( ^ω^)はミュージカルをするようです

113: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:16:43.65 ID:Fni9c/FXO
( ;∀;)(……酷いモナ……)

自分の惨めな姿をひやかしてるのだろう、と思った。

みんな嘲笑っているに違いない。
とうとう町中から馬鹿にされたと悲しくなった。

青年も、歌う老人と尻を振りながら踊っていた。
見捨てられたかと失意の念にとらわれた。

( ;∀;)(一人ぼっちモナ……)

鼻水が垂れる。

奇跡が、起こる。

( ;∀;)〜<パプーッ♪

(;´∀`)「……?」

トランペットの音がした。
確かに、した。
だが周りには管楽器を持った人はいない。



115: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:19:22.09 ID:Fni9c/FXO
(;´∀`)(まさか……モナの鼻から……?)

そんな気がした。
だから試した。

鼻を、鳴らした。

( ´∀`)〜<パプーッ♪

(* ´∀`)「モナッ♪」

間違いない。
これは自分から出たミュージック。

彼は立ち上がった。
瞬時に役割が理解出来たからだ。

いま自分がすべきこと。
それは、奏でることだ。

(* ´∀`)〜<パッパッパーパッパッパパッ♪

(* ´∀`)〜<パッパッパーパッパッパパッ♪

\(^ω^)/「ヘーイ!」



117: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:20:44.03 ID:Fni9c/FXO
穴を指で調節して、音階を操る。
すると望み通りに鳴るメロディ。

音の奔流が、空に響いた。

(* ´∀`)〜<パッパッパーパッパッパパッ♪

(* ´∀`)〜<パッパッパーパッパッパパッ♪

いま確実に、自分は存在している。
生きて音楽を奏でている。

そう強く、感じられた。

(* ´∀`)〜<パパパパパッパッパッパッパラ〜パッ♪

(* ´∀`)〜<パァーッパパッパッパパパッ♪

皆さん『イェーイ♪』

汗をかいた。
迷わず脱いだ。

青年がくれた服を、着た。



119: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:22:21.83 ID:Fni9c/FXO
(* ´∀`)「…………」

可愛い格好、バッチリメイク、素敵なアタシは百点満点。
まさに自分は――

(* ´∀`)「スイーツ(真実)」

そうだ、人類の砂糖菓子とは自分のことだ。
神というパティシエが作ったデザートだ。

モナーはそう開き直った。

( ^ω^)「だおだお・だおだお♪いいんだおっ♪」

皆さん『そうだお・そうだお♪決まりだお♪』

( ^ω^)&皆さん『おぉーん♪』

モナーの抜けた穴は、曲調を変えることで埋められていた。

( ´∀`)「モナモナモナ〜♪」

何度か側転して青年の前にモナーは着く。



120: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:24:12.02 ID:Fni9c/FXO
指を振り、腰を動かしてヒップをアピールするモナー。

( ´∀`)「ちょいとモナーのお話聞いてよ♪」

皆さん『だおだお♪だおだお♪』

( ´∀`)「イジメにあって困っているのよ♪」

皆さん『だおだお♪だおだお♪』

(# ´∀`)「だから、ぶちのめしていいモナかぁぁぁぁぁぁ♪」

( ^ω^)&皆さん『おーんっ♪』

決まりだ。
欲しかったのは後押しだけだ。

だから、行く。
奴らと対決するために。

(# ´∀`)「こんなに可愛いモナを苦しめるあいつらが悪いモナ!!」



123: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:26:50.24 ID:Fni9c/FXO
波のようにウェーブする人垣。
モナーがゆっくりと腕を広げると、それが割れた。

