( ^ω^)が崩壊する世界を救うようです

  
54: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 22:52:17.26 ID:dNQ7F4R/0
  
第四章 「暗闇の道標」


ここは・・・どこ?


暗いよ   それに、寒いよ・・・


パパ・・・ ママ・・・  


町が  壊れて・・・

空が  落ちてきて・・・

内藤くん・・うぅん、




『ブーン・・助けて・・・』



  
55: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 22:55:54.71 ID:dNQ7F4R/0
  

透き通った巨大な氷の中で、綺麗な巻髪の女の子が目を閉じている



意識は無く、眠っているようだ



これは…    ツン…だ

まるで夢にまどろむ様な安らかな顔をしているが時々、苦痛に歪む

聞き取れはしないが、何かをうわ言の様に唇が語っている


部屋の中には機械の配線やコードが到るところに張り巡らされていて、まるで何かの研究所のようだ


氷の前でその少女を見つめている男がいた



( ´_ゝ`)「またここにいたのか・・・」



  
57: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 22:57:08.55 ID:dNQ7F4R/0
  

その彫像のような少女の青白い顔を、食い入るように見つめる男がそこにはいた



(´<_` )「兄者か」


男はくるりと振り返り、返事をした





(´<_` )「兄者こそ。ここには立ち入り禁止だぞ」


( ´_ゝ`)「あぁ、ここは冷える。お前ももう戻ろう、弟者」






兄者は肩掛けを弟者に掛けてやり、扉へと促す



  
58: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 22:58:22.22 ID:dNQ7F4R/0
  


(´<_` )「兄者・・・。あの子助けられないかな」


( ´_ゝ`)「・・・・・無理だ。もう考えるな。出るぞ」



二人はゆっくりと歩き出した






( ´_ゝ`)「お前は優しすぎる」




兄者はガチャリと扉に鍵をかけた



  
59: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:00:35.71 ID:dNQ7F4R/0
  



ワォォォォォォォォォンッ     ワォォォォォォォォォ


銀髪の狼は高揚した様子で、遠吠えを上げる




彼にしてみれば僕なんて兎や鶏みたいなもんなんだろう





(;^ω^)「死んじゃうかもだお・・・」




完全に人獣と化した少年を見つめ、ボソッと呟く



  
60: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:04:02.04 ID:dNQ7F4R/0
  
('A`)「そろそろいいか。殺り合おうぜ」


人獣はそう言うと四本の足で地面を掴み、力を溜める


銀色の狼が思い出したように、口を開いた


('A`)「あぁ・・・そうだ。名前くらいは聞いてやるよ。お前、名は?」





( ^ω^)「・・・ホライゾン・・・。内藤ホライゾンだお」



  
61: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:04:54.21 ID:dNQ7F4R/0
  

('A`)「内藤か・・・  俺はドクオだ。死にたくなきゃさっきの力使うんだな」





(;^ω^)「(さっきの力って…好きで出したり直したりしてるわけじゃないんだお)」


そんな心の声が届くはずもなく・・・



闇を裂くような声で、ドクオが叫んだ







『気ぃ抜くなよ、内藤。』



ドクオが後ろ足で地面を蹴り上げる



  
62: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:05:48.58 ID:dNQ7F4R/0
  

早い、この真っ暗闇に加えてこのスピードじゃ見えるわけないお!



気を抜くとか以前の問題だお


右か?

左かお??





('A`)「ボーッとしてたら肩から先が無くなっちまうぞ?!」


銀狼が声を発する度、森がざわめき木々が振動する





どうするお?どうするお??



  
63: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:10:43.88 ID:dNQ7F4R/0
  
(#^ω^)「黄色い光よ!出ろ!!でろ!」

出ないお… ってか出るわけが無いお……


(;^ω^)「打つ手なsh」


瞬間、ドクオの左足が僕のお腹を蹴り飛ばした



(;^ω^)「うげほっ… げほっ ゲホッ」


('A`)「何やってんだァ?抵抗すんのかしねーのかはっきりしろよォ〜」


お腹が痛いお・・・ 吐きそう・・・・・・・

鉄球を松坂が全力で僕のお腹に投げつけた感じ

内臓出そうだお・・・・・・・・




僕には力なんてないのかお・・・



  
64: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:12:18.17 ID:dNQ7F4R/0
  

体制を崩した僕にドクオが追い討ちをかける



(;^ω^)「おっ・・おっ」

動かない左手を、右手の刀で庇う





その切っ先はドクオの額をかすめた



ドクオの額から僅かに鮮血が流れ出る

('∀`)「読んだのかまぐれか知らねぇがイイ反応じゃんかよっ」




('∀`)「コレはどうだ!読めるんなら読んでいいぜ」



  
65: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:14:35.92 ID:dNQ7F4R/0
  

言うが早いか、一瞬でその場からドクオの姿が消える


(;^ω^)「居ないお!どこに行ったんだお」

居ない!危ない…このままじゃやられるお


辺りを目で追うが、姿は全く見えない


もうマグレには期待できないお



何か… 何か無いのかお!!



