( ^ω^)はミュージカルをするようです

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:18:19.84 ID:Aw1pfdHRO

抗議する息子を鼻で笑い、寝室へペニサスは向かった。
今日はもう、眠ってしまいたかったのだ。

(▽、▽*川「ふんふ〜ん♪」

化粧も落とさずにベットに横になる。
瞼を閉じると、するすると眠気がやってきた。

|_@)「……おかえりなさい」

襖が開く音と共に、旦那が押し入れから顔を覗かせながら言った。

(▽、▽ 川「…………」

それを狸寝入りでやり過ごす。
話など、したくなかったのだ。

|_@)「……ご飯は、出前ですませたよ。
   ビロードと二人でピザを食べたんだ」

彼がなぜ押し入れにいるかというと、
それはペニサスの言いつけを守っていたからだった。

彼女は「あんたがいるとよく寝れない」と言い放ち、
押し入れ生活を強要させたのだ。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:19:06.33 ID:Aw1pfdHRO

だから寝室が同じでも、寝る場所は違う。
彼女はベットで、彼は押し入れだ。

|_@)「……今日ね、面白いテレビが――」

(▽、▽#川「疲れてんだから静かにしてよ!!」

|;@_@)「……ご、ごめんなさい」

謝罪して閉める夫。
舌打ちして眠る妻。

我ながら酷い夫婦生活だな、と皮肉気に思った。

―――――

『殺人娘カルテット』を解散したら、
ペニサスはあっという間に世間から見限られてしまった。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:20:04.75 ID:Aw1pfdHRO

覚悟していたとはいえ、
あまりの接され方の違いから失意と無力感に捕われたペニサスは、
逃げる様に就職し、お見合いで今の旦那と知り合った。

何度かデートしていくうちに、寡黙で優しい彼に少しづつ心が引かれ、
ある告白で結婚を決意した。

(@_@)『実は僕の親……ヤクザなんです。隠していて、すみませんでした』

それを聞いて驚きはしたが、嫌悪感は抱かなかった。
むしろ少し嬉しいぐらいだった。

なぜならヤクザの息子というのは、バンド時代に感じていた刺激を
何らかの形でもたらせてくれるんじゃないかと期待したからだ。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:20:59.63 ID:Aw1pfdHRO

ペニサスは伊藤という名字を荒巻へと変え、蜜月が始まった。

しかし彼女の思惑は功をなさなかった。

放任主義だった義父は、必要以上に自分達に関わろうとしなかったし、
その息子は、本当に血が繋がっているのかと疑問に思うぐらい、
退屈な人間だったのだ。

子供が生まれたのは、嬉しかった。
義父も過剰なほどに可愛がってくれている。

けれども、夫には強烈な不満があった。
毎日、辛くあたってしまうぐらいの重くて深い、不満が。


―――――


翌朝。
ペニサスは二日酔いの頭を抱えながら、
とぼとぼと歩いていた。

(▽、▽ 川「気持ちわるっ……」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:22:31.28 ID:Aw1pfdHRO

昨日、『SM熟女倶楽部・渚』から、
今度から手渡しではなく銀行振り込みにしたいと言われた。

最初は家族で使っている口座に振り込んでもらおうかと思ったが、
さすがにそれは自重した。

なので、新しく口座を用意するために、銀行へと向かっていた。

(▽、▽ 川「飲み過ぎたかなぁ……それとも歳かな……」

昨晩に会った少女を思い出す。
とても若く、活発そうだった。
自分にも、あんな頃があった。

(▽、▽ 川「あーあ……」

憂鬱さを息に変えて、吐いてみた。



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:23:54.02 ID:Aw1pfdHRO

だが、酒臭さが漂うだけで気分はちっとも変わらなかった。

(▽、▽ 川「着いた着いたっと……」

自動ドアを通り、銀行に入った。
手近の行員に、声をかけようとした。

(▽、▽ 川「ちょっとすみません、新規の――」

(;゚ω゚)「きゃあああああああああ!!」

(▽、▽ 川「え?」

(;゚ω゚)「強盗だおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

(▽、▽ 川「はい?」

意味が分からなかった。
なぜこの青年は騒いでいるのかと疑問に思った。

(;゚ω゚)「女王様が、銀行強盗にいらっしゃったおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:25:13.74 ID:Aw1pfdHRO

