( ^ω^)はミュージカルをするようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/29(日) 23:50:10.96 ID:Nkqppj0iO

五曲目・フィレンクト



フィレンクトは冷蔵庫に潰されていた。

L’)(どうしてこんなことになってしまったんだ……)

ここはいたって普通の住宅街だった。
それなのになぜ空からこんな物が降ってきたのだろうか?

L’)(いや、これは天罰というやつかもしれないな)

彼は自重気味に笑ってから、手に掴んだ女性用の下着を見た。

L’)(やはり法を犯してはならなかったんだ……これはその罰に違いない)

L’)(でも……私はそれでも……)

フィレンクトは力を振り絞って、冷蔵庫からなんとか這い出した。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/29(日) 23:52:10.74 ID:Nkqppj0iO

(‘_L’)(やり遂げなければならない……)

辺りはすっかり明るくなっている。
家を出たのは深夜だったが、今は夜が明けてしまっていた。
恐らく長い時間を気絶に費やしていたのだろう。

(‘_L’)(お金がいるんだ……お金が必要なんだ!)

急がなくてはならない。早くこの下着を現金に変えなくてならない。
そう焦るフィレンクトは老いた体に鞭を打ち、走り出した。


―――――


フィレンクトは貧乏だ。
その原因は主に、彼の年齢と肉体にあった。

彼は老人で隻腕なのだ。
だから働きたくても仕事が無い。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/29(日) 23:53:35.18 ID:Nkqppj0iO

それでも、探せば何かしらの仕事があるのかもしれない。
こんなに広い世の中だ、心優しい経営者や自分にでも出来る労働があるかもしれない。

でもフィレンクトには悠長に構えている暇がなかった。
なんとしてでも早急に、この朝のうちに現金が必要なのだ。

年金の受給日にはまだ日があるし、金になりそうな物は全て売ってしまっていた。
お陰で部屋の中は殺風景になっている。
しかしフィレンクトにはそれを気にかける余裕は無かった。

金だ、金がいる。
あの習慣を続けるには、金がいるのだ。
一日たりとも休むわけにはいかない。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/29(日) 23:55:37.81 ID:Nkqppj0iO

困り果てたフィレンクトの脳裏に、知人から教えてもらった言葉が蘇った。

『盗んだパンティーは高値で売れるらしいぞ』

生真面目な彼にとって犯罪をすることは心苦しかった。
でも他に方法が無かった。

悪の道に踏み入る決意をしたフィレンクトは、近所の民家に下着を盗みに行った。
そこは二階から悪魔がどうのと聞こえる妙な家だったが、彼は気にしなかった。

(‘_L’)『そうさ……私は悪魔さ……』

皮肉気に口を歪め、桃色の下着を一枚かっさらうフィレンクト。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/29(日) 23:57:24.97 ID:Nkqppj0iO

塀を乗り越え、さあ逃げようというところで彼を冷蔵庫が襲った。


―――――


早朝の街を駆けていたフィレンクトは、
顔見知りの人を見掛けて声をかけた。

(‘_L’)「ショボンさん!!」

(*´・ω・`)「ん?……ああ、フィレンクトの爺さんか。おはようさん」

しょぼくれた男は、酒の匂いとバナナの香りを混ぜ合わせていた。

(‘_L’)「これはこれはご丁寧に……おはようございます、ショボンさん」

深々とお辞儀をするフィレンクト。
しょぼくれた男は、懐からバナナを取り出して食べていた。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/29(日) 23:58:51.27 ID:Nkqppj0iO

(‘_L’)「こんな朝早くからご出勤ですか?」

(*´・ω・`)「ちげーよ。
       夜通しキャバクラに行ってたんだよ。今はその帰り道だ」

(‘_L’)「おお……きゃばれー、というやつですか……」

(*´・ω・`)「フィレンクトさんこそどうしたんだよ?朝っぱらから走っちゃって。
       あんま無理すると死んじまうぞ?」

(‘_L’)「お心遣いに感謝いたします。
     でもご安心ください。体の方は頑健ですので」

(*´・ω・`)「そう言う奴に限ってぽっくり逝くもんだけどな。まあいいや」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:00:28.12 ID:zIj6aBHDO

