( ^Д^)と(*゚∀゚)は魔界のならず者のようです

575: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 14:49 9JWY4BeIO

第十五話 『滅びの村へ』


見晴らしのいい丘がある。
時間帯は夜で、しかし町や都会の光などはなく
星空に浮かぶ月の光だけが明かりとなっている静かな場所。

そこに異変が起こる。
周りの空間が突如歪んだかと思うと、やがて宙に一筋の光が縦に走り、切れ目へと変わった。
さらに、そこから幾つかの影が飛び出してくるのである。

( ^Д^)「やってきました現世!」
(#゚;;-゚)「…とりあえずはよし、かな」

静けさが支配している中に現れたのはタカラとでぃ。



576: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 14:52 9JWY4BeIO

もう一つの異変は、暗い辺りにさえ浮かび上がるような黒い光。
こちらは空間に切れ目を発生させることなく、しかし闇に紛れてさっと現れた。

(*゚A゚)「こんにちは、緑溢れる自然の世界!」
( ^Д^)「おっ、良いなその言い回し」
(#゚;;-゚)「…こらこら。しかしながら悪くない」

魔界から空間移動術を用いて現世を訪れたタカラ、でぃ、のー。
だが今回は、本来ならばいないはずの『+α』の存在があった。

从 ゚∀从「…なあ、何で俺達まで連れてきてるの?」
(; ´∀`)「僕達がこっちに来ちゃったら、普通にまずいモナよ?」



577: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 14:54 9JWY4BeIO

話は数時間程前に遡る。
そろそろ真剣に事を考えなくてはということで、何時もならば憩いの場となっている魔界の地下は少人数による会議室になりつつあった。

( ^Д^)「さて、話していいかな」
( ´∀`)(*゚A゚)(#゚;;-゚)「どうぞ」

いい加減侵略者達との戦いに終止符を打つため、こちらから侵略者側に戦いを仕掛けることになったことをタカラは少し前に貞子に話していた。
それには侵略者達が潜む世界が解らないこと、そしてこちらの戦力不足という問題が立ちはだかり
それらを妙な成り行きのために自分達で解消しなくてはならなくなったことも伝えた結果、これから自分達がどう動くべきかを貞子が指示してくれることになった。

つまりでぃが考えていた突破口とは、何かと頼りになる貞子に依存しきるということだったのである。
とことんまで格好の悪いやり方だが、これが一番確実なのだ。



578: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 14:57 9JWY4BeIO

そして、タカラはモナーやのー達がいる中で同じことを話していた。

つーと高岡は何故か家の奥に行ったきり戻ってきていなかったが、その方が話が早く進むということで皆は放置を決め込んだ。

( ^Д^)「…であるが故に、俺達は今から貞子ちゃんが指示した通りに事を進める、俺からは以上」
( ´∀`)(*゚A゚)「ちょww」

じゃ、後は頼むと言ってタカラは貞子にバトンタッチ。
完全に流される者の典型である。

川д川「…えっと、とりあえず方針は解りましたか?」
(*゚A゚)「敵の所在特定と戦力強化…でええのかな?
    自分は馬鹿やからよう解らんのですわ」
川д川「…そこまで解ってれば十分ですよ」
( ´∀`)「それより、今後の僕達の行動の詳細をkwsk」

モナーの言葉に、全員が貞子の方を向く。

川д川「…大丈夫、ちゃんと決めてありますよ」



579: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 15:01 9JWY4BeIO

ですが、と彼女は付け加え

川д川「少々…というか、場合によってはかなりの危険を伴うかもしれません」
( ^Д^)「…へえ、そうかい」

シラネーヨとの戦闘とは打って変わり、怖いものなどないといった様子のタカラ。
因みにモナーはこの時点で既に半分逃げ腰になっている。

川д川「勿論場合によっては何の危険もない訳ですが……貴方がたが今訪れるべき地は、現世です」
( ^Д^)「うおいっ…現世ktkr!」

何故か喜ぶタカラ、それを半目で睨むでぃ。
今回も遊び心満載のようである。



580: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 15:04 9JWY4BeIO

川д川「文明の恩恵を殆ど受けぬ神秘の村。
    伝説を語り継ぐその村に、強力な力を秘めた獣の子が眠っているのが私には見えます」
(#゚;;-゚)「…稀に見せる予言ですか」
川д川「そんなところですね」
( ^Д^)「獣か…よく解んねえけど、要は俺達がそいつを連れてくれば良いんだな?」

