( ^ω^)はミュージカルをするようです

50: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:34:52.60 ID:HXhYKscXO
((((((*;ー;))))))「……うんっ!!来てっ!!」

豹変したビロードをなんて男らしいのだと惚れ惚れするしぃ。

ベットの上で、いま愛の営みが――


(*////)(><* )


(*゚‐゚)(>< )


(*;゚д゚)(><;)


((((((*;д;))))))『ぎゃあああああああああああああ』((((((><;))))))



52: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:35:49.93 ID:HXhYKscXO
朝靄に濡れた百合の花から垂れる水滴が、日差しを浴びて輝いた。
緑と土の匂いが清涼な空気と溶け合い、鼻孔を柔らかく、くすぐった。

((((((*;д;))))))『ぐわあああああああああああああ』((((((><;))))))

遠くから聞こえる鳥の鳴き声が、しんと静まる森の中を優し気に響き、
波紋一つない湖が凛とした美しさを誇っている。

((((((*;д;))))))『あああああああああああああああああ』(((((><;)))))

そんな爽やかな風景を連想させる二人のファック。

一陣の風が、髪を凪いだ気がした。


―――――


(*゚‐゚)「けっきょく先っちょしか入らなかったなぁ……」

身を裂くような激痛と耐えきれない恥ずかしさから、逃げ出してきてしまったしぃ。
服と鞄を持って、風のようにホテルを後にした。



56: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:38:08.10 ID:HXhYKscXO
(*゚‐゚)「はぁ……私ってダメなやつ……」

取り残されたビロードの複雑そうな表情を思い出すと、切なくなってきてしまう。
なんとか名誉挽回といきたいところだが、何をすればいいのか見当もつかない。

(*゚‐゚)「……ん?」

歩いていると、若い男からポケットティッシュを渡され、反射的に受け取った。
そのティッシュを見てみると、『テレフォンクラブ・夜王子』と書いてある。

(*゚‐゚)(テレクラ……?)

今にも駅前でストリートベースボールをやりだしそうな店名。
恐らく店長はロボのような声に違いない、と思わせる。

(*゚д゚)「 こ れ だ ! ! 」



58: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:39:59.23 ID:HXhYKscXO
どういうシステムかは、話に聞いていた。
悶々とした世の男性が受話器を握りしめ、
女性との出会いと会話に飢えている場所なのだと。

(*゚ー゚)(きっと性の達人達がひしめいているに違いないよ……
    それならHについてのアドバイスも的確にして簡潔。
    そして機知に富んだビックリ情報たっぷりだろうね……)

緊張しつつ、記載された番号を携帯にプッシュするしぃ。

(*゚ー゚)(教えて!テレクラ先生!!)

どんな授業より真剣に、彼女は勉強しようと気合いを入れた。


―――――


日が暮れそうになった。
長過ぎる話しにずっと付き合っていたからだ。



61: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:41:32.99 ID:HXhYKscXO
相手は息遣いの荒い中年男性で、
コウノトリの話を信じる純粋な女の子なら
ショック死するぐらいの卑猥な質問攻めをしぃに延々とし、
その上自分のことを「豚」と呼べと懇願してきた。

(*゚‐゚)】(私の話したいことと違う……)

どちらかと言われれば社交的なしぃだが、こういう状況のお喋りはいささか緊張する。
だから会話をリードしてくれることは有り難い。
だが、こんなことを話すために電話したわけじゃないのに、としぃはがっかりだった。

『だ……大事なことを聞き忘れ……ハァ……たぞ……』

(*゚ー゚)】「なにが知りたいの、豚さん?」

問いに彼女は愛想良くそう言う。
不満もあるし、辟易していたが、
なんだか親しみのある声にリラックスしながら話していたのだ。

『おま……ハァ……お前の……歳は……』

(*゚ー゚)】「私は十七。女子高生なんだよ」

『……ハァ……ハァ……お、俺の娘と同い年だな……』

(*゚ー゚)】「豚さんにも家庭があるだね」



62: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:42:41.85 ID:HXhYKscXO
『……名前……ハァッ……お前の……名前は……何て……ハァハァ……』

