( ^Д^)と(*゚∀゚)は魔界のならず者のようです

741: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 12:15 8BwH7XR7O

第十九話 『Last war』


数日後。
普段ならば魔界の不良共の塒となっている砂漠地帯は、しかし今では魔界の有能な戦士と城の兵士が集っていた。

城下町から砂漠に足を踏み入れ、歩くこと数十分。
砂に足をとられることはあっても、日の光や砂嵐などはないので進むのにさほど苦労しなかった。

爪゚ー゚)「…む」

そして、砂漠地帯の奥地。
先頭にいたじぃが辺りを見回すと―――そこには見えにくいが、何かがあった。
先にもさらに砂漠が広がっている中、一見何もない空間が陽炎のように揺らいでいるのだ。
そして高岡の報告通り、その範囲はあまり広くない。

( ФωФ)「…こいつが、侵略者のいる世界への入口か」
从 ゚∀从「その通りなんだが、念の為に試してみるか」

落ちていた石を、歪みに投げ込む。
それは歪みに突入すると同時、飲まれるように消えた。

( ФωФ)「…間違いないようだ。何で今まで気付かなかったんだろうな」
爪゚ー゚)「奴等もこれを通じて魔界へ攻めてきたのだろうか」



742: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 12:18 8BwH7XR7O

真剣に考えを巡らせる者がいる中。

(*゚∀゚)「よーし、たっくさん仕留めるぞー!」

別の方向に自信満々な奴

( ^Д^)「あっちの世界にうまそうな酒があったら奪ってやるぜwwwww」

緊張感の欠片もない奴

ミ,,゚Д゚彡「もう腹が減ったぞ」

そして、食べることばかり考えている奴。
要は、のんきな連中も多かった訳で。

( ・ω・)=つ「お前等、もっと気合いを入れた方が良いんよ」
( ^Д^)「あ、ハイハイ解ってるよボッコスとやら」

今日になって知り合ったボッコスとも、それなりに仲良くなっていた。

( ・ω・)=つ「戦場では強い奴だけが生き残れるんよ。生半可な気持ちだとすぐにやられるんよ」

結局のところ油断するなと言いたいのだろう。
決して照れ屋ではないはずだが、その妙な言い回しをされると
どうしても遠回しにモノを言っているように思える。

( ^Д^)「実に愉快な奴が加わったもんだな」



743: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 12:21 8BwH7XR7O

从 ゚∀从「なぁ、やっぱ俺も行かなきゃダメ?
     …いや、別に良いんだけどさ」

とりあえず歪んだ空間への誘導も兼ねてついてきた高岡が、前にタカラに問うたことを再度問う。

(*゚∀゚)「絶対に来い。張り合う奴がいないとやる気半減するし」
从 ゚∀从「…悪いが、今回は遊ぶつもりはないぜ?」
(*゚∀゚)「そうかい? お姉さん退屈ー」

退屈とかそういう問題ではないのだが。

( ^Д^)「ハイン、お前は来てくれ。冗談抜きでその力は必要だ。
     …お前、下手すりゃ俺より強いかもしれないんだぜ?」
从 ゚∀从「…そ、そうか。そこまで煽てられちゃな。
     解った解った、お前よりも強い俺がついてってやるよ」



744: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 12:26 8BwH7XR7O

そして、もう一人の『元人間』はというと

( ´∀`)「僕は…もう帰っても良い………モナ?」

そろそろチキンだとかヘタレだとか言われそうな、このモナーという男である。
今回ばかりは自身の危険というよりも、皆の足手纏いになることを恐れての発言だったのだが

( ФωФ)「は? 何言ってんだ馬鹿」

即座にロマネスクによって呼び止められ、さらには

( ФωФ)「お前もこの場に居るべきなんだよ」
(; ´∀`)「!?」

帰れと言われるだろうと思っていた矢先にこう言われ、色々な意味で戸惑いを隠せないモナー。



745: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 12:30 8BwH7XR7O

そんな彼に対して、ロマネスクは躊躇いもなくこう言い放つ。

( ФωФ)「お前は十分に使い道がある。
       攻め込む側にしても防衛側にしても、もう結構長い間魔界にいるだろうからそれなりに色々身に付いてるだろうし
       何よりお前のように何かと打たれ強い奴は、いざという時盾にもなりそうだからな」

