( ^ω^)はミュージカルをするようです

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:36:57.68 ID:SAcAcR3NO

从# ゚∀从「おらぁぁぁぁぁっ!!」

ミセ;゚ー゚)リ「?」

ミセリには彼女の意図が分からなかった。
こんな夜遅く部屋の模様替えだろうか?
変わった人だ。

ミセ*゚‐゚)リ「きっとバカなんだね……」

なんて可哀想なんだと同情した。

从# ゚∀从「愛の力ぁぁぁぁぁっ!!」

ミセ;゚д゚)リ「っ!?」

ミセリは驚愕し、腰を抜かしかけた。
なんとあの女性が、冷蔵庫を持ち上げたのだ。

从# ゚∀从「………」

彼女はぶるぶると震えていた。
恐らく、重すぎたのだろう。
そして目は自分を睨みつけている。

――まさか?



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:38:50.06 ID:SAcAcR3NO

ミセ;゚д゚)リ「あ、あの……」

从# ゚∀从「………」

鋭い視線。
怒りの感情。
殺意。

その全てが自分に突き刺さっていた。
危険を察したミセリは非常手段に出る。

ミセ*゚ー^)リ「ごめんね、お姉ちゃん☆うるさかった?いますぐ――」

从# ゚∀从「死ねぇぇぇぇぇっ!!!!」

冷蔵庫が、飛んだ。


―――――


翌日。
学校からの帰り道を歩きながら、ミセリはぷりぷりと怒っていた。

ミセ#゚‐゚)リ(あのバカ女め……)



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:41:01.05 ID:SAcAcR3NO

さすがに自分の部屋までは到達できずに落ちてしまったが、
まさか女性のあの細い腕で冷蔵庫を投げてくる日が来るなんて、
とても信じられなかった。

昨夜は衝撃のあまり、「次騒いだら殺す」との忠告を守ってしまったものだ。

しかしミセリは気にくわない。

ミセ#゚‐゚)リ(神聖な……じゃない、悪魔的な儀式の邪魔をするなんて……許せない!!)

今日は何かとミスが目立つ一日だった。

授業中でも眉間にしわが寄り、話しかけてきたクラスメイトにもつい口が滑って、

ミセ#゚‐゚)リ『なによメス豚?』

と答えてしまい、脅えられてしまったものだ。



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:42:54.76 ID:SAcAcR3NO

それもこれも全てはアパート女のせいだ。
あいつが私にケンカを売るからストレスが溜った。
それが学校で吹き出してしまった。

許せない。

ミセ#゚‐゚)リ(今度こそ魔術で焼き殺してやる……)

ミセリは固く決意して、魔力を溜め始めた。
このまま夜まで持続させ、あの女にぶつけるつもりなのだ。

ミセ*゚д゚)リ「ハァァァ……――」

気合いを入れて、溜め込んで……そして唐突に両手は動き出す。

ミセ;゚Д゚)リ「っ!?」

左手は腰に当てられ、右手は大きく旋回された。

ミセ*゚д゚)リ「だおだお♪だおだお♪だおん♪だおんっ♪」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:44:16.68 ID:SAcAcR3NO

ミセ;゚Д゚)リ(っ!!?)

無意識に動き、歌ってしまった。
慌てて口を押さえ、誰かに見られてないかと辺りを伺った。

ミセ;゚‐゚)リ(いまの……)

ミセ*゚д゚)リ「なん――だおだお♪だおだお♪だおん♪だおんっ♪」

ミセ;゚Д゚)リ(っ!!!!??)

目の前のマンホールの蓋が開き、穴から作業員が出てきた。
彼はミセリに目もくれずに走り出す。

周りの人達も同じように、同じ方向に駆け出していた。

ミセ;゚д゚)リ「……」

言いしれぬ焦燥感にとらわれるミセリ。
考える前に足が動いた。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:45:45.80 ID:SAcAcR3NO

彼女も走り出したのだ。
みんなと同じ方向に。

―――――


( ^ω^)「だおだお♪だおだお♪だおん♪だおんっ♪」

辿り着いた先には、昨夜出会った悪魔がいた。

皆さん『だっだっだっだっ♪だおん♪だおんっ♪』

兄が召喚した悪魔だ。
奴はなぜか、踊っていた。

( ^ω^)「だおだお・だおだお♪いいんだおっ♪」

皆さん『そうだお・そうだお♪決まりだお♪』

( ^ω^)&皆さん『おぉーん♪』

ミセ;゚д゚)リ「………」

広場に集まった人達は、
踊り、歌い、騒いでいた。



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:47:19.59 ID:SAcAcR3NO

そんな彼等や彼女達を見て、
ミセリは畏怖の念にとらわれた。

ミセ;゚Д゚)リ(まさかこれは――あの悪魔の魔術!?)