(*゚ー゚)】「名前?しぃって言うんだよ、お父さん」

その瞬間、しまったと思った。
豚と呼べとの約束を反故してしまったからだ。

学校で先生を呼ぶ時に言い間違える失敗を、
相手が年上の男性というだけでやってしまった。

赤面しながら慌てて取り繕うとしたが、電話は切れていた。
どうやら、今のセリフは気に入らなかったらしい。

仕方ない、言われたことを守らない自分が悪いのだ。

(*゚‐゚)「……どうしよう」

携帯をしまう。
途方に暮れる。

そこで突然、横合いから抱き締められる。



65: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:43:58.46 ID:HXhYKscXO
(;゚‐゚)「きゃっ!」

从'ー'从「捕まえたよ〜」

変態に絡まれた、と一瞬襲われる恐怖。

(;゚‐゚)「な、なんですか……!?」

从;'ー'从「うんしょっ、うんしょっ」

しぃの疑問に答えず、女性はがっしりと掴んだまま、彼女を持ち上げようとしていた。

从;'ー'从「重たいよ〜重たいよ〜」

(;゚ー゚)「っ!!?」

(*゚‐゚)「お、重くないもん……普通だもん!」

最近少し気にしていたことを指摘され、相手の無礼さに声を荒げるしぃ。

(*゚ー゚)「ほらっ!!」

一泡吹かせるため、ジャンプすることにした。



66: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:45:57.83 ID:HXhYKscXO
从*'ー'从「わっ!軽いよ〜」

(*゚ー゚)「でしょ?」

ひょいっと持ち上がるしぃに嬉しそうな微笑みを見せる女性。
着地して、しぃも得意そうに笑う。

从'‐'从「ふぇぇ……また重くなっちゃった……」

(;゚ー゚)「そ、そんなことないよ!」

ムキになって跳び跳ねる。
再び、ひょひょいっと持ち上げられるしぃ。

从*'ー'从「わわっ!凄い軽いよ〜」

(*゚ー゚)「でしょでしょ!?」

やや垂直気味なスキップ、といえばいいのだろうか。
そんなやり取りをしながら、二人は路地裏へと進んだ。

从'ー'从「到着しました〜」

(;゚ー゚)「え?」

立ち止まる女性。彼女はふぃー、と息をつき、袖で額を拭っていた。
視線の先には見知らぬ男が二人いる。



68: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:47:10.65 ID:HXhYKscXO
(*゚‐゚)(だ、誰この人達……?)

从'ー'从「連れて来たよ〜」

(;゚‐゚)(仲間なの!!?)

みすぼらしい格好をした男達だった。
その内の片方が、怒鳴り声を自分にあげる。

(;゚ー゚)「は?」

わけがわからない。
だから聞いてみることにした。

(*゚‐゚)「あの……なにか?」

何故か押し黙る三人。
しぃは遅れながらも危機感を覚えた。


(;゚‐゚)(まさか……レイプッ!!?)


さっと顔色を青ざめる。
叫び声が出そうになるが、寸前で噛み殺す。

刺激したら、まずいからだ。



70: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:49:13.86 ID:HXhYKscXO
(;゚‐゚)(どっ……どうしよう……)

自分の軽率さを呪いたかった。
しかしそんな暇はない。

(;゚‐゚)(きっとこの後……)

(*ムーラ)(ぐへへ……モデルみてぇにいい女だ……)

(*゚↓゚)(おで、こんな美人は見たことねぇだ!)

(*ムーラ)(ああ、可愛いよな!スタイルも抜群だ!!)

(*゚↓゚)(ヤバい、おで、本気で惚れたかもしれねぇだよ……)

(*;‐;)(とか言い出すに違いないって!!どうしよう!ヤバ過ぎだよ!!)



