( ^ω^)ブーンは麻雀の世界に生きるようです
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:02:07.84 ID:vFiLSwLB0
- 【第4話:屹立】
- 6月半ば、アジサイ咲き誇る梅雨の季節。
- 皆で出場することになった大会“麻雀頂上戦”の予選まで残すところ半月となり、
- ブーン達麻雀研究会員は各々で独自にトレーニングをしていた。
- ──たまり場──
- ('A`)「さて、問題です」
- 12345m34599p發發發 ツモ3m ドラ1m
- ('A`)「リーチを掛けていなかったとして、この形のアガリ点数は何点になる?」
- 川 ゚ -゚)「ヒントだ。この手は字牌の暗刻で8符があるのは見てわかる通りだが、
- 持ってきたのが3mならペンチャン待ちの形に取れるんだ」
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:03:27.49 ID:vFiLSwLB0
- ξ゚听)ξ「えっと、そうなると…8符と、ペンチャンの2符と、ツモアガリの2符で…」
- (*‘ω‘ *)「ツモ、發、ドラ1…っぽ?」
- ( ><)「3翻40符…イチサン・ニイロクになるんです!」
- ('A`)「わかんないです、正解」
- ( ><)「えっへん!」
- ある平日の放課後。
- サークル内では上級者であるドクオとクーが講師役となり、
- 初心者向けの麻雀教室が開かれていた。
- 麻雀の点数計算はなかなかに難しい。
- 覚えてしまえばなんてことはないが、そうなるまで一苦労かかるもの。
- ブーンは大会までにはどうにかして点数計算を覚えてしてもらおうと、
- ちょっとした講座を開くよう会長命令をドクオとクーの2人に出していたのである。
- (-_-)「ネットだと勝手にやってくれるけど…実際にやるのはなかなか難しいですね…」
- ('A`)「まあな、でも練習を重ねていけばすぐ慣れるさ」
- 現状で点数計算が出来ないのは、ツン、わかんないです、ちんぽっぽ、ヒッキーの計4人。
- しかしながら講師役の努力の甲斐もあり、基本程度は出来るようになっていた。
- その中でも、わかんないですの成長は目を見張るものがあった。
- 何やら彼には彼なりの思惑があるようだ。
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:05:06.04 ID:vFiLSwLB0
- ( ><)(早く計算を覚えて、ぽっぽちゃんにカッコいい所を見せるんです!)
- そもそも彼らがこのサークルに来たのは、ある日の教室で
- わかんないですが会員募集チラシを見つけ、
- クラスで仲良くなったちんぽっぽ(と、ついでにヒッキー)を
- 一緒に行ってみようと誘ったからだ。
- 勉強もスポーツも得意でない彼が、以前友人と遊んで唯一勝ったことのあるゲーム、
- それが麻雀だった。
- 麻雀なら淡い恋心を抱くちんぽっぽと一緒に遊べ、かつ自分の輝く姿を見せられるはず。
- そんな思いが彼にはあったのである。
- だが、知ってか知らずか当のちんぽっぽは至ってマイペース。
- いつの日か、彼が胸に秘めたその思いを打ち明ける日が来るのだろうか。
- ('A`)「…ってまあ、見てればバレバレなんだけどね」ヒソヒソ
- 川 ゚ -゚)「微笑ましいじゃないか、じっくり見守ってあげよう」ヒソヒソ
- ξ゚听)ξ(負けてられないわ、私だってあいつに良いトコ見せるんだから…)メラメラ
- …そんなこんなで、日が暮れて。