(;´ω`)「いっつ・・・」

痛みに思わず膝を落としてしまった





(;^ω^)「ん?」



  
66: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:16:00.08 ID:dNQ7F4R/0
  

ブーンの目の前に一滴だけだが、液体がぽたりと落ちた


(;^ω^)「これは・・・」





(#^ω^)「上かお!!」


僕は渾身の力で、高々と刀を天へと突き上げる













嫌な肉を裂く音が耳鳴りの様に反響した



  
67: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:18:12.13 ID:dNQ7F4R/0
  


淡い月の色と同じ色の刀身が、真っ赤な血でゆっくりと染められている




どろりとした真っ赤な血が刀を伝ってゆく




僕は膝から崩れ落ちた



全身が悲鳴をあげている




(;´ω`)「うぅ・・・」

('A`)「グルルルッ」



  
68: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:19:34.17 ID:dNQ7F4R/0
  

雲の合間から月明かりが二人を照らし出してゆく



('A`)「ゲフッ・・・」


ドサッ


ドクオは上から飛び掛ろうとしていた様で、そのまま僕の目の前に自由落下した



腹部のあたりが酷く血に滲んで来ている





ブーンの一撃がほんの少しだけ、振りも角度も早かったようだった



  
69: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:20:35.27 ID:dNQ7F4R/0
  

銀色の毛並みが赤く染まっていく

相当深く突き刺さったのか、血は止まりそうもないくらい溢れ出る




('A`)「なん…でだ」


僕は刀をダラリと下げドクオに歩み寄った



(;^ω^)「血だお。お前の額の血が居場所を知らせてくれたお」

('A`)「くっそ…ついてねぇな」


もう既に地面には、少し血溜まりが出来てきている




こいつは僕を殺そうとしたお…



  
70: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:21:57.10 ID:dNQ7F4R/0
  

でも…


でも・・・・・




このままほっておくと死んじゃうお!


(;^ω^)「病院はどこだお!?すぐ連れてってやるから死ぬなお」



ドクオの手を持ち上げ肩に引っ掛ける

重いお… 持ち上げるのは無理だお




(;^ω^)「ひきずるけどいいお?」

('A`)「なんだお前… 変な奴d…な」



  
71: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:24:04.34 ID:dNQ7F4R/0
  

ゆっくりとだけどドクオの体が動く、動かせないわけじゃないんならなんとかなるな



('A`)「………」

どうやら意識を失ったらしい、その瞬間ドクオの体がよりいっそう重くなる




(;^ω^)「おっおっおっー!!潰される!潰れるお!!」



190pはあろう巨漢のドクオに寄りかかられた状態では動けない…



(;^ω^)「今襲われたら、ひとたまりもないお」



  
72: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:27:26.53 ID:dNQ7F4R/0
  

(;^ω^)「お・・もい・・・」

じたばたと手足を動かしてみるが、だめだ。動けないお



そこへ意識を取り戻した金狼が近寄ってきた

(;^ω^)「さ・・最悪だお」



刀を手に取ろうとするが…無い


無いお



よく見ると腰にチェーン化してぶら下がっている


(;^ω^)「これの使い方も全然わからんお・・・ 剣になるんだお!剣になれってお!!」




握ったり振ったりしてみるが、何の変化も無い



  
73: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:28:41.07 ID:dNQ7F4R/0
  


ミ゚д゚彡「グゥゥゥゥゥ」


(#^ω^)「ちょ・・今はお前らの相手してる暇は無いんだお!!」


ミ゚ω゚彡「ううぅぅぅぅぅ」





今襲われたら、ひとたまりもないお…



すると一匹の狼がドクオと地面の隙間に体を滑らせた





ミ゚ω゚彡「くぅーん」



  
76: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:31:22.97 ID:dNQ7F4R/0
  


(;^ω^)「ご主人を・・・助けたいんだお?」

呼応したかのようにもう一匹もドクオを動かそうと力を込める




ミ゚д゚彡「ガウウウウウゥゥゥゥゥ!」


狼の表情からは、先程のような険しさはもう無い




(#`ω´)「僕も・・・頑張るおおおお!!」


そのおかげで、ようやくドクオの重みから開放された



  
77: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:32:46.09 ID:dNQ7F4R/0
  

開放はされた、がドクオの血は一向に止まる気配も無くドクドクと溢れ出ている


(;^ω^)「これはやばいお・・・」



擦り傷や、虫刺されなら対処法は分かるけど刺し傷となると…



ミ゚д゚彡「ウウウウゥゥゥ」

金狼が促すように僕に吠え出した


必死で何かを訴えかけようとしているようだ




( ^ω^)「案内してくれるのかお?」

ミ゚ω゚彡「きゅーん」



  
78: 雪ザク ◆ytYUKiZacc :2006/09/25(月) 23:33:36.97 ID:dNQ7F4R/0
  

僕はこの二頭について行く事にしたんだ


真っ暗で、誰も知り合いがいなくて、不安だし僕自身も傷だらけだったけど





それでも前に進もうと思ったんだ







ツンにまた会う為に



第四章 「暗闇の道標」 完



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