あの巨大振動機械人形が開発されたってわけだ」
      
( ・∀・)「と、ここまで把握かな?」


わけがわかりません、特に後半。


(;^ω^)b「に、日本語でおk!!」

ξ゚听)ξ『いいから、黙って聞くの!』

(li^ω^)「…はあく」


( ・∀・)「うん、そして機が熟する時まではそれら全てを伏せて
      準備が整った時に初めて内藤君を正式に迎え入れるつもりだったんだけど…」



12: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:49:00.95 ID:TUI9RzqJ0

('A`)「どっから漏れたのかは知らねーが、帝国がそれを知り、この国に攻め入ろうとしてる事を知ってな
   …いや、知った時には既に進軍は始まっていた、そんでこっちは大慌てであんたを連れ出した訳さ」


( ・∀・)「と、まあ今回の事はこんな感じだよ、理解してくれたかな?」

(;^ω^)「把握…だけど、いくらなんでも酷くないかお?」

( ・∀・)「何がかな?」

(li^ω^)「だってあんな…せめて普通にここまで連れて行くとか、そういう…」

ξ゚听)ξ『そうよ、泥棒みたいな真似して、気絶させて、説明の一つも無しにアレに乗せて…
     それでどうにかしようなんて言語道断ね、正気を疑うわ』


川 ゚ー゚)『それは仕方ないさ、展開を省略する短編の名残ってやつだよ』

ξ;゚听)ξ『たん…ぺん?』

川 ゚ー゚)『どうかしたかい?』

ξ;゚ー゚)ξ『い、いえ…』



14: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:50:30.98 ID:TUI9RzqJ0

川 ゚ -゚)『まあ、あれだ、本当ならとっくに最終話の筈だったんだけどね…』

ξ゚听)ξ『そうなんですか?』

川 ゚ー゚)『ああ』

ξ*゚听)ξ『へえ…』


( ^ω^)「…」

ツンは表情をころころ変えながら答えている。

…なんだか忙しい子だなぁ、なんて事を考えながら様子を眺めていると
とつぜん思い出したようにハッと顔を上げ、身振り手振りしながら軽くヒステリックに叫んだ。


ξ♯゚听)ξ『…って、そうじゃなくて!』

川 ゚ -゚)『ん? あと何話で終わるのかって? それは――』


続いて、きぃー!!とでも擬音が付きそうな勢いで手をぶん回し
モララーさんの方を睨みつけ、ちゃんと説明しなさいよ、と捲くし立てた。



15: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:51:37.28 ID:TUI9RzqJ0

(;・∀・)「うんまあ、なんだ、「勢いに任せれば行けるぞおお!」という意見があってね…」

('A`)「ですよね」

川 ゚ -゚)『そうだったね』

(´・ω・`)「うん」

ノハ*゚听)「こっち見ちゃいやん」

皆の視線が一点を向くと、その先ではヒート女史がてれりこしている
なんとなく、その当時の映像が脳内に見えた気がした。

( ・∀・)「…そんな訳で特に考えもなく実行に至った訳だ」

(;^ω^)(なんという適当な方々、これは間違いなくノリだけで生きている)

( ・∀・)「まあ見事うまく行ったし、結果オーライかな」

ノパ听)「ですよね」

ξ♯゚听)ξ『いやいや! 結果オーライじゃないでしょ、ちょっとは考えなsいよ!』

川 ゚ -゚)『考えない?』

ξ;゚听)ξ『かんじゃった…』



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 22:53:23.95 ID:TUI9RzqJ0


川 ゚ー゚)


ξ゚听)ξ『…なんですか』

川 ゚ー゚)

ξ゚听)ξ『…』

川 ゚ー゚)

ξ♯゚听)ξ『きいいいいいっ』


……。


( ^ω^)「…」

そうして、モララーさんとその他数名が笑い合い。
対してツンが怒りながら必死に突っかかる。
それをクーがさらりと受け流し宥めている。

…いや果たして本当になだめているのかは分からないが。

とにかく変な光景だなぁと、僕はそんな様を一人ぽかんと眺めていた。



18: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:54:19.65 ID:TUI9RzqJ0

(;^ω^)(あれ?)

