( ^ω^)はミュージカルをするようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:25:44.95 ID:rngJM0OCO

八曲目・モナー



彼が四季の中で一番好きなのは夏だった。

それは海に入れるとかアイスが美味しいとか薄着の女の子が見れる、
といった理由からではない。

それはこうして自分が下校する時に集まる
冷ややかな視線がその季節の暑さによって、
軽減されているような気になれるからだった。

( ´∀`)(……それにしても……離れ過ぎだモナ)

歩くモナーを中心に、円が出来ていた。
誰もがみんな、あからさまに彼を拒絶していたのだ。

( ´∀`)(……でも、いいモナ。これぐらいなら平気――)

DQN1「モナーちちゃぁぁぁぁぁんっ!!」

(;´∀`)「っ!?」

平気じゃないのが来た、と思った。
嫌な汗が、流れた。

DQN1「先に帰らないでよーwwwww寂しいじゃーんwwwwwww」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:30:04.54 ID:rngJM0OCO

走り寄って来たクラスメイトはモナーの背中を蹴った。
なんとか転ばないいように、彼は踏ん張った。

(;´∀`)「…………」

DQN2「今日も一日ご苦労様でしたーwwwwwwww」

頭を平手で叩かれた。
でもモナーは気にしてない素振りを貫いた。

DQN3「月火水木・キン肉マ〜ン♪金土日は遊びたい♪ヤッホー♪」

(;´∀`)(こいつらは他にやることないモナ?……もう、うんざりモナ)

一刻も早く家に帰りたい。この悪夢から解放されたい。
叶わぬ望みを心中で唱えながら、モナーは足を早めた。

DQN1「……シカトしてんじゃねーぞ!!」

前に回り込まれ、胸を叩かれた。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:31:46.56 ID:rngJM0OCO

一瞬つまる息。

DQN2「なにお前?何様?」

肘で背中を突かれた。
かなり、痛かった。

DQN3「キン肉バスターすんぞコラッ!!」

モナーは喋りたくなかった。
どうせ何を言ってもからかわれるか、相手を激昂させてしまうかだ。
だから口を閉ざして、曖昧に笑った。

DQN1「おい、なにヘラヘラしてんだよ。気持ちわりぃ」

DQN2「スカしてるつもりかよ、マジうぜぇ」

DQN3「テメーはテリーマン気取りか!?似てやがるな!!」

(;´∀`)(……どうすればいいんだモナ)



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:34:04.26 ID:rngJM0OCO

困惑し、途方に暮れた。
解決策が見付からなかった。

DQN1「あれぇ?顔が引きつってませんかぁwwwwwww」

DQN2「本当ですねぇwwwww気持ち悪いですねぇwwwwwww」

DQN1&DQN2『ぎゃははははははははwwwwwwwwww』

(;´∀`)(…………)

道行く人の中には、同級生が大勢いた。
みんな見てない振りをしているか、遠巻きで笑っているかのどちらかだった。

モナーに味方など、いないのだ。話し相手すらいなかった。
そんな彼に出来ることは、苦笑いすることだけだった。

(;´∀`)(でも……このままじゃダメだモナ。勇気を出すモナ……)

そう思い直して、意を決する。
クラスメイト達を見て、口を開く。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:35:41.52 ID:rngJM0OCO

(;´∀`)「い、い、嫌がらせは、もう、やめて、モナ……」

DQN1「はあ?」

(;´∀`)「だ、だ、だ、から、嫌がらせ、はもうやめ……」

DQN2「ハーイ!分かりました!」

(* ´∀`)「!?」

DQN2「絶対に止めませーんwwwwwwwwww」

DQN1「おまwwww酷すぎwwwwwwww」

(;´∀`)「…………お、お願いだモナ……」

DQN1「うるせーよwwww黙れバカwwwwwwww」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:37:35.09 ID:rngJM0OCO

大笑いするクラスメイトに脛を蹴られた。
痛さに思わず声が出た。

(;´∀`)「モナッ!?」

DQN2「『モナッ』だってよwwwwwマジうけるwwwwwwww」

DQN3「『コーホー』だったらウォーズマンっぽかったのにな」

(;´∀`)(……何度も、何度も思ったけど)

(;´∀`)(本当に、うんざり、モナ…………)

涙目になるのが、分かった。
でも、懸命に堪えた。

ここで泣いたら相手を調子に乗らせるし、なにより無意味だったから。


―――――


料理と虐めの共通点は、フルコースを味わうのに長い時間かかることだ。
モナーはそんな皮肉気なことを考え、自嘲した。

(* ´∀`)(でも今は関係無いモナ)



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:40:14.41 ID:rngJM0OCO
下校時に不快な思いはしたが、今は自宅にいる。