(▽、▽;川「あっ……」

遅れて、気が付く。

自分の格好に。
手に持つ鞭に。
顔を隠す仮面に。

―――――

「ひゃあああああああ!!」

「うわあああああああ!!」

騒然として混乱する銀行内。
逃げ惑う客達。

(▽、▽;川「あのー……」

おろおろと困惑するペニサス。
カウンターの向こうからは次々と大量の一万円札が飛び交っていた。

「い、いくら欲しいんですか!?用意しますから!すぐに用意しますから!!」

(▽、▽ 川「誤解ですよー」

((( ;ω;)))「怖いお……おっかないお……」



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:26:21.16 ID:Aw1pfdHRO

「ゴルァァァァァ!!一大事だぞゴルァァァァァッ!!」

(▽、▽;川(ヤバい……どうしよう……)

ペニサスはこの混乱をなんとかしたかったが、
どうにもならなかった。

なんせ自分が少しでも手を動かせば、銀行内の人間は走り出し、
ちょっとでも足を動かせば、一斉に伏せるのだ。

(▽、▽;川(取り合えず、武器になりそうなのを離そう……)

なぜか持ってきてしまっていた鞭を地面に捨てるペニサス。
だが間の悪いことに、走っていた人がそれを踏んで転倒した。

(;^ω^)「っ!!?」



56 名前: さるでした 投稿日: 2007/08/25(土) 00:39:58.78 ID:Aw1pfdHRO

(;^ω^)「ぼ、僕いま見たお!!
       女王様が手にも触れずにあの人を転ばしたおっ!!!」

「エスパーだゴルァァァァァァァ!!!!」

(▽、▽;川「違うよ、全然違うよ」

泣き出す青年。
わめく客達。
事態は更に混乱していった。

(▽、▽;川(どうしたらいいの……?)

マスクのせいでよく視界が見えなかったのが、ペニサスの困惑を助長させた。
なんとかこの状況を打開したかったが何も思い付かなかった。

その時、凛とした声が響いた。

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ!!」

(▽、▽;川&全員「っ!!!?」



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:41:21.50 ID:Aw1pfdHRO

ノハ#゚听)「強盗めぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
     このヒートさんが相手になるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

入り口から勢い良く若い女性が現れた。
――ふんどし姿で。

ノハ#゚听)「どすこーいっ!!」

「「「おっぱいだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

銀行にいる男性陣の声が揃った。
それも無理はない。
なんせその女性は、胸を露出していたからだ。

「巨乳だよ!巨乳!!」

「やったぜ!!生きてて良かったぜっ!!」

「最高だぁぁぁ!!」

(▽、▽;川(何がなんだか良く分からないけど……
       逃げるチャンスかな……?)



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:42:57.41 ID:Aw1pfdHRO

注目が逸れたので、そろりそろりと動くペニサス。
しかし、知り合いの顔を見付けて、足が止まった。

(,,゚Д゚)「……」

(▽、▽;川(ギッ、ギコ!!?なんでこんなとこに!?)

何年振りかに見た顔に、嫌な汗が出た。
もっとも、仮面のお陰で向こうは気付いてないようだったが。

(,,゚Д゚)「…………」

(,,*゚Д゚)

「おいっ!!おっさん!!なにやってんだよ!?」

(,,;゚Д゚)「ゴ……ゴルァ?」

「いまズボンのチャック開けただろっ!!何しようとしたんだよ!?」

(,,;゚Д゚)「い、いや……別に……」



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:44:19.99 ID:Aw1pfdHRO

「まさか……」

「おいおい、マジかよ!こんな場所でか!?」

「信じられねぇ……」

(,,;゚Д゚)「……ゴ、ゴルァ……」

「この変態をつまみ出せ!!」

「よっしゃ!!」

(,,;゚Д゚)「二分!!二分ですむからやめてくれ!!」

(,,;Д;)「お願いだゴルァァァァァッ!!」

(▽、▽;川「ふぅ……」

数人の男性に運ばれる中年男性。
それを見て、ペニサスは安堵した。

ノハ#゚听)「そこのへちゃむくれぇぇぇぇぇぇ!!行司をやれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

