( ^ω^)がどこまでも駆けるようです
- 96: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:31:21
第32.5章 暇人 北東で
星数多の英雄豪傑が理想を追い求め駆け抜けた【金獅子王】の御世。
かの時代は、一癖も二癖も併せ持つ者達が実に多かった事でも知られている。
『その中で、一番の変わり者は誰か?』と言う質問に対しては、実に答えが別れるところだ。
【天智星】ショボンや【金剛阿】兄者は当然として。
【金剛吽】弟者。【第六天魔王】ダディ。【不敗の魔術師】ツー。【祝福の鐘】ハルトシュラー。
また、守銭奴レーゼ。ぐうたら公女クー。男装の麗人レモナ=マスカレイド。酒乱フィレンクト……。枚挙に暇が無い。
かえって、【天使の塵】フッサールや【評議長】ニダーなどの“常識人”の方が
肩身が狭い思いをしていたのでは無いかと、要らぬ心配までしてしまう。
だが、『当時の英雄たちの中で最も自由で、飽きっぽくて、能天気な人物は誰か?』
と言う問いに対しては、その答えはおそらく一つに絞られる事であろう。
爪゚∀゚)『……暇ですネ』
その人物こそ、ヴィップ王国・重装騎兵部隊【天馬騎士団】が長、ニイトの槍騎士リーゼである。
【神算子】レーゼの実妹にして、ニイト地区での要人警護責任者である近衛侍中の官職を与えられた者。
自身もヴィップが誇る五騎将の一角を占める実力者だ。
戦場では突撃用の大槍を軽々と振り回し、その腕前は【赤髪鬼】ヒート以上。膂力に限定すれば、遥かに上回る。
姉とは正反対の意味で融通が利かぬ面こそあるが、与えられた拠点を守りとおす様な場面では無類の力を発揮する。
戦士としても指揮官としても、万騎将ジョルジュと互角に戦ってみせた程なのだ。
その彼女は今、頬杖をついて憂鬱そうな視線を窓の外に送っていた。
場所は【経済都市】ニイト城。
紅茶色の瞳に映る空は灰色の雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうであった。
- 97: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:32:25
- 『……お暇なら、少しは真面目にお仕事したらいかがかしら?』
爪゚∀゚)『やはー』
背中にかけられた声に、リーゼはくるりと振り返った。
そこに立っていたのは、白金色の髪を持ち、黒いゴシック調の絹服を着込んだ女性である。
両手には山のような書類を抱きかかえ、引き攣った顔つきは不機嫌さを取り繕うともしていないように思える。
爪゚∀゚)『でも、そーゆーのはレーゼの仕事であって、リーゼの仕事じゃないですヨ?』
jハ#*゚ー゚ル『そのレーゼがいないから言っているのですわ、お馬鹿さん!!