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:06:58.52 ID:vFiLSwLB0
- ──勉強会終了後・帰りの電車内──
- 自宅が同じ方向のため、同じ電車に乗るドクオとクー。
- 本来、ドクオは女性…特に美人に対して寡黙になりがちなところがあった。
- 彼の持つルックスのコンプレックスによるものだろう。
- だが、クーとはこの日のための打ち合わせなどもあって、
- 少しずつ仲が良くなり始めていたのである。
- 実は、そうなるようにツンがブーンにこっそり進言して
- 2人に講師役を任せたのであるが…狙い通りといったところか。
- ご覧の通り、今も雑談に花が咲いているようだ。
- 川 ゚ -゚)「しかし、いささか疲れたな…」
- ('A`)「いやあ今日は助かったよ。教え方、上手いんだな」
- 川 ゚ -゚)「皆の飲み込みが早いだけさ。
- まあ、計算の基本は理解してもらえたようだし、しばらく実戦を重ねていけば
- じきにスムーズな点数申告が出来るようになるだろう」
- ('A`)「だといいけど。大会まであと2週間だし、クーの言う通り
- 明日以降も出来るだけ鍛えてやらないと…」
- 川 ゚ -゚)「あと2週間か。何人の参加で、予選がどういったシステムかはまだわからないが…
- 超えるべき山は高そうだな」
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:09:08.00 ID:vFiLSwLB0
- ('A`)「俺達の記念すべきデビュー戦だからな…。
- 通過枠がいくつあるのかわからないけど、皆で通過したいな」
- 川 ゚ -゚)「そうだな。だがその為には、教えるのもいいが
- 自分の稽古も忘れないようにしないと。
- やはり上達するには強い打ち手と対局するのが一番だからな」
- ('A`)「確かに。そういう卓を立てるようブーンにも言っておくよ。
- ブーン、ジョルジュ、クー、俺がウチのサークルの一軍選手か。
- 確かにこの面子で打てばいい練習になりそうだな」
- 川 ゚ -゚)「そういえば最近ジョルジュの姿を見ないんだが…何かあったのか?」
- ('A`)「ああ、あいつは学校サボって大会のためにバイト先で打ちまくっているみたいだよ」
- 川 ゚ -゚)「そうなのか、まったく。でも、一日中麻雀を打てるのは羨ましい気もするな…」
- そんな風に噂されていることなど露知らず。
- その頃、噂のジョルジュは…。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:11:50.43 ID:vFiLSwLB0
- ──ジョルジュのバイト先 雀荘・乙牌──
- より感覚を鍛える為と言い、昼はバイト、夜は客として
- 自身の勤務先で麻雀を打ち続けていた。
- ( ゚∀゚)「ツモォ!16000オールッ!」
- 賑やかな店内に響くぐらい、気合のこもった声を上げるジョルジュ。
- 開かれたその手は、最もポピュラーな役満、四暗刻。
- ( ゚∀゚):999m888p44s發發中中中 ツモ發
- 客1「ひえぇ、親役満かよ!」
- 客2「パンクだ!止めるわ!」
- 席を立つ客達から満足げに勝ち金を受け取るジョルジュに、居残った客が問いかけた。
- 客3「どうしちゃったのよジョルジュちゃん、
- 最近ヤケに燃えてるみたいだけど?」
- ( ゚∀゚)「へへ…ちょっとね…」
- ( ゚∀゚)(100万獲って、おっぱいパブ8連チャンしてやるぜ…!)
