( ^ω^)はミュージカルをするようです
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:36:16.98 ID:59hGjjrfO
六曲目・ペニサス
ペニサスは戸惑っていた。
阿鼻叫喚が銀行内を支配していたからだ。
(▽、▽;川「…………」
「きゃああああああ!!」
「ひぃぃぃぃっ!!命だけはぁぁぁぁぁ!!」
ペニサスは途方に暮れていた。
その場の皆が自分に脅えていたからだ。
(▽、▽;川「…………」
「ひゃああああああ!!」
((( ;ω;)))「……おっおっおっ……」
「お金は差し上げますから!差し上げますから助けてくださぁぁぁぁぁいっ!!」
この目元を覆う仮面を取れば、少しは混乱が治まるだろうか?
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:37:39.19 ID:59hGjjrfO
そう一瞬だけ考えたが、もはや手遅れだろう。
むしろ素顔など見せたら取り返しがつかなくなるに違いない。
(▽、▽;川(やっぱり、この格好はまずかったな……)
右手に持った鞭を見て、ため息をつくペニサス。
しかしその格好からは憂鬱さなど、微塵も感じさせなかった。
―――――
彼女に言わせれば、その全ての原因は夫にあった。
日々感じるストレスや、無機質でつまらない毎日、
顔にしわが増えたのも、お腹に脂肪がついてきたことなど、何もかもがだ。
('、`*川「…………」
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:39:17.19 ID:59hGjjrfO
いつのことからか夫の一挙一動が気に触り、
いつの間にやらか存在自体が気に入らなくなっていた。
心の底から、うんざりしていたのだ。
('、`*川「…………」
そんな彼が起床したことにペニサスは気が付く。
物音で分かったのだ。
そして自分のいる食卓にやって来た。
それを見てわざとらしく大袈裟に、舌打ちをした。
('、` 川「……チッ!」
(;@_@)「…………っ!」
夫はその音に、びくりと体を震わせてから、
震える声で彼女に言った。
(;@_@)「お、おはよう……いい天気だね……」
('、`#川「………」
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:40:40.60 ID:59hGjjrfO
いつも通り無視するペニサス。
彼女はもくもくと食事を続けた。
(;@_@)「……今日の、朝ご飯は……なんだろなぁー……?」
正におっかなびっくり、といった様子で席に着く夫。
ペニサスは彼をじろりと睨んでから、
茶碗に生米を注いで、それを食卓に叩き付けた。
(;@_@)「………」
('、`#川「…………」
夫は呆然として茶碗を見つめている。
そんな彼を気にも止めず、
焙り焼きにした蟹を口に運ぶペニサス。
(;@_@)「せめて……炊いて欲しい……かなぁ……とか……?」
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:42:54.53 ID:59hGjjrfO
ペニサスは再び舌打ちをして、机を蹴った。
すると彼女の旦那は、急いで生米を食べることにした。
('、` 川「…………」
ポリポリと米を噛む夫を、
少量の酢をかけたフカヒレのスープを食べながら見て、ペニサスは思う。
('、`#川(どこまでヘタレなの……ちょっとは反論でもしたらいいのに……)
次に煮込んだアヒルの肉に取り掛かる。
奥歯で噛みしめるたびに、肉汁が溢れ出た。
('、`#川(本当に情けない奴……)
次に串焼きにした鰻をバリバリと食す。
垂れる油を拭って、味を堪能する。
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:45:10.30 ID:59hGjjrfO
手をひらひらと振り、挨拶する。
そして彼を席に座らせた。
('、`*川「ほーら!たんとお食べ」
高らかにペニサスはそう言い、
500gの松坂牛のステーキと新鮮な海鮮魚で作ったブイヤベースと
トリュフを合えたクリームパスタを出した。
(;><)「こんなに食べれないんです!」
('、`*川「勿論、残しても良いのよ。食べ過ぎは体に毒だからね」
(@_@)「もし余ったら……僕が食べようかな……」
('、`#川「はあ?なに?」
夫の言葉に、怒気を含ませて答えるペニサス。
青ざめて謝罪する夫。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:46:04.86 ID:59hGjjrfO
(;@_@)「すいません、でした…………」
('、`#川(フヌケの腰抜が!これでもヤクザの息子なの?)