元より貴女の事務能力には期待しておりませんが、猫の子程度の仕事は出来ますでしょう?』
重厚な樫づくりの卓に書類をどさりと置きながらヒステリックな声をあげたのは、【祝福の鐘】ハルトシュラーである。
ヴィップ王国唯一のラウンジ人であり、元・情報屋。
生まれは北の大国でも有数の貴族と言われているが、その家を捨ててアルキュに住みついた“変わり者”だ。
彼女がヴィップの経済を支える、アルキュ各都市の闇市を通して『モスコーに異変あり』の報を受けたのと、
ヴィップ城に傷ついた砂漠の老将が転がり込んで来たのは、ほぼ同時であった。
その数日後、中書令【天智星】ショボンから『急時に備え出兵の準備を整えよ』と正式な命が伝えられる。
まさに『どうしてこうなった』と言いたい気分だった。
2年以上もマトモな休みを取っていない経済の専門家を気遣って、【金獅子王】ツン=デレの生誕祭に送り出したのが10日ほど前。
その為に自分も“最愛の人”に会いたい気持ちを必死で堪えたのだし、皆で随分業務を前倒しで進めた筈だ。
それが、何もこんなタイミングで問題が起こらなくても良いだろう、と思わず天を憎みたくもなる。
爪゚∀゚)『ま、そこまで言うならリーゼの秘めた力を解放してあげましょうかネ』
jハ*゚ー゚ル『……レーゼの髪の毛一本ほども役立って頂けたら、褒めて差し上げますわ』
- 98: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:34:27
- 走り回りやすいようにと、腰までたくし上げ縛っていた橙色の官服の裾を解くと、リーゼは卓の側に座を引き寄せ腰を下ろした。
ハルの毒舌に傷ついたわけではないし、勤労意欲をかき立てられたからでもない。
暇だったから、と言うのが最大の理由なのだが、ハルからすれば理由など些細な問題だ。
要は、少しでも結果を見せてくれれば、動機は何だって構わないのである。
更に言えば、ハルの官職は太府門下内部官。つまり、情報収集や経済網の管理が職務なのであって、出兵準備など全くの管轄外。
であれば、軍務令。軍事部門に所属するリーゼこそがしっかり働いてくれないと、どうしようもないのだ。
爪゚∀゚)『じゃ、ちょっと書類見せてもらいますヨ?』
jハ*゚ー゚ル『えぇ、お好きなように。まずは、そちらのフンボルト様からの報告書など如何ですか?』
ニイトの南西、カンパリ城に滞在するフンボルトは、行政官として有能なだけでなく、ヴィップ国軍の騎兵部隊を影から支える立役者でもある。
かつて【戦鍋団】副団長を務めていた経験を生かし、島内で燻っていた自由騎士達をヴィップ領内に呼び集め、屯田兵として登用した。
また、北の廃砦を港町ギブソンとして甦らせ、元牧畜国家であったニイト領内には優秀な軍馬を育てるための牧場も作り上げている。
ヴィップ軍といえば騎兵、と言うのが当代の評価であったが、その基盤を作りあげたのがフンボルトと言う男であった。
爪゚∀゚)『ほぉ……これはこれは……なるほどですネ。流石はフンボルト。素晴らしいですヨ!!』
jハ*゚ー゚ル 〜♪
爪゚∀゚)『えぇっ!! まさか雲の上でこのような大事件が起こっていようとは誰が予想できたでしょうか!?』
jハ*゚−゚ル
爪゚∀゚)『恐怖の大魔王!! 暗黒将軍皇帝!! 滅びの闇天使!! それに、よりによって竜の巣ですか!?
う〜む。なんと言う事でしょう!! 最悪……最悪ですヨ!! おっぱい垂れちゃいますヨ!!』
jハ#- -ル
- 99: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:36:27
- 爪>∀<)『グレイト!! ビューティフル!! ファンタスティック!! エクセレーーーーンt』
jハ#゚Д゚ル『あああああああああああああああああああっ!! うるさいっ!!』
そこで遂に、ハルの堪忍袋が木っ端微塵に弾け飛んだ。
行き場の無い怒りをぶつけるように、じったんばったんと手足を振り回す。
ちなみに、彼女が怒りを爆発させるまでに、書類は一枚たりとも片付けられていない。
jハ#゚Д゚ル『何ですの!? 一体、何のつもりですの!?
貴女の頭の中には綿菓子でも詰まってらっしゃいますの!?