その言い回しは嬉しいやら悲しいやら。

(; ´∀`)「あ、ありがとうございますモナ」
(*゚A゚)「ま、緊張すんのはみんな同じやから。気ぃ楽にして臨みましょうや」
(; ´∀`)「のーちゃんは余裕があって良いモナね…」



746: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 12:37 8BwH7XR7O

爪゚ー゚)「さて、もう一度簡単に役割を確認しようと思う」

タカラ達も含め、大勢の兵士達を前にしたじぃが皆を静める。

爪゚ー゚)「…先日伝えた通り、大まかに攻め込む側と防衛側に分かれることになる」

攻め込む側のグループは文字通り侵略者の世界に突入し―――
多少残酷な言い方をすれば、敵軍を蹂躙した上で元締めの首を討ち取ることが目的となる。

そして基本的に防衛側が戦闘に参戦することはないが、もしも戦闘中に負傷し
撤退してきた者がいればその治療を行うことは待機中の者達の役目である。

さらに、万一守りが手薄になった魔界が逆に攻め込まれることも考慮し、それなりの実力を持った者も幾らか魔界に残しておく必要があった。

爪゚ー゚)「…それ故、モナーとでぃにはここで待機し兵士達に指示を出してもらいたい。
     二人にも兵士達にも言えることだが、もし敵がこの世界に現れたならば総力を上げて倒せ」
(#゚;;-゚)「…了解です」
( ´∀`)「(ヤタ! 助かったモナ!)」



747: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 12:42 8BwH7XR7O

残りの者達―――しかし大勢の兵士を率いて戦いに臨むことは出来ないので
タカラ、つー、高岡、のー、じぃ、ロマネスク、ボッコス
そして、フッサールが敵陣へ突入することになった。
数百、数千はありそうな敵の機械兵士に対し、こちらは僅か八人でそれらを相手にすることになり
さらには幹部達との戦闘も免れないだろう。
そんな圧倒的不利な状況で、しかし十二分に対抗できると思われる者達が集結している。

爪゚ー゚)「無論、私も前線に入らせて貰うが――」
( ^Д^)「ちょっと待て、俺も軍師さんもいないのに誰がでぃを護るんだよ」
爪゚ー゚)「…!?」

当の本人はじぃに割り当てられた役割を受け入れているというのに、「俺とでぃはセットじゃねえとダメだ」などと抗議を始めるタカラ。



748: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 12:44 8BwH7XR7O

爪゚ー゚)「まあ落ち着け。魔王殿もすぐにこの場所へ来る。
     お前達はまだ全てを知らないだろうが、あの方の力には計り知れないモノがある」
( ^Д^)「…そっか。ならいいや。
     だがでぃだけは絶対だかんな! 魔界は護れなくてもあいつは護れ!」
爪゚ー゚)「(…ふぅ)」

今に始まったことではないが、実に単純な奴だとじぃは思う。
今回役割を突入側と防衛側に分けただけの簡単な編成にしたのも、タカラやつーのように飲み込みが悪い者の混乱を避けるためである。



749: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:00 8BwH7XR7O

爪゚ー゚)「…さて、私からは以上だ。
     よってすぐにでも行動に移りたいのだが――」

一呼吸入れ

爪゚ー゚)「…改めて皆に問おう。準備は出来たか?」

念を押すように彼女は言う。
それは先に待ち受ける決戦に臨む『覚悟は出来ているか』という意味である。

対する返事は

( ^Д^)「準備も何も、全てにおいて覚悟決めてるからここにいる訳だが」
(*゚∀゚)「私は何時でもOKさ!」
从 ゚∀从「見せてやるかな、人間様の力ってモンを!」
(*゚A゚)「今回は、自分も本気で戦わせてもらいます」
ミ,,゚Д゚彡「何が何だかよく解んねえけど、オイラだってやるときはやんぞ」
( ФωФ)「何時でもかかって来いって気分ですぜ」
( ・ω・)=つ「侵略者? フルボッコにしてやんよ」