対し、貞子は頷いて返す。
そして

川д川「くどいようですが、行く際は用心して下さい。何が起きるか解りませんので」
( ^Д^)「予言なのかどうなのか解んねえな…よーく解ったからもう言わなくていいぞ」

その時。

( ´∀`)「あーそれにしても、良かったモナ」

不意に、モナーが安堵の溜息と共に言葉を吐いたのである。
その理由とは

( ´∀`)「だって行き先が現世なら僕は行かなくてもいい…というかこの世界の決まりで行けないモナ。
       だから僕は留守b――」
( ^Д^)「いや、今回はお前も来い。それから今居ねえけどハインもな」
(; ´∀`)「…え?」



581: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 15:09 9JWY4BeIO

――そして今に至る。

現世に存在する目的の村のはずれの高台には、本来いてはならないモナーと高岡の姿が。

从 ゚∀从「…大丈夫なのか? 俺達がこっちに来ても」
( ^Д^)「今回はあまり時間がなさげだから、厄介事を起こしそうなあの馬鹿を置いてきた訳だ。
     それで空いた戦力を埋めるためにお前等を連れてきてる訳だが」
(; ´∀`)「そうは言うけど…今って戦うようなこととかあるモナ?」
( ^Д^)「知らね」

要は念のためである。
因みにつーはというと、高岡との会話の後に寝床(=棺桶)に潜って眠り始めたらしい。
それを好都合と見たタカラ達は、その隙に彼女を置いて魔界を抜けてきたということだ。

( ^Д^)「大丈夫大丈夫、魔王さんか軍師さんか隊長にバレなきゃ問題ねえから」

それを聞いた高岡は

从 ゚∀从「ならいっか」
(; ´∀`)「ちょ、それで良いモナ?」
从 ゚∀从「ま、今のこっちの世界がどうなってるのかも見てえし」
( ´∀`)「…んじゃ僕も気にしないモナ。もうどうにでもなーれモナ!」

こうしてモナーはアウトローの道を一歩踏みしめたのである。



582: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 15:11 9JWY4BeIO

さて、彼等はとりあえず高台から辺りを見回してみる。
遠くの山や美しい月が見えるほど、それは壮大な眺めであった。

从 ゚∀从「綺麗な夜空だな…久々に拝んだぜ」
( ^Д^)「そうそう、現世ってのはこういうのどかな所もあるんだよな」
(*゚A゚)「魔界にもこんな場所があるとええのになぁ…」

思い思いの感想を漏らす。

( ´∀`)「百年以上経っても緑が残ってるところは残ってるモナね。感激モナ。
       そんでもってあの村からは何か煙があがってるし…」
(*゚A゚)「…今、何て言いました?」
( ´∀`)「え、だから村から煙があがってて――」

皆はモナーが指し示した方向、つまり高台から下方を見渡す。
そこには村があり、しかし所々で赤い何か―――火と煙があがっていた。

( ^Д^)「…ありゃまるで魔界の城下みてえだな」
(#゚;;-゚)「…馬鹿」



583: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 15:13 9JWY4BeIO

いい加減状況を理解しろ、と言わんばかりにでぃがタカラをこつぐ。
のどかであるはずの村のあちこちに火の手が回っているのだ。

それはつまり――

(;^Д^)从;゚∀从(; ´∀`)「…大変だ!」

今更ながら異変に気付いた三人が叫んだ。

(#゚;;-゚)「…漫才やってる場合じゃないよ」
(*゚A゚)「何が起きとんのか解らんけど、あの火事は何とかした方がええんとちゃいますか?」
( ^Д^)「そ、そうだな。よし、俺達も行くぞ!」

