( ^ω^)ブーンがオセロを始めるようです
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:18:59.89 ID:rr6PBs2B0
- 翌日、ブーンは大学のサークル仲間とカラオケに行き、7時過ぎに帰宅した。
オタクではあるものの、それなりに友人はいるのだ。
ブーンは夕飯を食べてから風呂に入り、それからPCの電源を点けた。
( ^ω^)「がっつりアリプロ歌ってきたお。カラオケはやっぱりヲタ同士に限るお」
メッセンジャーを起動すると、ドクオがログインしていた。
( ^ω^)『おいすー』
('A`)『おう。今日は会わなかったな』
( ^ω^)『サークルの仲間とカラオケ行ってたんだお。それより早く…』
('A`)『えーっと、ブーンはハンゲのID持ってたよな。
じゃあオセロの交流ロビー1の10番部屋に来てくれ』
( ^ω^)『把握したお』
('A`)『パスはvipな』
( ^ω^)「ハンゲにログインするなんて、数ヵ月前に麻雀やって以来だお…」
ブーンはログインを済ませ、ドクオの待つ部屋へと入室した。
ピンポーン♪
('A`)『おー、来たか』
( ^ω^)『とりあえず一戦やるお』
('A`)『おk』
('A`)「随分とやる気だな。ま、いい事だ」
ドクオはドクターペッパーのボトルをテーブルに置き、開始のボタンを押した。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:19:45.14 ID:rr6PBs2B0
- 〜数分後〜
「60:4でドクオ さんの勝ちです」
(;^ω^)『やっぱしボロ負けだお』
('A`)『一日で強くなられたら困るww』
しかし、ドクオはブーンの打ち方に前日とは違うモノを感じた。
気のせいだろうか……
('A`)『もしかして、なんか考えながら打ったか?昨日と少し違った気がするんだが』
( ^ω^)『一応、ブーンなりにちょっと考えてみたんだお』
('A`)『ほぅ。言ってみ言ってみ』
どんなゲームにおいても、自分なりに試行錯誤するのは大事な事である。
( ^ω^)『まず、やっぱり返されない四隅は欲しいお。
つまりその四隅から斜め一つ内側に入った四箇所(図1の☆の位置)には置かない方がいいって事だお』
図1
++++++++
+☆++++☆+
++++++++
++++++++
++++++++
++++++++
+☆++++☆+
++++++++
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:21:01.32 ID:rr6PBs2B0
- ('A`)『その辺置いたら、すぐに隅取られちゃうもんな』
( ^ω^)『で、これは正しいか分からないけど…』
('A`)『うん?』
( ^ω^)『隅から辺に沿って二つズレた場所(図2の☆の位置)は、かなりいい感じの場所なんじゃないかお?
なんとなくだけどww』
図2
++☆++☆++
++++++++
☆++++++☆
++++++++
++++++++
☆++++++☆
++++++++
++☆++☆++
('A`)「…へぇ」
ドクオは少し驚いた。
何故なら、ブーンの考えが正しかったからである。
('A`)『まぁ、正解といっておkだな。そこは無難な手であることが多い。
始めた翌日によく気付いたもんだ』
( ^ω^)『いぇーい。けど、それだけじゃ全然勝てないお?』
('A`)『まーな。けど、方向性は分かってきたじゃないか』
勝つ為には隅が欲しい。
相手に隅を取らせないように、隅に隣接した場所には置きたくない。
つまり、相手にそういった場所に石を置かせれば…
自分で道筋を見出だしたブーンは、既に前日の彼とは違う。