それとも、子鼠が水車でも回してらっしゃるの!?』
爪;゚∀゚)『やはははは』
jハ#;Д;ル『何で笑ってらっしゃいますの!?』
喚き散らすハルの瞳には、薄っすらと涙まで浮かんでいる。
が、実を言えばこれは彼女にも非がないわけではない。
『学術のセンスを全て双子の姉に奪われた』と言われるだけあって、
リーゼに事務作業をさせようというのは、麦畑で魚を釣ろうとするような物だからだ。
この女騎士がハルに近寄ったのも、あくまで暇潰しのためだけであって、そもそも彼女は読み書きすら不得手なのである。
『……あまりいじめてやるなよ、リーゼ』
と、そこまで騒ぎが紛糾したところで、ようやくそれまで我関せずを貫いていた男が口を開いた。
『厄介事は御免だ』とばかりに無視を決め込んでいたのだが、ここに来て手を出さずにいられなくなったのだろう。
(´<_` )『なぁ、いくら貴様が馬鹿でも我らが忙しくしている事くらいは分かるよな?』
- 100: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:38:14
- ヴィップ王国・司書門下刑部官【金剛吽】弟者。
【獅子の都】ヴィップにおいて見事な知識を披露してみせた【金剛阿】兄者の実弟である。
兄者をして『ある意味、自分以上の天才』と言わしめた義手の隠密は、自身の職務がニイト領内の警備であり、
兵に触れる機会も多いからとハルの助太刀を買っていたのだ。
にも拘らずずっとリーゼの暴走を無視して来たのは、実体験で『変人は放置するに限る』と知らされ続けてきたからである。
爪;>∀<)『いやー。キャラの濃い兄姉を持つ者同士、弟者ならリーゼの心を理解してくれると思ってたんですケド?』
(´<_` )『知るか馬鹿』
爪#゚∀゚)『リーゼなんて26章からずっと出番が無かったんですヨ!?
ちょっとくらい、出番が多い人と絡んだっていいじゃないですか!?』
(´<_` )『あぁ、それは何と言うか……すまん』
番外編だからこそギリギリ許される発言を、弟者は華麗に受け流す。
自身やハルも第3部に入ってようやくの出番であるのだが、その発言が火に油を注ぐ物である事を彼は知っているのだ。
一見してインパクトは強いのだが、実はクセが強すぎてどうしても使いづらい人物。
そんな事実を口にしようものなら、本編に再登場するより早く死亡者リスト行きになりかねない。
jハ#゚ー゚ル『で、そんな影の薄い私達を集めて、何をしようと言うのかしら?』
(´<_` )『そうだな、本題に入ろうか。
リーゼ。お前は、第3部に入ってゴチャゴチャと入り組んだ今の状態をしっかり把握出来ているか?』
爪;゚∀゚)『え? えーっと、ですネ』
- 101: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:40:20
- 爪>∀<)『さっぱりうっかりぴっかりきっかり、まったくなっとくぶっとぶかんとく
ちちんぷいぷいちんぷんかんぷん、どきどきもぐっちょの、も〜ぐたん♪ って分かりませんでしたヨ!!』
jハ*゚ー゚ル『ですわよねー』
(´<_` )『ぶっちゃけ、作者も過去投下分を何度も読み直さないと書けない状態だからな。
まぁ、面倒な部分はコレが最後でこれ以上複雑化する事は無い予定なのだが……。
そんなわけで、現状何もしていない我らが再度まとめあげる事になったのだ』
爪゚∀゚)『なんとびっくり、これだけの説明をするまでに150行!! ここまで書くのに3時間!!』
jハ*゚ー゚ル『いくら全く構想していなかったとは言え……こんなだから筆は進まないわ、用量ばかり増えるわ……なんですわ。お馬鹿さんね』
(´<_` )『止めろ。その一言で、また無駄に量が増える。