返事が唱和され、一同は高台から駆け下りていった。



584: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 15:17 9JWY4BeIO

( ^Д^)「これはひどい……あんまりだな」

木造や煉瓦の家が立ち並ぶ、都会では考えられない平和的な光景がそこにあるはずだった。
だが現在それらの建物の大半は破壊され、中には跡形もない程にまで崩壊したものもある。
あちらこちらに人間の死体が散乱しており、血の臭いは充満、のどかな村とは真逆の惨状がそこにあった。

(#゚;;-゚)「…一体誰がこんなことを?」
从 ゚∀从「人間同士の争いかもな。
     お前等が思ってる以上に人間ってモンは馬鹿で愚かでわがままなんだよ」

自嘲するような口調で高岡は言う。
このことからも、彼女がかつてどれほど荒んだ立場に置かれていたかを想像できた。
だが、初対面の時に比べて棘々しさが薄らいでいるのは気のせいだろうか。

(#゚;;-゚)「(…何かあったのかな?)」

結局、それは解らずじまいであった。



585: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 15:19 9JWY4BeIO

しかし、高岡の予想は外れていたことがすぐに明らかとなる。
タカラ達とは別の方面へと行っていたのーとモナーが、慌てて戻ってきた。

(; ´∀`)「ま、まずいモナ!」
( ^Д^)「…どうしたんだ、二人してそんな青い顔しやがって」
(*゚A゚)「何というか…とりあえずちょっと来てくれますか?」

何やらただ事ではない様子の二人の後に、タカラ達はついていく。
あちこちにある死体を踏み越え、角を曲がり、広場へと辿り着くと―――



586: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 15:27 9JWY4BeIO

(;^Д^)「嘘だろ…有り得ねえ…!」

皆は思わず絶句するしかなかった。
人間の死体と共に転がっているのは、白い機体と四本の脚を備えた機械の残骸の数々。
さらには武器と同化した両腕と、壊れて働きを失った赤く不気味な単眼。

どう見てもそれは、魔界に攻め込んできた侵略者の機械兵達であった。

(*゚A゚)「許しがたいですわ…見つけたらぶっ叩いたる」

怒りを隠せない様子であるのーが辺りを見回すが、戦闘で全て相打ちしたのか、動くものは一つも見つからなかった。

( ^Д^)「しかし…まさか、こいつを作ってるのはやっぱり人間なのか…?」
从 ゚∀从「有り得ない。人間、まだそこまで利口じゃねえはずだ」



587: ◆wAHFcbB0FI :12/30(日) 15:35 9JWY4BeIO

タカラが予想した説を、高岡はすぐに否定。
かつて妙な武器を次々と発明する、天才的頭脳を持った人間の男がいたことも彼は知っていたが
あの男がこのようなタチの悪い戦闘兵器を造り出すことは有り得ないと否定する。

いずれにせよ高岡の言い分が正しければ、考えられるケースは一つしかなかった。

( ´∀`)「魔界に攻め込んできた侵略者達は、現世も狙っているモナ?」
( ^Д^)「きっと間違いねえな。
     だとすると尚更のんびりしてられねえ…さっさと目的の奴を探し出して連れてこう」

だが、皆が皆そう思うものの、これからどこをどう探せばよいのか全く解らない。

とりあえず一同は散策を開始しようとするのだが―――



588: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 09:37 6ufAAGd8O

突如として響いたのは銃声。
それも自分達がいる位置のすぐ近くからだ。
鋭い、しかしどこか澄んだような音である。

(;^Д^)「わっ、何だ何だ!?」
从 ゚∀从「騒ぐな落ち着け!」

さらに銃声。
高岡が足下を見ると、銀色の銃弾が地面に突き刺さっていた。
同時に殺気が辺りを支配していく。

( ^Д^)「誰だ、出てこい!」

タカラ達が身構えると、瓦礫の影から何者かが飛び出してきた。



589: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 09:39 6ufAAGd8O

lw´‐ _‐ノv「……」

現れたのは、なんと一人の少女。
つまりこの殺気は彼女一人が発しているということになる。
ただし、その手には不思議なオーラを纏った銀色の銃が一つ。

( ^Д^)「やいてめえ、俺達を撃とうとしたな!
     いきなりなんてことをしやがる!」
lw´‐ _‐ノv「話は全て聞かせてもらったのさ」
( ^Д^)「…へ?」