(;^ω^)「お?僕ですかお?」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:45:23.94 ID:Aw1pfdHRO

ノハ#゚听)「そうだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!早くしろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

(;^ω^)「えっ……おお……えっーと、見合って見合って……」

(▽、▽;川「ん?」

声のする方へ目をやると、女性が腰を落として睨みつけていた。
そして柔和な顔をした青年が、自分とその女性の中央で右手を差し出していた。

(;^ω^)「あの……見合ってもらえますかお?」

(▽、▽;川「あ、はいっ……」

分けも分からずに、女性と同じ構えを取るペニサス。

(▽、▽;川(私……何やってんのかな……?)



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:46:59.98 ID:Aw1pfdHRO

(;^ω^)「はっけよい、のこった!!」

ノハ#゚听)「むはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

突進してきた女性が自分に激突し、革のパンツを掴んだ。

(▽、▽;川「なになになになに!?」

ぐいっと引き上げられたかと思うと、体が宙を舞った。

(▽、▽;川「きゃあぁぁぁぁぁ!?」

半回転し、衝撃がきた。
地面に叩き付けられたのだ。

(;^ω^)「お、おっぱい山の勝ち〜」

ノハ*゚听)「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

(;、; 川「な……なんでこんなことに……」



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:48:25.79 ID:Aw1pfdHRO

彼女は嬉しそうに、ガッツポーズを取っていた。

(;^ω^)「……」

青年は羽織っていた半袖のシャツを脱ぎ、半裸で喜ぶ女性にそれを着させた。

(*;^ω^)「女の子がそんな格好をするのはちょっと……」

ノハ*゚听)「おー、ありがとー」

満面の笑みを浮かべながら、腕をぶんぶんと腕を振る女性。
青年はシャツのボタンを順にとめていっていた。

「なに考えてんだタコ!!」

「せっかくのおっぱいに何しやがる!!」

(;^ω^)「おっ!?」

「ふざけんじゃねーぞ!!」

「ぶちのめされてーのか!!」



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:50:20.05 ID:Aw1pfdHRO

沸き上がる怒号。
怒り狂う男性陣。

('、`;川「もう帰りたい……」

だが下手に動けば目立ってしまう。
そこで捕まれば、警察行きは間違いだろう。

('、`;川(なんとか――隙を見付けなきゃ……)

困り果てるペニサス。
そこに柔和な表情の青年が、パンッ、パパンッ、と手拍子をした。

( ^ω^)「ホライゾ〜ン♪僕の名前はホライ――」

「歌ってんじゃねーぞコラッ!!」

「そんなんで誤魔化されるか!!」

(;^ω^)「っ!!?」

「おっぱいはどうした、おっぱいはよ!?」

「頭に虫わいてんのか!?なんとか言えよコラ!」



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:52:06.85 ID:Aw1pfdHRO

(;^ω^)「ゾン……ゾン……♪」

しゃがんで立ち上がり、両手を上に突き出す青年。

「今度は踊り出しやがったぞ!!!」

「オラ!人の話聞いてんのかテメー!!」

( ;ω;)「……ゾン……ゾ……」

青年はぽろぽろと涙を流して泣き出した。
しかし、周囲の男性達は罵倒しながらパンフレットやボールペンを彼に投げていた。

('、`;川(……ちょっと可哀想かも)

そんな青年を見かねてか、フンドシ女が彼に走り寄った。
そして腕を振り被った。
ノハ#゚听)「男が――泣くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/25(土) 00:54:15.72 ID:Aw1pfdHRO

( #)ω゜)「ぶはぁぁぁぁっ!!」

平手で叩かれた青年は、そのとてつもない威力でぐるりと回った。

('、`;川(凄いパワーねぇ……)

回る青年の勢いは止まらなかった。

回った。
さらに回った。
どんどん回った。

回って回って回り続けた。

('、`;川(グルグルし過ぎでしょ……バターにならなきゃいいけど)

('、` 川「あれ?」

気が付くと、青年は腕を胸の前で交差させながら片足で回転していた。



戻る次のページ