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:22:20.33 ID:rr6PBs2B0
- ('A`)『うし、じゃあまず基本から教えるぞ。まずはだな』
( ^ω^)『まずは?』
('A`)『…すまん、カーチャンが風呂入れって』
( ^ω^)『なんだってー!?』
('A`)『悪いな。けど安心しろ、初心者にオススメのサイトがある』
( ^ω^)『そんなのがあるのかお?』
('A`)『本とかあんま出てない分、逆に攻略サイトは結構あるんだぜ。それじゃ、明日学校でな』
( ^ω^)『おーう』
( ^ω^)「便利な時代になったもんだお。どれどれ…」
ブーンはその後、ドクオから教わったサイトに軽く目を通してから寝た。
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:23:12.84 ID:rr6PBs2B0
- ( ^ω^)「おはようだお」
('A`)「おはようって時間じゃないけどな」
時刻は昼の12時過ぎ。
二人はそれぞれ午前の授業を終え、学食に来ていた。
('A`)「ポップン15、隠しで新堂曲復活って噂はマジなのかね」
( ^ω^)「ブーンが始めた頃はもう消えてたから、事実だったらかなり嬉しいお」
('A`)「どうなんだろうなぁ……あ、そうそう。昨日教えたサイトは役に立ったか?」
( ^ω^)「おぉ、目から鱗が落ちまくりだったお!読んだだけでなんだか強くなったような気がするお」
ブーンはオムライスを食べながら、興奮した口調で話す。
('A`)「うし、じゃあ復習してみようぜ」
( ^ω^)「余裕だお!まず、最初から石を多く返していくのは大間違い!少なくとも途中までは自分の石を少なく保つんだお」
('A`)「うむ。で、それは何故だ?」
( ^ω^)「え?それは……えっと、なんと言うか…」
ブーンの口の動きが止まった。
自分の石を少なくするべきだというのは覚えているのだが、その理由が思い出せない。
( ^ω^)「うーん、うーん…」
('A`)「相手の置ける場所を少なく、自分の置ける場所を制限する為だ」
( ^ω^)「あぁ、そうだったお」
確かにそう書いてあったが、忘れていた。
やはり、実践してみないことにはよく理解できないものだ。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:24:51.18 ID:rr6PBs2B0
- ('A`)「もう一つ『相手を囲むな、囲ませろ』ってのがあったのは覚えてるよな。なんでか分かるか?」
( ^ω^)「…やっぱり、相手の置ける場所を少なくする為かお?」
('A`)「その通りだ。相手が打てる手を制限してって、置きたくないような場所に石を置かせる。
それがオセロの基本的な戦術だな」
そこまで話して、ドクオはまず最初に教えるべきであった事を思い出した。
('A`)「そうだ。ブーン、まずはこれを覚えろ」
( ^ω^)「お?」
ドクオは鞄からルーズリーフを一枚取り出し、ボールペンで大きな正方形を書いた。
そして縦横に七本ずつ線を引き、8×8のマス目を作った。
( ^ω^)「これは…オセロの盤かお?」
('A`)「ああ。で、これを書き加える」
ドクオは盤面の左上端のマスの上にa、左に1と書いた。
A B C D E F G H
1++++++++
2++++++++
3++++++++
4++++++++
5++++++++
6++++++++
7++++++++
8++++++++
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:35:48.96 ID:rr6PBs2B0
- ('A`)「いちいち『端からどっちに何マスずれたところ』なんて言うのは面倒だろ?