さてこの状況をどうしようか、なんて考えを巡らせる内に、ふと思い立つ。
そういえば結局の所、彼女等…ツンとクーは何なのだろうか?
4奏器がどうとかは聞いたけど、それだけじゃどうにもよく分からない。

…いや待てよ、それ以前に、そもそも大事な事を忘れていた。


(;^ω^)「あの、それで僕のヴァイオリンは?」

( ・∀・)「ん? ああ、あれはリィンの内部に格納されているよ」

(;^ω^)「へ!? いや、だってツンがそうだとか言う話じゃなかったのかお?」

( ・∀・)「それもそうなんだけど…そうだね、話すと長くなるんだけど…」

(;^ω^)「産業で…」

( ・∀・)「まず、始まりはクーの目覚めだった、それから…」

(;´ω`)(聞いちゃいねえお)


……。



19: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:55:55.14 ID:TUI9RzqJ0

(;^ω^)「呪い…かお?」

ノハ;゚听)「そう、亀の呪いだよ!!!!」

(;'A`)「だってウラタ○スが亀甲キックすると絶対巨大化するじゃん、呪われてるとしか思えん」

ノパ听)「それが分かるから、こないだも金ちゃんにとどめを譲ったのだ!!!」

(;^ω^)「な、なるほど…!!」


川 ゚ー゚)『つまり亀を蹴ると必ず巨大化する訳だね?』

ξ゚听)ξ『そうですね』


飛び交う会話が続く中。

時刻は既に夕暮れ時、窓の外はオレンジに染まり、浮かぶ雲の隙間には薄く星が輝き
どこからか反射してきたのだろう夕陽の光線が室内に優しく差し込み始めた頃


( ・∀・)「さて、今日の所はそろそろ解散にしよう」



22: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 22:57:43.25 ID:TUI9RzqJ0

言葉が響き、何だかんだで和気藹々と談笑していた僕等にピリオドを打つと
ドクオが壁に掛けられたシンプルな時計に目をやり、何処か嬉しそうに言う。

('A`)「お、なんだ、もう定時過ぎてんじゃん」

ノハ*゚听)「早くタイムカード切らなきゃ!!!」

('∀`)「だな、残業はごめんだってのw」

Σ(  ω )(バイトだったのかお!?)

(;^ω^)「あっ!!ていうかライダーの話してる場合じゃないお!」

ツンとクーについて、そもそも話の内容はそれだった筈なのだが
気付けば大きく脱線し、仲良く別のお話を繰り広げていたのであった

(li^ω^)「おかしいお、何処から話が変わったのか記憶にないお…」

( ・∀・)「うん、じゃあ内藤君、詳しくはまた明日来てくれるかな?」

(;^ω^)「うう…把握だお」


( ・∀・)「みんなもお疲れ様、気をつけて帰るように」

('A`)「うーい、おつかれー」

ノパ听)「おつかれ今年の猛暑!!」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:00:33.77 ID:TUI9RzqJ0

(´・ω・`)「あ、いいですか?」

( ・∀・)「ん、どうしたのかな?」

(´・ω・`)「今朝、僕のタイムカード無かったんですけど…」

( ・∀・)「えーじゃあけさはかーどきってないんだねー、じゃあきょうのきゅうりょうはなしだね」

(;´・ω・)「え」


「じゃあ乙〜」

そうして一人、また一人と一礼し去っていく
僕は何となく行き際を見つけられず、それを見届けていた

川 ゚ー゚)『どうしたんだい?』

(;^ω^)「お、いや…そういえば僕ここが街の何処なのか分からないお」

再三に渡り、色々と移動を強いられたおかげで現在地は既にさっぱり分からない
いくら自分の住む街だからと言っても、普段通らない場所に行けば当然迷う
とにかく道くらい聞かない事には出るに出られなかった。

( ・∀・)「ああ、それなら大丈夫だよ、クー」

川 ゚ -゚)『分かってる、ボクが案内するよ』



24: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:01:35.51 ID:TUI9RzqJ0

( ・∀・)「うん、お願いね」


クーはこくりと頷くと、それを合図に入り口へと向かった。

不意に、この二人はなんだか雰囲気が似ているなぁ、なんて考えが頭に浮かぶ。


川 ゚ -゚)『さ、行くよ』

そんな思考に呆けて見ている僕を、彼女が呼びかけた。
案内すると言う事は、とにかく付いて行けばいいのだろうと察した僕は彼女を追うべく歩を進め


( ・∀・)「今日は本当にお疲れ様、そしてありがとう、内藤君」


去り際に軽くモララーさんへ挨拶を交わし
入り口に浮いてる彼女に追いつくと、ツンがふわふわと横に並び、僕等はその場を後にした。



……。



25: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:02:55.69 ID:TUI9RzqJ0

外は一面、夕日に染められオレンジ色。


振り返れば、今しがた僕等が出てきた建物が鎮座し、鼠色をした広大な壁が視界を覆っている
4階分はあろうかと言う壁の所々に窓が並び、離れた建物同士の間をいくつか通路が走っていた。