その先にいるのは空気の読めない妹。

ミセ*゚Д゚)リ「♪棺桶なんか用意しねぇ!!
     道にばら撒く死ねぇ!死ねぇ!!」

嫌な顔をしているバックダンサー達。
任せろ、と声を出さずに言うモナー。

ミセ*゚Д゚)リ「♪気分は爽快、転落死!!手首を切るって、あっ―――」

(# ´∀`)「せいやぁっ!!」

ミセ;゚Д゚)リ「ごはっ!?」

手刀一発で妹を失神させる。
あれほどわずわらしかった妹が、簡単に黙った。

(# ´∀`)「邪魔だモナ!!」

ゴミ箱であるポリバケツの中身を取り出して、
代わりに妹をそこに詰めた。



125: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:28:34.73 ID:Fni9c/FXO
(# ´∀`)「行くモナ!!」

欠片の躊躇もなく駆け出した。
かつて逃げた場所へ、全てを覆すために。


―――――


教室のドアを力強く開けた。

まだ授業中だったが、黒板に手を伸ばす担任の教師とクラスメイト達の目が、
女装している自分を見て驚愕の色を帯びていた。

担任「お、尾前……?」

教師が自分を名字で呼んだ。

(# ´∀`)「なんだよボケ」

悪態を聞いて眉間に皺を寄せる教師。
苛めには我関せずを貫くくせに
こういったことには反応が早いんだな、と鼻で笑うモナー。



127: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:30:04.99 ID:Fni9c/FXO
担任「その態度はなんだ!!それが目上の人間に対する態度か!?」

(# ´∀`)「俺の目の上には眉毛しかねーよ。テメーは毛か?」

モナーは教卓を蹴った。
教師は普段は大人しいはずの彼がとった行動に、目を白黒させた。

(# ´∀`)「毛なら喋んな」

担任「…………」

口を閉ざした教師を確認し、悠然と教室を歩く。
奥の席まで行き、目的の相手の前で足を止めた。

(# ´∀`)「おい」

DQN1「…………」

(# ´∀`)「オメーに言ってんだよ。なんとか言えよカス」

DQN1「……なんだよ、カマ野郎」

(# ´∀`)「ハハッ!カマか?」



129: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:31:36.24 ID:Fni9c/FXO
DQN1「そうだろ、お前オカマじゃん。気持ち悪ぃよ」

(# ´∀`)「そうそう、俺はオカマだよ。
       だからテメーを見てるとこんなに勃起しちまってさー!」

DQN1「!?」

(# ´∀`)「ほら、見ろよ」

モナーはそう言って、服を手で押さえる。
すると、こんもりと盛り上がる何かが、股から鳩尾まで服に皺を作った。

DQN1「……なんだ……こりゃ…………」

(# ´∀`)「な?スゲーだろ!?テメーにイジメられてる時には
       いつもこんな風に固くなってたんだよ。ありがたく思いな」



134: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:32:58.81 ID:Fni9c/FXO
実のところ、それはモナーの男根ではない。
彼はここに来る前に八百屋で大根を買い、それを服の下に仕込んだのだ。

大根は太く、長い。
その雄大さは、クラスメイトを畏怖させるに充分だった。

(# ´∀`)「でさー、俺もう我慢できねーみたいなんだわ。
       だから決めたよ、決めたんだ」

(# ´∀`)「お前のこと、レイプするわ」

DQN1「っ!!?」

モナーの言葉にざわめく教室内。

(# ´∀`)「うるせーぞ!!次に口開いたやつはぶち犯す!!」

うってかわって水を打ったような静寂。
モナーの言葉で、それが実現した。

DQN1「レ、レイプってなんだよ……おれは、お、男だぞ?」

(# ´∀`)「はあ〜?だからだろ?」



137: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:35:40.96 ID:Fni9c/FXO
(# ´∀`)「俺はカマ野郎だからよ、
       テメーの尻の穴に突っ込んでやるっつってんだよ」

