( ^ω^)ブーンは色々な本の世界へと旅立つようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:30:32.87 ID:e+WyHM130

今日のこの日を、私はどれだけ待ち望み、そして来ることを拒んでいただろうか。
カレンダーに印をつけ、毎日眺めてはため息をもらしていた。

自分の力のなさをふがいなく思いながらも、友人に対して言ってしまった、あの強がりの一言。

「あんたみたいなおちこぼれが、サモン・サーヴァントに成功するはずないでしょ!」

「私、サモン・サーヴァントだけは自信があるの!」

自分の責任とはいえ、言ってしまったものはしょうがない。
実際、普通の魔法よりはサモン・サーヴァントの方が成功しそうな気もしている。

こうなれば、野となれ山となれ。精一杯頑張って、自分の力を出し切るしかない。

私は自分の部屋で着替えをして、外に出た。洗濯物がたまっているのが目に痛い。

もしあれに成功すれば、こんなわずらわしい雑用からもおさらばなはず。
自分に付き従い、なんでも言うことを聞いてくれる存在が、もうすぐ手に入るのだから。

そして、自分を守ってくれる……はず。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:31:27.93 ID:e+WyHM130

「行こう」

私は金髪の髪を手で梳いて、中庭に向かう。
ロール風にしてみたが、どうだろうか。似合うのだろうか。
1人じゃわからない。傍にいる人が欲しい。
この学園に来て以来、いつも感じていたこと。

大丈夫。きっと、もうすぐ手に入る。そばにいてくれる存在が……

だから、私は命じる。私の思うままの呪文を。
杖を振るい、自分の心の全てを込めて念じるのだ。

現れろ、と。


杖を振るった瞬間、目の前で大きな爆発が起きる。
そして、現れたのだ。私の傍にいてくれる存在が。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:32:38.77 ID:e+WyHM130




(  ゚ω゚)「うは!」

目が覚めた瞬間、僕は爆発音と煙に包まれていた。
なんだこれは? 灰色の煙と、地面に尻をうちつけた衝撃で僕は叫び声をあげてしまう。

白い変な世界を抜けたと思ったら、またこれだ。
もう少し、謎の声の主は穏やかに人を運べないのだろうか。
次移動する時はちゃんと注意してやらないと。

僕は徐々に落ち着きを取り戻し、周囲の状況を把握することに脳の全ての機能を使った。

( ^ω^)「……ここはどこだお?」

さて、これまた見たことのある風景だ。

地面を見ると、辺り一面に芝生が広がっている。緑色の青々とした芝は、触るだけで心地よい。
ちゃんとした職人によって整えられているのだろう。

次に見えるのは、大きな建物……というか、城か?
塔のようなものが何個も立ち、中央に大きな城のようなものもある。
随分古風だ。中世ヨーロッパの写真でよく見る。もしかして過去を題材にした本の世界なのか?



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:34:08.91 ID:e+WyHM130

さて、それでは最後に最も注目すべき点へと移ろう。

それは、僕の目の前にいる少女。

ξ゚听)ξ「……」

友達のツンデレ。

( ^ω^)「つ、ツン!」

ξ゚听)ξ「さlkjfどあいklsdfkじゃお」

( ^ω^)b「日本語でおk」

ツンは僕の呼びかけを無視し、意味不明な言葉を返す。
その顔はなぜか怒っていて、久しぶりに彼女の怒り顔を見た気がした。

彼女は、隣にいる禿のおっさんにすごい勢いで何かをまくし立てている。

って、おっさんがいることに初めて気付いた。
そういえば、その他にも色々な人が周囲を囲んでいた。金髪から赤毛、青い髪をしている人もいる。
随分と現実離れした髪の色をしているが、まあ二次元の世界ではよくあることなので気にしない。
彼らは全員、マントを羽織り、木の棒のようなものを持っている。

って、ツンもだ。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:34:57.03 ID:e+WyHM130

ξ゚听)ξ「sdjふぁsdjf!!!」

おっさん「さdふぁksjfどj」

ξ゚―゚)ξ「……おksdfjl」

おっさん「sfどあsdfj」

おっさんの言葉を聞いて、ツンが深くため息をついた。
と思ったら僕を睨みつけ、何やら近付いてくる。

( ^ω^)(こ、これはもしかして……!)

『なんだ? 知ってる本の中なのか』

( ^ω^)「そういう意味のもしかしてじゃなくて、もしかしてツンは……ツンは!」

そして、僕の顎に手を添えて、近づいてきて……

(  ゚ω゚)(これは……アッー!!)

僕とツンが、初めてのキスをした。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:36:04.35 ID:e+WyHM130




2番目の世界 『ツンデレの使い魔 その1』




11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:37:53.21 ID:e+WyHM130

(  ゚ω゚)「なななな!」

ξ゚听)ξ「てtlじぇぁsdf!」

なんということだろう。

ツンが僕にキス? あれだ、天地がひっくり返ってもありえない。
僕とツンはただの友達で、彼女は僕を少し嫌っていた。僕はまあまあ好ましく思っていたのだけれども。
ツン曰く『冴えない顔と身体が気に食わない』とのことで、事あるごとに僕をいじめてきたものだ。

そんな彼女が、僕にキス?

あははははさあsdふぁsdlfkじゃslkdfj

『落ち着け。これは何かの物語なのだろう?』

( ^ω^)(そ、そういえばそうだったお。確かこれは……)

現代日本ではありえないような建物と、人々の格好。
ツンは黒いマントを羽織り、小さな杖を持っていて、服装も何やら小奇麗だ。

他の人達も同様で、こんな人達が出てくる小説はあまりないはず。

( ^ω^)「中世ヨーロッパの歴史小説? だけど、その割には登場人物の顔が幼すぎるような……」

僕はさらに観察を続けた。
ツンは禿頭のおっさんと話を続けている。僕の方などに目もくれない。
話を聞くことはできなさそうだ。と言っても言葉が通じないけど。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:39:43.57 ID:e+WyHM130

