('A`)ドクオは棺桶売りのようです
- 3: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:27:01.40 ID:RggoP1rU0
- ⊂('A`⊂⌒`つ
そりゃあ小柄な奴がデカブツを倒す物語の方が燃えますよ。
エリート弁護士が法律を武器にバッタバッタやる話よりも、
田舎から来た中卒検事が活躍する話の方が面白いですよ。
名門野球部の天才主人公が周りの実力者を引き攣れて他校を試合でレイプするよりは
弱小野球部が一つになって、名門を倒す方が痛快ですとも。ええ。
だけどもだけど、あくまでそれは架空、ノンフィクションだからあり得る話で、
現実じゃあ中卒は中卒だし弱小は弱小だし、小柄な奴はデカブツになんか勝てやしない。
「そんな事ねーよ、中卒だけど今は大企業の社長だぜ」
「そんな事ねーよ、弱小だけど甲子園行ったぜ」
「そんな事ねーよ、チビだけどガキ大将の巨体を一本背負いしたぜ」
「そんな事ねーよ、短小包茎だけど童貞捨てたぜ! 風俗でな!」
広い世界、例外はいくらでも転がっている。
努力と時の運で道は切り開ける。
とは言っても、そんな都合の良い奴ばかりじゃねーだろ。
一部の例外が大きく取り上げられるから、高校中退でも億万長者だイヤッホーイ。
なんて夢見ながら求人情報誌に目を通している脳内花畑な若者が増えるんだ。
現実を見ろ現実を。
ハローワークにやってきたは良いが、ウロウロするだけで、
帰りに暑いからポカリ買って、飲みながら「明日は本気出す」なんて夕陽に誓って……
涙が出てくるじゃないか。
- 5: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:29:12.50 ID:RggoP1rU0
- 大分話は逸れたが、要約すると雑魚が大きな夢を見るなという事だ。
弱者は強者に基本勝てないように出来ているんだ。自然の理なのだ。
弱き者が巨大な壁に挑むというのは、運命に喧嘩を売っているようなものである。
一年経っても色あせない、このフレーズ。素敵。
強大な力の前には、俺達凡人の力は無力。
よって今俺は寝ている。
バイトの時間なのに、爆睡しているのだ。
それは何故か? 台風が訪れたからだ。
へし折れる大木。砕ける電柱柱。飛ぶ子供。傘。なんか色々。
まるで世界の終焉のような景色だ。
こんな日にバイトなんか行けるか! 俺は自分の部屋で寝る!
そう結論付けて、俺はぬくぬくと鼻ちょうちんを膨らませている訳である。
夢はいいなあ。
しがないコンビニ店員兼棺桶売りアシスタントの俺でさえ、全てが許されるのだ。
今俺は長澤まさみと沢尻エリカと綾瀬はるかと相武紗季と新垣結衣と高田純次と
『♪ジャランチャーン ジャランチャーン ジャラジャラジャラッチャ――ン』
夏帆と井上真央と堀北真希と宮崎あおいと滝川クリステルに蝋燭を垂らさせているのだ。
『溢れだすエナジー いかれるAnythings』
熱いよぅ熱いよぅ、ビンビンだよぅ。
『絶望の中で 不屈の闘志が光へ導くー(ウォウウウォウ)』
('A`)「あちゅいよぅ……あちゅいよぅ……」
携帯電話『Fighted to THE WORLD!! 光る勇気を呼び起こせー』
- 6: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:33:15.89 ID:RggoP1rU0
- ('A`)『……』
『Fighted to THE WORLD!! 待ち受ける 悪魔の指先ー』
安眠を妨害する、この最高に狂ったメロディーは間違いなく
俺が設定した着うた「Fighted to THE WORLD!!」だ。
渋々携帯電話を確認すると、店長からだった。
('A`)(そういや無断欠勤だったなぁ……)
『突き破れ 拳でー(wow!) ワールド エナジ−−! And you are fighted!』
('A`)(シカトでおk)
窓の外に広がる地獄絵図。
こんなものを見せられて、のこのこ外出なんて出来るものか。
ぼくにはとてもできない。
何が悲しくて暴風雨に戦いを挑まなければならないんだ。
皮の盾しか装備していない俺に(しかも呪われて外れない)勝ち目なんぞ万に一つもない。
一歩足を踏み出した瞬間、吹き飛び、コンクリの壁に大の字に叩きつけられて終いだ。
その後壁に埋め込まれ身動きの取れない俺に美女が数人で乳首を攻めてくれるなら
考えてやっても良いが、今道を歩いているのはレインコートのおっさんだけである。
('A`)「大体さ……最近の店長も気持ち悪いんだよ」
俺をじっと見つめたり、身体をペタペタ触ってきたり、突然キスしてきたり
気色悪いったらありゃしない。
それで / ,' 3「私と鳳凰寺君との仲だろう?」なんて言ってくるんだ。なんかの誘いか?