- 何ともよこしまな目的であったが、それは間違いなくジョルジュの原動力となっていた。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:13:58.76 ID:vFiLSwLB0
- ( ゚∀゚)(さて、もうちょい打って帰るか…)
- ジョルジュがそんな風に考えていると、卓を抜けた客と入れ替わりで、
- 不気味なオーラを放つ猫背の男がこちらへやってきた。
- そして、
- 店員「御新規のお客様、ギコさんです。皆さん宜しくお願いしまーす!」
- そう店員がマニュアル通りに声を上げると、ジョルジュも追って挨拶する。
- ( ゚∀゚)「お願いしまーす」
- ( ,,゚Д゚)「…!」
- ギコと呼ばれた男は、ジョルジュの顔を見ると一瞬驚いたような表情を見せた。
- それをジョルジュは見逃さず、すかさずツッコミを入れる。
- ( ゚∀゚)「ん?俺の顔に何かついてるかい?」
- ( ,,゚Д゚)「…いや、何でもない。よろしく」
- ( ,,゚Д゚)(…この子は確か、あのブログに出てたVIP大学の…
- 面白いこともあるもんだな…フフ…)
- ギコと呼ばれた男はそう思うも口にせず、静かに卓へ着いた。
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:16:43.29 ID:vFiLSwLB0
- 東1局は流局するも、東2・3局と好調なジョルジュが連続で満貫をツモアガる。
- 早々と独走態勢になり、この半荘もジョルジュのトップかと思われた。
- しかし流れの変わり目は、中盤に差し掛かる東4局にやって来る。
- ( ゚∀゚)配牌(親):67m4688p234556s東西 ドラ8p
- ( ゚∀゚)(ムッハー、配牌ドラ2ですか!じゃ、これをアガって決めに行きますか…)
- 心の中でニヤつきつつ、打西。
- 3巡目、ツモ赤5m、打東。実に順調である。
- すると同巡、今まで黙々と打牌してきたギコが、上家の切った2sを両面でチー。
- その瞬間、ジョルジュに悪寒が走った。
- ( ゚∀゚)(何だあの3巡目両面チーは…あの動きで俺の必要牌が流れていかなければいいが…)
- このジョルジュの予感は的中する。ジョルジュの下家が1s、3pとツモ切ったのだ。
- すなわち、ギコのチーが無ければピンフドラ3のダマ満貫テンパイが入っていた事になる。
- ( ゚∀゚)(このギコとかいうヤツ、まさかこれを狙って両面チーしやがったのか…?
- 捨て牌を見るに、別に染め手にも見えねえし…)
- そう考えチラと睨むも、ポーカーフェイスで淡々と打ち続けるギコ。
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:18:51.15 ID:vFiLSwLB0
- ( ゚∀゚)(くっそ…)
- 無駄ヅモが続き、焦りだすジョルジュ。
- 結局、10巡目に2p、13巡目に1sを引き、
- ( ゚∀゚):赤567m24688p123456s ドラ8p
- ここから6pを切っての引っ掛けリーチと出た。
- ( ゚∀゚)(ツモれ!!)
- そう念じて一発目のツモを引くも、その牌は發。
- チッ、と小さく舌打ちしつつそれを河へ捨てると、ギコからロンの声が放たれた。
- ( ゚∀゚)(両面チーして發バック?うまく蹴られたか…)
- と、点箱から千点棒をいくつか取り出す。すると…。
- ( ,,゚Д゚)「君の予想よりちょっぴり高いぜ、12000だ」
- ギコはそう言い放ち、ぱたりと手牌を倒した。
- ( ,,゚Д゚):888m白白白發中中中 チー234s
- (;゚∀゚)「さ…三暗刻小三元…!」
- 断トツのトップ目からまさかのハネ満放銃。予想外の出来事にジョルジュは放心した。
- それ以後は水を得た魚のように勢い良くアガり続けるギコ。
- そして事も無さげに4連勝し、席を立った。
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:21:43.68 ID:vFiLSwLB0