突如として現れた上、さらには噛み合わない返答に皆が首を傾げるが

lw´‐ _‐ノv「お前は、目的の奴を探し出して連れていくと言った……つまり」



590: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 09:42 6ufAAGd8O

殺気を纏ったまま一歩踏み出し

lw´‐ _‐ノv「お前達は村の人間を拉致するために襲撃を仕掛けたんだな…悪魔の手先め!」
(#゚;;-゚)「…! ちょっと待って、私達は――」
lw´‐ _‐ノv「問答無用」

言葉と同時。
少女が持っていた銀の銃が発光を始める。

( ^Д^)「あれは…」
lw´‐ _‐ノv「…強化・改良されたこの聖なる武器に、邪悪な存在のお前達が打ち勝つ道理は無し」

それはみるみるうちに形状を歪め―――光が止んだ時、それは刀の形をとっていた。

(; ´∀`)「あれは一体何モナ!? まるで手品モナ!」

訳が解らず唖然とするモナー。
だが、この現象に見覚えがある者が二人。

(*゚A゚)「タカラはん、アレってまさか…」
( ^Д^)「多分…いや、どうだろうな」



591: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 09:45 6ufAAGd8O

lw´‐ _‐ノv「覚悟」

考える間もなく、少女は変化した刀で斬りかかってくる。

( ^Д^)「くそッ!」

それを、タカラはいつの間にか装着した両腕の爪でガード。
至近距離に近付いた銀色の刀から伝わってくる力は、タカラにとって耐え難いものだった。

( ^Д^)「ちっ…よく解んねえけどよ、不意打ちは良くないよな!」
lw´‐ _‐ノv「五月蝿い…人を殺し、村を壊しておいてよくもそんなことが言える…」
( ^Д^)「だから俺達じゃねえっての!」

鍔迫り合いの状態から、どうにかタカラは少女の刀を振り払い後退する。



592: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 09:49 6ufAAGd8O

そして少女に近付くのは高岡。

从 ゚∀从「解んねえかな…よーく俺を見ろ。てめえと同じ人間だよ」
lw´‐ _‐ノv「…っ!」

魔物以外の何者でもないような奴等の中に人間がいることを否定するように、少女は刀を振り回して後ろへと下がる。

从 ゚∀从「こいつらは何もやってない…それだけでも信じてはくれねえかよ」
lw´‐ _‐ノv「…人間のくせに魔物に味方をするか?」
从 ゚∀从「そうだな…わりぃ、嘘ついた」

言いながら、右腕を少女へと向け

从 ゚∀从「…俺はもう、人間離れしてるな」

その腕が橙の発光。
瞬時に橙色の球体を指先に生成し、一瞬ともいえる速度で少女目掛けて飛んでいき―――

直後、爆破音。



593: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 09:52 6ufAAGd8O

(; ´∀`)「ちょ…やりすぎモナ!」
从 ゚∀从「安心しろ…威力最小限、花火程度の爆発だ。
     俺だって人がバラバラになるところを見たくはねえさ」

誰に対して放ったのか解らぬその言葉と同時、煙の中から人影が飛び出してくる。

lw´‐ _‐ノv「そうやって人々の命を奪ったんだな…人間の皮を被った魔物め」
从 ゚∀从「あー…やっぱり俺達の口から言っても無実だって信じられないかなぁ」
lw´‐ _‐ノv「当然。証拠も無しに何を言うか」
从 ゚∀从「…んー」

これには言葉を返しようがなかった。
人間である少女からすれば、村を蹂躙されている状況で箱から上半身だけを出した奇妙な奴がいれば
それを敵だと思うのが人の常なのだ。



594: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 09:56 6ufAAGd8O

だがそんな状況において、自信ありげに口を開く者がいる。

( ^Д^)「…証拠になるのか解んねえけど、お前が持ってるその銀の武器なら知ってるぞ」
lw´‐ _‐ノv「…?」

タカラの言葉に、少女の表情が微かに変わったのを皆は見逃さなかった。

(*゚A゚)「持ち主の意志で形を変え、何かの目的のためだけに使われる聖なる武器。
    名称は…えーと何やっけ?」
( ^Д^)「キルなんちゃらとか……魔王さんをぶっ殺すみたいな感じのネーミングだったな。そこまで覚えてねえや」