- 9: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:37:53.43 ID:RggoP1rU0
- ('A`)「生命を懸けてまで行くような仕事じゃないしな。公欠だよ公欠。それに……」
枕元にあるリモコンへと手を伸ばし、スイッチを入れた。
美人だが目元鼻元整形丸出しのキャスターが無表情で原稿を読んでいる。
そして下に映ったテロップ。
『無差別轢き逃げ犯 未だ捕まらず』
『昨日今日で被害三十件以上』
『轢き逃げ王子』
('A`)「おかしな天気の時は、決まっておかしな奴も出てくるもんだ」
キャスターは続ける。
『正直何でも王子をつければ面白いと思っているマスゴミに激しく憤りを感じています。
てか不謹慎だしきもいです。スタッフみんなゲス野郎です。
私的にぶっちゃけ面白くもなんともないかとうわなにをするやめr』
『ざわ…ざわ…』
『担当は誰なんだよ』
『ざわ…ざわ…』
暫くお待ち下さいの画面になって数分後、
キャスターの立っていた場所には熊のぬいぐるみが置いてあった。
('A`)(キャスター……無茶しやがって……)
そんな訳で謎の連続轢き逃げ犯がこの辺りにいるのだ。
やはりバイトにゃ行けません。身の安全確保が優先だろう。また寝ます。おやすみ。
川 ゚ -゚)「おはよう、いい朝だな」
- 12: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:41:41.09 ID:RggoP1rU0
第
第四話
話
- 13: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:42:18.06 ID:RggoP1rU0
- いい朝だった。とてもとてもいい朝だった。
ええ、そこの巫女さんが現れるまでは。
('A`)「んとねーぼくねー、今日だけはゆっくり過ごしたいの」
川 ゚ -゚)「緊急事態だ。四の五の言わず着いて来い。
ついに奴等が動き出したんだ。“ラドン”がな……」
('A`)「ラドン……?」
川 ゚ -゚)「以前我々と手合わせした、ボディビルダーやジェントルメンなど
目的不明だが敵である事は間違いない謎の組織の仮称だ」
鮮明に記憶している、あの戦い。
頭こそ狂っている男達だったが、並外れた超能力で俺やクーは追い詰められた。
('A`)「しかし仮称と言うと……?
お前が勝手にそう呼んでいるだけ?」
川 ゚ -゚)「私ではなく、棺桶売りのボス、オサムさんの決定だ。
語呂も良く覚えやすい、ただじっとしている影の薄い霊じゃなく、
なんかすっごく迷惑なのを皮肉ってそう名付けたらしい」
('A`)「ふーん……まぁどうでもいいけど」
どうでもいいけど。
('A`)「寝せてくれ」
川 ゚ -゚)「そうはいくか」
- 16: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:46:44.99 ID:RggoP1rU0
- 霊の状態になれば、現世に吹き荒れる雨風の影響は受け付けない。
じゃあバイトいけるじゃん、って思うけど、店に着いた時全然濡れてないんじゃ不自然極まりないし、消える→現れる→消えるの動作を誰か一人にでも目撃されると困るんだ。
あくまで、俺は、普通の人間として、この世を、謳歌したい。
川 ゚ -゚)「ならば黙って従え。
今回の件は、お前が普通の人間として生きる世界の問題なんだ」
('A`)「どういうこった……?」
川 ゚ -゚)「後で説明してやる。とにかく今は時間が惜しい」
『♪ジャランチャーン ジャランチャーン ジャラジャラジャラッチャ――ン』
('A`)「……わーったよ」
悪いね、店長。
でもクビは勘弁ね。
(#'A`)「溢れだすエナジー いかれるAnythings!!」
幽霊状態になり、ドアをすり抜け、駆けた。
一秒後、階段からすっ転んで捻挫した。エナジーの溢れすぎに注意。
- 17: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:49:56.17 ID:RggoP1rU0
- 住宅街を俺達は息を切らし走っていた。
違う、俺だけが息を切らして走っていた。
本当に体力が落ちた。クーとスタミナの差を見せ付けられて、軽く鬱になる。
これでも中学時代の校内陸上大会では、3000メートルを見事完走。
記録は自己ベストの2時間1分10秒を叩き出した。
ゴールした瞬間の事は今でも忘れない。周りには誰も居なくて、カラスだけが鳴いていた。
('A`)「まさか全員下校していたとはなぁ……
きっと俺の走りに心打たれて、涙を隠す為に去っていったんだろうな……」
川 ゚ -゚)「ドクオ、お前……色んな意味で幸せ者だな」
('A`)「ああ、学校ぐるみで愛されてたんだぜ…………?」
交差点に差し掛かった。
電柱に貼られた胡散臭い家庭教師のチラシが飛んでくる。
宙を舞った紙は雨の弾丸により、見るも無惨なゴミ屑と化した。
次に目に飛び込んできたのは黄色いレインコートの子供。小学一、二年だろうか。
何かを叫んでいるようだが、雨が、風が、無情にもその声を遮る。何にせよ、危険だ。
('A`)「母親は何してんだ……?」
川 ゚ -゚)「出稼ぎに行ってるかも知れんぞ」
子供は顔を涙でぐっちょんぐっちょんにしながら、誰にも届かない叫びを続ける。
何だろうか、この胸を締めつけるような気持ちは。
放っておいていいのか?