750: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:02 8BwH7XR7O

――それぞれ独特の応答が飛んできたが、総じてこれからの戦いに対する意気込みを表すものである。
それらを一身に受け取ったじぃは小さく頷き

爪゚ー゚)「…では始めようか。最後になるであろう戦いを。
     そして奴等に思い知らせよう―――最後に勝つのは我々であると。そして他世界の何者にも干渉されぬ『本来の』魔界を取り戻すのだ!」

直後に返事が唱和され、緊迫した空気の中
戦士達は戦場の入口へと足を踏み入れた。



751: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:06 8BwH7XR7O

時を同じくして、現世の村である今北村でも事が動こうとしていた。
現在ほぼ壊滅状態のこの村で、しかし無傷のままその形を保っている若き長老の家。
さらにその家の裏に聳える、小さな山にぽっかりと開いた洞穴。

lw´‐ _‐ノv「しかしまあ、これは予想外」
|  ^o^ |「ですね」

洞穴の最深部にあった扉を前にして、二人は顔を見合わせ頷く。
ブームが右手に持っているのは、かつて高岡が持っていたはずの鍵と地図。

lw´‐ _‐ノv「よくもまあ、貴方はこんな乱雑な地図だけで特定出来るものだ」
|  ^o^ |「アレは貴女の祖父母の御友達だったジョルジュさんの遺した手紙ですよ?
       彼は、この洞穴の奥深くに『自分達が存在していた証拠』を隠したと言っていました」



752: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:11 8BwH7XR7O

|  ^o^ |「ジョルジュさんが遺品を私の家の裏山に隠したことは知っていましたが……
       まさかその扉を開くための鍵を、曾孫である高岡さんが持っていたとは」
lw´‐ _‐ノv「何という偶然」
|  ^o^ |「それは私の台詞です」
lw´‐ _‐ノv「……」

|  ^o^ |「…今頃、タカラさんや他の皆さんは村を壊滅させた憎き侵略者達と戦っているのでしょうか」
lw´‐ _‐ノv「それは永遠の謎」
|  ^o^ |「……」