ミセリの体は自分の意思とは関係なく、ダンスを踊り続けている。

( ^ω^)「素直になったらいいんだお♪恥ずかしがらずにやっちゃうお♪」

悪魔が右手を振り上げると、
右側で踊っていた人達がウエーブした。

( ^ω^)「楽しくやらなきゃいけないお♪さあさあ皆でやっちゃうお♪」

今度は左手が振り上げられ、
自分達が踊る左側でウエーブが始まる。
当然、ミセリも逆らえない。



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:49:04.65 ID:SAcAcR3NO

ミセ;゚Д゚)リ(なんて強力な魔力なの……!!)

街の住人達は惑わされ、操られ、傀儡にされた。

きっと彼は魔界のドールマスターなのだろう。
そして自分達はマリオネットにされてしまったのだ。

ミセ;゚д゚)リ(まさか……モナー・ブラザーが……
      こんなに恐ろしい悪魔を味方につけていただなんて!!)

( ^ω^)「だおだお♪だおだお♪だおん♪だおんっ♪」

邪悪に微笑む青年を見て、ミセリは恐怖した。

( ^ω^)&皆さん「おぉーん♪」

ミセ;゚д゚)リ(『怨』?……まさかこれは……呪いの儀式……!?)



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:51:05.38 ID:SAcAcR3NO

嫌な予感がした。
いや、予測というべきか。

ミセ;゚д゚)リ(ひょっとして……私達を丸ごと生け贄に……?)

そうなれば、待っているのは確実に墓場だろう。


『♪全滅大好き悪魔だし!!』


ミセ;゚Д゚)リ「っ!!?」

頭の中で「殺人娘カルテット」の曲が流れた。
彼女達はそう歌っていたのだ。

もはやこれは確定事項。
自分達は全員死ぬ。
だってあいつは悪魔だし。

( ^ω^)「だおだお♪だおだお♪だおん♪だおーんっ♪」

悪魔が両手を広げて走り出した。
きっとあの腕でみんなを切断するつもりなのだろう。



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:52:48.38 ID:SAcAcR3NO

次々と真っ二つにされていく住人、
血の海と化す広場、
笑いながら走り続ける悪魔。
ミセリにはそんな光景が容易に想像できた。

ミセ;゚‐゚)リ「……」

だがさせない。
自分は抗拒する。
なぜなら私も――

ミセ*゚Д゚)リ「悪魔だしぃぃぃぃ!!」

勢い良く飛び上がるミセリ。
呪縛が解けたのだ。
だが解放感に身を任せること暇はない。

ミセ*゚д゚)リ「♪臓物浴びて血のシャワー!
      殺っちまったぜ今日もまたぁ!」

ミセリは歌い出した。
叫ぶように。
素直グールのように。

皆さん『?』



89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:54:19.99 ID:SAcAcR3NO

さすがに全員は無理だったが、
周りにいる何人かは踊りながらミセリを見た。

( ^ω^)「だおだお♪だおだお♪だおん♪だおんっ♪」

ミセ*゚д゚)リ「♪棺桶なんか用意しねぇ!!
      道にばら撒く死ねぇ!死ねぇ!!」

皆さん『………』

周りから睨まれてるのに全く気付かないミセリ。

ミセ*゚Д゚)リ「♪気分は爽快、転落死!!
手首を切るって、あっ―――」

(# ´∀`)「せいやぁっ!!」

ミセ;゚Д゚)リ「ごはっ!?」

必死で歌っていたミセリは
何者かに首の後ろを一撃され、そのまま意識を暗転させた。



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:56:10.13 ID:SAcAcR3NO

―――――


ミセ*‐‐)リ「……んっ……」

目を覚ましたミセリは不思議な場所にいた。
暗くて狭くて息苦しいところだ。

ミセ*゚‐゚)リ「……?」

少しずつ覚醒していく意識。
だが場所の見当はつかない。
ここはどこだろうか?

ミセ*゚‐゚)リ「………」

ミセリは膝を抱えるように座っていた。
周囲は真っ暗でなにも見えない。

手を伸ばすとすぐに壁のような物にぶつかった。
固いのか柔かいのかがはっきりしない、プラスチックみたいな材質だった。

背中には壁が密着しているので、今度は上の方に手をやる。
するとまたさっきの感触がした。



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 00:58:34.44 ID:SAcAcR3NO

ミセ*゚‐゚)リ「……閉じ込められてる?」

箱、と表現するのが一番近いだろうか。
ミセリはそんな場所にいた。

ミセ*゚‐゚)リ(もしかしたら……ここは棺桶?私は死んだの?)

ミセ*゚‐゚)リ(それなら………)

地獄に行って本物の悪魔になれるかもしれない、とミセリは微笑んだ。

ミセ*゚ー゚)リ(やった!やった!!)