DQN1「……そ、そんなことしたら、
     お、お前のこと、殺すし……それでもいいなら――」

(# ´∀`)「上等じゃねーか!!
       テメーはナイフで刺して、俺はペニスで刺す!!」

(# ´∀`)「とことんやり合おうぜ……」

DQN2「調子に乗ってんじゃねーよ!!」

鼻息荒く席から立つクラスメイト。

DQN2「やれるもんならやってみろよ!!
     どうせテメーにはそんな度胸はねーだろ!?」

(# ´∀`)「ありがとな、許可くれて」

DQN2「え?」

モナーはクラスメイトのシャツを引き裂いた。



140: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:37:07.80 ID:Fni9c/FXO
DQN1「うわあああああああああ!!?」

(# ´∀`)「ざけんなっ!おとなしくしろやっ!!」

担任「お、尾前!やめ――」

(# ´∀`)「邪魔したらテメーもレイプすんぞ!!」

担任「すみませんでした!!」

(# ´∀`)「オラッ!ケツ出せ!!」

DQN1「やめろ!やめてください!!」

(# ´∀`)「なんだとコラ!?なめんてんじゃねーぞ!!
       俺がやめろって言った時、オメーはどうしたんだよ!?」

DQN1「――っ!!」

(# ´∀`)「おい、答えろよ」

DQN1「…………」

(# ´∀`)「あー、もういいや。テメーで良い、言え」

DQN2「…………」



141: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:38:06.69 ID:Fni9c/FXO
(# ´∀`)「言えよ。俺がやめろっつった時、どーしたんだよ?」

DQN2「………………」

(# ´∀`)「……よっしゃ、決まり。標的変更。オメーを犯す」

机と生徒達の間を突き進む。
眼前には顔を青くするクラスメイト。

DQN2「ふ、ふざけんなよ!!なんで俺なんだ!?絶対におかしい――」

髪を掴むモナー。
引き寄せて怒鳴る。

(# ´∀`)「そうだよな!?理不尽だよな!!
       だから俺はオメーをレイプすんだよ!!!」

モナーは耳を噛んで尻を撫でる。
震える相手の股間を優しく叩く。

DQN2「はうっ!!」

(# ´∀`)「ふへへへ……可愛いじゃねーか」

委員長「ちょっと!あんたいい加減にしなさいよ!」



144: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:40:12.41 ID:Fni9c/FXO
騒ぐ女子に一瞥やって舌打ちした。
鋭い目付きで彼女を睨む。

(# ´∀`)「うるせーメスだな……ブタは黙って制服寄越せ!!」

襲い掛かり、強引に服を脱がすモナー。

委員長「やだっ!!……やだよぉ!……やめぇ……///」

(# ´∀`)「なに照れてやがる!?
       誰もオメーの裸なんかに興味ねぇーよバカ!!」

(# ´∀`)「俺はただメス犬以下のお前から
       服を取り上げてるだけだ!!つけあがんな!!」

委員長「ひっ、ひどいよぉ……そんなこと言わないで……///」

(# ´∀`)「黙れ」

委員長「…………はぃ///」

担任「もっとや――止めるんだ尾前!!」

(# ´∀`)「もう終わったわ!!」

モナーの体重を乗せたローキック。
転倒する教師。

(# ´∀`)「はっ!」



147: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:41:36.26 ID:Fni9c/FXO
女子用の制服を肩に掛け、にやりと笑う。

(# ´∀`)「貴様ら全員に告ぐ」

教室全体に響くよう、声を張り上げた。

誰もがモナーと目を合わせないようにしていたが、いつもとは全く違う理由からだ。
当然モナーもそれに気付いている。

( ´∀`)「……俺は明日、この制服を着て登校する。
       つまり、学校でファッションショーをやるつもりだ」

(# ´∀`)「誰一人、欠席を許さねー!!お前ら全員で俺を誉めろ!!
       もし休んだら、男女の関係無く絶対にレイプしに行くぞ!!
       間違いなく強引に犯してやる!!」

( ´∀`)「決定事項だ、反論は聞かん。以上!!」

委員長「…………はいっ///」

最初に響いた彼女の声に、はっと気が付き、遅れながらも全員が頷いた。
満足そうにそれを見届けると、モナーは教室から出た。



149: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:44:09.70 ID:Fni9c/FXO
( ´∀`)「…………」