続かない会話はすぐに途切れる。
そんな妙な空気がようやく破られたのは僅かな沈黙の後。

lw´‐ _‐ノv「早く、開けてみないと始まらない」
|  ^o^ |「何をそんなに期待しているのです」

まあいいでしょう、と言いつつ扉の鍵穴に鍵を差し込むブームの様子もどこか楽しげに思える。

|  ^o^ |「開け独楽」
lw´‐ _‐ノv「日本語でおk」

直後、カチッという音と共に扉は静かに開いた。
高岡が果たせなかった目的を、代わりに二人が果たした瞬間であった。



753: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:16 8BwH7XR7O

扉の先に進んでみた二人だが、見渡す限りの真っ暗闇。
とりあえずランタンで部屋を照らしてみて、状況確認。

|  ^o^ |「何なんですかね、これらは」
lw´‐ _‐ノv「とりあえず、もうちょい喜ぶべきかと思われ」

その光景を一言で表すならば、つまり金や銀、様々な宝石といった財宝の山がそこにあった。
換金すればどれほどの額になるのか解らない程である。

lw´‐ _‐ノv「…生涯かけてこれらを集めたという訳か」
|  ^o^ |「それだけ彼等は凄腕の遺跡荒r…いや、冒険家だったんですよ」

暫し、その豪華な光景を眺めていた二人であったが

|  ^o^ |「…しかし、まだです。
       ジョルジュさんは財宝しか大事にしないようなちっぽけな存在ではなかったはず」
lw´‐ _‐ノv「……」

シューが黙って傍観している中、ブームは他に何かないかと探し回る。



754: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:20 8BwH7XR7O

|  ^o^ |「…む、やはりこっちに色々ありますね」

と言いつつ彼が注目した地点には、よく解らない機械が小山を成していた。
奥に一際大きな機械があることが確認出来たが、使い道が解らないので後回し。

|  ^o^ |「…この、円盤というかフリスビーみたいなのは何でしょうね」

用途不明なモノが多い中、ブームは人間の本能的に投げたくなる形状の機械を発見する。
やはり使い方は解らないが、とりあえず投げて使うモノだと勝手に判断。

|  ^o^ |「恐らく発明品か何かだとは思いますが…ちょっと触ってみまs――」

その時だった。
ブームが今まさに触ろうとした円盤状の機械が、自然と淡い光を放ち始めたのである。



755: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:23 8BwH7XR7O

|  ^o^ |「な、何ですかこれは」
『…あの扉を開ける奴が、遂に現れたか』

円盤から、何者かの声が発せられた。
しかしその直後、妙に拍子抜けした様子で

『…何だ、誰かと思えば君か』

|  ^o^ |「…ん、この声は――」
lw´‐ _‐ノv「…?」

ブームにとって、確かに聞き覚えのある―――いや、かつて何度も耳にしたことのある声だった。
最後に彼の声を聞いたのは何時の日であったか。
ある日突然姿を見かけなくなってから、どれほど経ったであろうか。

円盤は淡い発光を続け、その真上には霧のようにぼんやりしていながら
しかし人の形をした何かを映し出していった。

|  ^o^ |lw´‐ _‐ノv「おぉ」

と、二人が声を揃えて口にした時には――


( ・∀・)『――御機嫌よう、諸君』

白衣を着た一人の男の姿が、そこにあった。



756: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:29 8BwH7XR7O

|  ^o^ |「貴方は……Dr.モララー?」

その男を見て、畏敬を篭めた、しかし信じられないと言った様子で言葉を漏らすブーム。
いくら自身も不老の身とはいえ、百年前に存在していた人間がこの場に現れたのだから当然といえば当然だろう。

( ・∀・)『いやはや、その名で呼ばれるようになったのは何時からだったかな?』

対するモララーはさも楽しそうに言葉を発するが、ブームとシューは全くついていけていない。
それを察した彼は

( ・∀・)『…あぁ、先ずは種明かしからしないといけないね』
|  ^o^ |「貴方は、死んだはずなのでは?」

何よりも気になったことを、ブームは真っ先に問う。

( ・∀・)『何事も早合点するのはいけないね。
     常識的に考えて僕は確かに死んでいるはずだが、しかし今意思を持ってちゃんとここにいる』

もっとも、と彼は言葉を続け

( ・∀・)『僕の身体自体はとっくのとうに死んでるけどね』
|  ^o^ |「すると、今の貴方は――」
( ・∀・)『…厨二臭い言い方をすると、「自身の精神をプログラム化した」とでも言えば解るかな?』



757: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:32 8BwH7XR7O

――何時の日であっただろうか。
ある日モララーが再び今北村を訪れ、それっきり姿を見せなくなったのは。

だが、その結果が今ここにある。
彼は人目に付かぬ場所で自身をプログラム化してこのホログラムのような姿となり
そしてブームとシューが扉の鍵を開け、入ってきた先程まで数十年もの眠りについていたのである。

プログラム化した彼が何故こんな所にいるのかは全く以て謎だが、恐らくジョルジュ辺りに頼んでこの場所に財宝諸とも封じてもらったのだろう。



758: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:36 8BwH7XR7O

( ・∀・)『そんなことはさておき、何故に君達がここの扉を開けた?
     ジョルジュの奴は、彼の子孫に鍵を託したはずだが』

死体はどこにあるのかなど、未だ数多くの謎を残したまま
しかしモララーは初めて訝しげに辺りを見回し、そしてシューに目を遣る。

( ・∀・)『…もしや、そこにいる子がジョルジュの子孫かい?』
lw´‐ _‐ノv「違う」
|  ^o^ |「彼女は、ドクオさんとクーさんの孫です」
( ・∀・)『ドクオとクーねぇ…そうか』