ここはどうやら研究所の様な場所だったのだろうか
所々の壁はひび割れ、古ぼけた外観、けれど何処か圧迫するような空気を醸し出している
そうして、夕焼けが照らす世界の中を先導する彼女がこちらへ向きなおし、口を開いた。


川 ゚ -゚)『さて、まずは何処を目指せばいいかな?』

(;^ω^)「あー…と、中央の噴水広場まで行ってもらえればおkだお」

川 ゚ー゚)『うん、分かったよ』

クーは優しげに微笑むと再び進み始め、僕等は黙ったままそれを追った。
見上げた空には未だ青が残るも、端から少しづつ黒に染められ、綺麗なグラデーションを描いている。

夜の色が空を覆い、大地は夕焼けを纏う。

僕は、そんな様子を見つめながら、本当に色々あった一日の終りを確かに感じていた。

歩き続ける内に、幾つもの似通った形の建物群を抜け、工場跡を過ぎ、やがて大通りへと行き着いた
そこでは人が行き交い、ひび割れが続くアスファルトは所々下の様子を顕にしながらも
それとは対照的に、割と新しめな家屋が隙間無く何処までも続いている。



26: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:04:31.15 ID:TUI9RzqJ0

昔の戦争についての話を改めて聞いたせいだろうか。

見慣れた筈のその景色は何処か切なさを感じさせた。


その道中、人が集まっている所を何度か通り過ぎ、聞き耳を立てれば
何処かの地区は完全に崩壊し、復旧は無理らしい事や、白い巨大なロボットが云々
とにかく昼間の事で色々と騒然としている事は理解できた。


( ゚д゚ )


ただ…それよりも。


( ゚д゚ )            ( ゚д゚ )
       ( ゚д゚ )
( ゚д゚ )        ( ゚д゚ )



(li^ω^)「…」



28: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:08:16.57 ID:TUI9RzqJ0

ξ゚听)ξ『やっぱり昼間の事が色々問題になってるのね…大丈夫かしら』


( ゚д゚ )


川 ゚ -゚)『うん、けどあまりパニックは起きてないみたいだし、今の所は大丈夫じゃないかな』


( ゚д゚ )


ξ゚听)ξ『…そうですね、けどこれから先どうなるか』


( ゚д゚ )


川 ゚ー゚)『それは今考えてもしょうがないよ』



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:09:00.33 ID:TUI9RzqJ0

  ( ゚д゚ )
    ( ゚д゚ )       ( ゚д゚ )      ( ゚д゚ )

 ( ゚д゚ )     ( ゚д゚ )         ざわ…
                 ( ゚д゚ )
( ゚д゚ )
           ざわ…          



(li^ω^) ξ゚听)ξ「そうですね…」 
       川 ゚ -゚)「うん」

                        (   )

(   ) 
        (    )
                 ざわ…
ざわ…                (    )

(   )



31: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:10:15.33 ID:TUI9RzqJ0

この二人だ、僕の横をふわふわと飛び回る小さな少女達が、先程から周囲の視線を釘付けにしている
そこかしこから視線を感じ、通り過ぎた人は必ず振り返り、我が目を疑っている。
いや、どちらにせよ隠しようが無いというのは分かっているが、これではとてもじゃないが落ち着かない

というかあんな騒動の後なんだから少しは自重した方がいいんじゃないでしょうか?