仕方なく僕は周りに目を移した。何か他に情報が欲しかった。
と、とても目立つ容姿をした人がいて、僕はその人に目を奪われる。

( ^ω^)「うはwww おっぱいでけえwwww」

紅い髪をしていて、ものすごく大きな胸を持っている女性。
短くてきわどいスカートと長身があいまって、色気抜群のプロポーションをしている。
        ,. "´ ̄ `  、
      /`´        \
     /       、     `ヽ、
     /  /     !ヽ i i    i
     | / /     ,|/⌒、: |  ハノ
     !`´ i     、\灯`|ノi: /
    人,ノ!: i:    ト、.\. |:.i/ >`ー- 、_
   /   ∧i,    |ヽ ̄ / ∨:::::::::::::::::::::::::::`:::‐ 、
`ー´    :/ .ハ\   k. フ/',:  `ー、:::::::::::::::::::::::::::::::;ヘ
_,./  / i  |\ トイ ! /ゝ、   ヽ;::::::::::::::::::::/!:::ヘ
./   ./'ー.j  |―\!v'⌒ヽ;/´ ` -、i:::::::::::::/ ./::::::::i
     /:::::::/  i::::::::::::ム  ,ノ   /  ヽ:::r ´  /:::::::::::|
    .|::::::/.   |,.- ´  ̄`ヾ;:   /   ∨   i:::::::::::::|
    /:::::i   ,! ヘ、_ _ ,.-, /    ノ 、 ,/::::::::::::i
   /::::::|  .r"   _`__ ∨イ.〉´    , く_/´:::::::::::::/
   /:::::::::!/"ヽ ト、 _,.-y´//_ ,.- く,i  `v、:::::::::::::/
  /:::::::::;/  ノ .人ゝ._,.ノ_,/ ' i    ヽ、 iク:::::::::::/
  /::::::/   ー"  '/      i     ヾ´:::::::::::/
紅い髪の女性「ksdjfぁksdjlwww」

彼女は、ツンの方を見ては何か笑っている。
ああ、なんて色っぽい。あの胸を心ゆくまで揉みまくり、顔をうずめてパフパフッ、としたら天国行き間違いなしなのだろうなあ……



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:40:52.02 ID:e+WyHM130
『……』
( ^ω^)「冗談だお!」

謎の声が何かを言う前に否定しておく。まったく、面倒な奴め。

と、その女性の隣に正反対の容姿をした少女がいた。
        /"         | l      \  l   \   丶    ∧
           /      |   | l     ヽ ∧ ヽ   ヽ   l    ヽl
        ∧/      l   |∧     l│斗、弋.  ̄`ト   |      |
        l /     |  |ヽ   l_厶     | | _j/ \ヽ  |∧ │      |
        | l       l   \X {\ヽ    |/ ァrテ≠=tヽj ヽ |     /
        | l       ヽ/l  >Lニ、\  |   ´}. ヽzイ `  W    l     , -―‐
         j∧   \   \l,イf_.〈_/l  \lr  ┴ー─┴ 、/   / 小-―'´:::::::/¨ヽ
         `、 {  \  \_}__少' ヽーヘ.       /   / / j {:::::::::::::::/
          ヽハ.   \ _ \    /   ` ー──/ イ   / /j ハ!:::::::::/
           ヽ\   乂> ヽ_/ `          /   / /:::::::::::::::/
          .  ヽ{\   ヘ ̄              ,′ 〃 {>ー‐フ
             __\.  ゝ ,    ´`       /  //::::::::: /
          /:::::::::::::::::::::`ヽ ヽ> 、_       イ_j  ./:::::::::::::/
           /:::::::::::::::::::::::::::::::::::\}\>弋i r ≦‐'´/|/::rー‐'´
        |:∧ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /∠ /厂゙ヽ/ :::::::::::::|               /
        |:{:: \::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ _>'┴-/:::::::::::::::::::::\           /
       /¨ ̄ ̄\::::::::::::::::::::::::::::/'´/ j l/ ::::::::::::::::::_, -‐'´\          /
    _/:::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::人// ̄/::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::: \     /
背が小さくて、身体の凹凸が少なくて……雰囲気としては長門っちに似ている。
身体に似合わない大きな杖を持ち、片手間に本を読んでいるのもそっくりだ。

ん、この人達、やはり見たことがある。
そうだ、これはアニメのキャラクターだったはずだ。
確か名前は……『ゼロの使い魔?』だったか?



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:42:43.67 ID:e+WyHM130

ξ゚听)ξ「lksdjfヵslさfd!!!!」

(;^ω^)「な、なんだお?」

突然ツンが僕の目の前に立ち、僕の耳を引っ張る。意味が分からない。
いったい何に怒っているのだろう。
彼女は僕を引っ張ったままその場を去り、城のような大きな建物へと入っていく。

待て、よく思い出せ。確か、『ゼロの使い魔』は魔法使いが人間の使い魔を召還してしまって、
そこからドタバタコメディ&かなり甘々なラブロマンスに発展していく話だったはずだ。

で、この状況。魔法使いらしいツンと、彼女に引っ張られている僕。
周りはくすくすと笑っていて、僕に対して奇異の視線を向けてくる。
おk、よく状況が把握できた。

( ^ω^)(まさか……ツンがルイズで僕が、あの冴えない優柔不断な、名前忘れた主人公かお?)

『そのようだな』

(;^ω^)(って、おかしいお。元いたキャラはどこにいったんだお)

『わからん。どうやら本に混乱が起きているようだな。それともこれも奴の仕業なのか……』

(;^ω^)(おいおい……って、なんか部屋の中に連れてかれるし)

僕はツンに引っ張られたまま、小さな部屋へと連れていかれた。
耳がかなり痛い。この様子だと赤くなっていること間違いなしだ。引っ張りすぎだっつうの。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:44:53.22 ID:e+WyHM130

僕は痛みの引かない耳を押さえつつ、部屋の中でぷんすかと怒っているツンの様子を伺いつつ、僕は部屋を見回した。

大きくて豪華なベッドの上に座っているツンと、何棹もの棚があり、奥には大きな窓がある。
この部屋、小さいとさっき言ったけれども、はっきり言おう。僕の部屋の2倍はある。
その半分を占めているこのベッドは、つまり僕の部屋と同じくらいの大きさというわけだ。
そりゃあ、僕の部屋は4畳ぐらいしかない小さな部屋だけどさ……なんだか惨めな気分になってくるよ。