納得したように頷き

( ・∀・)『面白い…本来人間である僕が同世代の友人の子孫を拝むことになるとは。
     これが幽霊の気分というものか』
|  ^o^ |「(まだ孫の段階なのにそう言いますか…意外とオーバーですね)」



759: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:37 8BwH7XR7O

( ・∀・)『…で、再度問うが鍵を持たないはずの君達が何故ここに?
     その様子だと、きっと何か訳ありだとは思うが』
|  ^o^ |「それがですね……」

一瞬言葉に詰まるが、しかしすぐに取り直し

|  ^o^ |「今、村が大変な状態にあるのです」
( ・∀・)『…何が起きているのかね』
|  ^o^ |「詳しくは私にも解りません。
       しかし…信じ難い事かもしれませんが、別世界から突然現れた機械の兵士達によって村が壊滅状態と化しました」



760: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:40 8BwH7XR7O

あまりに非現実的な事態に一瞬表情を歪ませるモララーであったが

( ・∀・)『ふむ…それは難しいね』

平然と言いつつ額に手を当て、考える素振りを見せる。
そして

( ・∀・)『そいつらが異世界から来た、という時点で今の君達からは手の出しようがないな』
|  ^o^ |「そこは十分承知です。やはり貴方の技術を以てしても無理ですか」
( ・∀・)『無理というか…んー』

ブームの発言の内容が余程悔しかったのか、彼は不満げに唸る。

( ・∀・)『せめて…ファンタジックなことを言うようだが、時空移動なんかが出来る奴がいれば――』
lw´‐ _‐ノv「ところがどっこい」
( ・∀・)『ん?』



761: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:44 8BwH7XR7O

「現在のアンタそのものがファンタジックだ」などと突っ込まれる前に、唐突に割り込んできたのはシュー。

lw´‐ _‐ノv「時空移動が出来るとか言う奴は一昨日辺りに来てたけれども」
( ・∀・)『ほう? してそいつは何と?』
lw´‐ _‐ノv「アンタも心当たりあるんじゃないかな…タカラって奴。
      魔界の住人って言ってたけど戦いを前にしたような感じ…だったのかな」

彼女の言葉を耳にした途端に、モララーは表情を変えた。

( ・∀・)『懐かしい名だな!
     突然いなくなったからどうなったのかと思ってたけど、あいつがまだ存在しているってことが僕には嬉しいよ』
|  ^o^ |「彼等の世界もまた、昔から攻められているらしいです。
       今頃はタカラさんやそのお仲間の方々が憎き奴等と戦っているのではないか、ということを先程まで話してました」



762: ◆wAHFcbB0FI :03/09(日) 13:51 8BwH7XR7O

さらに何か言おうとしていたブームをモララーは遮り

( ・∀・)『OK! 君達のことは僕が引き受けた。
     要は魔界と繋げることが侵略者達の世界へのカギとなる訳だ!』
|  ^o^ |「…はい? 何がですか?」

何がなんだか解らないブームとシューが問い掛けようにも問い掛けようがない。
彼は、絶対的な自信の篭もった笑みを浮かべて言うのである。

( ・∀・)『自分達の村を壊されておきながら、指をくわえて見てるだけしか出来なかったであろう諸君! 安心したまえ。
     数十年ぶりに復活した、このDr.モララーがなるようにしてやる!』
|  ^o^ |lw´‐ _‐ノv「…………」



764: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 18:19 PchwBRRIO

( ^Д^)「ちょwwwwwww敵自重wwwwwwww」

そこは、現世や魔界と比較しても異質であった。
先ず天気というモノが存在せず、それを象徴する景色もない。
空の色は常にといっていいほど変化を繰り返し、一つの色に定まることはない。

ここは時空と時空の狭間にある、小さな世界。
先に見えるは要塞のような巨大な建物。
その庭ともいえる広場は、白い無機質な存在によって埋め尽くされている。
さらにその前にある丘に、タカラ達は降り立った。