ξ;゚‐゚)ξ『あ…っ』

ふと、ツンが漏らす様に声を上げた

何となく気になって視線の先を見ると、そこには大きな人だかりが出来ている。

(;^ω^)「お?」

更によく見れば。
巨大な地面にぽっかりと開いたくぼみがあったり、何か機械の残骸らしき物が転がっていたり

そして…更に奥に見えた景色は、心に重く圧し掛かった。

まるで、そこだけが別の空間になってしまった様な光景
崩壊した建物、焼け焦げた家屋、そして融解する地面が見える悲惨な状況。

徐々に沈んでいく夕日を背に、そこにはただ、戦いの爪痕がはっきりと残されていた。



35: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:12:31.15 ID:TUI9RzqJ0

その惨状に、悲しいと言うよりも先に恐怖を覚えた

これを行ったのは帝国が送り込んできた変な戦車だ。

そうは思いつつも、自分はこの破壊活動に関わってしまっている、だから…何となく責任を感じてしまう

通り過ぎ様、さめざめと泣き続ける人や、膝をつき嘆く人々
誰かの名を必死で叫ぶ人達に、心の中でそっと謝罪の言葉を思っていた。


ξ゚‐゚)ξ『…内藤、ほんとうにいいの?』

そんな心中を察したか、ツンは何時に無く優しい声で僕に問いかけた

( ^ω^)「…何がだお?」

ξ゚‐゚)ξ『あんなに簡単に明日も行く、なんて返事をしちゃって、それでいいの?』

 行けば、どうなるか分かるでしょ?
彼女の言葉にはそんな続きがあると思った。

(  ω )「…」

何故だろう、確かに流れされて言ってしまった感はある

行けば、きっと、また否応無しに色々と巻き込まれるのが容易に想像できる
こんなのはもう勘弁してほしい、というか行かない方がいいだろう、常識的に考えて…



36: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:14:25.35 ID:TUI9RzqJ0

だから行かない方がいい、何もかも忘れて、またいつもの生活に戻るのが最善だ。


そう理解し、思いつつも、それに相対する単純な好奇心があった


確かにとんでもない事の連続だったが、こうして無事に済んでみれば、全てはまるで遠い過去の様で
むしろ、今はもっと色々知りたいとさえ思うようになっていた。


そうだ、思えば僕は知らない事が多すぎるんだ
この世界の事や情勢、そればかりか僕の住むこの街の事さえあまり把握していない
ただでさえ昔の記憶が無いのに加えて、生活する上での行動範囲も本当に狭い物だったから


特に拾われた当時は…あまりはっきりとは覚えていないけど、いつも部屋の中に閉じ篭っていた


そして、いつもヴァイオリンを眺めていた、いつも、ずっと側にあった木目調に見惚れていた


ふと思い出したのは、ちょうど今の様な夕焼けの光が照らす室内の模様
まるで写真に収めた様な動きの無い情景、むかし居た自分の部屋、過去と呼ぶ記憶の断片



37: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:15:52.56 ID:TUI9RzqJ0

薄暗い室内を窓から差し込む陽光が照らし、部屋を包む影に四角形の穴が空く。
僕はベッドの横に座り込んだまま、何をするでもなく、オレンジの光に照らされるそれを見つめていた


何故かは分からない、けれど、不思議とそれだけで心が安らぐのを感じた
だから静かに、何を思う事も無く、毎日飽きもせず、あるいは眠る様に。


…思えば当時の僕は…生きてはいなかったのかもしれない


何故自分が存在するのか理解出来なかった、そもそも自分が分からなかった
意味が分からない、分からなくて、なにもわからなくて、何をする気にもなれなかった


死にたいとは思わなかった、出されたご飯は全て食べた、お風呂にも入って、夜は静かに眠りについた


けど生理的な問題以外で部屋を出る気にはならなかった

ただ、ただ、時間だけが過ぎていく。


朝が来れば陽が昇るのを待ち、昼になれば陽が落ちるのを待ち、夕方になれば月が昇るのを待つ。



38: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:17:27.49 ID:TUI9RzqJ0

こうして日々が続いていくのだと、こうして終わっていくのだと。
半ば諦めにも似た感情で時が過ぎていくのを待っていた。


(,,゚Д゚) ミ,,^Д^彡


更に浮かんだのは二つの顔。

そんな僕を二人は何度も外へ連れ出そうとしてくれた。


(,,-Д-) ミ,;-д-彡


けれど、思い返す当時の二人は、何処か気落ちした表情ばかり
じゃあまた、と言葉だけを残して寂しそうにドアの奥へと消えていく、そんな記憶だけが鮮明に残っている。


だから、想う度に胸が締め付けられる


なんて薄情な真似をしていたのか、想えば泣きたいくらい息が苦しくなる


本当に申し訳なく思う、馬鹿だった、あんなにも優しさをくれたのに、僕はそれを全否定していたんだ



39: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:19:02.82 ID:TUI9RzqJ0

どれ程がっかりしたのだろう、どんなに寂しい思いをしただろう、何度溜息を吐かせていたのだろう
想う度に悔しくて、辛くて、けれど嬉しさも混じった複雑な感情が湧き上がって胸が奮える
だから感謝している、尊敬している、僕の大事な、大切な家族を。