72: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:50:37.71 ID:HXhYKscXO
裏目。
まさか自分の可憐さがこんなことで仇になるとは思わなかった。

美しさには価値がある。
そしてその魅力を強引に奪おうとする輩も少なからず存在する。
例えば、美術館から絵画を盗むような審美眼のある悪党だ。

だがそんな連中が自分の前に現れるとは予想だにしなかった。

(;゚‐゚)(ダメ!絶対ダメ!!この体はビー君だけのもんだもん!!)

助けを呼びたかった。
しかしここは人気のない路地裏だ。

なんとか撃退したかった。
だが徒手空拳では無茶だろう。

(*゚ー゚)(……それなら……可愛くなければいいんだ!!)

しぃは白目を剥き、鼻の穴を全開に開いて歯茎を露出させた。

(゚ё゚)「おいどんは白米が好きでごわす」

会心のブス顔を披露。
華麗にレイプフラグを回避――

(;゚‐゚)(バカ!絶対まだ可愛いよ!!!)



75: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:52:14.73 ID:HXhYKscXO
自分の浅はかさを叱責し、速やかに次のプランへと移行。

(*゚ー゚)「はっ!!!」

特大の放屁。
揺れるスカート。

(*゚ー゚)「くっさー!!!」

へへっと鼻を擦りながら、誇らし気に笑うしぃ。
女の尊厳が失われた気がしたが、背に腹は代えられなかった。

(;゚‐゚)(次は……っ!!)

まだ足りない、まだ襲われるかもしれない、と更に追撃。
近くに置いてあったポリバケツの蓋を開ける。

(*゚ー゚)「ハムッハフハフッハフッ!!」

一寸も迷いを見せずに賞味期限切れの弁当やパンを食べ出すしぃ。
これを見たらどんな男だって興醒めするはずだ。

(*゚ー゚)「ウメェーwwwwwwwwww」



80: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:54:01.75 ID:HXhYKscXO
自棄だった。
ピーナツを味わう時と良く似た表情だったが、内心は違う。
何が悲しくてゴミなど食べなくてはならないのだろう?

(*;‐;)(でも……仕方ないから!仕方ないんだよ!!)

かなり酸っぱい食物をきちんと噛み砕いて飲み込んだ。
ご飯はよく噛んで食べろ、という数少ない母の教えが憎かった。

(;゚‐゚)(止めにアホの振りを……)

両指を鼻の穴に突っ込み、後に下がるしぃ。

(゚*_*゚)「ピーッピーッ、バックします。ピーッピーッ、バックします」



82: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:55:57.96 ID:HXhYKscXO
壁にぶつかり、飛び退く。

(*;д;)「イヤアアアアアア痴漢よおおおおおお!!!
   後生だから触らないでええええええええ!!!」

嫌々と頭を振った後、元気良く尻を叩き出す。

(*゚ー゚)「びっくりするほどソルマック!!
   テレビに出ないボブ・サップ!!!」

パンツに手を突っ込んで、ボリボリと盛大に尻をかく。

(*^ー^)「なんだか痒いぜ!!!!
   ぎゃははははははははぁーっ!!」

(*゚‐゚)「…………」

(゚‐゚*)チラッ

余りにもリアクションがないので逆に不安になり、辺りの様子を伺った。



85: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:57:41.09 ID:HXhYKscXO
(*゚‐゚)「……………………」

(*゚‐゚)「…………誰も……いない……」

そこには彼女一人しかいなかった。

(*゚‐゚)「……………………」

(*゚ー゚)「ふふっ……ふふふっ……」

(*;ー;)「あははははははwwwwwwwwww
   助かったwwwww助かったよwwwwwwwwww」

(*;∀;)「良かったねぇwwwwwwwwww良wwかっwwたwwねwww」

しぃは笑い声をあげながら、くるくると回り出す。
そして、その回転を生かして壁を殴った。

(#;ー;)「ちくしょおおおおおおおお!!!
   いっそ最後まで見ていけよおおおおおおおお!!!」

連打で殴る。
殴り続ける。

(#;д;)「ばかぁぁぁぁぁぁ!!みんなばかぁぁぁぁぁぁっ!!!」



86: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 00:59:23.59 ID:HXhYKscXO
路地裏から飛び出すしぃ。
広い道では、何故か駅に向かって走っている人達が大勢いた。