- 20: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:52:53.57 ID:RggoP1rU0
- 良いわけあるか。
('A`)「今行くぞ少年!」
電柱に身を潜め、誰も居ないのを確認。
人間に戻った瞬間、雨粒に全身を撃たれ、痛みすら流れた。
吹き荒れる風も異常な圧力を持っており、
気を抜いたら先程のチラシのように飛ばされそうだ。
そんな中で、あの子は――――
(;'A`)「大丈夫か? ここは危険だ。車も通る! 君は一体何を必死に……」
子供「ブヒヒヒ……ぼ、ぼくの犬が居なくなったんだな」
思ったより気持ち悪いタイプの子供だった。
将来が安易に予測出来る。この歳で既にキモピザだ。
だからといって放置するわけにもいかない。
(;'A`)「犬? 飼い犬か! 犬はめがっさ頭良いから勝手に戻ってくる!
それより君のが心配だ。家どっちだ? お兄ちゃんが一緒に……」
子供「ママが知らない人についてっちゃ駄目だって……」
(;'A`)b「俺ドクオ! よろしく! さぁもう知らない人じゃないぞ!」
子供「あなた前世で犬を獣姦してそうだし……」
(;'A`)「するかぁ――――――!!!」
- 22: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 00:55:59.06 ID:RggoP1rU0
- その時だ。
微かに「ワンワン」だか「アオアオ」だか犬の鳴き声が聞こえた気がした。
見ると、この暴風雨の中、三匹の犬がこちらに近づいて来たのだ。
子供「どれみ! はずき! あいこ! 心配したぞぉ!!」
感動の余り、子供は三匹に向かって駆け出した。
それが、最後だった。
通り過ぎた、2tトラック。
俺の鼻先を掠めた、その鉄の塊は、
こんな辺鄙な街角を走るには、余分にお釣りが来る速度で、去っていった。
ブレーキひとつかける事も無く。
その場に残されたのは、
もう動かない三匹の犬と、関節の曲がり方がヒトのそれじゃない子供だけだった。
目も当てられない。それは、目も当てられない惨状。
(;'A`)「う……あ……」
たまに見る。ブラクラ踏んで画面に映るような画像。
パソコン越しに見る、あんなもんとは、比べ物にならない。
誰かがふざけて、誰かがふざけて貼るようなあんな画像とは、画像とは、画像とは、
全く違う、光景が、目の前、立体、3D、で。見た。映った。脳がオートで記憶した。
身体が凍った。
- 27: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:02:58.00 ID:RggoP1rU0
- 从#゚∀从「ちくしょう!! 轢き逃げ王子!!」
迷彩服に身を包んだハインが俺達の前に現れた。
後ろには十人、同じ様に迷彩柄の男達がいる。
彼らは全員ハインの部下である棺桶売りだ。
俺の知っている顔も幾らだかいる。
もっとも、挨拶する気力すら無かったが。
現場には人だかりが出来ていた。
跳ね飛ばされた子供と犬を見て、「酷い」「可哀相」「グロい」等、
各々の感想を述べながら救急車を待っている。
俺は霊の状態に戻っていた。
何か不気味な宗教のようにも見える、そのカラフルなレインコートの集団から
三歩離れた場所で立ち尽くしていた。
川 ゚ -゚)「ドクオ」
不意に声をかけられ、俺は少しだけオーバーなリアクションを取った。
(;'A`)「な、なんだよ。ビックリしたな」
川 ゚ -゚)「あのトラックの運転手は操られているんだ。“霊側”から催眠をかけられてな」
クーの声のトーンは通常通りの落ち着いたものだ。
しかし、言葉には明らかに一つの感情が含まれている気がした。
怒り、心頭。痺れだした空気。
川 ゚ -゚)「そいつは内藤をはねたドライバーと同一人物だ」
- 29: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:07:37.41 ID:RggoP1rU0
- ('A`)「な、なんだってー!! AA(ry
内藤さんと言えば少し前に、交通事故に遭った不幸な青年。
催眠術が使えるエスパーなために、何故か変な集団(以下ラドン)に狙われていた
顔も生き様も不細工だった男だ。
川 ゚ -゚)「一応私は現場にいたからな。トラックの色とナンバーくらいは覚えている。
ここ最近のニュースである連続轢き逃げのトラックとも一致した。