595: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:01 6ufAAGd8O

だがその曖昧な記憶は、少女を動揺させるには十分な情報だった。
彼女は内心ひどく驚いた様子で

lw´‐ _‐ノv「…何故これを知っている」
( ^Д^)「簡単だ。まだ完全には言い切れんが、俺やのーが百年前にここで『魔獣』との戦いに参加してたから」
lw´‐ _‐ノv「…そうか」

呟くなり、少女は黙り込んでしまった。
その間、予想だにしなかった出来事に対して何やら考えを巡らせていたようだが、やがて彼女は

lw´‐ _‐ノv「…ついて来い」

と言ってくれた。



596: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:04 6ufAAGd8O

荒れ果てた村を見回しながら、タカラ達は少女の後に続く。

( ´∀`)「何か、呆気なく和解出来ちゃった気がするモナ。しかも僕らからすればさっきのやりとりが全くもって謎モナよ」
lw´‐ _‐ノv「黙れや幽霊風情。それにまだお前達を完全に信用した訳じゃないぞ」

少女は未だに刀を手にし、警戒心を消さぬままそう言う。
これ以上惨劇を目の当たりにしたくないのか、行く先にある人間の死体や機械兵の残骸から目を背けているのが解る。



597: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:12 6ufAAGd8O

( ^Д^)「そういや俺達をどこに連れてくつもりなんだ?
     時間がないからさっさと進めてほしいんだが」

その言葉に、少女はふと振り返る。

lw´‐ _‐ノv「何が目的?」
( ^Д^)「そうだな…人間からすりゃ非現実的なことを言うようだが、俺達が別世界の住人だってことは解るな?
     俺達の世界も今ちょっとピンチでな、どっかの世界の馬鹿が何度も侵略戦争ってモンを仕掛けてきてやがる。
     この村を襲ったのも、多分…というか間違いなくそいつらだ」
lw´‐ _‐ノv「……」



598: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:15 6ufAAGd8O

( ^Д^)「それで、この村に強力な力を持った獣の子がいるらしく……もう俺には見当ついてるんだがな。
     俺達は侵略者に対抗するためにそいつを貰いに来た訳よ」
lw´‐ _‐ノv「…! それは駄目」

途端に、少女は慌ててタカラの発言を否定する。

lw´‐ _‐ノv「あいつをここで復活させたら……それこそ世界の終わり」
( ^Д^)「よし、これでここが例の村だとはっきりした。
     大丈夫だ。俺達の世界の超強力頭脳がそうしろと言ってるんだから、きっとうまくいくさ」
lw´‐ _‐ノv「…何それ」
( ^Д^)「ええい、細かいこと気にするな。早く連れてくべきところへ案内してくれ」
lw´‐ _‐ノv「ふん…人使いが荒い奴だ」



599: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:19 6ufAAGd8O

数十分後、皆は一際大きな木造の家へと辿り着く。
他の家や建物の殆どが崩壊している中で、何故かこの家だけは外部からの攻撃を受けずにその形を保っている。

lw´‐ _‐ノv「ここに村の長老がいるのだ。
       理由はどうであれ、先ずは彼に会ってもらおう」
(#゚;;-゚)「…この家を取り巻く力…」
( ´∀`)「ただものじゃないモナね」

原理は解らぬが、何か不思議な守護の力が働いているようだ。
目には見えないものの、周囲の空気がそういっている。



600: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:22 6ufAAGd8O

lw´‐ _‐ノv「何をぼさっとしてる、入れ。
       …そうそう、結界が張ってあるが別に問題はない」

いきなり非現実的な言葉を口にする少女。

( ^Д^)「それは一体、どういう種の結界だ?」

解ってはいるが、一応問う。

lw´‐ _‐ノv「攻撃を遮断するための守り。格好良い言い方をすると一種のバリアーだ。
       ここばかりは落ちては困るのだよ、君」
( ^Д^)「ふーん」
lw´‐ _‐ノv「…あまり驚かないな。当然といえば当然か。
       そんなことはどうでもいいから、早く入れ」
(#゚;;-゚)「(どうでも良いのか…?)」