そんなベッドの上で、足を組んで何やら吼えているツン。

ξ゚听)ξ「lskdfじゃlsjdf!!!!!」

(;^ω^)「な、なんだお? なんて言ってるんだお?」

ξ゚听)ξ「sdlfさdfklj!」

そうか、確かこの世界は日本語じゃなくて別の言語だったっけ。
だが、こっちの言葉のことなんて、まったく分からない。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:46:53.84 ID:e+WyHM130

ξ゚听)ξ「……」

ツンがいきなり黙った。杖を掲げ、それを僕の方へ向けてくる。

あ、嫌な予感。

ξ゚听)ξ「sdlkfじゃl!!!!」

(  ゚ω゚)「ぐはっ!」

ツンが変な叫び声をあげると、僕の目の前でいきなり何かが爆発した。
いったい何が何やら分からず、ああこれが魔法なのかと気付いた時には僕は彼女に対してこう叫んでいた。

(#^ω^)「何するんだお!」

ξ#゚听)ξ「あんたがあまりにも反応が悪いから、お仕置きしただけよ! 悪い?」

( ^ω^)「悪いに決まってるお!」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「って、あ……」

通じた。
ああ、そういえばアニメでもこんな展開だったっけ。
何しろ、アニメも小説も見たのはかなり前なのでストーリーを忘れてしまっている。

まあ、言葉が通じるようになったのは好都合だった。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:48:48.82 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「よかったお、ツン、ようやく言葉が通じたお」

ξ゚听)ξ「おかしいわね、ファイアーボールを出したつもりなのに……まあ、いいわ。
     って、どうしてあんた、私の名前知ってるのよ」

( ^ω^)「あれ? ツンで合ってるのかお? ルイズじゃないのかお?」

ξ゚听)ξ「誰よそれ。私はツン・デ・レ・ヴァリエール。貴族で崇高なる魔法使い、メイジよ」

( ^ω^)「ああ、そういえば魔法使いは貴族だったっけ……で、魔法が使えない人間は平民、と」

ξ゚听)ξ「そうよ、よく知ってるじゃない。あんたは私の使い魔だから、平民以下でしょうけどね」

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「にしてもおかしいわね。どうして使い魔と契約したのに、ルーンが刻まれないのかしら……
     おかげで笑われちゃったし、コルベール先生にまでインチキかと疑われるし……散々だわ」

( ^ω^)「はい? どうにも話の筋がつかめないのですが」

ξ゚听)ξ「なんでもいいわ。何にしろ、あんたは私の使い魔よ。私の魔法で呼び出された、私のための使い魔。
     拒否権も何もないから、そこんところはよろしく」

( ^ω^)「うーん、これはどうするべきか」

僕は考えた。状況はだいたい分かってきたが、どうにもあの物語と今のこの状況は、少し内容が異なっているような気がする。
だいたい、ここがどんな世界なのかを僕が知っている以上、ちゃんとした物語にならないのではないだろうか?



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:51:06.52 ID:e+WyHM130
ξ゚听)ξ「何黙ってるのよ。さっさと働いてちょうだい」

( ^ω^)「どうしてだお?」

ξ゚听)ξ「あんたは使い魔でしょ。使い魔は主人のために働くの。そう決まってるのよ。
     とりあえず、たまってる洗濯物でも洗ってきて!」

( ^ω^)「そんな理不尽な……」

ξ#゚听)ξ「文句あるの?」

ツンは手の棒を僕に向けてくる。あれは魔法を出す杖だったはず。

(;^ω^)「つ、ツン。それよりも話があるんだお。この世界は――」
ξ#゚听)ξ「さっさと行けー!」
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
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   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
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25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:52:45.57 ID:e+WyHM130

(  ゚ω゚)「どわああ!」

魔法による爆発で、僕は外に追い出されてしまった。
洗濯物と共に放り出され、「ちゃんとやってよね!」という怒鳴り声と共に扉を閉められる。
なんと理不尽な……これが使い魔の使命だとでも言うのか。

( ^ω^)「散々だお……」

僕はため息をつき、洗濯物を拾いあげ、長い廊下を歩き始める。
おいおい、パンツまであるぞ……ムフフ。

『変態め』

( ^ω^)「ぼ、僕は何もしてないお!」

『どうだか』

謎の声の非難めいた口調に耐えつつ、僕は外へと向かった。
確か、アニメだと外の水場で洗濯をしていたはずだ。ここは僕もそれに習おう。

しばらく歩いて外に出ると、とても静かな広場に出た。
まだ昼なので外は明るく、少しの間探すと水場はすぐに見つかった。
小さな噴水といったところか。洗濯をするにはちょうどいい。
僕はカゴに入っていた石鹸を取り出し、ごしごしと服を洗い始める。
け、決してパンツ見たさに洗うわけじゃないよ!



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:55:05.66 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「はあ、まさかこんなことをやるハメになるとは……」

『気の毒なものだが、まあこれも本の中なのだから仕方あるまい』

( ^ω^)「けど、どうなってるんだお? どうして僕が物語の主人公になってるんだお?」

このポジションは本来、この本の主人公のものだったはずだ。名前は……なんだったっけ? 斉藤?
まあ、名前なんてどうでもいい。
とにかく、この斉藤(仮)なる人物が、あの美少女魔法使いの使い魔ならぬ下僕となり、
そこから主人と下僕の禁断の愛やら、メイドとの逢瀬やら、ヒーロー活劇へと発展していく物語だったはずだ。
確か、1回読んだらもう物置にしまったっけ。

『分からん。本来はただの街人として召還されるはずだったのだが……なんらかの力が働いたのか、もしくはただの偶然か。
 どちらにせよ、今回はこれでいくしかあるまい』

( ^ω^)「友達を取り戻すため……かお。けど、今回はすぐに見つかったお。
      ツンを元に戻せないのかお?」

『彼女は完全にこの物語のキャラクターと化している。あの黒い元凶が彼女に中に入っている気配もない。
 こんな事態に陥ってしまった元凶が、この世界のどこかにあるはずだ。
 それを消せば、おそらく彼女も元に戻る』



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:57:29.33 ID:e+WyHM130
( ^ω^)「つまり、今はこうやって洗濯をするしかないということかお」