そして、そんな当時の僕に、教えてくれた


あの子を――


(* ー )

(  ω )「…」


(*゚ー゚)(……………)


( ^ω^)「…ん?」


そこまで考えて、彼女の名と共に猛烈な勢いで記憶が回る
まるで忘れている何かを思い出そうとするように、色々な思考が頭を駆け巡った。

その末に。


(*^ー^)(また明日、いつもの公園でね?)



40: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:20:38.57 ID:TUI9RzqJ0

(;゚ω゚)「ぁ…あ、あ、あ…」

(li ω )「アーーーーーーッ!!!!!」

ξ;゚听)ξ『!?』

川 ゚ー゚)『なんだ、いくら着いたからってそこまで驚かなくてもいいだろうに』

(;^ω^)「へ? あれ?」

川;゚ -゚)『なんだ、大丈夫か?』

今日は大事な約束があった事を今更ながらに思い出し、堪らず叫んでしまった
僅かに混乱する頭で、キョロキョロと辺りを見回せば見覚えのある場所が広がっている
ここは間違いなく、僕のいつもの演奏場所である広場だった。

(;゚ω゚)「あわわわ…」

川 ゚ -゚)『WAWAWA? 一体どうしたんだ?』

冒頭以来の話になるが、今日は昼頃にしぃと公園で待ち合わせの約束があったのだった
完全に失念していた、その申し訳なさも当然あるが、今回はただ行かなかったってだけじゃない。

昼間にあんな事があってばかりだ、きっと間違いなく心配している
どうしよう…もう帰ったよね…それとも今も僕を探していたり、なんて…?



42: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:22:04.54 ID:TUI9RzqJ0

( ^ω^)(いやそれはないよNE)

ξ゚听)ξ『?』

(;^ω^)(ない…ない、ないの?)

川 ゚ -゚)『どうだろうね』

(li^ω^)(で、でも…もしそうだったら…)

いや待て待て僕、その前に大事な事が抜けている


そもそも、みんな、無事なのか?


(;゚ω゚)(こ、こーしちゃおれん!)

(;^ω^)「ふ、二人ともごめんだお! 僕ちょっと用事を思い出したからここまででいいお!」

ξ;゚听)ξ『え?』

(;^ω^)「案内してくれて本当にありがとうだお!!」

川 ゚ -゚)『ふむ?』

(;^ω^)ノシ「それじゃあ!! また明日ーーーー!!」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:25:08.20 ID:TUI9RzqJ0

突然の事にぽかんと僕を見ていた二人に背を向けると

(;^ω^)(…ってそういえば今日ここからこうして走り出す状況って二度目じゃないかお?)

似たような展開しか書けないのかと内心突っ込みながら全速力で駆け出す。

まずは何処へ向かうべきか、ギコさん達か、しぃを探すか

…しぃの方だ、あの二人ならきっと大丈夫、それより彼女が心配だ
思うや否やすぐに一つの場所が思い浮かんだ。

(;`ω´)(星は現場へ戻るもんだお!!)

目指すは最初に約束をした場所、ここからすぐ近くにある公園だ
そうして既に暗くなり、家々から零れる灯だけが照らす道を駆け抜ける

色々あったせいか、既に疲れきった身体は重く、激しく息が切れ、汗が止め処なく溢れてくる
普段ならすぐに着く筈の場所はここに来て異様なまでの遠さを感じさせた


(; ω )「ぜえっ…ぜえっ…!」


ただ、気だけが焦る、全身の感覚が遠のいていく様な錯覚を覚え
やがて呼吸の声と心臓の音だけがやたらはっきりと耳の奥に響いた
ふいに見渡せば、この周囲は特に被害を受けた様子も無く、ひとまず安堵の声が漏れる。