765: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 18:23 PchwBRRIO

从;゚∀从「おい、何かとんでもねえ所に足を踏み入れた気がするんだが!」
( ^Д^)「そんなこと俺に聞くな! ここが、あの侵略者達がいる世界で間違いねえだろ!?」
爪゚ー゚)「…少しは冷静になったらどうだ」

早くもドタバタし始めた二人を、じぃが静める。
最初の敵である無機質な存在―――機械兵の群れを一望し、彼女は再度口を開く。

爪゚ー゚)「私にもよく解らぬが、あの様子ならすぐには襲ってこないだろう。
     この間に、こちらもどう動くか決めよう」

しかし対する皆の意見はというと

( ФωФ)「初っ端ですし、下手に迷ったりしないで突き進んだ方が良いかと思いますが」
(*゚∀゚)「私もそれに賛成」
( ・ω・)=つ「俺も、そんな感じで良いと思うんよ」

といった具合だった。



766: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 18:27 PchwBRRIO

爪;゚ー゚)「お前達…」
( ^Д^)「なぁ軍師さん、もうこの際それで行こうや」

やはり妙な自信を持ったタカラも賛成の意を表すのだが、その理由を知る者はごく数人しかいない。

( ФωФ)「何か、秘策でもあるのか?」

それを知らないロマネスクが訊ねるが

( ^Д^)「ない」
( ФωФ)「ちょwwwww」

――当然ここで「デフラグが(ry」などと口にすれば、色々と問題という問題が発生してしまう。
故に、単に絶対的な自信があるということだけ露わにしておくのである。

そうしておけば、なるようになるだろうというのはタカラの考えである。



767: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 18:35 PchwBRRIO

( ^Д^)「まあ、そんな訳だから大丈夫だよ。
     そもそも今ここにいるのってあの機械とやらを余裕で壊せる奴ばっかじゃん」

何がそんな訳なんだ、とつっこむ者が多数いたが
しかし後半部分を否定する者はいない。

爪゚ー゚)「…では、その獣の子もか?」
ミ,,゚Д゚彡「オイラか?」

多くを知らないにも関わらず、特に警戒することなくじぃはフッサールに目を向ける。
幸い、じぃが今のフッサールをフッサールだと気付くことはない。
しかし、逆にどれほどの戦闘能力を持っているかも全く知られていないのだ。

( ФωФ)「ぱっと見、大したことなさそうだがな」
( ^Д^)「果たして本当にそうかな。
     皆は知らないだろうが、こいつは体当たりで大岩を粉砕するくらい強いんだぜ」
从 ゚∀从「(何その餓鬼臭い例えwww)」
( ・ω・)=つ「それ程度なら俺の方が…」
(*゚A゚)「寧ろ自分でさえも」
爪;゚ー゚)「お前達もそこで話に乗るな。さっさと行くぞ!」



768: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 18:39 PchwBRRIO

結局要塞へ侵入するまでは強行突破が正攻法ということで話がまとまり
一同は敵と距離をとって真っ直ぐに丘から降りる。

それと同時に、先にいる機械兵士達が一斉に両手の武器を構えたことを確認できた。

( ^Д^)「何なんだあいつら…しつこく魔界に攻め込んできてるくせに
     自分達の陣地に入られるとすっごく怒るのな」
( ФωФ)「けしからん野郎共だ。
       おい、誰か飛び道具持ってねえか?」
从 ゚∀从「俺ならこの距離でもあいつらを粉々に出来るぜ。
     戦闘開始の合図も兼ねて一発やってみるか?」
( ФωФ)「よし、ドカーンといけ、ドッカーンと!」