(;´∀`)「くはぁー……」

壁にもたれ掛かり、ため息一つ。

(;´∀`)「怖かったモナー……」

じわりとかく汗を拭い、緊張からの解放感を味わうモナー。

DQN3「よう」

(;´∀`)「っ!!?」

どこかでサボっていたためか、授業に遅れてやってきたクラスメイトが、
パックのコーヒー牛乳を飲みながら声をかけてきた。

終わりだ、と思った。
こんな弱々しい姿を見られたら台無しだ。



151: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:46:15.82 ID:Fni9c/FXO
そう心配したモナーだが、それは杞憂に終わる。

DQN3「なかなかやるじゃん。スゲーよ」

自分の肩を軽く叩き、軽妙に彼は言う。

DQN3「今日からお前、正義超人オカマ・マンね」

笑って手を振り、彼は教室に入いる。

腰が、抜けた。
どっと疲れて嘆息した。


―――――


( ´∀`)(もういないモナね……)

踊った場所である駅前に戻ると、そこはいつも同じ日常に戻っていた。
歌っていたのが嘘のように静かで、沈む夕日が街を赤く染める。



153: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:48:13.81 ID:Fni9c/FXO
( ´∀`)(ミセリは……?)

妹を入れたポリバケツ。
蓋を開けてみると、彼女はすっぽりと収まっていた。
まだ目は覚ましていないらしい。

( ´∀`)(手荒なことしてごめんモナ)

胸中で、謝罪した。
昔みたいに頭を撫でてやり、蓋を閉めた。

今まで向き合おうとしなかった問題を片付けよう。
彼女の日頃の言動を、兄らしく真摯に諭してやろう。
そう、思った。

( ´∀`)(……こう思えたのも、あの人のおかげかもモナ)

青年のことを考えた。
彼には感謝していたからだ。

一度ならず二度までも、助けてもらった。
きちんと礼を言いたかったが、彼は、煙のように消えていた。



155: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:49:40.18 ID:Fni9c/FXO
( ´∀`)(今頃なにをしているモナかね……)

歌うのが好きそうだった。
だから彼が誰かと歌うところを想像してみる。

なぜか昨夜の痩せた男と青年の絵が鮮やかに思い浮かんだ。

妙に現実味があるのが、面白かった。

( ´∀`)(モナはもう大丈夫だから、
       あんたは他の人と自分のことを考えて欲しいモナ)

青年が巻き込まれているであろうトラブルも、
上手く収まりますようにとモナーは祈る。

でも自身のことには、願をかけない。
それは自分の力でなんとかするべきだと思ったからだ。



156: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:51:28.72 ID:Fni9c/FXO
( ´∀`)(……今日はよく頑張ったモナ。だから明日もファイトだモナ)

学校でした自分の振る舞い。
あの方法が正しかったかは、モナーには判断できない。

しかし、気分は良かった。
クラスの連中が脅えていたのは、爽快な光景だった。

ざまあみろ、だ。

( ´∀`)(もしかしたら、明日もイジメられるかもしれないモナ)

有り得る未来。
それでもモナーは構わない。

( ´∀`)(全力で抵抗して、それでもダメなら転校でもするモナ)

( ´∀`)(だから、やるモナよ。限界まで、戦うモナ)

自分の決意に、微笑んだ。
その意気だと、発破をかけた。



157: ◆PxaeLV0ois :2007/10/09(火) 01:52:41.42 ID:Fni9c/FXO
明朝は今までにないくらいの新鮮な気持ちで、ドアを開けよう。
胸を張って、登校しよう。

絶対に乗り越えてやる、あの苦痛だった毎日を。

そう、誓った。



夕暮れを過ぎて空の色は移り変わる。
黒さが混じり、夜を迎えた。
暑さが和らぎ、穏やな時間が流れる。

彼が四季の中で一番好きなのは夏だった。

前とは違う理由で、この季節が大好きだった。



八曲目・完



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