『そういうことだ』

はあ、と僕はため息をつく。
仕方ない。このままここを出て行っても、寝床がない僕は野垂れ死ぬしかない。
ツンの使い魔をやりながら、元凶を探す他ない。

『前にも言ったが、ここは本の世界だからな。元凶が現れるとしたら、主人公であるお前の傍に現れる確率が高い』

( ^ω^)「だから、このまま主人公を演じろというわけかお……疲れるものだ。これでは道化だよ」

『大佐、これも総帥としてお仕事なのですよ』

( ^ω^)「……ノリがいいお」

『まあな』

一通り洗濯を終えて、僕は近くの物干し場でそれらを干していく。
ああ、純白のパンティがまぶしい。もし謎の声がいなければ、この場でむしゃぶりつきたいのに。
くそ、一瞬だけでも謎の声はどっかに行かないものか。

『変態め』

( ^ω^)「男の性だお! ……あ、そういえばドクオはどこに行ったんだお?」

『あの少年か? それなら、自分のポケットを探ってみろ』

僕はポケットに手を入れてみる。すると、何やら丸いものが入っていた。
取り出してみると、飴玉のような黒い色をした玉が入っていた。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 22:59:25.35 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「なんだお、これ」

『なんだとは失礼だな。俺だよ、俺』

(;^ω^)「うはっ!」

いきなりその飴玉から声が聞こえた。
この声、まさかドクオか?

('A`)『ああ、そうだよ。まったく、今の今まで俺のことに気がつかなかったのか?』

( ^ω^)「これはいったいどういうことだお……どうしてドクオが飴玉に?」

『説明してやろう』

今度は謎の声だ。

『本の世界に人を送るというのは非常に高度な術なのだ。
 ドクオという少年は黒い本の力でこちらの世界に送られたが、その呪縛から解かれた以上、現世に戻るしかないのだが……
 現世に戻ると、またあの黒い本に吸い込まれるかもしれん。
 だから、この本の世界でお前の傍に置くことにした。
 だが、私の力では1人だけしか人間の形でこの世界に送り込めない。
 なので、ドクオを飴玉にすることにより負担を減らしたのだ』



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:01:11.53 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「なるほど……イミフだお」

『……ドクオを飴玉にしないと私が疲れるということだ』

( ^ω^)b「おk。わかったお」

('A`)『どういう事情なのかは、もうこの声の主さんに聞いてるよ。迷惑かけたみたいだな』

( ^ω^)「いや、いいんだお。あの黒い本のせいなんだお。それにドクオの意外な一面も垣間見れたしww」

('A`)『……ウツダ、シノウ』

それから、ドクオにハルヒの世界で何があったかを一通り話し終えた時には、僕は洗濯物を全部干してしまった。
僕は飴玉をポケットに戻し、洗濯籠を持ってツンの部屋に戻ろうとする。

と、そこで。

グゥー

(;^ω^)「ぐ、しまったお。腹が減ってきたお」

この世界にやってきてから何も口にしていない。
ハルヒの世界でドクオとの戦闘を終えた後、すぐにこちらにやってきたので余慶に腹がすいている。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:03:05.82 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「うーんこれはどうしたものか」

と、そこに1人の少女が前の方から歩いてくるのが見えた。
メイド服を着た、黒髪のかわいい女の子。
見たことある。確かこの物語に出てくるキャラの1人だったような……

女の子はすれ違い様に、ぺこりと僕の方にお辞儀をする。礼儀正しいメイドさんだ。
僕も思わずお辞儀を返す。

『ああいう子が好みなのか』

( ^ω^)「べ、別にそういうわけじゃないお」

『図星だな』

悪いか、黒髪のメイドさんが好きで。日本男児たるもの、黒髪黒目のかわいい子を好きになるのは当たり前だ!

僕は謎の声との言い争いに興じながら、部屋へと戻っていった。



( ^ω^)「ふう、疲れたお」

ξ゚听)ξ「やっと戻ったのね。遅いじゃない」

部屋に戻ると、ツンが仁王立ちで待っていた。その顔はかなり怒っているようにも見える。
別に何かしたわけでもないのに、どうして彼女はこう怒りっぽいのだろうか。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:04:55.18 ID:e+WyHM130

ξ゚听)ξ「とりあえず今日の午後まで時間があるから、雑用を全部やっちゃって。
     掃除と、ベッドのシーツを変えるのと……ああ、繕いものもあったわね」

( ^ω^)「……ツン、ちょっと話があるお」

ξ゚听)ξ「何よ」

( ^ω^)「落ち着いて聞いてほしいお。実は僕は――」

僕はゆっくりとこの世界について説明した。
ここが本の世界であること。僕が異世界から召還されたということ。
そして、ツンは僕の友達であること。

包み隠さず全てを話した。

ξ゚听)ξ「ふーん……」

( ^ω^)「どうだお? 信じてくれるかお?」

ξ゚听)ξ「何馬鹿なこと言ってんのよ。信じるわけないでしょ。
     何が私があんたの友達よ。ふざけんじゃないわ」

ダメだった。

ξ゚听)ξ「異世界人だろうがなんだろうが、使い魔の契約は絶対なの」

まったく聞き入れてくれない。
なんて石頭なんだ。ここら辺はツンそっくりだった。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:06:53.16 ID:e+WyHM130

ξ゚听)ξ「そういえば、あんた名前は?」

( ^ω^)「え? 内藤ホライゾンだお」

ξ゚听)ξ「変な名前。呼びにくいじゃない。うーん……じゃあ、あだ名で呼ぶわ。ブーンでいいわね?」

( ^ω^)「え? そのあだ名は……」

ξ゚听)ξ「じゃ、ブーンは雑用やっててね。私は出かけるところがあるから」

そうしてツンは出て行った。

僕は呆然としたまま、部屋の中で立ち尽くす。

さて、どうしたものか。

( ^ω^)「完全に信じてくれてないお」

『仕方あるまい。本のキャラだとしたら、そう簡単に信じてくれるものではないだろう』

キョン達があまりにも簡単に信じてくれたというだけのことか……まあ、彼らは少々特殊な人間だしね。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:08:02.96 ID:e+WyHM130

だが、元に戻る可能性はあるような気がする。
僕のあだ名……「ブーン」というのは、友達の間でしか使われていないものだ。
内藤ホライゾンという名前からブーンというあだ名を思いつくなんてことは普通できない。
多分、ツンの記憶が少しながらでも残っているから、彼女は思いついたのだろう。