- ギコが席を離れた瞬間、ジョルジュは声を掛ける。
- ( ゚∀゚)「今日の所は完敗だわ…アンタ、強えな!」
- それはジョルジュの心からの称賛であった。
- ジョルジュが面と向かって相手を褒めるのは、非常に珍しい。
-
- ( ,,゚Д゚)「フッ…君みたいな元気な子にそう言われるなんて本望だな」
- と言いながらドアの方へ足を向けた。
- そして。
- ( ,,゚Д゚)「ああそうそう…頂上戦、期待してるぜ…」
- そう言い残し、店を後にした。
- (;゚∀゚)(ギコとか言ったか、あいつ…今までの相手の中で一番強かったかもな…。
- 俺もまだまだ、か。世の中広えや…でも…)
- ( ゚∀゚)「…なんで俺が頂上戦に出る事知ってんだ?」
- 実はこのギコという男、日本で一番大きなプロ団体である
- "全日本プロ麻雀リーグ"に所属するAリーグプロであった。
- 彼もまたブーンブログの読者であり、
- そのブログに研究会員の写真が出てくる為、ジョルジュの顔を知っていたのだ。
- しかしながら、ジョルジュがそれを知るのはまだ先の話。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:24:06.76 ID:vFiLSwLB0
- ──ラウンジ区──
- 一方ブーンは、積極的に時間を作って
- 業界誌"現代麻雀"を片手に都内のフリー雀荘巡りをしていた。
- この"現代麻雀"には優良フリー雀荘が数多く広告を出しており、
- それらへ足を運び、成績や闘牌の様子などをブログにしたためるのが彼の趣味なのである。
- ( ^ω^)「“麻雀ぬこ”…あったあった、ここだお」
-
- 旅打ち気分で学生街を練り歩き、目的の店を発見する。
- そして、入口の前で深呼吸をしてから勇んで入店した。
-
- 店員「ではあちらの卓へどーぞー」
- ひと通りルール説明を受け、店員から案内されて卓へ向かうブーン。
- ( ^ω^)「よろしくお願いしますお!」
- そこで待ち構えていたのは…
- ( ´_ゝ`)「…へえ」
- (´<_` )「これは意外なお客様だな」
- ( ^ω^)「おっ?」
- ラウンジ大学麻雀部を統べる、流石兄弟であった。
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:26:27.64 ID:vFiLSwLB0
- 自分の顔を知っているそぶりを見せた彼らに、ブーンは問いかけてみた。
- ( ^ω^)「ぼ、僕のこと知ってるんですかお…?」
- ( ´_ゝ`)「VIP大のボンクラ会長さんだろ?いつもブログを見てるよ」
- (*^ω^)「おっ!?それはありがとうございますお!」
- (´<_`;)「こいつボンクラって単語を知らないのか…」
- 調子の狂うヤツだなと思いつつ、弟者は続けた。
- (´<_` )「俺達はラウンジ大学麻雀部、代表の流石兄弟だ。
- 君達につられて、俺達も頂上戦に出ることにしたんだよ」
- ( ^ω^)「おお、ラウンジ大麻雀部の代表さんですかお!?んじゃ今度僕らと交流戦でも…」
- ブーンがそう言いかけた時、少しだけ背の高い方の男が遮った。
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:27:53.43 ID:vFiLSwLB0
- ( ´_ゝ`)「君はここへ雑談をしにきたわけじゃないだろう?早く座りなよ」
- (;^ω^)「あ、すみませんお…」
- 双子、特に兄者が向けてくる明らかな敵意に、ブーンは困惑する。
- だがほどなくして、それは仕方の無いことなのかもしれないと思い直した。
- VIP大とラウンジ大は昔からスポーツなど様々な分野で競い合っており、
- 犬猿の仲と言われるくらい、お互いに忌み嫌いあってきた経緯があるからだ。
- そして、そういった意識は愛校心が強ければ強いほど生まれるもの。
- 彼らがVIP大生というだけで嫌ってくるのも無理のない事なのである。