サタンに会ったら、あの踊る悪魔みたいな力をもらおう。
冥府の地を観光旅行してもいい。
血の池で泳ぐのも悪くない。

ミセ*゚ー゚)リ(やっ……)

現世に帰ることはもうないだろう。
自分は死んだし、これから悪魔になるのだから。



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 01:00:42.06 ID:SAcAcR3NO

ミセ*゚‐゚)リ(………)

輝く太陽に夏の匂い、青い空や心地良い風ともお別れだ。
ハチミツをたっぷりかけたホットケーキや
ハーゲンダッツのアイスクリームにも別れを告げなくてはならない。

ミセ*゚‐゚)リ(…………)

そして家族にも、もう会えない。
学校の先生やクラスメイト、近所の人達ともだ。

ミセ*;‐;)リ「……うぐっ」

肩車をしてくれた父を思い出す、
抱き締めてくれた母を思い出す。

誉めてくれた先生や仲良くしてくれた友人達。
その全てが闇の中でミセリの頭に浮かんで消えた。



96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 01:02:27.31 ID:SAcAcR3NO

ミセ*;Д;)リ「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」


もう会えない。
会うことはない。

ミセ*;Д;)リ「やだよぉぉぉぉぉっ!!こわいよぉぉぉぉぉっ!!」

決別だ、永遠の。

ミセ*;Д;)リ「おにいちゃぁぁぁぁぁっん!!!」

そこでパカリと音がした。
上から電灯の柔かい光がミセリを照らす。

( ´∀`)「さ、帰るモナよ」

兄が自分を見下ろしながら、
そう言った。


―――――


ミセ*;‐;)リ「………」

( ´∀`)「やっぱ怖かったモナね。ごめんモナー」



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 01:04:32.64 ID:SAcAcR3NO

兄に抱きかかえられていたミセリは、とんとん、と優しく背中を叩かれた。

ミセ*;‐;)リ「こわ……かった……」

( ´∀`)「ちょっとやりすぎちゃったモナー」

ミセリがさっきまで入っていたのは、大きなポリバケツだった。

道で倒れていた自分を見付けた兄が、
日頃暴れているミセリへのお仕置きのため、
ポリバケツの中に閉じ込めたらしい。

( ´∀`)「……ミセリは、少し頑張り屋さん過ぎるんだモナ」

夜の道をゆっくりと歩きながら、囁くように兄は言った。

ミセ*;‐;)リ「……?」



100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 01:05:49.68 ID:SAcAcR3NO

( ´∀`)「もうちょっと肩から力を抜くモナよ。その方が気持良く生きれるモナ」

ミセ*;‐;)リ「……でも……がんばらないと……みんながっかりしちゃう……」

( ´∀`)「しないモナー。みんなミセリが好きだから安心するモナー」

ミセ*;д;)リ「でも……でも……嫌われちゃったりしたら……」

( ´∀`)「そんなミセリに、こんな言葉を贈るモナ」

ミセ*;‐;)リ「?」

( ´∀`)「『そういうケースもある』
       これはモナーにとって黄金の忠告だったモナ」



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 01:07:37.61 ID:SAcAcR3NO

ミセ*゚‐゚)リ「……それって、お兄ちゃんのマブダチさんが言ってたの?」

( ´∀`)「違うモナよ。
       これはとある爽やかな連中が活躍する小説にあったモナー」

ミセ*゚‐゚)リ「さわやか……」

( ´∀`)「それと……あの踊る人はマブダチじゃなかったモナよ」

ミセ*゚‐゚)リ「え?」

( ´∀`)「あの人は、モナー達にとっての救世主だったみたいだモナ」

キャミソールを着た兄は、月の光を浴びながらにっこりと微笑んだ。



103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 01:09:23.08 ID:SAcAcR3NO

―――――



ミセリは品行方正だ。

ミセ*゚ー゚)リ「あっ!おばあちゃん☆おはようございます☆」

「あら、おはよう。今日も良い天気ね」

だから近所での評判がとても良い。

ミセ*^ー^)リ「うん☆それじゃあ学校に行ってくるね☆」

「いってらっしゃい、ミセリちゃん」

ミセリは明朗快活だ。

「ミセリちゃん!おはよー!」

ミセ*゚∀゚)リ「おっはよー☆」

だから仲の良い友達が沢山いる。

「一緒に学校行こうよー!」

ミセ*゚ー゚)リ「うん☆競争しよっか☆」

そしてミセリは今朝から一つ決意したことがあった。



106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/18(水) 01:10:37.61 ID:SAcAcR3NO

「待ってよミセリちゃーん!」

ミセ*^ー^)リ「待たないよー☆競争だもん☆」

それは奔放自在になることだった。
ミセリは無理を止めたのだ。

(,,゚Д゚)「おっ!ミセリちゃんじゃねーか!!
     パンティーはちゃんと洗ってあるかゴルァ!?」

ミセ*゚‐゚)リ「……っ!」

だから彼女は今日から――

ミセ# ゚Д゚)リ「朝からうぜぇぇぇんだよ!このド変態がっ!!!」


少しだけ、口が悪い。



四曲目・完



戻る五曲目