もしかしたら、案外簡単に記憶が戻るのかもしれない。


そんな淡い希望を抱きながら、僕は仕方なく、雑用を始めた。
ここで逆らってもいいのだが、何しろあの魔法の杖から出る爆発が怖い。
それに、実際ここで生活していくためには彼女の言うことを聞くしかないのであり……
そこ、僕のマゾ性が開花されたとか、そういうことじゃないから、よく覚えておくように。


掃除をし、物の整理をして、シーツを変える。
雑用を一通りこなし、シーツを外に干すために僕は部屋の外へと出た。

と、表に出る道の途中、ある部屋の前で男と女が立っているのが見えた。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:10:31.73 ID:e+WyHM130

女「私、スフレを作るのが得意なんですのよ」
男「それはぜひ食べてみたいなぁ」
女「わあ! 本当ですか?」
男「もちろんだともケティ。君の瞳に嘘はつかないよ」

男が女の腰に手を回し、何やらラブラブな雰囲気を醸し出している。

うは、めちゃくちゃ臭い台詞。
ケティと呼ばれた少女はそんな台詞で喜んでいるのだから、本当に女って単純だなあ。

そう思いながら、僕はその傍を通り抜けようとする。

男「おや? 君はゼロのツンが呼び出した使い魔じゃないか」

と、男がいきなり僕の方を見て声をかけてくる。
とりあえず立ち止まり、男の顔をよく見てみた。

あれ? この人もどこかで見たことがあるな。確かキャラの一人だったか?
うーん、本当に覚えてないな……



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:12:25.67 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「な、何か用かお?」

男「いや、なんでもない。ただ気になっただけさ」
ケティ「この人が人間の使い魔……1年生の間でも噂になってますわ」

( ^ω^)「……」

僕は頭の中をほじくりまわした。
思い出せ。確かこのキャラは……この後僕にとってとても重要な役目を負うはずだ。

えーと……

( ^ω^)「そうか!?」

男「な、なんだい、いきなり」

( ^ω^)「君は確か、浮気がばれて僕と喧嘩するんだお!」

男「は、はあ?」
ケティ「浮気? ギーシュ様、この人は何を言ってるんですか?」

ギーシュ「さ、さあ。分からないね。ほら、そこの使い魔君、さっさと行きたまえ」

男が僕を追っ払うように手を振る。そうか、ギーシュと言ったっけ。

僕はそのままその場を立ち去った。人の浮気に口は出さないが、あまり誉められたものじゃないぞ。

さて、よく考えたら、この後僕はあの人と喧嘩するのか……面倒だ。そういうことはあまりやりたくない。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:14:27.73 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「って、そういえば長門(小)人形は……」

戦う、ということから連想して思い出した。あの長門っちからもらった人形。
ポケットをまさぐると、あの小さな箱がちゃんと入っていて、僕はほっと息を漏らす。

よかった。これが僕の切り札になるのだ。
もし何かの理由で戦いに巻き込まれたら、これを使おう。

僕は箱の側面についているボタンを押した。
箱が開き、中から長門(小)が現れる。

( ^ω^)「や、やあ」

長門(小)「……何?」

( ^ω^)「い、いや。ちゃんと動くのかなあって」

長門(小)「私の身体には何も問題ない。ただし……」

( ^ω^)「ただし?」

長門(小)「ここは異世界と推測する。情報統合思念体とのアクセスが不可能」

( ^ω^)「そ、そうだお。ハルヒの世界じゃないお」

長門(小)「アクセスができないため、私の能力に制限がかかる」

(  ゚ω゚)「なんだってーー!!」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:16:42.53 ID:e+WyHM130

そうか、この世界では情報統合思念体が存在しないから、長門(小)の力が完全に発揮されないのか。
そういえば、原作の雪山の別荘でもそんなことがあったっけ。
当たり前のことにいまさら気がついた。

(;^ω^)「制限ってどんなのだお?」

長門(小)「私の身体の情報構成因子を使うことになるので、この世界では情報操作を3回しか行えない」

(;^ω^)「そ、それはまた不便な……」

長門(小)「ただし、24時間の休止期間を与えられれば、自然に回復し、再び3回使えるようになる」

なるほど、3回のうち1回でも使ったら、その後24時間の休憩を挟んで再び3回使えるようにリセットされるというわけか。
これは難しい。使いどころをよく考えないと、自分の身が危ない。かなり危険だ。

長門(小)「話はそれだけ?」

( ^ω^)「え、えーと、まあそうかお」

長門(小)「なら、私は再びスリープモードに入る」

そうして彼女(人形なのに彼女?)は箱の蓋を閉め、動かなくなった。
情報統合思念体とのアクセスができない以上、無駄なおしゃべりもできないということなのだろうか。
それとも、彼女は起きてるのが嫌なのかもしれない。

そんなことを考えつつ、僕はシーツ片手に庭へと向かった。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:19:14.50 ID:e+WyHM130



午後になり、僕はツンに連れられて中庭へと赴いた。
歩いている途中に、この世界についても色々と聞くことができた。

この世界の名前はハルゲニア。で、このお城のような学校の名前はトリステイン魔法学校。
ツン他の、魔法使いとしてまだまだ未熟な生徒達がここに通い、貴族として、メイジ(魔法使い)として成長していくのだという。

まあ、あまりどうでもいいことなので、ちゃんと聞かなかった。
僕が今やるべきことなのは、黒い霧のような元凶を倒し、ツンを元に戻すことなのだから。


中庭に出ると、生徒と思われる男女がたくさん集まっていた。
みんなが羽織っているマントは全て同じ色で、ツンから聞くところによると同じ色のマントをつけているのは同じ学年なのだという。

そして、その生徒達の傍には奇奇怪怪な生物がたむろしていた。

( ^ω^)「な、なんだお、あれは」

爪を持ったもぐらのような動物。目玉だけの怪物。一つ目ねずみ、などなど。
まるでポケットモンスターにでも出てきそうな動物が、生徒達の足元にいる。



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:22:10.56 ID:e+WyHM130

ξ゚听)ξ「あれはみんなの使い魔よ。今日の午後は、召還したばかりの使い魔と交流を深めることになってるの」

( ^ω^)「ふーん……」

ξ゚听)ξ「ぼさっとしてないで、早く紅茶でも持ってきて」

( ^ω^)「はいはい」

ツンの横暴さは相変わらずだった。このツンデレ、いつになったらデレになってくれるのだろうか。
もしかして、ずっとこのままツンのままだとか? それはさすがに僕の身体がもたない。

