('A`)の奇妙な冒険
- 10: 名無しさん :2006/10/29(日) 20:24:29
夜の学校に遊びに行こう! その1
世界中の1%にも満たない人間しか知らないことだが、
この世には『矢』と『石仮面』、そして『赤石』という遺産(アーティファクト)がある。
誰が何の目的で作ったのか、
そもそも人間が作ったのかどうかも分からない、正体不明の物質。
ただ一つ確かなことは、それらには人智の及ばぬ力が秘められているということ−−
(´・ω・`)「……ジョルジュ。そろそろ起きろ、ジョルジュ」
深夜の都内某ビルの屋上、しょぼんとした顔をした男が、
隣でいびきをかいていた男に声をかけた。
( ゚∀゚)「んあ〜。どした、何かあったか?」
ジョルジュと呼ばれた男が、気だるそうに体を起こす。
(´・ω・`)「向かいの建物からターゲットが出てきた。
予定通り、ターゲットが仲間と合流したところでまとめて叩く」
( ゚∀゚)「了解りょ〜かい。
んじゃ、今のうちにかる〜く準備運動でもしとくかね」
言って、ジョルジュはイチ、ニと屈伸運動を始める。
- 11: 名無しさん :2006/10/29(日) 20:43:37
(´・ω・`)「ああ、それと――」
しょぼんとした顔の男が、思い出したようにジョルジュに言った。
(´・ω・`)「例の『仮面』の目撃情報があったそうだ。
もしかしたら今後その件で特別出動があるかもしれないから、一応覚えておいてくれ」
( ゚∀゚)「マジで? で、どこまで分かってんだ?」
ジョルジュが身を乗り出して訊ねる。
(´・ω・`)「そんなに大したものじゃないよ。
聞き込みの結果、それらしいものを見たって話があっただけでね。
でもまあ僕は、『仮面』はこの街にある可能性はそれなりにあると思ってるんだけどね」
( ゚∀゚)「勘ってやつか? お前らしくもねえな」
(´・ω・`)「勘よりは根拠があるよ。
『彼』が住んでいるこの街で『仮面』の噂――
因縁ってものを感じたって不思議じゃないだろう?」
( ゚∀゚)「因縁、ねえ……」
ジョルジュは何か言いたげな顔を少し見せ、結局何も言わないままストレッチを切り上げた。
( ゚∀゚)「ま、どうだっていいさ。今は目の前の仕事を片付けることが一番だからな」
(´・ω・`)「それもそうだね。本当なら、『彼女』が居てくれればもっと楽なんだけど」
( ゚∀゚)「ハッ、必要ねえさ。
たかだか炎を操る程度の近距離パワー型一匹と、
それに群がる有象無象くらい、俺達二人でどうにかなるだろ。
それに、あの女も『子守』が忙しいだろうからな」
言うと同時に、ジョルジュの背後に筋骨隆々とした屈強な男のヴィジョンが浮かび上がる。
( ゚∀゚)「即効で掃除(かた)してやろうぜ。
俺の『リーサル・ウェポン』と、お前の『スピード』とでなあ!」
ジョルジュは駆け出すと、何の装備も無しにビルの屋上の縁から跳躍した。
- 12: 名無しさん :2006/10/29(日) 21:01:27
* * *
朝のホームルーム前の教室は、どこのクラスも今朝のニュースの話題で持ちきりだった。
何でもこの街で、人が殺されていたらしい。
しかも、ただ殺されていたというわけではなく、
ミイラのように干からびていたというのだ。
始めニュースを見たときは、朝っぱらからドッキリテレビでもやってんのかと我が目を疑ったものだ。
( ^ω^)「大変だお大変だお大変だお〜〜!」
けたたましい音と共に、ブーンの馬鹿が教室に駆け込んでくる。
こいつは次に、「ドクオ、今朝のニュース見たかお」と言う。
( ^ω^)「ドクオ、今朝のニュース見たかお!
……はッ!」
朝っぱらから俺の期待を裏切らない馬鹿、ブーン。
悪い奴ではないが、本当に馬鹿だ。
( ^ω^)「怖いお! この街で殺人事件だお! 怖いお〜!」
ξ゚听)ξ「うっさいわね。
誰もあんたみたいな馬鹿殺しはしないから、あんただけは大丈夫よ」
さらりとツンがキツい突っ込みを入れた。
( ^ω^)「僕はどうでもいいお!
ツンに何かがあったらと思うと、心配でたまらないお!」
ξ゚听)ξ「ば、馬鹿、何変なこと言ってんのよ!
そ、そんなこと言われても嬉しくなんてないんだからね!」
はいはい、それ何てツンデレ?
てかブーン、俺も目の前にいたのに今ツンが心配としか言わなかっただろ。
( ^ω^)「ドクオも殺されるほどの価値が無いと思うからきっと大丈夫だお」
殺すぞキンタマ口。
- 13: 名無しさん :2006/10/29(日) 21:14:00
( ^ω^)「てか、どうして犯人は死体をわざわざミイラになんかしたんだろうお?」
('A`)「いきなり何言い出してんだこの馬鹿は」
ξ゚听)ξ「いきなり何を言ってんのよ馬鹿」
( ^ω^)「ひ、酷いお……」
ブーンが二重の口撃を受けてバツが悪そうに頭を掻く。
( ^ω^)「わざわざミイラにしたって、何も得なんてないと思うお。
時間がかかるばかりだしそんなことしてる暇があるなら
さっさと逃げるなり、証拠隠滅してる方がいい筈だお」
('A`)「…………!」
ξ゚听)ξ「…………!」
ブーンは馬鹿だが、時々俺達がはっとするような着眼点から物を言うことがある。
俺は密かにそんなブーンを尊敬しているのだが、
照れくさいので面と向かって本人には言わない。
「お〜い、そろそろホームルーム始めるぞ」
先生の声を合図にクラスの全員が自分の席につく。
誰もがこの時、更に犠牲者が増えていくなどと――
そのうちの何人かが、この学校の生徒になるなどとは、微塵にも考えていなかった。
- 14: 名無しさん :2006/10/29(日) 21:26:09
* * *
「……ああ、そうだ。
マスコミには公表していないが、確かに首筋には吸血痕があった」
薄暗い――と言うには余りにも暗すぎる部屋で、
女が携帯電話で誰かと会話をしていた。
「……いや、『彼』に何かがあったような素振りは無い。
今の所、『彼』に直接関係しているかどうかは不明だ。
……ああ、うん。
調査の方はそちらにお願いさせてもらう。
私は昼間、自由に行動出来ないからな」
極めて事務的な口調で、女は会話を続けていた。
「何かあったらこちらから連絡を入れる。
場合によってはジョルジュやショボンにも応援を頼むかもしれない。
……ああ、それじゃあ」
女はそう言って携帯を切ると、一つ大きな溜息をついた。
「……因縁――
過去をどれだけ捨てたつもりになっても、ミミズのように這い出てということか……」
呟く女の顔はどこか憂いをたたえているように見えた。
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. < To Be Continued... | |
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