( ^ω^)が艦長になったようです

  
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/23(土) 17:35:06.63 ID:F6z/mCV+0
  
Chapter 5
ニーソク亭への道のりは何もかもが平凡だった。物売りの威勢のいい声が響き、様々な生活音が町全体を覆っている。
ニーソク亭の自室に着いたブーンはポーターを呼び、その手に数枚のコインを握らせると、部屋の荷物を船まで運ぶように言った。
ニーソク亭から出たブーンは港へ戻る道を辿ろうとした。が、その時ブーンは声をかけられた。

( ><)「内藤ホライゾン艦長ですか?」
( ^ω^)「そうだお?」
( ><)「海軍司令部よりお届けものです」

配達員はそう言うと、大きな鞄から1つの封筒を取り出してブーンに渡した。

( ><)ゝ「それでは」

大きな鞄を持った配達員はすぐにその場を去って行った。あとに残されたブーンは封筒を開き、中身を確認した。

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VIP国第3艦隊提督より、内藤ホライゾンへ輸送艦隊の護衛を命ずる。
合計3隻からなるこの輸送艦隊は明日ロンドンを出航し、ポート・マオンへ向かう。
貴官はこの艦隊を目的地まで護衛せよ。
艦隊の安全を確保することを最重要任務とする。
また、ニヤリ専制君主国及び、私掠海賊の妨害が予想される。警戒されたし。

                                モエー号船長室より下命
                                         12月5日
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9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/23(土) 17:35:50.58 ID:F6z/mCV+0
  
( ´ω`)「護衛任務かぉ…これじゃあしばらく拿捕賞金は期待できないぉ」

拿捕賞金、敵の艦船を拿捕した場合に国・商業組合から出される多額の報酬である。これを夢見て海軍に入るものも少なくない。
事実、ブーンやドクオなどはそうだった。ブーンは借金を返すために海軍に入ったが、これまで1度も拿捕賞金に恵まれる事はなかった。

( ^ω^)「でもこの任務が早く終わったら海域哨戒任務になるはずだぉ。その時に期待するぉ!」

その時、ブーンに声をかける者がいた。

(-@∀@)「こんにちは。内藤ホライゾンさんですか?」

いかにも胡散臭そうな、分厚いメガネをかけた醜い男だ。

( ^ω^)「そうだぉ」
(-@∀@)「執行人のアサピーです。債権者より提出された破産勧告が受理されました。貴方は破産債務者収容所へ連行される事になります」
(;^ω^)「おっおっ、捕縛されるのかぉ…」

アサピーの後ろには棍棒で武装した屈強な男たちが鋭い目でこちらを睨み付けている。ブーン1人では到底相手にできないだろう。



  
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/23(土) 17:36:34.88 ID:F6z/mCV+0
  
(-@∀@)「速やかにご同行願いたい」
( ^ω^)「だが、断るwwwww」

ブーンはその場から猛スピードで逃げる。

⊂二二二(; ^ω^)二⊃ブーン

棍棒を持った屈強な男たちも後を追う。橋を渡り、カウヤード賭博場の先を右へ曲がる。このまままっすぐ走り、ランコックの食堂を左に曲がれば港だ。
しかし、運命の女神はそっぽを向いてしまったようだ。遥か前方に棍棒を持った男がいる。恐らく、待ち伏せしているのだろう。
このまま進めば間違いなく挟み撃ちだ。

(;^ω^)「テラヤバスwwww」
(;^ω^)「とりあえず、ここに隠れて難を逃れるぉ!」

ブーンが近くにあった酒場に逃げ込んだのと、追いかけてきた男たちが角を曲がって、今までブーンがいた道へ来たのはほぼ同時だった。

(;@∀@)「どこへ消えた……。奴を探し出して連行しろ!」

ブーンが酒場の窓からそっと外の様子を窺うと、執行人と4人の男が周囲を探し回っている。
この店に入ってくるのも恐らく、時間の問題だろう。

( ,,*゚Д゚)「ウィ〜、どうしたんっすか? デップリ艦長〜!」
(;^ω^)「ちょwww大声出すな海兵隊長wwwwしかも完全に酔ってるwww」

いきなり絡んできたギコは朝から泥酔しているようだった。既に水割りラム酒を3杯、エールを5杯、ポートワインを1杯飲んでいるのだ。



  
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/23(土) 17:37:23.54 ID:F6z/mCV+0
  
酒場店主「ちょっと! 困るんだよね。御代は払ってもらわないと…」

困惑気味の店主も顔を覗かせる。

(;^ω^)「海兵隊長、お金払ってないのかおwwww」
( ,,*゚Д゚)「財布を落としちまったんだゴルァ〜♪」

ギコは白兵戦での能力は艦隊内でも指折りの実力らしいが、この泥酔した姿からは影も形も見えない。

( ゜ω゜)「(そうだぉ! ギコは強いんだぉ! ギコに奴らを引き付けてもらうぉ!)」
( ´ω`)「(でも、こんなに泥酔した海兵隊長で大丈夫なのかぉ…?)」

しかし、ブーンには迷っている暇などなかった。執行人達がこちらへ向かってきているのだ。

( ^ω^)「海兵隊長! よく聞いてくれぉ」
( ,,*゚Д゚)「うぃ〜、デップリ艦長の説法のはじまりだゴルァ〜♪」
( ^ω^)「ブーンはやばい状況だぉ。債務者逮捕執行人に追われてるぉ。海兵隊長は奴らを引き付けてて欲しいんだぉ」
( ,,*゚Д゚)「ふっふ〜ん、デップリ艦長〜。女に貢ぐのもいい加減にした方がいいですぜゴルァ〜♪」
(#^ω^)「べ、別に貢いで借金作った訳じゃないぉ! いいから、引き付けておいて欲しいんだぉ。その間にブーンは裏口から逃げるぉ」

ブーンはそう言うと、ポケットから数枚のペリカ金貨を取り出すとギコに渡した。

( ,,*゚Д゚)「悪いね〜。よっしゃ、この腕利き剣士のギコ海兵隊長様に任せろゴルァ!」
( ^ω^)「頼んだぉ!」



  
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/23(土) 17:38:18.00 ID:F6z/mCV+0
  
ブーンがそう言った直後、執行人達が店内に入ってきた。

(-@∀@)「見つけたぞ! 捕縛する!」

しかしアサピーがブーンの手首を掴む前に、その軟弱な腕はギコによって無残にも折られた。

(#@∀@)「ア゛、アイゴー!!」

ギコが棍棒を持った男たちと格闘しているその隙に、ブーンは店の裏口から抜け出すとウィニー号が停泊してある港を目指して走った――



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