( ^ω^)はミュージカルをするようです
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:03:12.76 ID:Fni9c/FXO
- (* ´∀`)(きっと幸せの絶頂モナね)
感想を聞いてみようと顔だけ振り返る。
しかし男の表情すらも見えないうちに、突き飛ばされてしまった。
(;´∀`)「モナッ!?」
(;A;)「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」
叫びながら走り去る男。
モナーは呆然とそれを見送った。
( ´∀`)「…………」
(* ´∀`)「凄い恥ずかしやがり屋さんだモナ……」
彼のおかげで、美しさが証明された。
自分の魅力が立証できた。
まさか泣いて喜ぶとは予想だにしなかったが、嬉しい誤算だった。
(* ´∀`)「モナ〜♪モナモナ〜♪」
上機嫌になって鼻唄。楽しい帰路だ。
家に帰ってホットヨガでも試して更に可愛さを磨こう。
意気揚々とそんなことを考えていた思考が――一瞬飛んだ。
後頭部をとてつもない衝撃が襲ったからだ。
- 49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:04:56.76 ID:Fni9c/FXO
- ≡);´∀`)「モナアアアアアアアッ!!?」
ガラスの割れる音とその破片が辺りに飛び散った。
痛む頭を押さえながら、誰がやったのかとモナーは振り返る。
从 ;Д从ノシ「あばばばばばばばばばばばっ!!!」
そこには割れた空き瓶を振り回す、見たこともない女がいた。
(;´∀`)(だっ……だれだモナっ!?)
从#;Д从「ぶべらごばぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
女が動いた。
そう知覚した次の瞬間、とんでもない速度の拳がモナーの顔面に叩き込まれた。
(;´∀(# 「モガァッ!!」
がくんと動く首。
遅れて感じる鈍痛。
吹き出す鼻血。
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:07:46.98 ID:Fni9c/FXO
- 从#;Д从「おぼががががががががっ!!!」
今度は腹を蹴り上げられる。
その威力のせいで軽く浮いた気がした。
(メ;´∀`)「ゴェェッ!!」
くの字に体が曲がり、視線の先に地面があった。
そこに髪を掴まれる感触。
女の膝が、目前に迫る。
(メ;´∀((# 「グギィッ!!」
一発、二発と膝蹴りが顔に当たり、目の奥で火花が散った。
(メメ;´∀`)(だ、誰か助けてモナァ……)
女の手が離れた。
そのまま崩れ落ちた。
しかし襟首を掴まれ、無理矢理立たされる。
从 ;д从「ごんぼぐぼっ!がべら!?」
(メメメ;´∀`)「な……に…………?」
- 52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:08:57.51 ID:Fni9c/FXO
- 从#;Д从「がばばびらぼばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
拳を握り、振り被る女。
そしてモナーを殴り飛ばした。
(メメメ;´∀`)「モガァァァァァァァァァッ!!!」
地面に倒れ、転がる。
アスファルトのせいで皮膚と服が傷付いた。
(メメメ;´∀`)「うっ……うぅっ…………」
なんとか保っていた意識を総動員して、女を見上げた。
从 ;д从「ぁぐぅ……ぇぅ…………」
肩で息をつきながら、鬼のような形相の女。
なぜこんな暴行を受けなければならないのか、見当がつかなかった。
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:12:41.04 ID:Fni9c/FXO
- 从 ;д从「……触っ……た」
(メメメ;´∀`)「?」
从 ;д从「ドックンに触って……お喋りした……」
(メメメ;´∀`)「??」
从 ;д从「私だって……ベタベタ触っていっぱいお喋りしたいのに……」
(メメメ;´∀`)(ドックン?さっきの人のことかモナ?)
なるほど、とモナーに合点がいく。
つまり原因は嫉妬なのだ。
片想いの相手か何かに、
この魅力的な自分という存在にちょっかい出されたのが腹立たしいのだろう。
从 ;д从「声かけて……髪に触って……迫って……胸触らせて……」
ぶつぶつと呟く女。
よろよろと立ち上がるモナー。
- 57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:14:12.13 ID:Fni9c/FXO
- (メメメ´∀`)「お姉さん……」
まずは誤解を解こう。
自分は口説く気など毛頭も無かったと言い、話し合えば解決するに違いない。
――甘かった。
(メメメ;´∀`)「モゲェェェェェェッ!!?」
モナーの鳩尾に拳が突き刺さった。
吐き気が込み上げてくるが、股間に食らう激し過ぎる痛みがそれを消す。
金的だ。
玉を蹴られたのだ。
(メメメ;∀;)「モナァッ…………」
从 ∀从「……許さねーぞ、このカマ野郎……」
(メメメ;∀;)「……モ……ナ?」
从 ∀从「私なんかドックンと目が合ったこともねーのによ……
ぜってぇーに許さねー。ガチで許せねー……」
((((((メメメ;∀;))))))「モ、モナァ……」
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:15:42.38 ID:Fni9c/FXO
- 从#゚∀从「 テ メ ー は こ こ で 死 ね 」
(メメメ;∀;)「モナアアアアアアアアアアアアアッ!!!??」
女が割れた瓶の切っ先を突き出してきた。
刺す気だ。
目に宿す殺意に、モナーは恐怖した。
(メメメ;∀;)「モナッ!!」
何とか、避けた。
自分らしからぬ素早い動き。
これが死に際の抵抗力、火事場の馬鹿力か。
从#゚Д从「おらああああああああああああああああっ!!!」
風切り音と共に連打で繰り出される鋭い突き。
モナーはそれを紙一重で避け続けた。
(メメメ;∀;)(こ、殺されるっ!!!)