僕は、白いテーブルがいくつも並んでいる中を歩いていった。
貴族達はここで紅茶でも飲みながら、使い魔達との交流を深めているらしい。
僕も使い魔。あれも使い魔。あんなモンスター達と一緒だなんて、なんだか複雑な気持ちだ。

「きゃっ!」
( ^ω^)「わっ!」

キョロキョロとものめずらしそうに余所見をしながら歩いていると、突然誰かとぶつかった。
それと共に、その人が持っていたらしいケーキが地面に落ちた。



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:24:36.80 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「ご、ごめんだお」

「いえ、こちらもちゃんと見てなかったもので」

そのケーキを拾い、その人の持っている皿の上に乗せる。
と、初めてその人の顔を見た。昨日、中庭ですれ違った少女だった。

少女「ありがとうございます。あなたは……ミス・ヴァリエールの使い魔……でしたか?」

( ^ω^)「そうだお。どうして僕のことを?」

少女「有名ですから。人間の使い魔が現れたって」

( ^ω^)「そうなのかお……」

それほど珍しいことなのだろうか。僕としては、聞きなれた設定なのであまり珍しくは感じない。

少女「私、シエスタと申します」

( ^ω^)「格好からして……メイドさんかお?」

シエスタ「メイド? 私はこの学院で給仕係をさせていただいています。ただの平民ですよ」

( ^ω^)「はあ、そうかお」

ああ、そういえばこんな女の子もいたねえ。
名前はシエスタ……昼寝が好きそうな人だ。



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:26:51.79 ID:e+WyHM130

「おーい、ケーキはまだなのかい?」

シエスタ「あ、はい、ただいま!」

その声はギーシュのものだった。
彼は、白いテーブルについて紅茶を飲みながら、何やらもぐらの使い魔と一緒にいる。
その前には綺麗な金髪の巻き毛の女性も座っており、雰囲気からして恋人同士のようなものだった。
ああ、あれがもう1人の恋人さんか。

シエスタ「では、また」

( ^ω^)「ああ、ちょっと待つお。このケーキ、僕が持っていくお」

シエスタ「え、ですが……」

( ^ω^)「落としちゃったお詫びだお」

こういう時は女性に優しくしてあげないとね。
もしかしたらフラグが立ったりするかもしれないのだから。

強引にシエスタからケーキの皿を受け取り、僕はそれをギーシュのテーブルへと置く。



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:28:51.57 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「へい、お待ち!」

ギーシュ「ああ、ありがとう……って、君はツンの……」

女性「あら、あなたがツンの使い魔?」

目の前にいる女性は確か、特徴的な名前をしてたな。
確か……モンモンモンランシー?

ギーシュ「ふん、ケーキを置いたら早くあっちに行きたまえ」

モンモンモンランシー(?)「あ、紅茶もお願いね」

( ^ω^)「へい、かしこまりやした!」

なんだか給仕係も板についてるな、僕。
もしかしたらこういう仕事も合ってるのかもね。

「ギーシュ様!」

と、いきなり悲鳴のような女性の声が、間に割って入ってきた。

それは茶色のマントをつけた、さっきギーシュと一緒にいた1年生の女の子だった。



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:30:53.33 ID:e+WyHM130

ケティ「先ほど話していたスフレ、さっそく作ってきましたのよ!」

ギーシュ「け、ケティ、どうしてここに」

ケティ「ギーシュ様に食べてもらいたくて……」

モンモンモンランシー(?)「ちょっとギーシュ、誰よ、これ」

ギーシュ「い、いや、ちょっと待ってくれモンモランシー」

ああ、そうか、モンモランシーっていう名前だった。

そのモンモランシーは怒りで顔をゆがめている。さすがに察しがはやい。
一方のギーシュは困り果て、モンモランシーをなだめるように手を肩に置く。
ケティはその様子を見て、「ギーシュ様、その方は……?」と目を曇らせた。

ギーシュ「い、いや、その、これは」

ケティ「ギーシュ様……もしかして、昨日、あの使い魔さんが言っていたことは本当でしたの!
    心配で見に来てみれば……やっぱり!」



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:33:11.38 ID:e+WyHM130

モンモランシー「まさかギーシュ、二股かけてたのね!」

ギーシュ「ま、待ってくれ2人共、まずは落ち着いて」

ケティ&モンモランシー「最低!」

ギーシュはモンモランシーにビンタされ、ケティには泣いて去られてしまった。
あー、二股というのはこういう悲劇的な結末が待っているものなのだ。
僕も肝に銘じておかないとね。

そう思いながら、僕はギーシュを気の毒に思いながらその場を去ろうとしたのだが……

ギーシュ「待つんだ、君……」

( ^ω^)「はい?」

倒れていたギーシュがゆっくりと立ち上がり、僕の方をぎろりと睨んだ。
なんだ? 何か怒っているのか?



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:35:29.56 ID:e+WyHM130

ギーシュ「2人の姫君が、君のせいで悲しみに暮れてしまった……どうしてくれるんだい」

( ^ω^)「いや、どうもこうも、あなたのせいだと思われるんですけど」

ギーシュ「昼のあの時、君がケティに余計なことを言わなければ、このような悲劇的結末にならずにすんだものを」

人、それを逆恨みという。

ギーシュ「君は僕のプライドをズタボロにしてまった! 決闘だ!」

( ^ω^)「はあ?」

おいおい、いくらなんでも無理な展開すぎないか?
僕はただここで修羅場を目撃していただけであり、別にこの作品の主人公のように悪口を言ったわけでもない。

『ふむ、どうやら無理やりにでも作品の筋通りに話が進んでいるようだな』

(;^ω^)(その割には色々と違う箇所が出てきているような気がするけど)

ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっと! 何してるのよ!」

後ろからツンがやってきた。遅いから様子でも見に来たのだろうか。



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:37:25.35 ID:e+WyHM130

ξ;゚听)ξ「け、決闘って、それは禁じられてるはずよ!」

ギーシュ「下がっていろ、ゼロのツン。禁じられてるのは貴族同士の決闘のみ。
     彼は平民、しかも使い魔だ」

ξ;゚听)ξ「け、けど」

ギーシュ「さあ、行くぞ! 使い魔!」

(;^ω^)「ちょ、ちょっと待つお!」

ギーシュはお構いなしに薔薇を懐から取り出した。
それを振るい、花びらを地面に落とすと、そこから光と共に何かが現れる。

それは、鉄の鎧をつけた兵士……いや、中に人が入っていないところを見ると、おそらく鎧だけの存在。

ギーシュ「青銅のギーシュ……君を本気で潰させてもらうよ!」

( ^ω^)「だからどうしてこんなことに、って、うわぁ!」

鎧人形が剣をふるう。僕はそれを間一髪で避け、後ろに下がった。



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:38:52.35 ID:e+WyHM130

ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっと、ブーン! あんた何かしたの? なら、早く謝りなさい!
     平民は貴族に敵わないのよ!」

(;^ω^)「いや、僕は何もしてないっていうか、この状況がよく分からないっていうか。
      と、とにかくツンは下がっていてくれお!」

ξ゚听)ξ「ブーン! ダメよ!」

( ^ω^)「ダメだお! 近付いちゃ、って、危ない!」

鎧人形の拳がツンに当たりそうになるのを、僕はとっさに割り込んでそれを受けた。
すごい衝撃が腹に走る。中身が逆流しそうなぐらい。
その後に鋭い痛みが全身に走った。

ξ゚听)ξ「ブーン!」

( ´ω`)「くぅ……」

ξ゚听)ξ「ブーン……私のために……」

僕は地面に膝をつき、腹を抑えた。
痛かった。さすがに直撃を受けるときつい。



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:40:40.77 ID:e+WyHM130

ギーシュ「ふん。どうだい? 観念したかい? したなら『ごめんなさい、ギーシュ様』と言えば許してあげるよ」

ξ゚听)ξ「ギーシュ! あんたって人は!」

( ^ω^)「くっ……そう言われれば、さすがに退けないお」

僕は立ち上がり、ツンを後ろに下がらせる。
ギーシュを睨み、まだ続ける余裕があることを彼に示した。

ギーシュ「ふん。ツンの持ち物を傷つけるのは忍びないが……
     これも己の愚かさゆえのもの! 覚悟するがいい!」

ξ゚听)ξ「ブーン、やめて……」

( ^ω^)「僕は大丈夫だから、下がってて欲しいお……」

泣きそうになっているツンに笑みを返し、僕はポケットの中をまさぐった。

仕方ない。あまり使いたくはないけれども、ここまでコケにされれば男がすたる。
原作どおりの展開になろうが、制限回数を無駄に消費してしまおうが関係ない。

男のプライドにかけて、こいつを倒す!



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:43:10.29 ID:e+WyHM130

(  ゚ω゚)「ゆきりーん!!」

僕は叫び、小箱のボタンを押した。

周りがシーンと静かになっているのが分かるが、そんなことは関係ない。
これは切り札を使う時のかけ声だ。
必殺技なら、やはり技名を叫ばないと。

箱の中から長門(小)が出てくる。彼女は目を開けると、すぐに僕の肩に乗った。

長門(小)「……指示を」

( ^ω^)「あいつを倒すお!」

長門(小)「了解。情報連結解除かい、」

(;^ω^)「い、いやさすがにそこまでやるのはどうかと……」

長門(小)「……なら、具体的な指示を乞う」

具体的、か。
どうやら「強くしてくれ」とか「あいつを消す」とか、そういう抽象的な指示だと長門(小)はやりにくいようだ。



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:44:51.92 ID:e+WyHM130

ここはギーシュをこてんぱんにやっつけてやりたい。
できるだけ、自分が強くなれる情報操作をしたいものだが……ちなみに邪気眼は却下だ。

('A`)『なんでだよ。かっこいいじゃねえか』

ドクオの声が聞こえたが、無視だ。

よし、決めた。

( ^ω^)「コレでいくお!」

長門(小)「マスターの脳を解析。指定された概念を発見。情報操作、開始」

ギーシュ「さっきからいったい何を……」



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:47:04.97 ID:e+WyHM130
(  ゚ω゚)「界王拳! 20べえだあああ!」
                     ヘ \|、  \l|| .l|   ヽ|    //|//   // / /// / ,.-''"/
                     |ヽ \l   \ || |   | /  ///    / / / //,.,.イ"‐'// /
                      |\  \    \    ヽ  l| /  /  / / / /イ / // /
                      | \  ゝ  \  \   \ l|/ //   / //  / // ///
                      |  ヽ  ゙、  、 \ \ヽ ヽl/ /  // //  /  //イ //-‐'"
                 \ヽ、  |  ヽ 、、\  \ \ヽl  l l/  // // ///‐ /‐彡-‐
                   \ヽ、 |  \ \\、ヽ、\ヽ           ヽ///  /  /// ヽ
                    \ \、  \  \\ ヽ''     ヽ、      | /  /////ヽヽ
                     \\\、、ヽ,  ゙゙゙ ゙         ヽゝ、    /  /ヽ|////ヽ ||
                       \、\\|           /  ノ/~'   ヾ"' '|、ヽl |//-‐イ| ||
                         \、\| __  ヽ    //   /  ゞ    / ノ / -‐    | ||
                          \ ヽ \  ヽl  //  /,.. イ     ┌ノ //   /  | |
                          /フ ハ ヽ\ l    /、ノ / -‐   / /     /  / |
                    ___┌‐|  |  `、、ヽゝヽヾ、‐''ヽ-''"-‐'"     /''" |    /‐/  |
                    |  ミ | |ミ|    \、 ̄‐ヽ/ '''" ,.-、      ,.' |  |  ,.‐"  /  /|
                    |::::、、  | |│     ヽ  |_,.- / ,-|    /  | |/ /   /::::::/ /::
                    ヽミ::::::: ヽ l|       ゝ、  ̄、"-‐'",,ノ   /:::: l| |‐"   /::::::/ /:::
                    /\ ::::: \|    | |    ヽ、ヽ''"-‐   /:::: 、 |,.''    /::::/ /:::::
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,.,.ヽ   // \'"-‐ヽ、       /ヽ | ,'~       \:::|      \  | \:::::::::::::::-‐'''"  /:::::::::/
  ヽ,.,.  /   |  ̄ )   _  ,.-┴-、,ヽ          ./|          |   \"~ _-‐'"::::::::::::://
    ̄'''ヽ、_ /   ./、--‐''::::\      \        /'"\        |-、 ,--、 ヽ:::::::::::::::::::::::::/(
"''   //  |=、../、::::l:::::::::::::::.\      \       /   \          ,.,.|ヽ|:::::::::::::::::::/