44: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:26:53.89 ID:TUI9RzqJ0


と、視界の隅に何かが入った。


僕のすぐ斜め後ろ、その正体は
髪を後方へとなびかせながら飛翔する、三人の少女の姿

Σ(;゚ω゚)「うわお!?」

突然視界に飛び込んで来た姿に仰天した僕は思わず変な声を上げてしまった。

だって音がないんだもの、気配がないんだもの
そりゃ驚きますよ、びっくりですよ

ξ゚听)ξ『?』

从 ゚∀从『?』

何事かと、堪らず立ち止まると、息切れが急激に襲いひとまず息を整える事に勤める
だがクーはそんな事などお構いなしに問いかけた。

川 ゚ -゚)『我々はどこへ向かっているのだろう』

(;^ω^)「はあ…はあっ…いや、な、なんで着いて来てるんだお!」

ξ゚听)ξ『…この先にある公園ですよ』

(li^ω^)「…なんで知ってるんだお」



45: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:28:15.51 ID:TUI9RzqJ0

ξ--)ξ『なんでも何も、私はあんたの、あのヴァイオリンなのよ?』

( ^ω^)「…」

ふと思った。

ふと気付いた。

背筋を嫌な感覚が走った。

既に汗で濡れる身体を、更に嫌な汗が伝った。

(;;^ω^)「あの、ツンさん、それはもしかして、今までの僕の行動は全て見てきた、と言いたいわけですか?」

ξ゚听)ξ『ええ、ずっと前から』

(li^ω^)「え…うそ……ええっ?」

見られてた?ぼくの私生活、全て?あんなことやこんなことも?
楽器が語る僕の嬉し恥ずかし赤裸々私生活デイズ、迫り来るは正に絶望か。

( ゚ω゚)「まじか」

ξ゚听)ξ『落ち着け』



46: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:30:28.32 ID:TUI9RzqJ0

(li ω )「くっ…」

いや。

ここはあれだ。


…忘れよう。

うん、これ以上深く考えたら僕はもう二度と立ち直れない気がする
そうだ気にしたら負けだ、負けなんだ…

( ^ω^)「さようなら昨日の僕、こんちには明日の僕」

ξ;゚听)ξ『壊れた…それよりいいの? 早く行かないで』

(;´ω`)「うう…」

川 ゚ -゚)『確か公園だったね、ちなみに名前は?』

从*゚∀从『確か、コンビニ公園だっけ…?』

川 ゚ -゚)『コンビニ…聞いた事あるよ、たしか苛烈な死戦場を越えた先にあるという死の古代遺跡だと…』

川;゚ -゚)『この空気、間違いなく――――近い…!!』

ξ゚听)ξ『そうですか』



47: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:32:23.70 ID:TUI9RzqJ0

(;^ω^)「それよりなんか増えてないかお?」

从 ゚∀从『あ、どうも、初めまして、あたし高岡ハインリッヒって言います』

川 ゚ -゚)『彼女は三つ目のデータウェポ…4奏器の一つだよ』

(;^ω^)「…はい?」

从*゚∀从『よろしくです、あたしのことは本名じゃ長いので、略してハリヒと呼んでください』

川 ゚ー゚)『ハリヒか…いい名だ』

(li ω )(危ない! なんだかわからないけどそれは危ない!!)

突然に次ぐ急展開に最早思考が追いつかなくなってまいりました
だが今突っ込むべき所は名前じゃない。

(;^ω^)「ていうか、なに普通に増えてんだお? 話の流れを無視するんじゃねーお」

从;゚д从『え…もしかして、あたし…いらない子ですか……?』

(;^ω^)「いやいや!!そういう問題じゃなくて、もう少し登場時の空気っていうか…
       普通何かのイベントをこなして初めて増えていくみたいなそういうのをですね?」
 _,
川 ゚ -゚)『こんなにもハーレム展開なのに彼は帰れという』



49: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:35:33.91 ID:TUI9RzqJ0

从 ;∀从『あ、あはは、そうですよね…ごめんなさい…あたしなんかが混ざっていい場所じゃないですよね…』

(;´ω`)「そんな事言われても…」

川;゚ -゚)『正に外道!』

ξ;゚听)ξ『ちょちょ、クー先輩! これ以上話をややこしくしないでください!!』

川 ゚ー゚)『だがそれがいい』

从 ;∀从『…鬱だよぉ…高岡ハリヒは憂鬱だよぉ…』

ξ♯゚听)ξ『うっせえ黙ってろ!!』

从;゚∀从『…!! ちくしょう誰がこんなことを』


そうして三人はその場でぎゃーぎゃーと騒ぎ出し
僕はもはや完全に置いてけぼりを喰らっている。

(li^ω^)「ちょ、もう…なんだおこれ、どうしろと…」

川 ゚ー゚)『にぎやかなのはいい事だ』

(li ω )「…」

やがて、混乱する思考に光明が差した。



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/25(水) 23:37:08.19 ID:TUI9RzqJ0