だからオセロではマスの位置をa1からh8で表す。AAでは大文字になってるが、小文字と思ってくれ」
( ^ω^)「ほほう…左上の端がa1で、右下の端がh8ってことかお」
オセロは将棋やチェス等と違って石が一種類しかないので、棋譜も容易にとれる。
('A`)「あぁ。だからブーンが言ってた『四隅から中央に一つ入った置きたくない場所』はb2・b7・h2・h7になるわけだ。
ここはX(エックス)とも呼ばれる」
ドクオは更に、紙にいくつかの文字を書き込んだ。
http://www.uploda.net/cgi/uploader2/index.php?file_id=0000033300.jpg
( ^ω^)「テラキタナスwww それはさておき、A、B、C…?各辺のその場所をそれぞれA・B・Cって言うのかお?」
('A`)「ああ。辺の攻防の説明に使う。
作者は何度AAを作ってもズレるからペイントで描いてみたんだが、見ての通り汚い。
読者の皆には http://www.othello.org/lesson/lesson/term.html の図を見て欲しい。
ホント、行を表すa〜hは小文字で書きたいんだが…大文字にしないとズレちゃってな。勘弁してくれ」
さて、次は何を教えるべきか。
と言うか、戦術めいた事はまだほとんど教えていない。
(;'A`)(何から教えたもんかな…)
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:37:16.98 ID:rr6PBs2B0
- ( ^ω^)「そうだ、ドクオはこの後授業なかったお?」
眉根を寄せて悩んでいたドクオであったが、ブーンのやる気に満ちた表情を見ている内に考えがまとまった。
_
('A`)「よし、パソコン室行くか!この時間、食堂だと人が多すぎるからな」
( ^ω^)「そうこなくっちゃだお!ブーン!」
('A`)「あ、走るな!こら待て……って、もう行っちまったし」
ブーンは瞬く間に人込みに紛れてしまった。
追いつくのを諦め、ドクオはゆっくりと立ち上がった。
二人分の食器を片付け、食堂の出口へと向かう。
('A`)(うし、何連戦でもやってやろう)
そうだ。理論も大事だが、まずは対戦数をこなさなくてはならない。
彼にやる気があるならとことん付き合ってやろう。
('ー`)「その中で生まれた疑問に答えてやるのが、俺の役目ってもんだな…」
(女学生A)「あの人なんか一人でブツブツ言ってない?」
(女学生B)「キモーい」
('A`)「今すぐ死んでしまいたい」
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:38:10.32 ID:rr6PBs2B0
- 〜PC室〜
ここには数十台のパソコンが設置されており、生徒達は自由に使用することができる。
とはいっても、一部のサイトにはアクセスできないようになっているが。
例えば――
( ^ω^)「2chは見れないのかお…」
('A`)「ハンゲとかのネトゲも無理だぜ。けど、普通のサイトは大概見れるわな」
ドクオはgoogleで検索し、手早く目当てのサイトにアクセスする。
( ^ω^)「何をしてるんだお?」
('A`)「オセロのソフトをダウンロードしたのさ」
ドクオがDLしたソフトの名前は「Zebra」。ゼブラと読む。
最も有名であり、非常に優秀なオセロソフトである。
('A`)「じゃあ何戦かやってみるか。さっきのコツを忘れるなよ」
( ^ω^)「ボコボコにしてやるお!」
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:39:54.66 ID:rr6PBs2B0
- 〜15分後〜
(;^ω^)「…何戦やっても昨日とあんまり変わらないお」
('A`)「ふむ、そろそろいくつかアドバイスしてやろう」
ドクオはゼブラの再生機能を使い、二人の試合を最初から再生し始めた。
ドクオが黒、ブーンが白を持った一局だ。
('A`)「まずはここだ。ブーンはなんでここに打った?」
( ^ω^)「数を少なくする為に、石を一石だけ返したんだお」
('A`)「ん、おkおk。それは『一石返し』っつう基本にして有効な技だ」
ドクオは再生を進めていく。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:40:47.98 ID:rr6PBs2B0
- 図1(最終手を星印で表しています)
A B C D E F G H
1++++++++
2++++++++
3++●○+○++
4++●●○○++
5+++●●●++
6+++○★●++
7++++++++
8++++++++
図2
A B C D E F G H
1++++++++
2++++++++
3+☆○○+○++
4++●●○○++
5+++●●●++
6+++○●●++
7++++++++
8++++++++
('A`)「じゃあ、この時はなんでb3に置いた?(図1→図2)」
( ^ω^)「さっきと同じ理由だお」
('A`)「ほう。じゃあなんでc6じゃなくてb3に置いたんだ? c6も一石返しだぞ」
( ^ω^)「え…っと……」
なんとなくでc6に置いたが、考えてみれば確かにその通りである。
この場合はどこに置くのが正解だったのだろうか?