大体、乗ってるんだよ……しょぼくれ顔の紳士野郎が」
クーが言うには、モナーとかいう筋肉君を援護した自転車ティッシュ紳士が
トラックに乗り合わせているんだとか。
当然一般人からその姿は見えない。よってその姿を目撃したのは、
偶然轢き逃げの現場に居合わせた下っ端棺桶売りだ。
クーは内藤さんの一件から、モナーとしょぼくれを危険分子として
似顔絵を棺桶売りの本部に提出している。
本人が言うには、絵が余りに素晴らしい出来だったので、
嫉妬した似顔絵専門のプロがビリビリに破き、特徴を聞いて再度プロが描き直したらしい。
('A`)「相当下手糞だったんだろ……」
川 ゚ -゚)「そ、そんな」
プロの腕前はそりゃあスゲェ出来栄えで、一気にモナー&しょぼくれの顔は知れ渡った。
目撃者の下っ端も「うはwwww見つけたwwww手柄ktkr」で
ついにこの事件にラドンが関わっていると結論付けたのだ。
そして、今日。テキトーに結成された棺桶売りの討伐隊が降り立ってきたのだ。
- 32: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:11:24.82 ID:RggoP1rU0
- 川 ゚ -゚)「その件に関して、昨日お前に話すのを忘れていた」
ああこいつ、学校で配られたプリント類を親に出さないタイプだ。
授業参観があるのを同級生の親御から聞かされた母に「そういうのはちゃんと見せて」と
叱責される奴だよもう。全く、それ俺もだよ。カバンの中は紙だらけだよ。んあぁ。
('A`)「しかし、誰がどうやってトラックを止めるんだ?」
从 ゚∀从「手っ取り早いのはしょぼくれをぶっ飛ばす事だな。
催眠にも様々な種類があるが、同乗しているという事はしょぼくれの
術は効力の持続時間が短いのかも知れん。
だから定期的に術をかける必要性がある。もしくは慣らしている段階。
しょぼくれがあぼーんしたら催眠は自然に解ける。だがあくまで推測だぞ?」
川 ゚ -゚)「推測と言うのは確実では無いという事。
確実なのは強引にトラックを停止させる事他ならない。
しかしそれが可能なのは……現実に生きる者だけだ」
('A`)「…………いたた……持病の毛細血管爆裂症候群が……」
川 ゚ -゚)「それは大変だ。丁度今救急車が来たぞ。
乗って運転手どかしてお前がハンドル握ってトラックに衝突すれば
このくたびれた世界に愛が芽生えるかもしれない」
('A`)「そんな堕落した愛いらない」
从 ゚∀从「まぁお前はファイナルウェポンだ。最終兵器無職だ。
棺桶売りの面々はお前が考えている程ヤワな奴等じゃないんだよ」
ならいいけど。ならいいけど、最終兵器無職ってなにさ。
- 35: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:14:11.63 ID:RggoP1rU0
- 【+ 】
普通の一日だった。
自分も普通のトラックの運ちゃんである筈だった。
このまま死ぬまで普通の日々を送ると思っていた。
毎日通る道で普段通りに歩く綺麗な姉ちゃんを見て、
牛丼を食って、妄想して、立ち寄ったコンビニで小便してプリン買って……
店長らしき人は大分歳食っていそうだったが、こちらを見てニコニコしていてた。
良い感じの店だなと思った瞬間だったか、急に鈴の音が聞こえたのは。
それからの事はよく覚えていない。
正確には、記憶にある事はあるのだが、上手く言葉に出来ない。
ただ、青年を一人はねたのは覚えている。そのまま逃走したのも。
頭が痛くなり、草陰で吐いた。
怖くなって震えて泣いて死のうと思って、でも死ぬのは嫌。嫌過ぎるので自首を考えて。
山道で一夜明けて。
プリン食って、その辺で用足して、交番へ向かおうと思ったら。
『チリン』『チリン』
鈴の音が、鈴の音が。
(´・ω・`)「聞こえたんだよNE!」
( ゚д゚ )
そしたらまた人をはねていた。
- 38: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:18:52.74 ID:RggoP1rU0
- ( ゚д゚ )「うああああああああああああああああああああああ」
叫んだ。
叫びながら、アクセルを踏む。
同時に様々なものを踏み潰した。他人の人生とか。愛とか希望とか、その辺。
吹き飛んでいく人々は、案外穏やかな顔をしている。
日常生活で作れる、至極普通の表情だ。