-
- ( ^ω^)(どうにか仲良くなって、話を聞くだけでも
- ジャン研にとってプラスになると思ったんだけど…まぁいいかお)
- ブーンはそんな風に考えながら、対局を開始した。
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:33:32.14 ID:vFiLSwLB0
- 序盤の2局は、4人目の対局者であるサラリーマン風の男が仕掛けて軽く引きアガる。
- そこまではさして珍しい光景は無かったのだが…。
- 迎えた東3局に事件は起こった。
- 親のブーンが手にした配牌は悪くなかった。
- ( ^ω^):13赤5m236p55689s西西北 ドラ中
- ( ^ω^)(まずまずの配牌…)
- ここから11巡が経過し、手牌がまとまる。
- ( ^ω^):13赤5m23467p567s西西 ツモ8p ドラ中
- ( ^ω^)(テンパッたけど…さて)
- 少し間を取り、捨て牌を確かめるブーン。
- 場には2mと4mが2枚ずつ切られていた。
- ならば…思い、と赤5mを切って、カン2m待ちのリーチと出る。
- 待ちは悪いが、親につきといったところだろうか。
- しかしその刹那、対する双子が同時にニヤリと笑い出す。
- そして…
- ( ´_ゝ`)「リーチ」
- (´<_` )「リーチ」
- 同巡、2人からツモ切りリーチが掛かった。
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:38:10.86 ID:vFiLSwLB0
- (;^ω^)「げっ」
- 思わず声が出てしまった。
- よくよく場を見てみれば、もう終盤にさしかかるというのに
- ドラの中が1枚も見えていない。
- さらには、2人とも仲良く中張牌がバラ切りされた
- 「いかにも七対子」といった捨て牌をこさえている。
- ( ´ω`)(甘かったお…)
- こうなってくると悪い予感しかしない。
- 無事に流局してくれれば御の字である。
- だが一発目に引かされた牌は、最も引きたくなかったドラの中。
- ブーンは申し訳無さそうにそれを河へ置いた。
- ( ´_ゝ`)「ロン、12000」(´<_` )
- 左右に座った双子から同時に声が聞こえてくる。
- 開かれた手牌は、予想通りの七対子。
- ウラドラこそ乗らなかったが、ハネ満のダブロンである。
- ( ´_ゝ`):22m5588p1144s東東中
- (´<_` ):1144m4477p11s南南中
- これでブーンがハコテンとなり、半荘終了となった。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:48:43.22 ID:vFiLSwLB0
- ブーンはこの後3半荘ほど打つのだが、
- あの放銃からその体勢が復活するわけもない。
- 正直な所、心も折れてしまっている。
- ブーンもそれを自覚し、今回は流石兄弟の前に涙を飲む形で席を立った。
- ( ^ω^)「今日は…ありがとうございましたお。勉強になりましたお」
- 双子へ向けてそう挨拶すると、双子は辛辣な言葉を向けた。
- ( ´_ゝ`)「ふふ、礼を言うのはこちらの方さ。
- 何せたくさん点棒を恵んでもらったからな」
- (´<_` )「この調子じゃ頂上戦は厳しそうだな。まあせいぜい頑張りな」
- 各々が言い終えた後、双子は同じ調子でクククと笑う。
- イヤな奴ら…と思うも一切表情に出すことなく、ブーンは一礼して店を出た。
-
- ( ´_ゝ`)(´<_` )「…。」
- だが、流石兄弟はそんなブーンを無言で見つめるだけであった。
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:51:31.26 ID:vFiLSwLB0
- ───帰り道───
- 内心、悔しさと情けなさでいっぱいだった。
- 改めて敗北の二文字を噛みしめる。
- ( `ω´)(クソッ!)