では、まず混乱の原因となった神聖ピンク帝国から話を進めるぞ』
━━━━━法王庁(東部5国)
法王トマス1世を頂点とするマタヨシ教団の正当な総本山。
政治との結びつきが強くなりすぎたマタヨシ教の現状を憂い、政教分離を訴える。小乗派。
主に、財を持った個人商人の支持を受ける。
ル∀゚*パ⌒ |゚ノ ^∀^) 爪 ,_ノ`) 斥 'ゝ')
━━━━━教皇庁(西部7国・神聖国教会)
教皇ストーン1世を頂点とするマタヨシ教団の新興団体。
その正体は、法王選定会議で小乗派に敗れた大乗派集団。
神聖ピンク帝国皇帝と強い繋がりを持ち、政教一致を主張する。
主に、支配者階層や彼らと結びついた大商人の支持を受ける。
(’e’)
- 102: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:43:49
- ( ´_ゝ`)『で、法王は貿易の中継点、アルキュにも目をつけた。
今まで大乗派と繋がりがあったモナーから、小乗派のフッサールにメンヘル族の指導者を変えようと考えたわけだな』
jハ*゚ー゚ル『貿易権を独占してしまえば、西部7国が何をしてきても勢力は維持できますわね』
(´<_` )『そういう事だ。だが、この試みは失敗に終わった。
やはり貿易権を独占される事を恐れた西部7国は皇帝に泣きついて国教会の設立を認めさせる。
そいつらが時を同じくしてモナーに接触していたからだな』
jハ*゚ー゚ル『で、山間の戦いでフッサール様は見事に負けてヴィップに逃げ込んできたわけですわね?』
(´<_` )『うむ。こうして、モスコー地区に神聖国教会軍10万が駐屯する形が出来上がった。
神聖ピンク帝国に続いて、メンヘル族分裂の始まりだな』
━━━━━メンヘル族大乗派(モスコー地区)
神聖ピンク帝国教皇派と結んだメンヘル族集団。
( ´∀`)……大乗派思想によってアルキュを統一しようと考えており、国教会を受け入れる
( ゚∋゚) ( ・へ・) 川д川 (-@∀@)
━━━━━メンヘル族小乗派
ミ,,゚Д゚彡……山間の戦いで敗れ、アリスやシューと共にヴィップへ亡命する
(*゚∀゚)……敗残兵をまとめあげ、レモナやシャオランと共にスピリタス城の西で抵抗中
lw´‐ _‐ノv
- 103: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:44:52
- 爪゚∀゚)『それで、目論見が外れて貿易相手を無くした法王庁は大慌て。
恐怖のもぐら人間を相手に地中での貿易ルートを開拓していくわけですヨ』
jハ*゚ー゚ル『やめなさい、お馬鹿さん。補足で混乱させてどうするんですの?』
(´<_` )『安心しろ。その馬鹿のいう事をマトモに信じる者などおらん。
貿易ルートを断たれた法王庁としては、このままではドンジリだ。
海の民を新たな貿易相手にしていく事になるだろう。
いや、元々法王を支持する個人商人は海の民と取引があったからな。
既に繋がっていると考えてもおかしくない』
jハ*゚ー゚ル『法王・海の民vs教皇・メンヘル族の絵図の完成ね』
━━━━━海の民(シーブリーズ地区)
法王庁との繋がりは財貨獲得の好機。
国教会と手を組む事も考えられるが、そうなったとしても裏で法王側との取引は続けると考えられている。
彼らにとって法王・教皇の争いがどうなろうと知った事ではない。
むしろ、泥沼化すればするほど暗躍する機会が増えると考えていても不思議は無い。
l从・∀・ノ!リ人
jハ*゚ー゚ル『ここで大切なのは、法王側とモナーが繋がる事はありえない、と言う事ね。
つまり、法王側は海の民と繋がりを持たざるを得ないわけですわ』
(´<_` )『逆に、海の民にとっては法王庁は実に都合の良い取引相手。財布みたいな物だ。
