( ^ω^)ブーンは麻雀の世界に生きるようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/27(金) 23:32:00.84 ID:hs7C+6G40
【第三話:加速】


──夕刻・学生ホール──


 青空麻雀は上々に終わった。学内へ麻雀研究会の存在を大いにアピール出来たし、
 対局せずとも興味を持ってくれた学生には金曜の定例会へ参加するよう呼びかけた。
 次の金曜が楽しみだな、なんて事を話しながら、ブーン・ドクオ・ジョルジュの
 授業サボリ組は会のたまり場にて青空麻雀の疲労をねぎらっていた。

( ゚∀゚)「いやー、それにしても疲れたな」

( ^ω^)「でも予想以上にギャラリーが来てくれて、緊張したけど楽しかったお」

('A`)「あんなに視線を浴びたのは幼稚園のお遊戯会以来だぜ」

( ゚∀゚)「お遊戯会ねぇ…。あ、そうだ」

 ジョルジュは何かを思い出し、ニヤついた。

( ゚∀゚)「現代麻雀は知ってるか?麻雀雑誌の」

( ^ω^)「もちろん!毎号読んでるお!」

('A`)「俺もだ(ブーンのを借りてな…)」

( ゚∀゚)「その現代麻雀主催の頂上戦、東京ブロック予選を俺の勤務雀荘でやるんだよ、7月に」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/27(金) 23:34:37.83 ID:hs7C+6G40
 麻雀頂上戦──。現代麻雀誌が毎年夏に開催する、麻雀の全国大会である。
 プロアマ問わず毎回約2000人が参加する、その名の通り頂上を決める大会だ。

( ^ω^)「面白そうだお!是非出てみたいお!」

('A`)「俺もだ(勝ち進んだら女流プロと打てるかもしれないしな…)」

( ゚∀゚)「ヘッ、そう言うと思ったぜ。だからよ、どうせならジャン研の皆で出てみたら
     いいんじゃねえかと思ってな」

( ^ω^)「名案だお!定例会の議題にするお!」

( ゚∀゚)「おう、そうしてくれ。しっかし…定例会、何人新人が来るかねぇ」

( ^ω^)「わかんないお。でも今から楽しみで楽しみで勃起してきたお!」

('A`) ゚∀゚)「キメェww」

 気がつけばすっかり馴染んでいるジョルジュ。
 ブーンは、ジョルジュが入会しただけでも青空麻雀をやってよかったと思うのであった。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/27(金) 23:39:57.70 ID:hs7C+6G40
──金曜夕刻・学生ホール──

 ブーンは嬉しい悲鳴を上げた。
 記念すべき第一回目の定例会に、1年生が3名程見学に来たのだ。

( ^ω^)「じゃ、自己紹介ドゾー」

( ><)「わかんないです!」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ!」

(-_-)「……ヒッキーです…」

(;'A`)(むー、なんだか味のある3人だな…)

 そう思いつつ、今回も素早くオゴリで彼らにジュースを差し出すドクオ。
 この一連の所作は流石の一言である。

('A`)「ようこそ、麻雀研究会へ。
    この缶ジュースはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい」

( ><)「いただくんです!」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ!」

(-_-)「…あ…どうも……」

(;'A`)(ちんぽっぽって何だよ…)

 そう眉をひそめるも、気を取り直してブーンを促した。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/27(金) 23:42:21.92 ID:hs7C+6G40
('A`)「それじゃブーン、会議を進めてくれ」