はねられた事実を認識出来ていないのだろうか。
交通事故。
その四文字熟語の所為で、年に何人死んでいる事か。
現代人のメジャーな死因だというのに、
「今日はねられて死ぬかも」なんて思いながら生きる人間はいない。
人は油断している。
「明日邪鬼眼が目覚めたらどうなるだろう……」
「プーチンと法王戦ったらやばいだろ……」
「幼女が落ちてたらどうしよう……」
日常生活において完全に杞憂。
全く持っていらん心配をしている人間がはね飛ばされていく。
どこかで、自分は事故には遭わないなんて、錯覚していないか。
お前は一秒後死んだっておかしくないんだ。
( ゚д゚ )「俺……今までに、何人轢いてきたんだ……?」
あの鈴の音を聞いてから、人を轢き殺さないと落ち着かない身体になった。
- 39: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:20:14.71 ID:RggoP1rU0
- はねて、はねて、ひたすら人をはねた。
道路に転がる、ランドセル、帽子、首輪、杖、花束、同人誌。
はねていないと気が休まない。楽になりたい。しかし、気付けばまた人が一人、飛ぶ。
稀に、人格が正常に戻りつつあると感じる時も来る。
だが直ぐに聞こえてくるのだ。
どこからか、『チリン』『チリン』と、不気味な音色が鼓膜を、いや、脳を揺さぶる。
もうどうにもならないのだ。
見えない力に逆らう事は出来ない。
それよりは、従おう。その方が何倍も気楽だ。
( ゚д゚ )「だから俺は轢き続ける」
無表情で一言を放った、元運送屋の小土ミンナ。
元とはあるが、人を天国へ運送しているので、バリバリの現役かもしれない。
(´・ω・`)「もう君は半分以上操り人形と化している……
術の“慣らし”も今日で終わりかもね。ゾクゾクするなぁ、
誰の意思でもなく、人をはね続ける自動殺人機がもうじき完成するんだ」
ラドン(仮称)随一の催眠術師であるショボンは、隣に座って不敵な笑みを浮かべている。
服装は紺のスーツ。紳士である。
そして、右手の中指から伸びる白い線の真下には、金色に光る鈴。
- 41: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:21:43.26 ID:RggoP1rU0
- (´・ω・`)「しかし……相変わらず雨風で視界が悪いな。
まぁ大した問題では無いがな。雨が降ろうが矢が降ろうが……」
その時だったか、頭上に『ドン』と何かが落ちる音。
それは霊であるショボンにしか聞こえない音。
(´・ω・`)「我々に楯突く邪魔が降ろうが」
垂れた眉が僅かに動く。
(´・ω・`)「何の問題も無いんだよ!」
- 43: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:24:27.21 ID:RggoP1rU0
- (´・ω・`)「モナー!」
( ´∀`)「合点!」
トラック、貨物の上。
瞬間移動を駆使して現れた隻腕のボディビルダー、モナー。
対峙するのは金髪のアロハシャツ、棺桶売りのギコ。
( ,,゚Д゚)「似顔絵通りにキモいな」
高速で過ぎ去っていく景色。
ギコは再度前方を見る。( ´∀`)。
不細工な顔だ。しかも無駄に筋肉だ。
( ,,゚Д゚)「一撃で終わらせてやる」
(#´∀`)「上等ゥ!!」
――――――――――――――――――――
(´・ω・`)(頼むっ、5レスは稼いでくれ!)
――――――――――――――――――――
( ,,゚Д゚)「デュグシ!」
(#)´∀`)「ぐもっちゅ!」
懐かしい断末魔と共に、モナーはトラックから転がり落ちた。
- 49: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:28:08.20 ID:RggoP1rU0
- (´・ω・`)「流石にこれ以上は可哀相なので、ここでネタばらし。
実はモナーという男、全く本気を出してなかったのである。
これにはターゲットも苦笑い」
ショボンがミラーを確認すると、後方で耳から血を噴出して倒れているモナーがいた。
何故か親指は立てている。これは「後はまかせた」の合図なのだろうか。
それはすなわち、本気で彼はリタイアなのか。
(´゚ω゚`)「えぇー!! ドッキリじゃなくて本気でもう負けたのかよ!!」
( ,,゚Д゚)「オラァ! 出て来いや、もう一人のしょぼくれぇ!!