だから自由だ。

趣味に没頭できる。

幸せだ。

(* ´∀`)「ふんふ〜ん♪モナモナ〜♪」

制服とトランクスを脱ぎ捨てると、黄色のパンティーを履いた。

(* ´∀`)「今日のラッキーカラーはイエローのはずだったモナよん♪」

洋服箪笥を開けて、物色。
目を瞑って、ど・れ・に・し・よ・う・か・な、とニヤつきながら選ぶ。

(* ´∀`)「……エッチな服をチョイスしちゃったモナ。嫌々だけど、着るモナ」

ハンガーに掛かったワンピース。
それに着替えてカツラを被った姿を鏡に写す。

( ´∀`)「…………」

(* ´∀`)「可愛いモナ〜!似合い過ぎだモナッ!!」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:41:52.04 ID:rngJM0OCO

部屋の端から端まで歩くモナー。
気分はすっかりパリコレだ。
もちろん立ち止まる時にはワンポーズ。

(* ´∀`)(聞こえるモナ…………拍手の音が!!)

モナーは自分の姿に魅了された。
なんてセクシーでキュートなのだろう、と自画自賛した。

(* ´∀`)「現代の三大美女!その名は――」

親指を噛んだ。

( ´∀`)「モナ美!」

余った手は頭にやった。

( ´∀`)「モナ江!」

胸を張って鏡を見た。

( ´∀`)「モナ子!!」

( ´∀`)「…………」

(* ´∀`)「ヒュー!
       ビューティフル・スーパー・レディ!ミス・モナー!!!」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:44:05.22 ID:rngJM0OCO

照れてその場で飛び跳ねた。
モナーは一人の時間を堪能していた。

彼には、変わった趣味がある。
それは女装癖だ。

困ったことに自分が相当な美人であると信じ込んでいる、
たちの悪いナルシストだった。


―――――


暇だし気が向いたら、ちょっと試してみようかな。
最初はそんな軽い思い付き。

留守にしていた妹の部屋に行き、適当に選んで服を着た。

そうしたら、凄く似合っていた。
サイズこそ小さく、上着がチョッキのようになっていたが。

その日から、モナーの夜はモナ子として生きられた。
学校のことなんて、簡単に忘れられた。

(* ´∀`)「プリティモナ〜♪マジ可愛い〜♪」

(* ´∀`)「プリティモナ〜♪マジでやっばい♪」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:46:09.37 ID:rngJM0OCO

運送会社で荷物の仕分けをするアルバイト。
貰った給料は女性用の服に費やした。
おかげで、今では小さな洋服屋が開けるぐらいの量がある。

試着してから選んだので、その全てが自分に似合っていた。

(* ´∀`)「……こんにちわ、モナはモナ子というモナよ」

愛され上手になるために、鏡に向かってそう言った。

そこにはスイーツ(笑)でパスタ(笑)な等身大の自分がいた。
これが、アタシ流。

小悪魔メイクとキラキラ小物でワザアリだ。
ロハス(笑)。

( ´∀`)(これは……世間に披露しないと罪になるモナ)

存分に自分らしさを演出したモナーは、部屋を出た。
そして外に飛び出し、声を張り上げた。

( ´∀`)「みんな私を見て!こんなに可愛いのよ!!」

(* ´∀`)「モナモナモナwwwwwwwwww」

辺りは夜の帳が降りており、真っ暗だ。
しかしモナーの表情は陽光のように輝いていた。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:47:44.19 ID:rngJM0OCO

(* ´∀`)(ナンパされちゃったらどうしよう……モナw)

自分には同性愛の趣味など無い。
でも素敵な女性、つまり艶女(アデージョ)だと思われたら凄く嬉しい。
だから声を掛けてくれるぐらいなら、大歓迎だった。

そんなレディースプランを起てつつ、モナーは夜の街に向かった。

女装したまま外出するのは初めてだったので、
気分は嬉し恥ずかし少し怖い、といったところだった。


―――――


( ´∀`)(……おかしいモナ)

不可解だった。
それに、気付いた。

( ´∀`)(これじゃいつもと同じモナ……)

自分が歩く。
すると人が避ける。

まるで登下校すると同じではないか、とモナーは愕然とした。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:50:19.96 ID:rngJM0OCO

( ´∀`)(…………)

通行人の男性に、物は試しとウインク一つ。
食らった相手は眉間にシワを寄せてから、下を向いた。

( ´∀`)(……?)

別の男性に投げキッス。
その人は顔を背けて壁とにらめっこ。

( ´∀`)(照れて……る?)

そうとしか思えなかった。
なんてシャイな住人達だろう、とモナーは呆れた。

(;´∀`)(……それなら……モナーがやるか、モナ)

強行策に出ることにした。
それは究極の自分磨き(笑)、逆ナンだ。

向こうが来ないなら、自分から行けばいいのだ。

( ´∀`)(やってやるモナ……!!)