( ^ω^)「───というわけで、ジャン研の皆で頂上戦に出ようかと思うんだお」

(´・ω・`)「意義無ーし」

川 ゚ -゚)「ふむ…面白そうだな。して、優勝すると何かあるのか?」

( ゚∀゚)「優勝100万、準優勝50万だ」

 おおー、とざわつく一同をなだめ、ブーンは続けた。

( ^ω^)「だから皆で優勝目指して頑張るお。ジャン研初の公式戦出場だから、気合入れて行くお!」

 そう言うと素早く卓に着き、仕切る。

( ^ω^)「じゃ、早速特訓を始めるお!まずはマナー講座だお!」

 フリー雀荘や大会で行われる麻雀には細かな作法がある。
 
 点棒を投げ渡さない、無駄に牌を強打しないという常識的な事はもちろん、
 利き腕でない方の手はなるべく使わないようにする、
 局開始時に牌山を斜め前に出して相手に取りやすくさせる、
 ツモアガった場合のアガリ点数は子供・親の順で申告する…
 等々、枚挙に暇がない。

 ブーンはこの日、それら全てを新人達に教えていった。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/27(金) 23:48:39.28 ID:hs7C+6G40
──午後10時──

 この日の活動を終えた会員達が、並んで駅に向かって歩いていた。

(´・ω・`)「あー、疲れたー」

( ゚∀゚)「今日は教えるのと見るだけで、俺ら2年は全然打てなかったな」

川 ゚ -゚) 「私は今までネットでしか麻雀をやらなかったから、話を聞いてるだけで色々と勉強になったぞ」

(-_-)「…僕もネットばっかでした……」

( ゚∀゚)「ネットもいいが、実際に牌を触って打つ麻雀もいいだろ」

('A`)「みんな大会までに慣れておいてくれよな」

 …などと歩きながら会話する一同を、後ろから眺めるブーン。

( ^ω^)(みんな、麻雀が好きってだけで繋がったんだお…僕はこのサークルを作って本当に良かったお…)

 そう思い、軽くほほ笑む。が、一つだけ気に掛かる事があった。

( ^ω^)(結局、今日はツンは来なかったお…)

 ツンの事だ。ツンはこの日、掛け持ちしているテニスサークルの会議と重なってしまったため
 こちらの定例会には遅れて参加すると言っていたが、結局来なかったのだ。

( ^ω^)(あとでメールでも送っておくかお…)

 ぼんやりそんな事を考えているうちに駅へ到着し、全員家路についた。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/27(金) 23:51:24.41 ID:hs7C+6G40
──深夜・ツンの部屋──

 ツンは悩んでいた。結局この日はテニスサークルの会議が長引き、
 麻雀研究会の定例会へは参加出来ずじまいだった。

 そして定例会の内容をブーンからのメールで知ったのだが、
 頂上戦予選とテニスサークルの試合の日程がまたも重なっていたのだ。

ξ゚听)ξ「やっぱりサークルの掛け持ちはキツいわね…今のうちにどっちか辞めようかな…」

ξ゚听)ξ(やっぱり、去年から続けてきたテニサーは辞めづらいわよね…
      最近ようやく先輩と打ち解けてきたし…でも…)

 はぁ…とため息をもらしつつ、枕に顔をうずめる。

 すると、真っ暗な視界の中に、何故かブーンの顔が浮かび上がった。

ξ゚听)ξ(私がジャン研辞めるって言ったら、ブーンはどんな顔するかなぁ…)

 そう考えると、ブーンの幻影は今にも泣き出しそうな程にしょげて見せる。

ξ゚听)ξ(そんな顔しないでよ…アンタのそんな顔なんか見たくないわよ…)

 そう嘆きつつ、ハッとして慌てる。

ξ゚听)ξ「てゆうか!なんでブーンがあたしの脳内に出てくるのよ!
      そんな事…あってはならないわ!」

 …こんな一人ツンデレを演じながら、頭を両手でかきむしるツン。
 それからベッドにうつ伏せになって、また考え始めた。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/27(金) 23:57:23.83 ID:hs7C+6G40
ξ゚听)ξ(でもあの時…あたしが必要ってブーンが言ってくれた時、凄く嬉しかったなぁ…)