義父の顔を頭に思い浮かべてから、
視線を前にいる男にやる。
だが、とても結びつかない。
相手に聞こえるように大きな溜め息を吐くと、
彼は気まずそうにしてそそくさと食卓から消えた。
―――――
昼御飯用にワサビを持たせた夫を蹴り送り、
可愛い息子を笑顔で見送った。
それらが終ると、出勤の準備を始める。
('、`*川「忘れ物は……無いかな?」
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:47:26.25 ID:59hGjjrfO
本来なら昼過ぎに着けば良かったのだが、家にいても退屈なので、
ペニサスはいつも早めに向かうことにしている。
化粧をし、バックに荷物を詰め込んで、外へ出るペニサス。
('、`*川「いってきま〜す」
無人の家に声をかけ、鍵を閉めてから意気揚々と歩き出した。
―――――
「ああああああ!!女王さまぁぁぁぁぁぁっ!!」
(▽、▽*川「この豚が!!豚野郎が!!!」
「らめぇぇぇぇぇぇっ!!」
暗い室内に、叫び声が木霊した。
(▽、▽*川「どうしようもないピックだねっ!!このゴミが!この汚物がっ!!」
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:49:00.63 ID:59hGjjrfO
鞭が、振り下ろされた。
肉を叩く音が、空気を揺らした。
「あうぅ!あうぅぅっ!!」
背中を赤く腫らした男が恍惚の色を顔に浮かべながら、悶えた。
(▽、▽*川「本当に汚らしい!!吐気がするよ!!」
ここは『SM熟女倶楽部・渚』。
苦痛で癒しを求める男達が集まる場所だ。
そこでペニサスはボンテージに身を包み、
蝶を形どった仮面をつけて鞭を振るっていた。
(▽、▽*川「ほらほらほらぁぁぁっ!!」
「あぐぅぅぅぅ!!」
これが彼女のアルバイトだ。
週に四回は、こうして汗を流して金を貰っていた。
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:50:00.63 ID:59hGjjrfO
とはいえ、決して生活に困っているわけではない。
雀の涙とはいえ旦那はきちんと稼いでいるし、
なにより孫に目がない義父が、多額の仕送をくれている。
これは、ストレス発散のためにやっているのだ。
どうしようもない倦怠な日常に花を添える、彼女の息抜きなのだ。
―――――
※以下、プライバシー保護のため、モザイク処理をしてお送りします。
(* ●_ゝ●)】「あっ!もしもし?弟者か!?兄のいやらしい声を聞いてくれないか?」
『死ね』
(;●_ゝ●)】「弟者ぁぁぁぁぁ!!」
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:51:20.84 ID:59hGjjrfO
(▽、▽*川「情けない兄貴だね!!踏んでやるよ!!」
(* ●_ゝ●)「あああああ!!流石です、流石女王様ですぅぅぅ!!」
―――――
<ヽ●∀●>「ダッ、ダメニダー!キムチをそんなに塗りたくっちゃダメ――」
(▽、▽*川「ほーら、ロウソクだよ〜☆」
<ヽ●∀●>「あふぅぅぅぅぅん!!ホルホルホォォォォォォンッ!!」
―――――
^^俺には
モザイクなどいらん
^^存分に叩け
(▽、▽*川「ほれほれ!!痛いのが好きなんだろ!?」
^^感じるぞ
たまらんな
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:52:56.34 ID:59hGjjrfO
(▽、▽*川「いい声でお鳴き!ほれお鳴き!!」
^^素晴らしい快楽だ
ここが楽園か
^^ブヒー
―――――
かつてペニサスが最も輝いた時代があった。
それは『殺人娘カルテット』というバンドを組んでいた頃だ。
仲の良い友人達と十代の後半に結成し、
ライブハウスで演奏したのが始まりだった。
曲の内容は物騒なものだったが、
瞬く間に脚光を浴び、成人する前にメジャーデビューを果たした。
あの頃は本当に良かった、とペニサスは改めて思う。
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:54:12.29 ID:59hGjjrfO
好きな音楽を気心の知れた仲間達と演奏し、
自分達の奏でるミュージックに世間は歓迎してくれた。
脚光を浴び、注目され、多くの人々に認められた。
それが、気持ち良くて仕方がなかった。
しかし、栄光の日々は短かった。
ボーカルである素直グールが脱退することになり、
夢の様な時間に幕を引くことになったのだ。
川 ゚ -゚)『……なにも解散することないじゃないか』
('、`*川『あんたがいなきゃ、カルテットじゃなくなるから仕方ないよ』
川 ゚ -゚)『だが……』
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:56:47.89 ID:59hGjjrfO
('、`*川『結婚してあいつのそばにいたいんでしょ?