601: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:25 6ufAAGd8O

どういうわけか、一同は結界の干渉を受けずに家に入ることに成功する。
薄暗く、静まり返った内部には何者かがいるようではあるが、しかしどうも人の気配は感じられない。

( ^Д^)「誰か居ませんかー、なんてなw」
(#゚;;-゚)「…自重しなさい」
lw´‐ _‐ノv「長老…居る、よね?」

マナーの悪い不届き者をスルーし、少女は口を開く。

lw´‐ _‐ノv「変な連中がいたから連れてきたよ。多分、悪い奴等じゃあない」



602: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:26 6ufAAGd8O

直後に、声。

「おお、そうですか。
 シューさん、わざわざありがとうございます。しかしこんな時に客人とは」

年をとっているとは思えぬ、はっきりとした声。
その主は暗がりの中にいるらしく、その姿は確認出来ない。
だがシューと呼ばれた少女は相手の正確な位置を割り出しているかのように、暗がりに向けて言葉を発する。

lw´‐ _‐ノv「…この村の『アレ』を引き取りたいって言ってる。
       手懐けるのに絶対的な自信があるみたい」
「むう、そうですか」

暫しの沈黙の後

「…現状を考えるとお帰り願いたいところですが、どうやら私の知る方々が幾らかいるようなので耳を傾けるとしましょう」

そう言うと、その人物は幽霊の如く暗がりから姿を現した。


|  ^o^ |「どうも」



603: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:29 6ufAAGd8O

(#*゚∀゚)「これは、一体どういうことなのかね君!」

魔界の地下にて、怒り騒ぐ者がいる。
まるで上司が部下を叱咤するような場面を彷彿とさせるが……他に当てはまる言い回しは果たしてあるのだろうか。

川;д川「いや…皆で決めたことなので私に言われても困りますよ」
(#*゚∀゚)「皆!? あいつらで私を置いてくと決めた訳か!
     よしよし、よーく解った! とりあえずモナーは地獄送りな!」
川;д川「落ち着いて下さい」



604: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:31 6ufAAGd8O

とりあえずは詫びのような形として、貞子は魔物の血が入ったグラスをつーに差し出す。
彼女はその赤く不気味な液体を口にすると、ひとまずは落ち着いたようだ。
そして、数分経った後

(*゚∀゚)「…ねえ、あいつらは現世のどこに行ったの?」
川д川「それを言うと貴女はそっちへ向かってしまうので言えません」

即答。
再びつーがキレ始める前に、貞子はとあることを提案する。

川д川「代わりと言っては難ですが…退屈しのぎみたいな形でも良いので、魔界の砂漠地帯に行ってほしいのです」
(*゚∀゚)「この世界の砂漠? 何でまたそんなとこに?」



605: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:33 6ufAAGd8O

川д川「今回、侵略者達は魔界の砂漠方面から攻めてきたんですよね?
    それならば、砂漠のどこかに侵略者達の世界と魔界とを繋ぐ流れがあるかもしれないのです」
(*゚∀゚)「なーるほどねぇ…」

もしその予測が的中すれば、現時点での問題の一つが解決する訳だ。
もう一つの問題も、今の調子で事が進めば―――

川д川「どうやら隊長さんが『現世の魔境』から友人を連れてきたらしいので…
    後は先程現世へ向かった方々に任せておけば、戦力の方もなんとかなりそうですよ」



606: ◆wAHFcbB0FI :12/31(月) 10:35 6ufAAGd8O

(*゚∀゚)「それは良かったねぇ。
     そんなことよりも私は砂漠に行って具体的に何すりゃ良いのさ?」
川д川「…怪しい地点があったらくまなく調べて下さい。ただそれだけです」
(*゚∀゚)「邪魔が出たら殺すけどOKかな? ここ数日忘れ去られてる不良とか」
川д川「そこは貴女にお任せします」
(*゚∀゚)b「OK、つー様に任しときなさーい!」

そう言うとつーはカウンター席からさっと立ち上がり、貞子が返事をする暇さえ与えぬほどの凄まじい速さでその場をあとにしたのである。

そんなこんなで、彼女も遊び半分で行動を開始したのだが――



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