それとも何だ!? 俺が怖いか!? じゃあ手ぇついて俺の靴舐めて謝れ!」
(´・ω・`)「仕方あるまい……ミンナ君は暫く音を聞かせなくても大丈夫だ。
こうなったら、私が直々に……」
( ,,゚Д゚)「どーげざ! どーげざ!」
(#´・ω・`)「どこの深夜ドラマだ畜生ッ……!!
見ていろ、今に私のファンタスティックエレメントストレッチパワーが……」
……
……
罵詈雑言が止んだ。
(´・ω・`)「……なんだ?」
- 52: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:31:20.40 ID:RggoP1rU0
- ( ,,゚Д゚)「こ……この野郎……」
押し潰される。筋肉に押し潰される。
なめていた。不覚だった。湧き上がる殺意と屈辱。
( ´∀`)「クソワラタwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
まさかまさか、マジでパンチ一発で倒したと思ってたのかい???
僕はね! ボディビルダーなんだ! 甘く見ちゃ駄目だよっ!」
ギコの頭の上には、すぐモナーの顔が。
そのほとばしる大胸筋で、ギコを押し潰しているのだ。
冗談じゃなく「僕の胸でお泣き」と言える。
(;´∀`)「ふふ……ふぅふぅ……」
(;゚Д゚)「うあああああああああああああああああ!!
なんだこいつ汗やべぇえええええええぇぇええ!!
グチョグチョして気持ち悪いいいいいいいいいいいい!!」
(;´∀`)「イケメン同士の汗臭い絡みなんて、興奮しないかい?」
(;゚Д゚)「うぎゃああああああああああ尻に何か当たってるうううううううううう!!」
(;´∀`)「勘違いしないでくれ、僕はホモじゃない。
ただこういう、人を筋肉で押し潰しているという感覚、シチュエーションに
息を荒げているに過ぎないんだからね……」
立派な変態である。
( ,,゚Д゚)「クソが……いい加減に……」
- 56: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:36:42.35 ID:RggoP1rU0
- (;´∀`)「ッ!!」
モナーは気付いてしまった。
自分の右腕が無くなっている事に。
敵は一人であって、一人じゃない事に。
(;´∀`)「ぎゃああああああああああああああ!!!」
両腕が消えた。
転がり回り、血を、涎を、涙を、撒き散らす。
そんなモナーを嘲笑するかのような目で見ているのは、ギコでは無く――――
【*゚ー゚】
( ,,゚Д゚)「傀儡式棺桶、C‐ch だ。
ただしチャチな糸や紐で操っているんじゃねぇ。
俺のとてもすごいちからであるポルターガイストで操作している」
黄金のボディ。身体の中心はそのまま棺桶として使用出来る上、
右腕には鎌、左腕にはハンマー。頭の部分には可愛らしい少女の顔が。
予算が無かったのか、足は割り箸である。
( ,,゚Д゚)「可愛いだろう?
これのモチーフは、この先のケーキ屋『MUSYOKU』で働く
しぃちゃんのお顔だ。ああ愛しいよ……舐めまわしたいよ……」
立派な変態である。
( ´∀`)「クソが……いい加減に……」
- 58: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:38:36.74 ID:RggoP1rU0
- ( ´∀`)「しやがりゃあああああああああ!!!」
回転しながらモナーが飛んできた。
俗に言うロケットずつきであるが、あっさりギコのカウンターパンチの餌食となった。
またも血の花を宙で作りながら、転がっていくモナー。
貨物の先端。絶体絶命。
腕は無い、が。器用に立ち上がり、モナーは息を整えた。
【*゚ー(;´∀`)「ゼェッ……ハァ……」
【*゚ー(;´∀`)
ギャース
- 63: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:40:54.76 ID:RggoP1rU0
- 背中に感じる気配は、人でも霊でも無く、棺桶。死を運ぶ棺桶。
それだけが、ある。
(;´∀`)「うぎょえええええええええええええええ!!!」
( ,,゚Д゚)「終わりだ!」
ギコが右腕を振るった。
別にそんな事しなくても、意思だけである程度動かせるのにわざわざ格好良く
サインを出したあたり、まだまだ厨が抜け切れていないんじゃない? そうじゃない?