じゃあな、と言って去ろうとするしょぼくれた男を、
フィレンクトは引き留めた。

(‘_L’)「申し訳ありませんが……少しお時間をいただけますか?」

(*´・ω・`)「………別にいいけどさ、眠いんだからとっととすませてくれよな」

(‘_L’)「ありがとうございます」

彼は頭を下げてから、しょぼくれた男に耳打ちする。

(‘_L’)「実は買っていただきたい物がございまして……」

(*´・ω・`)「へえ……俺に?」

(‘_L’)「はい……」

(*´・ω・`)「俺がヤクザってのは知ってるよな?」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:02:11.57 ID:zIj6aBHDO

(‘_L’)「存じてます」

(*´・ω・`)「つーことは、そういうことだよな?」

(‘_L’)「はい……非合法な物、というところです」

(*´・ω・`)「あんたみてーな爺さんがねぇ……世も末だな」

首をこきっ、と鳴らして深いため息をつく男。

(*´・ω・`)「まっ、細かいことはどーでもいいや。
       今夜は大事な取引きもあるし、金になりそーなら景気付けに買ってやるよ。
     ……どんな物なんだ?」

(‘_L’)「はい……こちらでございます……」

フィレンクトは辺りを伺いながら、収穫品を取り出した。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:03:35.95 ID:zIj6aBHDO

(´・ω・`)「………」

(‘_L’)「………」

(´・ω・`)「…………」

(‘_L’)「……いかがですか?」

(´・ω・`)「おい」

(‘_L’)「はい?」

(´・ω・`)「これパンティーじゃねーか」

(‘_L’)「さようでございます」

(´・ω・`)「………」

(‘_L’)「……どのくらいのお値段で買っていただけますか?」

(´・ω・`)「馬鹿にしてんのか?」

(‘_L’)「馬鹿に……?」

(´・ω・`)「なにが非合法だよ。ただのおパンティーじゃねぇか。
       ……これは娘とか孫のやつか?」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:06:10.54 ID:zIj6aBHDO

(‘_L’)「いえ……非合法な入手方法、とだけ……」

(;´・ω・`)「盗んだのかっ!?」

(;‘_L’)「な、なぜそれを!!?見てたのですか!?」

(;´・ω・`)「見てねーよ!
        つーかなに考えてんだよフィレンクト!!もういい歳なんだろ!?」

(;‘_L’)(見てもないのになぜ……?
      まさかショボンさんは読心術の使い手なのか……?)

(´・ω・`)「おい!聞いてんのか!?ボケてんじゃねーぞジジイ!!」

(;‘_L’)「はっ、はいっ!」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:07:25.79 ID:zIj6aBHDO

(´・ω・`)「返しに行けとは言わんが、
       路上で売ろうとすんのはやめとけ。捕まんぞ?」

(;‘_L’)「はい……ご忠告、ありがとうございます」

(´・ω・`)「ちなみによ、なんで俺がパンティーなんて買うと思ったんだ?」

(;‘_L’)「そ、それは……
      非常に高価な物だと聞きましたので……是非ショボンさんにと……」

(´・ω・`)「誰から聞いたんだ?」

(‘_L’)「よく利用させてもらっている、八百屋のご主人からです」

(´・ω・`)「そこにはもう行くな」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:09:26.89 ID:zIj6aBHDO

しょぼくれた男は踵を返し、別れの言葉と共にその場を去った。


―――――


(;‘_L’)(もうやるしかない……やるしかないんだ……!)

フィレンクトは商店街を歩いていた。
きょろきょろとしているので若干、不審者のように見えなくもない。

(;‘_L’)(どこにするべきか……?
      魚屋さんは安くて美味しくアジを売ってくれたし……
      あそこのCD屋さんはいつもサブちゃんの新作を私のために取っておいてくれてるし……)

彼は強盗しようとしていた。
店に押し入り、金を奪うつもりだったのだ。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:11:01.72 ID:zIj6aBHDO

(;‘_L’)(電気屋さん……
      駄目だ、マッサージ機を無料で体験させてくれたじゃないか……)

悩んだ末の結論だった。
人に迷惑をかけることを何よりも嫌う彼だったが、
今朝はどうしても現金が必要だったからだ。

(;‘_L’)(八百屋さんは気の良い人だし、文房具屋さんだって親切だ……)

悩み過ぎて時間は大分過ぎていてしまっていた。
もう街の人々は活動している時間帯になっていた。
急がなければならない。

(;‘_L’)(情けない……私はどれだけ優順不断なんだ!)