例えどんなに素晴らしい作品が出来たとしても、
それを机の引き出しにしまってしまえば意味が無い。

評価を得るには、恥を忍んで表に出す必要があるのだ。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:51:55.51 ID:rngJM0OCO

( ´∀`)(……あの人にするモナ。少し暗そうだけど、大人しそうそうだモナ)

('A`)「…………」

頭に包帯を巻いている痩せた男が目に止まった。
コンビニ帰りだろうか、手に持つはビニール袋。

( ´∀`)「ハーイ♪」

無駄毛を処理した腋。ふわモテカールなカツラ。
その二つをアピールしながら色っぽく挨拶した。

Σ('A`;)「おわっ!!?」

男は何かに驚き、尻餅をついた。
ひょっとしたら自分の美しさのせいかもしれない。

( ´∀`)「……どうしたの?大丈夫かしら?」

相手を気遣う女ヂカラを発揮させ、モナーは彼に接近した。

(;'A`)「ななななな、なんだなんだ!?なんだ!!?」

急に近付き過ぎたせいか、男は混乱したようだった。
あまり女性に慣れていないのだろう。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:54:22.06 ID:rngJM0OCO
( ´∀`)「こんばんわ、私はモナ子よ」

上目使いで自己紹介。
アタシ、百点。

(;'A`)「こ、こっちに来るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

物凄い勢いで壁まで下がるナイスガイ。
老酒をかけた海老みたいな動きがミステリアスでちょっとワル。

(* ´∀`)(そんなに照れなくてもいいのにモナ……)

でも、相手の動揺をもっと見たい。
もっとリアクションが見たい。

だからモナーは更に近付くことにした。

((((((;'A`))))))「ひっ…………ひいぃぃぃぃっ!!」

壁に阻まれているためもう下がる場所など無い男。
顔顔を寄せ、モナーは言う。

(* ´∀`)「貴方とお友達になりたいわぁ……」

(;'A`)「おっ……おホモダチ!?」

(* ´∀`)「そう、お友達よぉ……」

彼の恥ずかしがる様が、嬉しくて仕方なかった。
そんなに自分が可愛いのだろうか?



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:56:14.37 ID:rngJM0OCO
やはり自分は魅力的だったのだ、と確認出来た。

((((((;'A`))))))「おおお、怒らずに、お聞きして欲しいのですが……」

( ´∀`)「なにかしら?」

((((((;A;))))))「あっ、明日も俺、就活あるし……だから……その……」

( ´∀`)「だから?」

((((((;A;))))))「……帰……うぁぁ……」

(;´∀`)(……?よく聞こえないモナ……)

男の途切れ途切れの言葉から真意を推理しようとした。

( ´∀`)(えっーと……)

用事があって長居できない。それが残念でならない。
きっとそう言いたいのだろう、とモナーは察してあげた。

(;´∀`)(……悔し泣きとはオーバーだモナ)

(* ´∀`)(でもそう思ってくれてありがたいモナ!……お礼をするモナよ!)

良い考えを思い付き、女運が無い彼にとっての最高の返礼をすることにした。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/08(月) 23:57:59.29 ID:rngJM0OCO
( ´∀`)「そう……帰らなくちゃならないの……それは残念ね」

('A`)「っ!!」

('A`)「そうっす!残念っす!!でも行かなくちゃ――」

男の言葉を遮るように、彼の髪を優しくかきわけるモナー。

(;゚A゚)「〜〜〜〜〜〜っ!!?」

(* ´∀`)「これから起きることは、一夜限りのドリームよ」

ふっ、と耳に息を吹きかけてやる。

Σ(;A;)「ひぃっ!!」

男が体を固くした。
モナーは彼を見ていると悪戯心が湧いてきた。
だから少し、サービスがてらにからかってやろう、と思ったのだ。

(* ´∀`)「さあ……立つのよ」

((((((;A;))))))「はっ……はひぃ……」

促され、生まれたての小鹿のような足取りで彼は立つ。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:00:10.20 ID:Fni9c/FXO
モナーは男の手を取り、胸を触らせてあげた。
もっとも、大量のパットを仕込んだ偽物のEカップだが。

(* ´∀`)「どう……?これがおっぱいよ?」

((((((;A;))))))「…………」

男は何も言わない。
恐らく今まで触れたことのない感触に打ち震えているのだろう。

( ´∀`)「さあ……次はどうしたいの?」

((((((;A;))))))「かえ……帰りたい…………」

(* ´∀`)(ぷぷっwまーだ照れてるモナ)

( ´∀`)「そうね……次はお尻を触らせてあげるわぁ」

そう言って、男の太股に尻を擦り出すモナー。

((((((;A;))))))「ひぃぃぃ…………」

(* ´∀`)「ふふふ…………」

ルンバのリズムで尻を押しつける。
男はヒップと壁に挟まれていた。



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