( ^ω^)はミュージカルをするようです

80: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:40:38.32 ID:Fni9c/FXO
ミセ;゚Д゚)リ「デビル・デビル・デビル!!ユーアー悪魔!?ホワット・デーモン!?」

( ^ω^)「おっおっ〜♪あくま悪魔だお〜♪」

( ´∀`)「ノリが良いモナね」

感心して、呟く。
兄であるはずの自分が踏み込むのに躊躇する領域に達しているのに、
彼があっさりと付き合えたからだ。

無礼な妹は青年の言葉など頭から無視して階段を駆け上がって行った。

まったく、実に変な妹だ。

彼女に呆れつつ、青年と共に自室に向かった。


―――――


翌朝。

また妹か。あいつの声か。
そう、思った。



82: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:42:23.75 ID:Fni9c/FXO
「うおおおおおおおおおおおおっ!!!」

( ‐∀‐)(ムニャムニャ……うるさい……モナ……)

「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

( つ∀‐)「モナーはまだ……眠いモナー……」

(; ゚ω゚)「うわああああああああああああっ!!!」

( ´∀`)「モナ?」

騒いでいたのは青年だった。

昨夜は彼は、
(* ^ω^)『さすがにベットで一緒に寝るのはマズイですお……
ですから、僕は床で寝かせてもらいますお』
と申し出ていた。

恩人を床に眠らせる無作法は心苦しかったが、彼は頑なだった。
だから薄手の毛布を渡して就寝した。

(; ゚ω゚)「おお……おっ……」

青年は顔を青ざめ、怯えているように見える。
お漏らしでもしたのだろうか?



83: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:44:29.47 ID:Fni9c/FXO
( ´∀`)「……どうしたモナ?」

(; ゚ω゚)「……お」

( ´∀`)「お?」

(; ゚ω゚)「男の人だったんですかおっ!!?」

(;´∀`)(……あ)

夏場はパンツ一枚でモナーは寝る。
なので今は平たい胸が顕になっており、青年はそこを凝視していた。

モナーは失念していた。
説明するのを忘れていたのだ。

青年は毛布を受けとると早々に横になり、熟睡した。
それを見届けてから、化粧をおとしてベットに入った。

妖艶で魅惑的な女性が、一夜を経たら男の子。
青年にしてみれば、狐に化けされた気分だろう。

(;´∀`)「あー……その、これは……」

(; ゚ω゚)「ひいぃぃぃっ!!お邪魔しましたおぉぉぉぉぉっ!!」

なぜかお尻を押さえつつ、青年が部屋から飛び出て行った。



86: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:46:57.64 ID:Fni9c/FXO
(;´∀`)(悪いことしちゃったモナ……)

後に残るは、自分の嘆息と憂鬱な朝。

げんなりとしながら登校の準備をする。
今日もまた虐められる一日が始まるな、と気持ちが暗くなる。

朝食を簡単に済ませ、さて行こうかと思った時、
モナーは干していた洗濯物の存在を思い出す。

朝のうちにしまっておこう、と物干場に行った。

そして、驚愕。
世界が引っくり返るような衝撃が、モナーを襲った。

(;´∀`)「無いモナァァァァァァァァァァァァッ!!!?」

(;´∀`)「モナーのパンティーが消えたモナァァァァァァァァァァァァッ!!!」

家族の洗濯物ならあった。
しかし目当ての物はない。
お気に入りだったピンクのパンティーが神隠しにあっていた。



88: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:50:53.47 ID:Fni9c/FXO
( ;∀;)「盗まれた……モナ……」

自分の下着を腫れ物のように扱うので、家族の仕業ではない。
だから犯人は第三者だ。
謎の怪盗があのセクシーな下着を盗んだに違いなかった。

( ;∀;)「酷いモナ……」

しかし彼の受難はこれだけでは終わらない。

悲哀と無力感を味わいながら学校に行き、
下駄箱を開けると酢豚が入っていたのだ。

( ´∀`)(昨日はたらこスパゲティで今日は中華モナ……)

もはや上履きを洗う気力も無く、
甘酸っぱい香りを放つそれを、モナーは履いた。

( ´∀`)(……もうどうでもいいモナよ……)

教室に入ると机が叩き割られていた。

( ´∀`)(……新しい机を取りに行くモナ)



89: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:52:09.48 ID:Fni9c/FXO
HRが始まるまでにわずかだが時間はあった。
早く手に入れなければならない。

今週だけで三脚目だ。
教師や用務員は呆れたような顔をするだろう。

( ´∀`)(モナーのせいじゃないのに、きっとモナが責められるモナ)

( ´∀`)(いつも……そうだモナ)

ここが底辺だ。モナーは日々の暮らしをそう感じていた。

でも底は深かった。

DQN1「おっはよーモナーちゃーんwwwwwwwwww」

DQN2「あれ?なんか酢豚臭ぇwwwwwwwwww」

DQN1「マジだwwwwwどうしたんでちゅかーwwwwwwww」

DQN2「机もぶっ壊れてるしwwwwwwwww」

DQN1&2『ぎゃはははははははははwwwwwwwwwwwww』

( ´∀`)(……よくもまあ、飽きずにやるもんだモナ)