地駄団を踏むフィレンクト。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:12:49.09 ID:zIj6aBHDO

(;‘_L’)「お金だ……お金さえあれば……」

刻々と過ぎる時間。
登り続ける太陽。
その全てが彼を焦らせる。

(;‘_L’)(ああ……真知子さん……私は……)

( ^ω^)「お爺さん、ちょっといいですかお?」

(;‘_L’)「……ど、どちら様ですか?」

後ろから自分にまわり込んできたのは、
若い女性向けの洋服屋の袋を持った青年だった。

( ^ω^)「失礼ですが……もし良かったら、これを受け取ってくださいお」

青年はフィレンクトに現金を差し出した。

(;‘_L’)「さ、三千円だって!?」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:14:33.34 ID:zIj6aBHDO

(;^ω^)「あっ……足りませんかお?でも手持ちがこれしか――」

(*‘_L’)「とんでもない!!助かります!本当にありがとうございます!!」

(* ^ω^)「それは良かったですお」

(‘_L’)「でも、どうして私がお金に困ってることをご存じで……?
     貴方も読心術の使い手なんですか?」

(;^ω^)「どくしん……?それについてはよく分かりませんが――」

( ^ω^)「いまあなたが、お金がどうのと言ってた気がしたので……」

(*‘_L’)「そうだったのですか……貴方はなんて親切な方なんだ……!」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:17:22.98 ID:zIj6aBHDO

(* ^ω^)「やめてくださいお。照れちゃいますお」

(*‘_L’)「是非ともお礼をさせてください!」

( ^ω^)「気にしないでくださいお。
       持ちつ持たれつ、というやつですお」

(*‘_L’)「そんなこと仰らずに!是非ご飯をご馳走させてください!」

(;^ω^)「……お?」

(*‘_L’)「美味しいおソバ屋さんがあるんですよ!
      あの喉越しと香りは正に絶品なんです!そこに行きましょう!」

(;^ω^)「そのご馳走するお金は僕のじゃ……」

(*‘_L’)「あっ!これは失念しておりました!」



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:19:12.80 ID:zIj6aBHDO
(*‘_L’)「いや〜、実に聡明お方だ!
      ひょっとして、落語家か何かをなさっているのでは?」

(;^ω^)「違いますお。というかなぜ落語家なん――」

(*‘_L’)「私は笑点を見てる時にいつも思うんですよ!
      あぁ〜、この人達はなんて頭の回転が早いんだろう、って!
      だからなんですが違いましたか!」

(;^ω^)「はあ……」

(*‘_L’)「ならすぐにでも目指した方が良い!
      お名前はなんておっしゃるんですか?」

(;^ω^)「お?名前ですかお?僕は内藤ホライ――」



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:21:43.34 ID:zIj6aBHDO

(*‘_L’)「内藤さんですか!
      なら……『内藤亭トロ蔵』というのは如何ですか!?」

(;^ω^)「な、なにがですかお?」

(*‘_L’)「落語家が使う名前にですよ!
      貴方は今日から『内藤亭トロ蔵』と名乗って落語界を背負うべきなんです!」

(;^ω^)「そうですかお……あの、ちょっと急いでるので――」

(;‘_L’)「あっ!大変だ!!
      トロ蔵さん、失礼なんですが、私には行くところがございまして、
      これにて失礼させていただきます!」

(;^ω^)「いや……トロ蔵って――」



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:24:02.89 ID:zIj6aBHDO

(;‘_L’)「真に申し訳ありません!!
      このご恩は必ずお返しいたします!それでは!!」

呆気にとられる青年を置いて、フィレンクトは走り出した。


―――――


いつものように瓶で牛乳を二本買ったフィレンクトは、
ある民家の郵便受けの上にそれを置いた。

(‘_L’)(良かった……遅くなってしまったが、なんとかなったな……)

そう、彼が大切にしていた習慣とは、
ある女性のために匿名で牛乳を提供することだったのだ。

(‘_L’)(トロ蔵さんにはなんとお礼を言って良いものか……)



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:25:54.75 ID:zIj6aBHDO

フィレンクトはこれを半年の間、続けていた。
牛乳好きの彼女が喜ぶのが嬉しかったからだ。

ちなみになぜ匿名かというと、その理由は簡単だ。
好意を悟られるのが恥ずかしいからだった。

(‘_L’)(彼がくれたお金のおかげで、数日は持つ。
     もう少ししたら年金が貰えるから問題はない……。
     本当にありがとうございます、トロ蔵さん)

