( ^ω^)が艦長になったようです

  
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/23(土) 20:41:20.87 ID:50hHWJeg0
  
Chapter 12
辺りは静まり返っていた。聞こえるのはヤツガシラの不気味な鳴き声と波の音だけだ。海は月の光を受けて藍色に染まっている。
その静かな海面に、ウィニー号のボートが下ろされた。船員と海兵隊員、そして2人の士官がボートに乗り込む。ギコはポケットに手を突っ込み、
愛用の回転式拳銃と弾薬の感触を確かめて視界を前に移した。一方、ブーンの方は海軍本部から支給された拳銃をまるで豆鉄砲で撃たれた鳩のように
目を丸くして眺めている。

( ,,゚Д゚)「さぁ、そろそろ行こうぜゴルァ」
( ^ω^)「おk。前進だぉ」

ブーンが言うと、オールを手に取った船員たちは船を漕ぎ出す。遥か遠くに町の光が見える。恐らく、ボルドーの町だろう。
ボートは光の方へは行かず、町外れの小さな砂浜に上陸した。

( ,,゚Д゚)「船を林に隠せ」

船員たちはギコに言われる前に計画通り、砂浜の先にある林に乗ってきたボートを隠した。その集団はマスケット銃の弾薬と銃剣を確認すると、
ボルドーの町へ向かって行軍を開始した。
町に近づくにつれ、町の明かりに照らされた周囲が明るくなってきた。ギコは収容所にいたときの事を思い出しながら慎重に道を選んだ。
また、一切の会話も禁止させた。深夜で人通りは無いとはいえ、万が一憲兵隊に出遭わないとも限らない。そうなれば全てお終いだ。
教会の裏を通り抜け、広い道に出る。そこを左へ曲がり、そのまま直進する。ギコは一帯の地図を思い描けるほど正確に覚えていた。万が一のための
退路も考えてある。

( ,,゚Д゚)「ここだ…」

目の前にあるのは造船所の倉庫に間違いなかった。
しかし、彼らは大切なことを忘れていた。



  
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/23(土) 20:43:51.52 ID:50hHWJeg0
  
(; ^ω^)「開かないぉ…」

鍵が掛かっていたのだ。その頑丈そうな南京錠は簡単に開錠できそうにはない。選択肢は2つだ。

( ,,゚Д゚)「このまま引き上げるか、爆薬でぶっ壊すかだ」

もし爆薬を使えば、ブーン達の存在は一帯に知れ渡り、即憲兵隊が駆けつけるだろう。いや、陸・海軍を呼ばれてウィニー号ごと捕まるかもしれない。
敵国にとって乗組員は貴重だ。情報の宝庫と言える。もし捕まれば、残虐な拷問が待っている…それだけは断じて避けなければならない。

( ,,゚Д゚)「よし、俺と熟練の海兵隊員とで町の反対側に回って山に火を放ち、敵さんを引き付ける。火が見えたら艦長たちは扉を爆破して部品を運び出すんだ」
( ^ω^)「でもそんな事をしたらギコが危ないぉ」
( ,,゚Д゚)「俺のことは…心配するな、艦長。自慢じゃないが今までにもっと厳しい任務を遂行したことがある。それに比べれば大した事無い」
( ,,゚Д゚)「林に隠しておいたボートを1隻残しておいてくれ。明日の夜、ウィニー号が停泊している所へ行く。明日がダメなら明後日だ」
( ,,゚Д゚)「ただもし、3日経っても俺が戻って来なかったらVIP国のエディンバラにいる"しぃ"って女に俺の船室の机に入っている手紙を届けてくれ」
( ;ω;)「おっおっ、分かったぉ。でも、絶対無事で帰ってくるんだぉ!」
( ,,Д)「大きな声を出すなゴルァ…」

そう言って武器を手に取ったギコとその古くからの戦友たちは、ボルドーの闇夜へと飲み込まれていった。



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