もし、メンヘルや教皇側が海の民との平和な付き合いを考えた場合、
教皇側が要求するのは、法王との決別。海の民が要求するのは、その損害を穴埋めするだけの現金だろう。
が、海の民が都合の良い財布を手放す筈が無く……表では教皇に従い、裏では法王と取引を続ける筈だ』
jハ*゚ー゚ル『そう考えると、教皇側から見れば海の民と付き合うメリットは無いわけね。
その分の資金を別の事に使った方が、よっぽど効率的だわ』
- 104: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:45:47
- (´<_` )『話をヴィップに移すぞ。まず陛下の生誕祭において、アルキュ島最大勢力の長・ニダーの訪問を受けた』
jハ*゚ー゚ル『なんか、気に入らないですわ。やけにタイミングが合いすぎていると言いますか……』
(´<_` )『だが、最大の問題がモスコー方面にあると言うのも確かな話だ。
ニダーの話も特に辻褄の合わぬ所があったわけでは無いしな』
━━━━━リーマン族(評議会 デメララ地区 バーボン地区 ローハイド地区)
狂信的なラウンジ親交者【人形遣い】フォックスの失脚により、デレ王家との接触が可能となった。
メンヘルへの出兵が行われる事になれば、兵を挙げるであろう事はほぼ確実。
<丶`∀´>……先代の白衣白面に所属。戦乱を避けるためにラウンジに従っていたが、生誕祭においてツンへの恭順を明らかにした。
爪'ー`)y‐……ラウンジ親交論者。過去、多くの陰謀に関わってきたがハインに敗れた。現在行方不明。
(`・ω・´) /;3 ( ФωФ) ( <●><●>) 从'ー'从 (-_-)
━━━━━ラウンジ王国
北の大陸において良質の鉄を多く採掘する、鉄の王国。
過去、統一王ヒロユキの暗殺やモララーの殺害にも関与し、評議会を傀儡として操ってきた。
が、フォックスを失った事で支配力は弱体化。評議長ニダーと黄金の王ツン=デレの接触を許す事になる。
宗教と言うパイプでメンヘル族と繋がっている神聖ピンク帝国と異なり、アルキュとは貿易上の接点しか持たない。
故に、アルキュ島への影響力は南の大国に半歩遅れを取っており、常にアルキュ侵攻を目論んでいる。
爪゚∀゚)『この、ラウンジが絡んできた辺りで頭からくるっぽーって鳩が出てくるデスヨ』
(´<_` )『こいつらがいなければ、話はもっと簡単に進みそうだからな。簡単に整理するぞ』
- 105: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:46:52
- jハ*゚ー゚ル『覚えておきたいのが、メンヘルや国教会との戦い方次第で、ラウンジが押し寄せてくるって事ね』
(´<_` )『そうなったらゲームオーバーだ。だから、そうならない道を選ばなければならない』
━━━━━ヴィップ王国の選択肢
@みんな仲良くしようよ!! 法王と教皇の和解を仲介する
A出てけよ〜 入ってくるなよ〜!! 法王側と組み、侵略者・神聖国教会を追い出す
Bまぁ、モスコー地区の管理者が変わるだけだし…… 出兵はせず、国教会のモスコー駐屯を認める。南の大国の内紛には関わらない
C我らは教皇様の僕でございます アルキュ島全体を教皇に譲り渡す
D我らは法皇様の僕でございます アルキュ島全体を法王に譲り渡す
E助けて、ママ!! アルキュ島全体をラウンジに譲り渡す
爪゚∀゚)『みんなでシーブリーズを袋叩きって案は無いんですかネ?』
(´<_` )『それは……Cだな。だが、何が悲しくて侵略者と手を組まねばならんのだ。
で、それぞれのルートを選んだ時、考えられる結果がこうなる』
━━━━━それぞれのルートを選んだ時の結果