後は電信柱の陰に隠れて、彼女が牛乳を発見するのを待つだけだ。
そう思って移動するフィレンクトの背中に声が掛けられた。



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:28:05.00 ID:zIj6aBHDO

∬'ー`)「あら……ひょっとして、フィレンクトさん?」

年老いた婦人の声に、フィレンクトは驚いた。

(;‘_L’)「真知子さん!!?」

∬'ー`)「やっぱりそうだったわ。後ろ姿ですぐ分かったんですよ」

そう言って、ころころと笑う婦人。
一方のフィレンクトはというと、かなり動揺していた。

((((*‘_L’;))))「おはおはおは、おはようございます!!!」

∬'ー`)「おはようございます。今日も暑いですわね」

((((*‘_L’;))))「そそそそそ、そうですねぇ!!」



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:29:06.34 ID:zIj6aBHDO

∬'ー`)「夏は好きなんですが、この老体にはちょっと堪えてしまいますわ」

フィレンクトは彼女に反論したかった。

(*‘_L’)(老体だなんてとんでもない……!貴方は充分若く、美しい……!)

でも当然、そんなことを面と向かって言える度胸はないので、
心の中で呟くだけだ。

(*‘_L’;)「ち、地球の温暖化には困ったものですねぇ!!」

そう言ってお茶を濁すフィレンクト。
そこで彼の目はちらりと牛乳に向いた。

∬'ー`)「ええ、その通りですわ。
    北極や南極の氷が溶けていっているらしいですわね……
    恐ろしいことです」」



62: すみません、連投しちゃいました :2007/07/30(月) 00:31:03.17 ID:zIj6aBHDO

(*‘_L’;)「こ、怖いですよねぇ!
       いっそのこと、大きな扇風機を作って地球を冷やせば良いのにと思ってしまいますよ!」

そこで彼の目はちらりと牛乳に向いた。

∬'ー`)「あらあら、フィレンクトさんったらご冗談がお上手ですこと」

再び笑い出す婦人。
再びちらりと牛乳に目を向けるフィレンクト。

(;‘_L’)(……やるぞ……やってやるぞ……)

∬'ー`)「でも最後にフィレンクトさんに会え――」

(‘_L’)「やや!!あらららら!!?」

∬'ー`)「?」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:32:58.91 ID:zIj6aBHDO

(‘_L’)「こんなところに牛乳がありますよ!!牛乳が!!!」

∬'ー`)「あら……」

(‘_L’)「なんてことだ……信じられない……!」

∬'ー`)「………」

(‘_L’)「こんなところに……なぜ……牛乳が……」

∬'ー`)「……実はこれ、少し不思議なんですよ?」

(;‘_L’)「え……?」

∬'ー`)「半年ぐらい前から毎日誰かが置いてくださるんですが、
    私には注文した覚えがないんですの」

(;‘_L’)(……)

∬'ー`)「だから配達するお家を間違えたんじゃないかと思ったんです」



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:34:58.85 ID:zIj6aBHDO

∬'ー`)「それでこの牛乳会社さんに問い合わせてみたら、
    そんなことはないって言われてしまいましたわ」

(‘_L’)(………)

∬'ー`)「じゃあ誰が何のためにと不思議に思ったんですが……
    捨てるのももったいないし、好物なのでいただいちゃったんです」

(*‘_L’)(……ふふっ)

∬'ー`)「それからというもの、
    ことあるごとに米俵や貴金属やら
    果ては高級そうな仏像なんかが置いてあったりして……」

(*‘_L’)(ふふふっ……みーんな私が用意したのですよー!)



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/30(月) 00:36:24.25 ID:zIj6aBHDO

(*‘_L’)(貴方のためなら、
      家財道具だってなんだって売れちゃうんですよー!ふふふふっ……)

∬'ー`)「でもそれも今日で最後に――」

(;‘_L’)「えっ!?最後ってどういうことですか?」

∬'ー`)「……言い出しにくかったんですが……」

∬'ー`)「私、今日でこの街から引っ越すんです」


―――――


フィレンクトが腕を失ったのは事故のせいだった。

当時彼が勤めていた工場で大規模な爆発事故があったのだ。
それに巻き込まれたフィレンクトは意識不明の状態で病院へ搬送された。



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