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:41:29.07 ID:rr6PBs2B0
- (;^ω^)「駄目だお、分かんないお。どう考えればいいんだお?」
('A`)「次に相手が打ちにくい形を作ってやろうと考えるんだ。
この場合のb3とc6はどちらも悪かないが、その後黒が打ちやすい状態になってる。
そうだな…ここでは一石返しではないe7がいいっぽいな」
図3
A B C D E F G H
1++++++++
2++++++++
3++●○+○++
4++●●○○++
5+++●○●++
6+++○○●++
7++++☆+++
8++++++++
( ^ω^)「お、黒が白の塊をすぱっと横切ったお」
('A`)「こういう手を『中割り』って言うんだ。内側を綺麗に横切るようにすると、自分の打てる場所を増やす好手になる。
図2から黒にe3と内側に入ってこられると面白くないだろ?
対して図3では、黒e3はそんなに良い手とは言えない」
- 34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:42:29.16 ID:rr6PBs2B0
- 図4
A B C D E F G H
1++++++++
2++++++++
3+++○++++
4++●○○○++
5++●●○○++
6+++●+☆++
7+++●++++
8++++++++
('A`)「もう一つ大事な手筋に『引っ張り』がある。図4を見るんだ」
( ^ω^)「ふむ。中割りで打つならe4かお?」
('A`)「だな。それもアリだが、この場合はD2が最善っぽいな」
図4−2
A B C D E F G H
1++++++++
2+++★++++
3+++●++++
4++●●○○++
5++●●○○++
6+++●+○++
7+++●++++
8++++++++
('A`)「こういう風に自分の色がまとまってる側に『引っ張って』、相手に壁を破らざるを得ない状況を作る手だ」
( ^ω^)「なるへそ」
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:43:22.92 ID:rr6PBs2B0
- ('A`)「まぁ、代表的なのはこんなもんだな……って、スマン。もう一つ教えておかないといけないことがあった」
( ^ω^)「?」
('A`)「『単独C打ち』についてだ」
図5
A B C D E F G H
1+☆++++++
2++++++++
3++++++++
4++++++++
5++++++++
6++++++++
7++++++++
8++++++++
('A`)「A・B・Cの位置は覚えてるな?」
( ^ω^)「図5の☆の所とかがCだお」
('A`)「おk。辺に打つときは、いきなりCに打つのは基本的に駄目だ。よっぽど研究してる手でない限りはやめとけ」
( ^ω^)「なんでだお?」
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:44:31.22 ID:rr6PBs2B0
- 図6−1
A B C D E F G H
1+●+++○++
2++++++++
3++++++++
4++++++++
5++++++++
6++++++++
7++++++++
8++++++++
('A`)「図6は黒がC打ちした直後に白がA打ちした図だ。この時点で白は隅を1つゲットしたも同然だ」
( ^ω^)「というと?」
('A`)「例外はあるが、基本的に黒がどう抵抗しようと隅を取られちまうんだ。図6の後の展開を見てみろ」
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:45:12.56 ID:rr6PBs2B0
- 図6−2
A B C D E F G H
1+●++●○++
2++++++++
3++++++++
4++++++++
5++++++++
6++++++++
7++++++++
8++++++++
A B C D E F G H
1+●○+●○++
2++++++++
3++++++++
4++++++++
5++++++++
6++++++++
7++++++++
8++++++++
('A`)「ここまでくればもう分かるんじゃないか?」
( ^ω^)「えーっと、黒がc1に打ったらa1の隅が取れるお」
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/17(木) 20:46:27.44 ID:rr6PBs2B0
- ('A`)「ああ。で、黒がe1に打つとだな」
図6−3
A B C D E F G H
1+●○+●●●+
2++++++++
3++++++++
4++++++++
5++++++++
6++++++++
7++++++++
8++++++++
('A`)「こうなるから、白はc1に入り込んで両方の隅をゲットだ。
図6−1の後、黒が別の所に打っても基本的には隅を取られる。
上手くイメージできなかったらhttp://www.othello.org/lesson/lesson/general.htmlの真ん中あたりからの説明を見てくれ」
( ^ω^)「序盤から隅取られるのは嫌だお…単独のC打ちは控えるお」
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