@非現実的。打つ手も無く両者の戦いは泥沼化し、神聖ピンクの脅威を恐れる必要のなくなったラウンジが侵攻開始
Aメンヘル・神聖国教会を相手に大戦争。猶予は半年。それを過ぎたら……
B両者の戦いは泥沼化し、神聖ピンクの脅威を恐れる必要のなくなったラウンジが侵攻開始
C体裁を捨ててラウンジ侵攻開始。教皇主導の南の大国vsラウンジの戦いの舞台に
D体裁を捨ててラウンジ侵攻開始。法王主導の南の大国vsラウンジの戦いの舞台に
E属国化。アルキュを足がかりにラウンジが神聖ピンクに攻め込むか、法王と教皇が和解して攻め込んでくるか……
(´<_` )『グッドエンドに繋がるのはAだけだな。法王庁としてもアルキュ支配までは考えていないようだし、
バッドエンド一直線のDは望むまい。Aが一番ありがたいと考えるのではないかな』
jハ*゚ー゚ル『シーブリーズはC以外のルートならどれも上手く立ち回りそうね。領地にはあまり興味が無いみたいだし』
- 106: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:47:43
- 爪゚∀゚)『でも、これだけ見てると、神聖国教会にはどこをどうやってどこまでどうしてもグッドエンドが無いんじゃないんですかネ?』
(´<_` )『そうだな。神聖国教会にとってグッドエンドに繋がるルートはBかCだ。
しかも、尚且つラウンジに侵攻を許さないだけの“大義名分”が必要になる』
爪゚∀゚)『あ、嫌な予感ですヨ』
(´<_` )『あぁ、聖地管理者の証。聖杯だ』
━━━━━聖杯
唯一神マタヨシが磔刑にあった時、胸に突き刺された槍から滴った血を受けたとされる杯の事
フッサールの天星十字槍やギコの七星宝剣。聖骸・聖骸布・聖杖・聖冠などと並ぶ聖遺物
聖地管理者の証であり、浮浪者やリーマン族ですらこれを持つ者はメンヘル族最高指導者として認められる
(´<_` )『Bのルートを選んだ場合、聖杯を手にすれば教皇側はグッと有利になる。
ヴィップも法王庁もシーブリーズもモスコーの国教会軍に手を出せなくなるからだ。
国教会とモスコーの繋がりを恒久的な物とする事も出来るし、そうなればじわじわと勢力を拡大していく事も出来る』
jハ*゚ー゚ル『長期的視野で見れば一番厄介なルートですわね』
爪゚∀゚)『Cで聖杯持ってる場合はどうなるんですかネ?』
jハ*゚ー゚ル『聖地管理者の証を持っているのに、わざわざアルキュ全部を奪いに行ってラウンジを怒らせる必要が何処にあるのかしら?
だったら、足がかりはあるのですもの。のんびり時間をかけて東部5国もアルキュも従わせていく方が確実だわ』
(´<_` )『聖杯さえ押さえれば、モスコー駐屯にもいくらでも言い訳が出来る。
管理者として“法王を語る反逆者から聖地を守る”とでも言えば良いのだ。
そうすれば、法王側と組む者を正義の名の下に征伐する事すら可能。
そこまで態勢を整えておいてもラウンジが動くとなれば、それはすでに暴走という物だろうよ』
- 107: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:48:14
- (´<_` )『ここでもう一つの勢力を補足しておこう。モテナイ王国だ』
爪゚∀゚)『本編でもなかなか登場しない影の薄い国ですネ』
jハ*゚ー゚ル『影が薄い事はないんですけれどね。どうにも何を考えているか分からない国ですわ』
━━━━━モテナイ王国
【黒犬王】ダイオード率いる軍事国家。
周囲をヴィップ勢力とリーマン勢力に包囲されている為、モスコー出兵の際はヴィップ側に着くと予想される。
が、君主ダイオードが病に倒れたとの説もあり、積極的に動くかは不明。
モスコー動乱制圧後、天下取りに動く為の芝居か?