 そしてツンは、少し硬い表情でケータイを手に取った。
 どうやら答えが決まったらしい。

ξ゚听)ξ「もしもし、ブーン?あたしも頂上戦に出るわ!」

( ^ω^)「おっおっ、本当かお!?」

ξ゚听)ξ「ええ。あと、テニサー辞めるから、これから毎週定例会に参加するわ。
      ありがたく思いなさい!」

( ^ω^)「ツン…」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/27(金) 23:58:08.39 ID:hs7C+6G40
 ほんの数秒、ブーンは沈黙する。
 この間のブーンの表情の変化は、電話越しでもツンへ伝わった。

( ^ω^)「ツン、ありがとうだお。ツンの人生で、大きな思い出になるはずの大学生活を
     このジャン研で過ごす決意をしてくれて、僕は本当に…本当に嬉しいお。
     会長として、このジャン研を選んでくれた事を後悔させないように頑張っていくお!」

 それを聞き顔を赤くさせ、バカ…と小声で呟き、ツンは続ける。

ξ ///)ξ「勘違いしないでよ!私は麻雀が上手くなりたくてジャン研を続けるだけなんだからね!」

( ^ω^)「おっ?ちょ、ま…」

 そう声をあらげると、ツンは半ば強引に電話を切った。しかし、その表情はまんざらでもない表情だ。
 もちろんそれは、ブーンに伝わるべくもないが…。

 ともあれ、なんとも微妙な形ではあるが、これも一人の少女がその青春を牌に捧げる
 決意をした瞬間であった。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/28(土) 00:00:34.30 ID:erf2woLn0
──その十数分後──


 ブーンは自室でPCと向かいあっていた。

( ^ω^)「…こうして僕らは揃って頂上戦に出ることにしたんだお!
     そして今日の定例会ではマナー講座を開いたんだお…っと」

 そう、ブーンは麻雀研究会の学外アピールの一環として、研究会の始動した日から
 普段の活動やフリー雀荘での闘牌等を綴ったブログを始めていたのだ。

 その名も『ブーン会長の麻雀日記〜VIP大学麻雀研究会会長の徒然麻雀記だお〜』。
 何の捻りも無い、そのまんまのタイトルである。

 しかしながら、この至極わかりやすいタイトルと共に
 文章力は拙いもののブーンの真っすぐな気持ちが表れたこのブログは、
 少しずつではあるがそのアクセス数を伸ばしていた。

( ^ω^)「やっぱり女の子の対局写真をうpするとアクセスがアップするお…」

 などと?気な事を口にしているブーンだったが、
 この時、彼はこのブログが自身の運命を変える事になるとは思ってもいなかった。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/28(土) 00:06:19.88 ID:erf2woLn0
──翌日──


 とある部屋で、同じ顔の二人が並んでノートPCをいじっている。

(´<_` ) 「オイ兄者、とりあえずコレを見てくれ。コイツをどう思う?」

( ´_ゝ`)「すごく…目障りです…」 

 どうやら双子の弟らしい方のモニターに、ブーンのブログが写されていた。
 “頂上戦”をキーワードにして検索し、見つけたのであろう。

(´<_` )「どうする兄者、田代でも打ち込んでやるか?」 

( ´_ゝ`)「それもいいが…コイツら、どうやら頂上戦に出るようだな。
       ならば我々ラウンジ大麻雀部も出場し、フルボッコにしてやろうじゃないの」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/28(土) 00:09:18.38 ID:erf2woLn0
 ラウンジ大学。VIP大学の隣駅に位置し、昔から野球・サッカー・ラグビー等
 あらゆる競技で競い合っている中堅大学だ。

 そしてこの双子は、そのラウンジ大学麻雀部で部長・副部長を務めている流石兄弟であった。 

(´<_` ) 「このキモい顔を泣きっ面にしてやるか…」

( ´_ゝ`)「ついでにこのブログに載ってるかわい子ちゃんを
       ペロリしちゃいますか」

 兄者がそう言い終えると、二人が同じタイミングで笑い出す。

( ´_ゝ`)(´<_` ) 「フフフフ、ハッハッハッハ────!!」



 続く。



戻る第四話