ここはあれだ。


スルー。


( ^ω^)ノ「じゃ、そう言う事で!!」

ξ;゚听)ξ川 ゚ -゚)从;゚∀从『あ』

僕はとりあえず全て見なかった事にして再び走り始めた。


……。



夜の帳が下り、虫の音が響く夜の公園に僕は辿り着く

木々が覆い茂り、入り口である二つの石塔には【コンビニ公園】と文字が掘られ
そこにある大きな立て看板にはありがちな注意事項が細々と書かれている。

入り口から奥へと続く一本道は綺麗に整備され、円形のゴミ箱は溢れ出さんばかりに一杯だ
そして街灯の存在しないその奥へと続く道は暗闇に包まれ、なんとも言い難い不気味さを醸し出していた。



51: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:39:26.33 ID:TUI9RzqJ0

(;^ω^)「はあっ、はあっ…」

荒い息を整えつつ、辺りを見回すも当然の様に人の気配は無い

(;^ω^)「…っ…やっぱ居ないかお?」

そう悪態を吐きながらも、何となく感じる希望を胸に
願いを込めながら暗闇の中へと足を進め、散策を始めた。


( ^ω^)「…」

遠めに見た場所はひたすらに威圧的な印象を与えたが
いざ進入してみれば、その内部は見慣れた場所であるせいか、何の恐怖感も無かった
いつもの道は空から降る薄明りに照らされ、まるで異世界にでも訪れた様な気分にさせる

(;^ω^)「…あれ?」



( ^^ω)(犬の糞は持ち帰れよ! 俺が許してもお天道様は許さないホマ!)



ふと見れば木々の間に看板がある事に気付いた

(;^ω^)「…ん? こんなのあったっけ…?」



52: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:40:30.30 ID:TUI9RzqJ0

まあ、そんな事はどうでもいいとして

時間の感覚が狂い出し、もう長い時が過ぎている様な錯覚を感じつつも
実際にはそれほど経っていない時の中を急いだ。


やがて、開けた場所が見え始めた。


(  ω )「あ…」


歩きながらその場所を見つめていると、そこに一つの影を見る
気付けば僕は思い切り地を蹴り、声を張り上げその名を呼んでいた。

影は驚いたようにこちらへ振り返る。


(*゚‐゚)「なー…君?」

( ^ω^)ノシ「しぃーーーー!!」



53: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:43:04.83 ID:TUI9RzqJ0

僅かに戸惑うような素振りを見せた直後、彼女がぱっと笑顔を作り、僕へと駆けた

本当に居た事への驚きよりも、やはり居たという納得が強い事に疑問符を浮かべながらも
今はもういい、と、今だけは全てを忘れて、彼女へ向け走った。


やがてお互いの距離が無くなった。


彼女は僕へ飛びつくと、「よかった」と呟きながら、何度も僕の名を呼んでいた


僕はただ黙って抱きとめていた


色々と聞くべき事があった筈なのに、言葉が何一つ浮かばない


ただ、最後に見えた笑顔に、間近ではっきりと見えた彼女の瞳には大粒の涙が浮かんでいた事
それが、僕の質問の全てを答えてくれている気がしていた。


                                つづく



54: ◆6Ugj38o7Xg :2007/07/25(水) 23:47:50.62 ID:TUI9RzqJ0
次回予告


ミ,,゚Д゚彡「実はネタがないんだ」

(,;゚Д゚)「はあ? なんだよいきなり…」

ミ,;゚Д゚彡「予告のネタが無いんだよおおおおお」

(,,゚Д゚)「うるせえ黙れ」

ミ,,゚Д゚彡「はい」

(,,゚Д゚)「次回は…えーっと…」

ミ,,゚Д゚彡(,,゚Д゚)「………」

ミ,;゚Д゚彡「よ、読んでくれなきゃ泣いちゃうぜ!!」

(,,゚Д゚)「…gdgdだな」

ミ,,;Д;彡「ううっ…」



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