一刀両断。
C‐ch の鎌には血が垂れ、斜め上にはモナーの上半身がすっ飛んでいる。
それは、重力のままに転がり落ち、やがて景色に溶け込むように、見えなくなった。
( ,,゚Д゚)「ここまでやりゃ、流石にもっかい瞬間移動で奇襲なんてのはあり得ねぇだろ」
- 65: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:44:00.22 ID:RggoP1rU0
- (´・ω・`)「ジャスト5レス、モナーの頭に狂いあり」
ギコの背後に立つ男、ショボン。
表情は未だ、涼しい。
時折動く眉毛は、怒りか、それとも他の感情か。
( ,,゚Д゚)「次はテメェだよっ!!」
そう叫ぶと同時に、体勢を低く構えた。
瞬間、ショボンの視界に映ったものは、遠くで笑顔を光らせ続けるC‐ch。
その可愛らしく、小さな口からは、なにやら銃口のようなものが見える。
黒光りを放つそれの正体は、容易に予測がついた。
( ,,゚Д゚)「喰らえ!」
(´・ω・`)「クッ!」
シャララララアァァン
ディシュディシュ(うろ覚え)
(;´・ω・`)「ぐおおおおっ! なんでジーノのスターガン(うろ覚え)なんだよ!!」
( ,,゚Д゚)「チャンス!」
隙を見たギコは、すかさずローキックをお見舞いした。
( ,,゚Д゚)「大事なのは軸足だ!」
(;´・ω・`)「偉大! K‐1ダイナマイトは偉大すぎるうぅぅ!!」
- 68: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:47:53.56 ID:RggoP1rU0
- 膝をつき、顔を俯かせるショボン。
完全に冥土の土産を聞かされる段階だ。
( ,,゚Д゚)「だがそんなものは無い」
(´ ω `)「甘いんだよ……何もかも、そもそも僕と勝負する事から間違っているんだよ。
君は、ラドンの幹部である僕を見縊り過ぎていないかい?」
( ,,゚Д゚)「そんな事よりも、組織名が本当にラドンだった事に驚きを隠せない」
(´・ω・`)「そうそう、以前このトラックで殺した内藤とかいう餓鬼は
視覚から入る催眠術だったなぁ。懐かしいなぁ。
あの時は、まだミンナ君には利用価値は無いと思ってたからなぁ……」
「クク……」とショボンは笑い出す。
関係ないが作者は今でも七の段に不安を覚える。
突き出された指、左右に揺れる金色の鈴。
(´・ω・`)「視覚から入る催眠は、一発で対象をディープに落とす事が出来る。
目で物を見るという事はそれほどまでに大きいものなんだ。
私が使う聴覚から入る催眠は違う。効果の持続時間が短く、浅い。
だが、最大の利点は……」
鈴を耳元に持っていくと、ブツブツと何かを呟きだした。
(´・ω・`)「私は室伏だ……私は室伏だ……」
自分への催眠、これがショボンの真骨頂である。
C‐chの割り箸の足を掴み、ハンマー投げの要領で回転し始めた。
- 71: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:52:09.02 ID:RggoP1rU0
- ( ,,゚Д゚)「く……!!」
回転が迫る、というのにギコは動かない。回避する素振りすら見せない。
( ,,゚Д゚)「どういう事だ……身体が……身体が重い!!」
腕が、脚が、鉛のように重い。
( ,,゚Д゚)「クソ……どうなってんだ!!?
動け、動きやがれ! チンタラしてんじゃねぇぞ!!」
敵が目前まで来ているのに、
何故、何故。
答えは一つ。
――――――催眠。
ヴュインヴュイン『チリン』『チリン』
≡≡≡≡≡≡
≡≡´・ω・`≡≡「君は曙だ……曙だ……」
≡≡≡≡≡≡
( ,,゚Д゚)「なんで300年の歴史で横綱が68人しかいないのか教えてあげますよ」
- 77: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 01:57:29.24 ID:RggoP1rU0
- 突然自分の口から出てきた台詞に戸惑う。
もう完全に飲み込まれている。鈴の音と紳士の催眠ショーに。
≡≡≡≡≡≡
≡≡´・ω・`≡≡「ケーキ屋『MUSYOKU』だったかな?