/ ゚、。 / 川l.゚ ー゚ノ! ('A`) (=゚ω゚)ノ (.≠ω=) ( ´ー`) (=゚д゚) ヽiリ,,゚ヮ゚ノi
jハ*゚ー゚ル『ショボン様はデメララに侵攻するって読んでるのですわよね?』
(´<_` )『むしろ、ヴィップ・ニイト・バーボンを取る事に意味は無いからな。
デメララを制圧すれば、ネグリタとラパランと言った港町を手中に出来る。
そうすれば、鉄の貿易権はモテナイの物だ』
爪゚∀゚)『シーブリーズと組んでるんですよネ?』
(´<_` )『今はまだ分からん。が、その通りだとしたら最終局面はヴィップ勢力とモテナイ・シーブリーズが生き残る事になる』
jハ*゚ー゚ル『メンヘルはぐちゃぐちゃ。リーマンは鉄の貿易権を無くして弱体化するものね』
(´<_` )『その場合、もしシーブリーズが聖杯をてにしたら塩の流入は全て押さえられる事になる……。
貿易の玄関口の支配者が変われば流通状態も変化せざるを得ないから、ヴィップにとっては大打撃だ。
故に、ヴィップとしては聖杯を自分達で押さえてしまいたい。
そして、それは国教会軍がモスコーに駐屯する大義名分も無くしてしまえるんだ。
つまり、戦の早期収束にも繋がっていく事になる』
- 108: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:49:39
- jハ*゚ー゚ル『最後に、各陣営の思惑をまとめておきましょうか』
━━━━━(’e’) 神聖国教会
聖杯を奪い、聖地管理者としてモスコーを奪いたい(?)。それが法王側の弱体化・アルキュの支配に繋がる。
━━━━━ル∀゚*パ⌒ 法王庁
モスコーの管理は小乗派の人物に任せたい。聖杯が国教会の手に渡る事だけは避けたい。政敵である教皇を討ちマタヨシ教の原点回帰を。
━━━━━ξ゚听)ξ ヴィップ王国
後の事を考えると、モスコーは親ヴィップの人物が管理してくれる事が望ましい。
また、聖杯を押さえる事は戦の早期終了にも繋がる。国教会軍には退去願いたい。
━━━━━<丶`∀´> 川 ゚ -゚) リーマン族 ニイト公国
ヴィップに従う。
━━━━━( ´∀`) メンヘル族大乗派
神聖国教会とは大乗派と言う繋がりがあり、保護者でもあるが、聖杯を政争の道具に使う事には納得できない(?)
宗教の力をもってしてアルキュ島を一つにしたい。
━━━━━ミ,,゚Д゚彡 メンヘル族小乗派
国教会と言う外部勢力を受け入れた大乗派には、同胞としての責任を感じている。本来は国家や民族よりも個を磨き上げたい
━━━━━l从・∀・ノ!リ人 海の民
上手く動き回って稼ぎたい。モスコーや聖杯に興味は薄いが、それが稼ぎに繋がるなら(?)
━━━━━/ ゚、。 / モテナイ王国
聖杯やモスコーに興味は薄い。むしろ、国教会軍撤退後にこそ……?
━━━━━爪'ー`)y‐ ラウンジ王国
隙あればアルキュを支配下におきたい。
- 109: ◆COOK./Fzzo :2010/03/04(木) 21:50:17
- 爪゚∀゚)『(?)ばかりですネ?』
(´<_` )『それは仕方あるまい。モテナイは何を考えているか分からんし、海の民は第3部で未登場だからな』
jハ*゚ー゚ル『セント=ジョーンズとモナーの繋がりも奥が見えておりませんしね』
(´<_` )『だが、舞台はゆっくりと南に移り始めている。徐々に明らかになっていくだろうさ。
その為にハインリッヒも南に向かったのだからな』
爪゚∀゚)『早く(?)が消える日が来る事をお祈りするのですヨ』
jハ*゚ー゚ル『……と、言うわけでして。以上、第32.5章・暇人 北東で、でございました』
(´<_` )『次回は、第33章 給士の冒険。グサノ・ロホに囚われたハインリッヒの脱出行……そのままだな。
ちなみに、次章も我ら3人は出番が無いに、執筆状況は脱線しまくり状態だ』
jハ*゚ー゚ル『……お馬鹿さんはどうしようもないわね。それでは、皆様。今宵も良いお酒をお楽しみください』
爪>∀<)ノシ『おやすもーーーーーーーーーーーーーっ!!』
( ̄‥ ̄)『……出番。欲しいですね』
|(●), 、(●)、|『……そうですね』
戻る/第33章