( ^ω^)ブーンは麻雀の世界に生きるようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:26:23.98 ID:h3OaWwdD0
【第一話:始動】


 東京都、某区。
 5月の初夏の日差しの中、VIP大学の近くにあるフリー雀荘(一人でも打てる店)、
 ニコニコ荘からブーンが出てきた。

( ^ω^)「ふう、今日もちょっとだけ浮いたお」

 内藤ホライゾン、通称ブーン。
 趣味・特技は麻雀という、ちょいピザのVIP大学の2年生だ。

 これは、そんなブーンと麻雀仲間達の物語である。



────ブーンは麻雀の世界に生きるようです────



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:31:18.01 ID:h3OaWwdD0
( ^ω^)「さて、4時限目の授業に出るかおー!」


 ニコニコ荘から歩いて10分の位置にVIP大学があり、
 ブーンは普段から雀荘と大学を行ったり来たりしていた。

 そしてブーンはほどなく大学へ到着し、教室に入る。

('A`)「よう、ブーン」

 彼はドクオ。ブーンとは高校からの同級生で、よく一緒に麻雀を打つ
 ブーンの数少ない友達の一人だ。

('A`)「今日は勝ったか?」

( ^ω^)「4回打って2・3・3・1着。大体1000円の浮きだお」

('A`)「はは、やっぱりラス(4着)無しか…おまえらしいよ」

 …と、そんな話をしている内に間もなく教授が入室し、授業が始まった。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:34:42.26 ID:h3OaWwdD0
──一授業終了後───


 ブーンとドクオは揃って退室し学食へ足を運び、テーブルにつく。
 すると、前に座っていた学生が忘れていった、ある冊子がテーブルに置いてあった。
 
( ^ω^)「おっ、大学が発行してるサークル紹介の冊子だお」

('A`)「サークルねぇ…あまり考えた事無かったなぁ」

 ドクオの声を聞きつつペラペラとページをめくるブーン。
 そしてそのまま、最後のページまで目を通し終えた。

( ^ω^)「あれ?麻雀のサークルがあるかと思ったけど見当たらないお」

('A`)「俺らの世代、あまり麻雀をやるヤツいねえからなぁ」

 うーん、と考え込むブーン。
 しばらくして、口を開いた。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:36:53.60 ID:h3OaWwdD0
( ^ω^)「なあ、ドクオ…」

('A`)「なんだよ、真面目な顔して」

( ^ω^)「一緒に麻雀サークルを作ってみるお!きっと楽しいお!」

(;'A`)「ええっ!?サークルをイチから作るって、どんだけ大変かqあwせdrf」

( ^ω^)「空いてる時間に軽く麻雀したり、真剣に討論や研究する場所が
     大学にあってもいいと思うんだお。それに…それに、僕は麻雀を愛してるお。
     だから、サークルをやって、もっともっと麻雀を広めていきたいんだお」

('A`)「お前、そこまで…」

( ^ω^)「よし、決まりだお!」

('A`)「相変わらず強引なヤツだなぁ…
   ま、いいや!面白そうだし、いっちょやってみっか!」


 かくして、小さな麻雀サークルが立ち上がったのだった。


('A`)(かわいい女の子と麻雀できるかもしれないしな…ウフフ)



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:39:35.01 ID:h3OaWwdD0
───翌朝、8:30───


 二人は授業が始まる前に教室にサークル員募集のビラを撒いている。

( ^ω^)「ふうー、これで一通りの教室に撒き終わったお」

('A`)「しっかし、一晩徹夜して考えたサークル名が、
   結局“VIP大学麻雀研究会”ってどうなのよ…ブーン会長」

( ^ω^)「シンプルイズベスト、わかりやすい名前が一番だおドクオ副会長」

 二人して目を合わせ軽くニヤついた後、ブーンが言った。

( ^ω^)「さて、いつ新入部員が来てもいいように早く学生ホールの一階に行くお!」

('A`)「そうするか…まあ、授業が終わる時間まで誰も来ないだろうけどなぁ」

 学生ホールには丸テーブルがたくさんおかれており、
 部室の無い彼らが麻雀を打つには校舎内で一番適切と思われる場所だった。
 多くの小規模サークルがたまり場に使用しており、
 ブーン達もそこを拠点にすることにしたのだ。
 