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:48:39.34 ID:e+WyHM130

長門(小)の高速早口が終わった瞬間、僕の身体から赤い光が噴き出した。
それと共に、全身に力が湧いてくるのを感じる。身体も軽くなり、今にも空を飛べそうな感じだ。

自分の身体を限界まで強化する界王拳。ある漫画に実際に出てくる技。

これなら、いくらでも戦える!

ギーシュ「こ、これはいったい!」

(  ゚ω゚)「俺は怒ったぞー!! ギーシューー!!!」

僕の身体からほとばしる気の柱。
そう、これこそが僕の切り札にふさわしい。

気の当たりだけで周りにいる人が吹き飛ばされ、本気を出せば地球すら壊すことのできる力。
時には神様に修行とつけてもらい、時には魔人と戦う。地球を賭ける戦いなんて当たり前。
最強のニート! それが僕の目指す道!


ギーシュ「あれだけ痛めつけたのに、まだ動けるなんて!」

(  ω )「痛めつけた……? それは……」



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:50:31.34 ID:e+WyHM130
 . ┌──┐  .ノ ̄--┐    ////////////////ノ         / /   /
. └┐__/ ノ ノ ̄/ /    ////////////////''"        /  /  /    /
. ,-、    \'" ノ /    "/ /  //////////         /  / /    /
. ( "---┐ ,--'" /     "  /////////|ノ         /   //   /    ./
. "-----" ヽ-''" _       //////////         /   /   /     /
.   | ̄| __ | ̄|  | |      /////////      j|   /  /  ,,/      /
.  ,r" ___| |  |  | ..|     ////////ノ      /|  /     /        /
. / r'"   └┘ ノ .ノ    ///////r''"      / |  /   /         /
. (_二二] ┌-''"/     ///////       / | /   ,/         /
.  _    ヽ--"_    ///////       ./ |/   /
. _| |__ '\ | ̄|  | |   "'/////        /  /  ./
..|_ __ ヾ-" | .|  | |    //"-"        / /  /     __
. / / | |  └┘ノ /   |./          /  "  // _,r--'''""^'--、      /
. くノ[二ノ   [__ノ    |/         j   ,r" ̄  ,r-、 /  v// /
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75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:52:00.62 ID:e+WyHM130

('A`)『節子、それクリリンちゃう、お前やお前!』

無意味なツッコミを無視し、僕は地面を蹴って、鎧人形の前へと一瞬で近付く。
突然のことでギーシュも鎧人形も反応できない。

その一瞬の隙をついて、僕の拳が鎧人形にヒット。
瞬間的に鎧人形はばらばらになる。

ギーシュ「ひ、ひぃぃ!」

(  ゚ω゚)「うおおおおお!」

怖がるギーシュの前へと、僕は瞬間移動する。
地面を何度も蹴ることで爆発的なスピードを生み出す歩法を使い、僕は超人的な俊敏さを手に入れていた。

そして、右の拳を振るう。

拳は彼の目の前で寸止めされ、その風圧でギーシュの顔が一瞬歪んだ。

すさまじい威力。すさまじいスピード。



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:53:56.74 ID:e+WyHM130

ギーシュ「ま、まいった」

彼はへたり込み、うなだれるようにして言った。

(  ゚ω゚)「ふん……このまま自分の星へと帰るんだな。俺の理性が残っている内に」

ギーシュ「き、君はいったい何を言ってるんだい……」

呆然としているギーシュに背を向け、僕は界王拳を消す。
これはかなり使えそうだ。凡人である僕の力でも、20倍になればかなり強いはず。
さすがに人造人間やら魔人やらは倒せないだろうけど、普通の人間相手なら絶大な力となるだろう。

僕はふぅ、と息をついて、肩に乗る長門(小)に声をかけた。

( ^ω^)「ありがとうだお」

長門(小)「……いい」

そうそっけなく言って、彼女は再び箱の中へと戻っていった。

ξ゚听)ξ「ブーン!」

と、ツンが慌てた様子で僕の方へとやってくる。
その顔は汗まみれで、涙も少し浮かべていた。
どうして彼女が涙を浮かべるのか、あまり理解できなかったけど。



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:55:41.56 ID:e+WyHM130

( ^ω^)「どうしたお?」

ξ#゚听)ξ「どうしたもこうしたもないわよ! ったく! 心配させないでよね!」

( ^ω^)「あー、心配してくれてたのかお?」

ξ゚听)ξ「だ、誰があんたなんか!……怪我はないの?」

( ^ω^)「大丈夫。この通りぴんぴんしてる……お?」

頭が揺れた。いや、脳が揺れた。
視界が急激に狭くなり、身体中のそこかしこに痛みが走る。

気持ち悪い。気持ち悪い。
頭が痛い。身体も痛い。全てが痛い。
叫び声をあげようとしても、口と喉が麻痺したように動かない。

ξ゚听)ξ「ぶ、ブーン?」

(;゚ω゚)「うご……がぁ……」

そんなかすれた声しか出てこなかった。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 23:57:03.67 ID:e+WyHM130

(;^ω^)(こ、これはいったいどういうことだお?)

長門(小)「忘れていた」

頭の中に長門っち人形の声が響く。テレパシーでも使ってるのか?

長門(小)「脳をトレースした結果、その技を発動した後は、身体に極度の負担がかかるという概念があった。
      そのため、技の終了後、一気に身体に痛みが走る」

(;^ω^)(そんなところまで再現しなくて、いい……お)

僕の意識はそこで途切れた。最後に「ブーン!」というツンの叫び声が聞こえたが、それに答えることはできなかった。


『ツンデレの使い魔 その1』終わり



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