なら、このバンドは解散だよ。
素直グールがいなきゃ、悪魔の宴も機能しないって』
川 ゚ -゚)『……』
('ー`*川『あのド変態と幸せになりな。おめでとう、クー』
笑って言って祝福した。
友人は、嬉しそうに微笑んでくれた。
だが、今となっては、少しだけ後悔していた。
あの頃が、眩しくて仕方なかったからだ。
もう少しだけでも続けていたかった。
続けていれば、今とは違う自分になれたんじゃないか?
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/24(金) 23:58:41.19 ID:59hGjjrfO
そんな風に、ペニサスは思ってしまうのだった。
―――――
(* ●●ω)「ホマァァァァッ!」
(▽、▽*川「…………」
意識せずに思い返した記憶。
それは彼女の感情を掻き乱す。
(* ●●ω)「ホマホマァァァァッ!ホマッ!!」
過去を悔いても仕方がないのは分かっていた。
どうせあのままバンドを続けていても
いずれは世間に飽きられてしまっただろう。
それになにより、ボーカルだった友人は
かなり前に亡くなってしまっているのだ。
(* ●●ω)「ホマー!ホマー!ホッ!ホッ!ホマァァァァッ!!」
- 39 名前: 再開します。保守ありがとうございます。 投稿日: 2007/08/25(土) 00:12:39.57 ID:Aw1pfdHRO
だからもしあの時に引き止めていても、
どのみち『殺人娘カルテット』は解散していたのだ。
だから、仕方がない。
(▽、▽*川「…………」
(((* ●●ω)))「ホマ……ホマッ……」
しかし、今とあの頃の差はどうだろうか?
一方はミュージシャンとして爆発的な人気を得た日々、
そしてもう一方は主婦としての吐気がする程の凡庸な毎日。
ペニサスは刺激が欲しかった。
バンド時代並の、なんて贅沢は言わない。
でもこの退屈過ぎる日常をなんとか変えたかった。
そのために鞭を振るい続けていた。
満足なんか、全然していなかったが。
―――――
あれこれと考えているうちに
すっかり興が削がれてしまったペニサスは、
仕事を早退して酒を飲みに行った。
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:14:08.35 ID:Aw1pfdHRO
整理出来ない気持ちを誤魔化したかったのだ。
(▽、▽*川「……ヒック」
着替えるのが億劫だったのでそのままの格好で店に入ると、
奇異な視線を浴びることになった。
でも彼女は気にも止めずに酒をあおった。
早く酔ってしまいたかったからだ。
(▽、▽*川「犬が西向きゃ尾は東〜♪っとくりゃぁ!」
寿司折りを持って、千鳥足で歩くペニサス。
そこに、割れた瓶を持った少女が、駆け寄ってきた。
从#゚∀从「おい!そこの変態ババァ!この辺でオカマ見なかったか!?」
(▽、▽*川「知りましぇーん☆」
从#゚∀从「クソッ!どこに隠れやがったんだよ!!
絶対にぶっ殺してやる!!」
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:16:32.09 ID:Aw1pfdHRO
そう言って再び駆け出す少女。
それを黙って見送るペニサス。
(▽、▽*川(私達がバンド組んだのも……ちょうどあれくらいだったかなぁ……)
(▽、▽ 川「…………」
(▽、▽*川「あらよっと〜♪」
若さへの羨望を押し殺し、再び帰路につく。
やがて家につき、扉を開けた。
(▽、▽*川「たっだいま〜☆」
( ><)「おかえりなんです。遅かったんで――」
(;><)「って!なんつー格好してるんですか!?」
(▽、▽*川「およよ〜?」
(;><)「黒い革の……下着なんですか?わかんないです!!」
(▽、▽*川「ママにもよく分かんないなー」
(;><)「恥ずかしいんです!!止めて欲しいんです!!」
(▽、▽*川「へへーん☆」
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