「どの道この後は乱戦になる」ということで、高岡は爆撃の許可を得た。

从 ゚∀从「よーし、正義の鉄槌…いや、正義の爆炎を喰らわせてやるぜ」

右腕を機械兵の群れへ向け、腕の先に魔力を集結させる。
そして、あの橙の発光を引き起こし――



769: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 18:42 PchwBRRIO

――前方にいた機械兵が、一斉に爆破された。

(*゚∀゚)「わぉ、相変わらず派手だねぇ」
( ФωФ)「最近の人間はバカに出来んなぁ…怖い怖い」

感嘆の言葉が飛び出す中で、しかし状況を理解出来ぬ者がいた。

从 ゚∀从「あのさ…ちょっといいか?」

それは、爆発を引き起こしたはずである高岡本人。
皆が不思議がって高岡に問うと、彼女は一言。

从 ゚∀从「俺、まだ撃ってないんだけど…」
( ФωФ)「え…?」

攻撃を仕掛けたはずの高岡が未だ攻撃には移っておらず、しかし敵は爆発している。
と、いうことは――

(*゚A゚)「何というか、『自滅』っちゅうやつやなぁ」
( ^Д^)「……」

さらに見ていると、後衛と思われる機械兵達が狂ったように同志討ちする様を目撃することに。
此方はまだ何もしていないというのに、敵の数は徐々に減っていた。

(;^Д^)从;゚∀从「……最早意味ワカンネー」

まさにgdgdだった。



770: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 18:46 PchwBRRIO

状況を理解できないのは、敵側も同じだった。

(;・∀ ・)「ちょ、これはどういうことだ!?」

建物内部の旧研究室にて、モニター越しにこの様子を目の当たりにしたまたんきもまた
予想外の現状にひどく慌てていた。

そして彼は、すぐさまそばにあった受話器らしきモノに手を伸ばす。

『へいへい、こちら――』
(#・∀ ・)「デフラグッ! 何が起きてるんだ!?」

とりあえず怒鳴ってみせる。
しかし相当ヤバい状態だというのに、いつもと変わらぬ口調で言葉が返ってきた。



771: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 18:53 PchwBRRIO

『いや、それが機械兵達の制御装置の調子がおかしいみたいで
 外の機械兵はコントロール失っちゃって使いモノにならない状態なんですねハイ』
(#・∀ ・)「そんなことのん気に言ってる場合か!」
『んじゃ、俺はこの後どうすりゃいいんですかねー』
(・∀ ・)「アレを出せアレを!」
『…良いんですかい?
 もし仮にそれで奴等が中に入る前に全滅しちゃったら怒られませんかね』
(・∀ ・)「あの方を楽しませるような連中なら、簡単にはくたばらないだろうよ。
      っていうか少しぐらい通しちゃってもいいよ、つまんないから。
      ま、そんな訳で首尾良くやれよ」
『へーい』

直後、通信を切る音。

(・∀ ・)「…さて、どうなるかな」



772: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 18:58 PchwBRRIO

[゚д゚]「…さて」

とある一室にて、デフラグは受話器を置き、ひとまず溜め息をつく。

[゚д゚]「(…あいつら俺が頼んだこと、ちゃんと守ってくれたな。
    こいつはその分のお返しだ。感謝感謝)」

彼の傍らにある『制御電波発生装置』と刻まれた機械には、大きな鉄製のハンマーが突き刺さるようにめり込んでいた。
正直これが故意に行ったものだとまたんきに悟られることを恐れていたのだが、どうやら無事に覆い隠せそうだ。

その安堵感から再び溜め息をつき、そして

[゚д゚]「この後どうやるかなぁ」

やむを得ん、といった様子でゲームのコントローラーのようなボタン配置をしたリモコンを手に取る。

[゚д゚]「ここから先は真面目にやっとかないと俺がスパイ扱いされちまうからなぁ…許せ。
    って事で、『遠隔操作版迎撃用兵器』! ポチッとな」

こんな独り言を吐きながら、デフラグはリモコンの起動スイッチを押すのだった。



773: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 19:01 PchwBRRIO

爪゚ー゚)「!?」

さらなる異変にいち早く気付いたのはじぃ。
勝手に壊滅状態と化した機械兵達の残骸の真上。
そこに突如として見覚えのある、あの飛行物体が出現したのだ。

残りの七人も続いてそれに気付く。

( ^Д^)「で、出やがったなこの化けモンが!」
( ・ω・)=つ「お前や俺達も化けモンだってこと、解ってて言ってるんよ?」
( ФωФ)「敢えて雑魚を壊しといて、強い奴が光臨か…随分と派手な演出だな」