 そして二人は学生ホールへ移動し、マットと牌を広げ新入部員を待つ。

 しかし、ドクオの言葉通りしばらく人は来ず、カイジでお馴染みの
 17歩(麻雀牌を使うゲーム)をして時間を潰すのであった。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:43:10.21 ID:h3OaWwdD0
───夕方、4:40───


 二人が待ち構えていた場所へ、4時限終了のチャイムと同時に
 気弱そうな男子がビラを片手にやってきた。

(´・ω・`)「あの…すみません、麻雀研究会の方ですか?」

( ^ω^)「おっおっ、よく来てくれたお!君が見学第一号だお!」

(´・ω・`)「そうなんですか…あ、僕はショボンって言います。一年生です」

( ^ω^)「僕は会長の内藤ホライゾン、ブーンでいいお!
     それからこのネクラが副会長のドクオだお!」

('A`)「ネクラじゃねえよw あ、副会長のドクオです。出来たばっかのサークルだから
   まだ人がいないけど、まあサンマ(三人麻雀)でもやりながらまったりしようぜ。
   さ、座って」

 と言いながらドクオが缶ジュースをオゴリで差し出す。
 こいつにも意外と社交性があるんだな、とブーンは思った。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:45:15.72 ID:h3OaWwdD0
(´・ω・`)「サンマですかー。四人麻雀しかやったことないんですけど…あ、いただきます」

( ^ω^)「まだショボン君を入れて3人しかいないんだお。だから麻雀研究会なのに
     四人麻雀が打てないんだおw」
       
 と言うと、聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。

ξ゚听)ξ「あら、ブーンとドクオじゃない。何してるの?麻雀?」

 彼女はツン。ブーンやドクオと同じゼミを受けているクラスメイトだ。
 授業が終わって帰る途中、たまたま通りかかったらしい。

( ^ω^)「僕とドクオで麻雀サークルを作ったんだお!そうだ、ツンも是非一緒にやるお!」

ξ゚听)ξ「でもあたしテニスサークルに入ってるから…」

( ^ω^)「ツンがいないとこのサークルが始まらないんだお!
     かけもちでいいからどうかお願いだお…!」

ξ ///)ξ「そこまで言うなら…ちょっとだけならやってあげてもいいわよ…」

 こうして、記念すべき麻雀研究会の第一回対局が始まった。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:48:35.21 ID:h3OaWwdD0
 実力的には、ブーンとドクオが上級者、ショボンが点数計算が出来る中級者、
 ツンは牌を並べる事が出来る程度の初級者といった感じだ。

 しかし、ビギナーズラックというのだろうか。開局早々にツンが大物手を決めた。

ξ゚听)ξ「これ…アガリでいいのよね?」

 と言って手牌を開く。

ξ゚听)ξ:一一五五七七八八九九北北中 ツモ中 ドラ五

(;^ω^)「うおっ、バイマンかお…」

(´・ω・`)「親っかぶりショボン」

('A`)「はい…(あぶねぇ、中なんてノーケアだわ…)」

 顔面蒼白といった一同。
 やはり初心者の女の子に負けるのはプライドが許さないらしい。

 しかし、いかに念じても手が良くならないのも麻雀。
 さして大きな動きもなく、終盤の南3局を迎えた。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:50:03.75 ID:h3OaWwdD0
( ^ω^):23300点 ('A`):21400点
(´・ω・`):16400点 ξ゚听)ξ:38900点

 ここで、ブーンに手が入る。

( ^ω^)配牌:三四(22245)24689西 ドラ(2)

( ^ω^)(オウフwwドラ3確定wwwもう親番無いし、これはアガリきらないと・・・)

 そして、第一ツモが8s。静かに西を河に捨てる。
 しかしそれからは西・九・中・白など無駄ヅモが続き、苛立つブーン。
 上家のドクオもチー出来る牌を下ろしてくれない。

( ^ω^)(やばいお…ツモが死んでるお…)