91: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:54:01.57 ID:Fni9c/FXO
DQN1「朝のスキンシップでーすwwwwwwww」

クラスメイトに、小突かれた。
身を裂くような激痛が走った。

(;´∀`)「モガァァァァァァァッ!!」

DQN1「痛がり過ぎwwwwwwwwww」

DQN2「よえぇwwwwwwwwwwww」

DQN3「そんなんでどうやって超人オリンピックを勝ち抜くつもりなんだ!?」

( ;∀;)(違うモナ……これはお前らじゃなくて昨日の死闘のせいだモナ……)

委員長「あんた達!なにやってんのよ!!」



93: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:55:33.65 ID:Fni9c/FXO
DQN1「あっ……委員長……」

委員長「私も混ぜなさいよね!!」

DQN1&2「待ってましたwwwwwwwwww」

(;´∀`)(まさか女子からも虐められるとは……)

委員長と呼ばれた女の子は、モナーを睨んだ。

委員長「ひざまずきなさい」

(;´∀`)「え?」

委員長「早く!!」

(;´∀`)「は……はいモナ」

(;´∀`)(この子怖いモナ……)



94: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:57:01.14 ID:Fni9c/FXO
上履きを脱いで、モナーの顔の前に足を出す女子。

委員長「ほら、口で靴下を取りなさいよ」

(;´∀`)「わ、分かりましたモナ……」

DQN1&2「…………」

DQN3「おいおい……なんだこりゃ……」

モナーは爪先の方の布を噛んで、一気に引き抜く。
心中は屈辱で一杯だった。

委員長「舐めなさい、丁寧に」

(;´∀`)「…………」委員長「早くしなさい!!」

(;´∀`)「はい……モナ……」

DQN1&2「…………ゴクッ」

DQN3「もはやこれはプレイだな。有料だよ有料」

ここは廊下のど真ん中だ。
大勢の同級生達に見られていた。

まさに恥辱。

こんなことはしたくなかった。
でも、何も言えない。



96: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 00:58:59.69 ID:Fni9c/FXO
(;´∀`)ペロペロペロ

委員長「んっ……くぅっ……///」

(;´∀`)ペロリンペロリン

委員長「……ふぁぁっ……うんっ……ふっ……////」

DQN1&2「…………///」

DQN3「あ、流石先生にニダー先生」

( 〇_ゝ〇)「こら〜、お前ら何をやっとるか〜」

<ヽ〇∀〇>「おはようニダ、糞チョッパリ共」

絶望的な状況に来訪した眼鏡をかけた教師達。
だが、助けなど期待出来ない。

( 〇_ゝ〇)「……朝からエロいことしてんな〜先生、羨ましいぞ」

この二人は信じられないくらい頭が悪く、しかも生粋のドMなので、
モナーが苛められる現場を見ても楽しそうにしているとしか感じられないのだ。

だから止めてくれるはずがない。
いつも、そうだった。



98: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:02:06.86 ID:Fni9c/FXO
委員長「せっ……先生達は……んぁっ……舐めちゃダメ……ですよ……///」

<ヽ〇∀〇>「当然ニダ。ウリ達は聖職者だから、ちゃんとお店に行くニダ」

( 〇_ゝ〇)「まったくですな。
       近頃の教職員はその辺りを理解していないから困る」

DQN3「変態の鏡ですね」

( 〇_ゝ〇)「こらこら〜、それを言うなら『教師の鏡』だろ」

<ヽ〇∀〇>( 〇_ゝ〇)『ホルハハハハハー!』

( ´∀`)ペロペロ(どいつもこいつも……)

委員長「やだぁ……あっ……あんた……マジ、キモ……ひゃぅっ……///」

DQN1「俺……便所行ってくるわ」

DQN2「あっ、俺も」

DQN3「私は(ドジで)強い(つもり)キン肉マン♪」

( ´∀`)ペロペロペロペロ(モナーをバカにして……)



99: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:04:15.95 ID:Fni9c/FXO
なぜ、自分がこんな目に合う?
どうして足なんか舐めなければならない?

モナーは苦しかった。
侮蔑され侮辱され虐げられる毎日。
言葉と力の暴力と存在を否定される無視という行為。

誰でもいいから、助けて欲しい。
暖かい手を差し伸べて欲しい。

( ´∀`)ペロ

( ´∀`)(…………)

委員長「……なに勝手に……ハァッ……止めてんのよ……」

でも誰もいない。
耐えるしかない。

( ;∀;)「モナ……」

我慢するしかない。



100: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:05:27.04 ID:Fni9c/FXO
( ;∀;)「モナアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

モナーは、泣きながら駆け出した。
やっとの思いで逃げ出した。

それしか出来なかった自分が、反吐が出るほど嫌いだった。


―――――


ぼんやりと、歩いていた。
あてなどはない。ただの徘徊だ。

( ´∀`)「…………」

ぶらぶらと無目的に潰す時間。
退屈だが、他にやることも無い。

( ´∀`)(もう疲れたモナ……)