ありがちなツッコミや妙な勘違いが見られるが、今はそれどころではない。

爪゚ー゚)「これは…どう対処すべきか」
(*゚∀゚)「そりゃ勿論戦うしかないっしょ?」
( ФωФ)「まあ、確かに戦うことにはなるだろうな」

しかし、とロマネスクは付け加え

( ФωФ)「…問題なのは、ここで俺達全員が足止め喰らって
       果たしてそれで本当に良いのかどうかってこったな」



774: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 19:38 PchwBRRIO

皆が危険を覚悟してまでこの敵陣にまで進入した理由は、侵略者を滅ぼし
戦いに終止符を打つため。
それを果たすことが、魔界を護るという義務を背負った自分達の『務め』であり
こんな所で手間取っていては最悪何もしないまま全滅、ということにもなりかねない。

( ФωФ)「…だから、あのでっけぇ円盤は俺とボッコスで相手をしようと思う。
       残りの奴は…先に行くべきだ」
爪゚ー゚)「ロマネスク、そんなことは――」
( ФωФ)「だからそれじゃ駄目だっての」

今までじぃに対して見せたことのなかった、しかし何時もとは異なった意味での強い口調で、ロマネスクは彼女の言葉わ遮った。



775: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 19:41 PchwBRRIO

そして、その後彼は口元に小さな笑みを浮かべ

( ФωФ)「…仮にも俺は『魔界軍隊長』ですぜ。簡単に死ぬような器じゃねえ。
       ボッコスはそんな俺よりも実力あるだろうし、万一何か起きたって時間稼ぎぐらいは出来る」

それに、と付け足し

( ФωФ)「ちったぁ皆にカッコいいトコも見せたい。『魔界軍隊長』の名に恥じない活躍ってモンを、な」
爪゚ー゚)「…そうか」

それっきり、応じる答えはない。
代わりにじぃは小さく頷き、そして目指すべき目標―――あの巨大な建物へと向き直る。



776: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 19:44 PchwBRRIO

爪゚ー゚)「…行くぞ」
从 ゚∀从「良いのか?」
爪゚ー゚)「ロマネスクの言う通り、我々には侵略者を倒すという義務がある。
     ここは彼等の力を信じよう」

返事を待つことなく、彼女は飛ぶような速さで目標へと進み始めた。

( ^Д^)「…んー、俺達も行くか」
(*゚∀゚)「ひとまず私の戦いはお預け、か…」

続いてタカラとつーと高岡がじぃの後を追い、少し遅れてのーとフッサールもそれに続く。

次々と進入していく彼等に対し、飛行物体は何故か攻撃を仕掛けることはなかった。



777: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 19:47 PchwBRRIO

後に残るは、二人の魔物と奇妙な飛行物体。

( ФωФ)「はん、わざわざ攻撃しないで待ってるとか…その辺は妙に律儀なんだな」

何時もの喧嘩腰で相手を睨み付けるロマネスク。
続いて彼はボッコスに目を遣り

( ФωФ)「ボッコス、勝手なことポンポンと言って済まなかったな。
       だがちっとばかし俺の身勝手な暴挙に付き合ってくれや」
( ・ω・)=つ「何言ってるんよ、あの変なのは俺とお前で十分なんよ」
( ФωФ)「お前はいいよなー、何時も自信満々で」



778: ◆wAHFcbB0FI :03/10(月) 19:49 PchwBRRIO

半ば憎々しげに言うロマネスクのその表情に、負の色は全く見られない。

万一、という言葉を彼は先程口にしてはいたが
そもそも必ず勝とうと思わなければ、勝利を得ることも出来ないだろう。

本来魔軍の兵を統率する者として、士気を高めることは勝利への一歩であることを十分承知していた。

( ФωФ)「…んじゃ、いっちょ昔みたいに暴れてやっか!」
( ・ω・)=つ「久々に出会った『実物の敵』、ボコボコにしてやんよ」

――そして絶対の自信を持った二人は、未知の敵に対して宣戦布告するのであった。



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