 8巡目にさしかかり、ドクオの切った3をチーして一歩前進。イーシャンテンへ。
 
( ^ω^):三四(22245)889 チー234 ドラ(2)

 しかしこのチーが、ショボンの親リーチを誘発する。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:52:44.60 ID:h3OaWwdD0
(´・ω・`)「ようやく手が来ました…リーチ!」

 と、ショボンの(7)と千点棒が勢いよく横に置かれた。
 
(´・ω・`):二二二三四(34567)234 ドラ(2)

 三メンチャンのタンピン。ドラの(2)なら三色もつく大物手だ。
 同巡、ツンは安全牌を抜き打つが、ドクオは無筋の五を手出し。勝負にきているのか。

( ^ω^)「チー!」

 チーして、打9。これでブーンにもテンパイが入る。タンヤオドラ3の満貫手だ。

( ^ω^)(こうなったらゼンツだお!)



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:54:34.41 ID:h3OaWwdD0
 数巡ほどめくり合いが続く。

 しかし、ほどなくしてツンが親リーチの安牌である(7)を切った時、
 ドクオからロンの声がかかった。

('A`)「うーん、まぁアガるわ…」

('A`):一一一六六(33368)666 ロン(7)

 三暗刻のみ、3200点。当然四暗刻にしてアガりたかったが、親リー入ってるし
 トップ目から直撃だし、という選択だろう。

ξ゚听)ξ「夢がないわね」

('A`)「うっさいわw」

( ^ω^)「僕のドラ3…」

(´・ω・`)「僕のハネ満…」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 19:57:46.94 ID:h3OaWwdD0
( ^ω^):23300点 ('A`):25600点
(´・ω・`):15400点 ξ゚听)ξ:35700点

 そして、オーラス。
 祈るようにして手にしたブーンの配牌。

( ^ω^):一一四五(2234)2335發  ドラ發

( ^ω^)(親のツンとは12400点差…6400の直撃か、ハネツモ条件。
     あるいはリー棒出ての満貫ツモ…正直苦しいお…)

 ここで、ブーンはスーッと息を吐き、もう一度手牌を見た。

( -ω-)(感覚を研ぎ澄ませるんだお…)

 第一ツモは5。それを手牌に引き入れ、数秒ほどしてから五を切った。
 七対子の決め打ちである。

 ブーンは七対子が好きだった。ツモって裏ドラが乗ればハネ満になる、
 という単純な理由もあったが、今までこういった苦しい状況の時、
 七対子に助けられる事が多かったからだ。

 それから数巡経ち、ドクオから先制リーチ。
 ドクオは満貫ツモでトップになるので、おそらく高打点であろう。

( ^ω^)「来たかお…でも、負けられないお!」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 20:00:26.17 ID:h3OaWwdD0
 ドクオに満貫以上を放銃すればラスに転落する。
 しかし、ブーンは腹をくくって全ツッパした。汗で手牌がベタつくが、
 それでも丁寧かつ強く牌を切りだしていくブーン。

 そしてようやく、12巡目にテンパイが入った。

( ^ω^)「リーチ!」

 気合を込め、千点棒を出す。ブーンはやはりドラ単騎の七対子。

( ^ω^):一一四四(22)3355西西發

 ショボンとツンはもうベタオリをしている。
 こうなると完全にブーンとドクオの勝負だ。

 ちなみにドクオの手は

('A`):七八九(456789)567發

 満貫ツモを狙ったドラ単騎リーチ。
 要は、發のめくり合いである。


 そして3巡後、發を引いたのは───



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/01(日) 20:02:18.24 ID:h3OaWwdD0
( ^ω^)「ツモォ!!」

 ブーンだった。

( ^ω^)「3000・6000だお!」

ξ ゚听)ξ「キィィ!くやしい!!ビクビク」

('A`)「お前もドラ単かよ!くそ、オレのツモ筋にいてくれよ…」

(´・ω・`)「最後まで何も出来なかった…ショボン」

 ここで調子に乗ったブーンが言う。

( ^ω^)「ささ、もう一戦やるお!」

 こうして、VIP大学麻雀研究会の初夜は過ぎて行った。



 続く



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