v
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:17:12.81 ID:Fni9c/FXO
- 人生で怖いと思ったことは何度もあった。
でも死を間近に感じられたのは初めてだった。
それは誰も自分の命を奪おうとはしなかったからだ。
だが彼女は違う。
確実に殺しにきていた。
(メメメ;∀;)「モナッ!モナッ!モナナッ!!」
避ける避ける、モナーは避ける。
右へ左へ回避する。
从 ゚∀从「……ん?」
(メメメ;´∀`)「モナ?」
不意に女の手が止まった。
視線が下に注がれていた。
そこには先ほど立ち去った痩せた男が持っていたビニール袋が落ちていた。
从//∀/从「うわああああああ!!エロい本だぁぁぁぁぁぁっ!!!」
袋の口から成人向け雑誌が顔を出していた。
女はそれに飛び付き、読み始めた。
- 62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/09(火) 00:19:00.59 ID:Fni9c/FXO
- 从//Д/从「くはぁぁぁぁぁっ!
相変わらずドックンはHな趣味してんなぁぁぁぁぁっ!!」
(メメメ;´∀`)「…………」
从//д/从「ひゃあぁぁぁっ…………こんなこと私に出来るかなぁ…………」
(メメメ;´∀`)(……チャンス、モナ?)
从//Д/从「でも!ドックンのためなら頑張るぜぇっ!!!」
足をばたつかせながら熟読する女を置いて、モナーはその場から逃げ出した。
―――――
(;´∀`)「ヤバいヤバいヤバいモナッ!!」
モナーは全力で走っていた。
肺が潰れそうなほど息が切れそうだったが、刺し殺されるよりましだった。
- 64: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:20:52.42 ID:Fni9c/FXO
- (;´∀`)「モナッ!?」
遠くから、女の咆哮が聞こえた。
その声は夜の住宅街に響き、不気味に木の葉を揺らす。
(;´∀`)「や、やつが来るモナ!!どうするモナ!?」
猛獣に追われる草食動物の気持ちが、リアルに理解できた。
(;´∀`)「隠れるモナ!!」
両腕を上に伸ばして電信柱と壁の間に体を滑り込ませる。
駄目だ、すぐバレる。
今度は丸くなってゴミ置き場の隣に座った。
無理だ、絶対見付かる。
(;´∀`)「どうすれば……」
そこでモナーは、目を疑うような事態に遭遇した。
- 65: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:22:33.50 ID:Fni9c/FXO
- ( ´∀`)「あれは……なんだモナ?」
……………((□ トコトコトコ
( ´∀`)「段ボールが……歩いてる……?」
Σ□ビクッ
□「…………」
( ´∀`)「…………」
自分の声が聞こえたのだろうか、その箱は動くのを止めた。
( ´∀`)(……もしかしたら……任務中のスネークかモナ?)
どら焼きといえばドラえもん。
段ボールと言えばスネークだ。
間違いない。
( ´∀`)「スネェェェク!!モナーを助けてぇぇぇぇっ!!」
段ボールを、剥いだ。
- 66: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:24:49.90 ID:Fni9c/FXO
- (;^ω^)「うおおおおおっ!?なんでバレたんだぉぉぉぉぉぉっ!?」
中から柔和な顔を青年が現れた。
残念なことに、タフな特殊部隊の人間には見えなかった。
(;´∀`)(でも四の五の言ってる暇は無いモナ!)