≡≡≡≡≡≡ 多少遠回りになるが、その店にトラックを衝突させてみるのも面白い」
何を言っているんだ。
ふざけるな。
最早言葉を出すのも忘れてギコは怒る。怒り狂う。
(´・ω・`)「ご苦労様でした」
投げ飛ばされる、ダッチワイfではなく、いえいえ、そういう機能もありますが、
いかんせん表現が適切ではありませんでした。
投げ飛ばされる、棺桶C‐ch。
巻き添えを食らったギコはC‐chに圧し掛かられる状態で地面に落ちた。
棺桶売りとしてのプライドも、地に落ちた。
そんな思いだった。
- 81: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 02:04:25.54 ID:RggoP1rU0
- 全部、自分のせいだ。
いらない事まで喋りすぎた。
言葉の一つ一つが、奴等にとっては貴重な情報であり、同時に武器となるのだ。
この件とは全くもって関係の無い彼女が死ぬ。
そうじゃなくても、罪の無い人々がもう、何人はね飛ばされている事か。
( ,,-Д゚)「絶対……止めないと……」
希望が無い訳じゃない。
スーパールーキーのドクオに、ボスであるオサム。
ミニスカのクーに、なんか多分すごいハイン。
こちら側はこんなにも充実している。
弱っちいのは俺だけだ。
薄れゆく意識の中、彼はそんな事ばかりを考えていた。
だが、雑魚なら雑魚なりに、抗える手段はあるのだ。
カッコ良さなんて誰も求めてはいない。
醜くても、惨めでも、自分に出来る事は、
( ,,-Д゚)「やるしかないんだ」
やらなければならないんだ。
以前手足は重い、しかし術が切れる時間など待っている暇は無い。
- 83: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 02:06:42.07 ID:RggoP1rU0
- C‐chの背中の部分には秘密が隠されている。
それは緊急時のサイン。
薄い蓋を開くと、五十音が並べられたキーボードが姿を現した。
希望を胸に、必死で文字を打っていく。
( ,,-Д゚)「ボス助けて……ボスタスケテ……」
一文字、一文字、震える手でキーを押す。
そして、『Enter』のキーを叩いた。
C‐chの頭から発射された球は、白い煙になって空中で弾けた。
それは文字へと形成されていく。
伝われ、この思い。
『ボスケテ』
( ,,-Д゚)「予想はしていたさ」
- 89: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 02:11:53.30 ID:RggoP1rU0
- そこはどこなのか、ひとつの世界と呼んでいい場所なのだろうか。
光があり、闇があり、地面があり、天井がある。
椅子があり、座る者がいる。
【+ 】ゞ゚)
彼こそ、棺桶売りの頂点である“オサム”という男だ。
【+ 】ゞ゚)「現世からの信号か」
『ボスケテ』
【+ 】ゞ゚)「ボスケテ……ボス 助けて……」
『ボス、決して走らず、急いで歩いてきて、そして早く僕らを、助けて』
【+ 】ゞ゚)「把握した。では久々に降りようか」
徒歩で。
- 91: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 02:15:32.98 ID:RggoP1rU0
- ⊂('A`⊂⌒`つ
空には四文字が浮いていた。
勿論、普通に生きている一般人には見えない。霊だけに通用するサイン。
意図はよく分からなかったが、とにかくあの真下で何らかの問題が生じたのだろう。
川 ゚ -゚)「ペロ、あれはギコの信号!」
从 ゚∀从「信号があったって事は生きているってこった……良かった……」
川 ゚ -゚)「死ぬ間際じゃね?」
('A`)「空気嫁」
とにかく、だ。
トラックを俺一人で命と引き換えに止めようだなんて、これっぽっちも思ってはいない。
しかし、だからといって放置していい事にはならない。
なんやかんやで首を突っ込むハメになる。
もう慣れた事だけども。
('A`)「ライフワークみたいなもんだしな」
川 ゚ -゚)「私はお前のそういう所嫌いじゃない……のか?」
('A`)「知るか! 聞くな! ……そうと決まったらだ」
- 95: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 02:21:03.49 ID:RggoP1rU0
- 『パラリラパラリラ〜』
『パラリラパラリラ〜』
/^o^\「うははwwwwwww台風たのちーwwwwwwwwwwww
街角でのツーリングは最高だぜwwwwwwwwwwwwwww」
『パラリラパラリラ〜』
川 ゚ -゚)「何年前の人だよ」
どこかで見覚えのある男。
というか、かなり因縁のあるような男のような、まぁどうでもいい。
この暴風雨の中、たった一人で暴走している。ある意味勇者だ。
だが、近隣住民にとっちゃ、迷惑以外の何者でもない。
バイクの騒音とガラガラの声が、見事な不協和音を響かせている。
('A`)「うぜ」
真横を通り過ぎる瞬間を見計らい、俺は男を蹴り飛ばした。
- 98: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 02:24:38.98 ID:RggoP1rU0
- /^o^\「あべしっ」
男は向かいの家の玄関へ、派手に突っ込んだ。
女性の叫び声も聞こえる。
こういう所から始まる恋愛だってあるはずだ。
それにバイクの男、
こんな台風の時期+連続轢き逃げ犯のいる道路で走っているなんて、
死亡フラグもいいところだ。
俺が救ってやったと言っても過言じゃあるまい。
('A`)「バイク、借りるぜ」
川 ゚ -゚)「キャー、ドクオかっくいいー(棒読み)」
('A`)「まぁな。ところでクーよ……」
- 100: ◆R38CE/IWYU :2007/09/12(水) 02:30:20.17 ID:RggoP1rU0
('A`)「これ、どう動かすの?」
あ、あと現場検証に来てた警察の人とかに見つかって俺は逮捕されました。
つづけ
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