(*;д;)「誰でもいいから金玉寄越せ!!金玉寄越せ!!!」

しぃの悲痛な叫びが辺りに木霊する。
しかし通行人らは誰一人として止まらない。

(*;д;)「男ならこんな恥かいても平気でしょ!?
    だから私にちょうだいよ!!金玉二つちょうだいよっ!!」

(*;Д;)「うわああああああああああああっ!!!」

お嫁にいけない、という使い古された言葉を肌で実感できていた。
目をつぶるだけで生まれたての黒歴史が痛烈に責め立てる。

(*;д;)「おえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

突然込み上げた吐き気に負けて、しぃは嘔吐した。
腐敗した食べ物を摂取したせいだろう。

先程の残飯が、道に広がった。



88: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 01:01:04.84 ID:HXhYKscXO
(*゚‐゚)「…………」

(*゚‐゚)「つわり?」

胃の痙攣が、胎動のような気がした。
いや、きっとそうなのだろうと思い込む。

(*゚‐゚)

(*゚ー゚)「テクマクマヤコン・テクマクマヤコン☆妊婦さんになっちゃった〜☆」

(*゚‐゚)

(* ゚_゚)

(* ゚_゚)(妊娠って……こんなに早く分かるんだ……)

携帯を取り出すしぃ。

( ><)】『もしもしなんです!どこ行っちゃって(ry』

(*゚ー゚)】「あんたの子供産んだるわぁ!あんたの子供産んだるわぁ!!」

(;><)】『え?しぃちゃ(ry』

そこで会話を断絶。携帯を電源ごと切る。



91: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 01:03:11.31 ID:HXhYKscXO
(*゚ー゚)「……御懐妊、かぁ…………」

悲願成就、目的達成。
実に感慨深かった。

(*゚ー゚)「今日から母親なんだね……」

満足気に、嘆息。

(*゚ー゚)「じゃあさっそくビー君に会いに……」

(*゚‐゚)「会い……に」

足が、すくんだ。
会いたいはずなのに、彼の顔を見るのが、怖かった。


―――――


暗く静かな夜の海を見ていると、吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥った。



92: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 01:05:24.35 ID:HXhYKscXO
引いては戻る波の音、ぼんやりと輝く月明かり、いつ来ても変わらぬ潮の匂い。
それらが作る雰囲気は穏やかでありながら、
どこか不安定な危うさを内包しているような気がする。

(*゚‐゚)(もしかしたら……夜の海に招かれているのかもしれないね)

憂いを帯びた眼差しで闇の先を見据えるしぃ。
手に持った釣竿が、ぴくぴくと動く。

(#゚ー゚)「またイカじゃん!!この海にはイカしかいないの!?」

引き上げた釣糸の先には、見事なイカが釣れていた。
六杯目になるそれを彼女は投げるようにバケツに入れ、再び釣り針を海に垂らす。

(*゚‐゚)「……あーあ、何にも上手くいかないなぁ……」

ビロードへの報告が終わった後に行った、
妊娠、出産に向けての準備を思い出し、呟く。



94: ◆PxaeLV0ois :2007/11/29(木) 01:07:13.33 ID:HXhYKscXO
もうこの体は自分一人のものではないのだと危惧した彼女は、
護身用の武器を買い揃えた。
それはスタンガンや催涙スプレー、防犯ベルなど多種多様。

装備して歩いていたら、何故か警察官から職務質問を受けてしまった。

次に念のためにと妊娠検査薬を使い、
反応が出ないのでサインペンで印をつけて産婦人科へ行った。

何故か怒鳴られて追い返されてしまった。

そして出産に耐えられる体を作るため、
バッティングセンターに行って腹でボールを受け止めようとした。

飛んできた店員に叩き出されてしまった。

そんなこんなをやっているうちにすっかり夜もふけてしまい、
しぃは気分転換に夜釣りをしようと、ここに来ていたのだった。

(*゚‐゚)(……ビー君)



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