(;´∀`)「助けてモナ!!殺人鬼に追われてるんだモナ!!」
(;^ω^)「殺人鬼!?それは大変ですお!!」
(;´∀`)(話が早くて助かるモナ……きっと良い人だモナ)
(;^ω^)「ささっ!どうぞ隣へ!!」
(;´∀`)「ありがとうだモナ!!」
二人は段ボールを被った。
座り込むにはスペースが無さすぎたので、立つ羽目になってしまった。
(;^ω^)「なるべく目立たないようにするためにも、道の端に移動しますお!」
(;´∀`)「モナッ!!」
とことこ、と歩いて壁に張り付く二人。
そのまま、息を殺した。
- 68: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:27:42.01 ID:Fni9c/FXO
- ( ´∀`)「…………」
( ^ω^)「…………」
耳が痛いほどの静寂。
完全な、無音。
( ^ω^)「…………」
「どこじゃボケェェェェッ!!?」
(;´∀`)「っ!!」
怒声が聞こえた。
さっきより近かった。
あれは鬼だ。鬼の声だ。
「逃げられると思うなよぉぉぉぉっ!!絶対にぶっ殺してやる!!!」
(;´∀`)「…………」
(((((( ;ω;))))))「…………」
声の主が、来た。
駆ける足音が接近していた。
「ぶっ殺す!バラバラにしてやる!!!」
近づく、近づく、もうすぐそこに。
- 70: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:29:36.86 ID:Fni9c/FXO
- モナーは圧倒的な恐怖に陥れられ、叫び出したかった。
そして、自分達のすぐ側を声と足音が――。
「どこに消えやがったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
(;´∀`)「…………」
(((((( ;ω;))))))「…………」
通り、過ぎた。
女は自分を見付けられずにどこかへと走り去った。
(;´∀`)(助かった…………モナ……さすが段ボール……)
安堵のため息。
肩から力が抜けた。
- 71: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:31:15.70 ID:Fni9c/FXO
- こうして命があるのは、青年のおかげだ。
モナーは段ボールから出て、丁寧に礼を言った。
心を、込めて。
―――――
( ´∀`)「なんで隠れてたんだモナ?」
(;^ω^)「……友人から『誰にも見付かるな』と言われてまして……」
( ´∀`)「それは懸命で確実な方法を取ったモナね」
夜の街を、ぶらりぶらりと歩いていた。
静まり返った住宅街に、二人の足音だけが鳴る。
- 73: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:33:16.44 ID:Fni9c/FXO
- ( ´∀`)「でもなんで見付かったらマズイモナ?」
(;^ω^)「そ、それは……」
( ´∀`)「あっ、言いにくいならいいモナ。
誰にでも事情というもなあるもんだモナ」
先ほどモナーは、青年の拳が赤く腫れ、血がにじんでいたのを見た。
だから何か深いわけがあって隠れていたのだろう、と想像していたのだ。
(;^ω^)「……すみませんですお」
もしその傷が誰かを殴ってものだとしても、気にはならない。
この善人そうな顔を見ていると、
きっとその被害者の方が悪いのだろう、と思えたからだ。
それに命の恩人は、無下に出来ない。
恩返ししなければならないぐらいだ。
( ´∀`)「……もし良かったら、今日はうちに泊まるかモナ?」
- 74: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:34:45.28 ID:Fni9c/FXO
- (;^ω^)「えっ!?」
( ´∀`)「すぐそこだし、遠慮することないモナ」
(* ^ω^)「で、でも……こんな夜遅くですし……」
( ´∀`)「気にしないでモナー」
もしトラブルに巻き込まれているのなら、見捨ててはおけない。
彼は自分を助けてくれたのだ、だったら力になるべきだ。
恐らく行き場もないだろう。
そうモナーは察して、彼を自宅に案内した。
家に着くと鍵を開け、ドアをくぐる。
家族は寝ている時間帯だったが、日頃の習慣から、
ただいま、と声を出すモナー。
そして青年を招き入れた。
( ´∀`)「どうぞモナ」
(* ^ω^)「お邪魔しますお……」
- 76: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:36:48.98 ID:Fni9c/FXO
- ( ´∀`)「お腹は空いてないモナか?」
(* ^ω^)「大丈夫ですお」
( ´∀`)「それじゃさっそくモナーの部屋に――」
絶叫が、言葉を途切れさせた。
階段を駆け降りる音がした。
(;´∀`)(……あいつを忘れてたモナ)
やがて人影が見える。
それは急ブレーキで立ち止まると、舌をベロリと剥いて玄関に立った。
ミセ*゚Д゚)リ「バックホーム!!モナーブラザー!!」
槍を持った妹が、そう叫んだ。
―――――
昔は可愛かった。
舌足らずで甘えん坊なやつだ
った。
- 77: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:38:18.84 ID:Fni9c/FXO
- ミセ*゚听)リ『もあー、ちゃん』
( ´∀`)『モナーだモナ』
ミセ*゚o゚)リ『もやー?』
( ´∀`)『モナー』
ミセ;゚‐゚)リ『……も、なぁ』
( ´∀`)『そうだモナ。今のはよく言えたモナ』
ミセ*゚ー゚)リ『えへへへ……だっこ!』
( ´∀`)『ほいモナ』
ミセ*゚ー゚)リ『そんで、いーこいーこ!』
( ´∀`)『ミセリは欲張りだモナー』
ミセ*^ー^)リ『みせり、よくばぁーwww』
それが今じゃこれだ。
ミセ;゚Д゚)リ「ブラッド!ファッキン!!ブラッド・ハンドォォォ!!」
頭を掻きむしり、目をひんむいていた。
言動は意味不明の一言だった。
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