- 心の中でそう叫びながら、夜道に転がっていた空き缶を蹴り飛ばした。
- だが、そんな事をしても心のモヤモヤは一切晴れることはない。
- ブーンには麻雀を打つ際に心掛けていることがあった。
- 自分は成績や闘牌の様子をブログに嘘偽り無く書いている。
- そして会長の自分が情けない内容ばかり書いていたら、
- VIP大麻雀研究会そのものがなめれらてしまう。
- だからみっともない負け方だけは出来ない、と。
- そんな風に考えているからこそ、なおさら今日の自分を振り返って情けなくなった。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 21:56:34.06 ID:vFiLSwLB0
- ( ´ω`)(はぁ…あいつらに勝って鼻を明かしてやりたかったお…)
- もはや、振り返っても溜息しか出てこない。
- しかしながらあの流石兄弟、敵ながらあっぱれという所も見受けられた。
- その打ち筋は甘い牌を下ろさない守備型の麻雀で玄人好みのものであったし、
- 洞察力も並々ならぬものがあった。
- おそらくあのダブロンの局も、自分の逡巡から愚形待ちということがバレてしまい、
- 同時追っかけリーチと来られたのだろう。
- そして、双子で同卓しておきながらいわゆるコンビ打ちは皆無。
- マナーも良く、2人ともフェアプレーに徹していたように思う。
- ( ^ω^)(あの人達も麻雀が好きなんだおね…)
- 麻雀の世界は広いんだな。
-
- そんな風に思いながら帰路につくブーンであった。
- 34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 22:00:38.63 ID:vFiLSwLB0
- その晩、ブーンはその日の出来事をブログにした。
- 偶然ラウンジ大麻雀部の流石兄弟と同卓した事はもちろん、
- その麻雀で惨敗した事や、相手のこういう所が凄かった、
- 物凄く悔しかった、などなど。
- 思った事を素直に、ブーンの言葉でしたためた。
- ちなみに嫌味を言われたことには触れなかった。
- 彼らもこのブログを見ていると言っていたし、
- 文章に残すといつまでも忘れる事が出来ないと思ったからだ。
- だがそれが功を奏したのか、更新してほどなく2件のコメントがついた。
- コメント
- 1 ■無題
- 今日は対局ありがとう。
- 非礼があったかもしれないが、反省はしていない。
- 悔しいと思ったなら、頂上戦で俺たちを越えて見返してみるんだな。
-
- name:弟者 01:15
- ( ^ω^)「弟者さん…」
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 22:04:22.27 ID:vFiLSwLB0
- コメント
- 2 ■無題
- こんかいは俺らの完勝だな。
- のうてんまで痺れたろう?あのダブロンは。
- あんな麻雀打ってるようじゃ大会は厳しいぞ。だが、
- なんだかんだ言っても期待はしている。
- るんぺんみたいな顔のお前でも、一応はライバル団体の会長だからな。
- やる気を出してみ
- ろ。
- うなじゅう
- name:兄者 01:31
- (;^ω^)「う、うなじゅう?」
- ブーンは驚きつつも、2人に感謝した。
- この叱咤激励コメントは一見すると厳しく見えるが、
- その中にはほんの僅かだが確かに優しさがある。
- それを感じ取り、改めてやる気が出てきたからだ。
- 会長の自分がしょげている場合ではない。
- 目指す山が高ければ高い程、やることはたくさんあるはず。
- そう気づかせてもらえたのである。
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/24(水) 22:10:36.26 ID:vFiLSwLB0
- そんなこともあり。
- 翌日から、間近に迫る大会に向けてブーン達は本腰を入れて稽古に励んだ。
- ( ^ω^)(勝ち進んでこのジャン研の名を世間に轟かせてやるお…)
- ('A`)(百万貰ったらカーチャンにいくらあげようかなぁ)
- ξ゚听)ξ(あいつを振り向かせてやるんだからっ!)
- _ ∩
- ( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
- ⊂彡
- 川 ゚ -゚)(自分の麻雀がどこまで通用するか…楽しみだ)
- (´・ω・`)(今回これしか出番無し…)
- (*‘ω‘ *)(デビュー戦、緊張するっぽ…)
- (-_-)(1回戦くらいは勝ちたいなぁ)
- (*><)(ぽっぽちゃん…ぽっぽちゃん…ああっ!!)
- などなど、それぞれがそれぞれの思いを抱き、練習に精を出す会員達。
-
- だが、何かに熱中していると時の流れは早くなるもので…。
- 彼らは、あっと言う間に大会の日を迎えた。
- 続く。
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