家に帰るわけには行かなかった。
今は平日の昼間だ。
親にあれこれ言われるのは、御免だった。



102: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:06:58.72 ID:Fni9c/FXO
( ´∀`)(…………)

本音を言えば、帰宅したい。
でもそれは家に閉じ籠りたいわけではなく、女装したかったからだ。

モナ子になれば、忘れられる。
モナ子とモナーは別人だ。
モナ子は、苛められない。

( ´∀`)(……でも……そうでも……なかったモナね……)

殺されかけたことを思い出した。
あれは痩せた男と過ごす甘い時間の終わりを告げる、凶悪な鐘の音だった。

モナーは悟る。
自分にもモナ子にも、逃げる場所など無いのだ。
居場所など、どこにも無いのだと。

( ´∀`)(モナは……無価値な人間だモナ)

学生の本分である学業は、クラスメイトに妨害される。
部活はサッカーをやっていたが、苛められて辞めた。
友人どころか挨拶してくれる人もいない。

( ´∀`)(ここまでくると……笑えてくるモナ……)



104: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:08:37.00 ID:Fni9c/FXO
( ´∀`)(……ハハッ……ハハハハハ……ハッ……)

「見付けましたおっ!!やっと見付けましたおっ!!!」

( ´∀`)「……モナ?」

聞き覚えのある声がした。
その方向に、視線をやった。

(;^ω^)「探したかいがありましたお……!!」

そこには袋を持った、柔和な顔の青年がいた。

( ´∀`)「ああ……あんたは……」

(;^ω^)「今朝は本当に無礼をしましたお!!」

正座する青年。

( ^ω^)「貴方のご趣味に勝手に驚き、
       礼を言わずに立ち去るなど、一泊のご恩に対するにはあるまじき行為!
       まことに申し訳ありませんお!」

そう言って青年は土下座した。

(    )「どうかお許ししてくださいおっ!!」

(;´∀`)「オ、オーバーだモナ……別に気にしてなんか……」



105: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:09:42.05 ID:Fni9c/FXO
(    )「いいえ!貴方のご好意に泥を塗る真似をして……
       これは末代までの恥でございますお!!」

(;´∀`)(これは困ったモナ……)

( ^ω^)「それで……お詫びの品と言ってはなんですが……
       これを受け取って欲しいですお」

青年は袋を差し出した。
怪訝な顔をしながらも、モナーはそれを手にとる。

( ´∀`)「……なんだモナ?」

( ^ω^)「どうぞ、開けてくださいお」

( ´∀`)「…………」

中にはキャミソールを初めとする洋服一式と化粧道具、
それに貴金属等が入っていた。

(* ^ω^)「女性の方と相談しながら選びましたお!
       気に入ってもらえると嬉しいですお!」

( ´∀`)「…………」



107: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:11:13.06 ID:Fni9c/FXO
( ;∀;)「モナッ……」

(;^ω^)「お?」

( ;∀;)「モナモナ……」

蛇口を捻ったかのような量で、涙が溢れた。

でもそれは青年の行為が嬉しくて流したわけではない。
悲しくて泣いているのでもない。

モナーは、悔しかったのだ。

現実逃避の女装が役に立たない。
そう理解したばかりの時、まるであてつけか皮肉のように、
青年が女物の服をプレゼントしてきた。

また馬鹿にされた。
そう感じた。



108: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:12:25.47 ID:Fni9c/FXO
被害妄想に近いその考えが頭を支配し、
モナーは涙腺を制御出来なかった。

( ;∀;)「なんでモナァァァッ!
       モナーは何にも悪くないモナァァァァッ!!」

地に膝を着け、叫んだ。

自分が何をしたというのだ?
なぜこんな目に合わなければならい?

(;^ω^)「お?そりゃ悪くありませんお」

嘲笑する人の顔が頭を巡る。
誰も彼もが後ろ指をさす。

( ;∀;)「モナァァァッ!モナァァァァァッ!!」

(;^ω^)「泣かないでくださいお……」

そもそも苛めの切っ掛けはなんなのだ?
過去を反芻してみたが、見当もつかない。

( ;∀;)「教えてモナ!お願いモナァァァ!!」

地面を叩いた。八つ当たりだ。
しかし気など晴れない。



111: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:14:03.50 ID:Fni9c/FXO
( ;∀;)「モナァァァァァ!!」

どうすればいい?
何をすればこの状況から脱却できる?

分からない。
まったく、分からない。

( ;∀;)(……なんか……騒がしいモナ)

顔を上げて辺りを見た。

周囲に人が集まってきた。

そしてなぜか、いっせいに、ジャンプした。

( ^ω^)&皆さん『だおだお♪だおだおんっ♪おんっ♪』

( ;∀;)「…………」

着地と同時に皆が踊り出した。
声を揃えて歌いながら。

( ^ω^)&皆さん『だおだおっ♪だおだおんっ♪』



戻る次のページ