('A`)ドクオは方舟に乗るようです
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:29:31.86 ID:SVWWm0TYO
- 『第五話 墓参り』
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:30:13.24 ID:SVWWm0TYO
- 早朝、ドクオは荷物をまとめ終えると畑に水をやってからまず墓地に行くことにした。
母親に挨拶をしていくためである。
墓地への一本道を歩いているとドクオは背中に衝撃と痛みを覚えた、同時に石がころげ落ちる。
('A`)「!!」
( ^Д^)9m「プギャー」
( ・∀・)「デベソのかあちゃんに墓参りか〜?」
道脇にある木陰から二人の男が出てくる。
( ・∀・)「絶対に墓地に来ると思ってたぜマザコン」
('A`)「…………」
ドクオは拳を震わせ無言で睨みつける。
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:31:12.38 ID:SVWWm0TYO
- 彼等はジョルジュの舎弟、きっとまたろくでもないことを考えているに違いない、と思った。
( ・∀・)「絶対にそんなことはないと思うが、もし間違えでも起きてお前がクルーに選ばれたらジョルジュさんが困るんだよ」
( ^Д^)9m「プギャー」
('A`)「………知ったことか」
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:31:56.24 ID:SVWWm0TYO
- ドクオが構わずに行こうとするとまた石が飛ぶ。
今度はそれを上手くかわす。
('A`)「なんのつもりだよ!」
流石にドクオの口調も高ぶる。
それを見てモララーはニヤっとして笑う。彼が怒るのを楽しんでいるようだ。
( ・∀・)「怪我したらよぉ〜、流石にクルーに選ばれないだろう?」
( ^Д^)9m「入院プギャー」
モララーの言葉にドクオは背筋がゾクッとする。
ジョルジュが村のガキ大将にまで登りつめた理由が分かった気がした。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:32:41.56 ID:SVWWm0TYO
(;'A`)(………駄目だ………逃げなきゃ……)
相手の動きを見ながら一歩ずつ後退りをして距離を開ける。
そして「今だ!」と思った瞬間ドクオは地を思いきり蹴る。
( ・∀・)「待ちやがれ!!」
ドクオに一歩遅れをとってモララー達も走り出した。
('A`)「くそ……!」
ドクオは一生懸命走ったが彼等の足は早かった。
あっというまに距離を詰められていく。
( ・∀・)「プギャー!!」
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:34:09.39 ID:SVWWm0TYO
- モララーがあと一歩でドクオに手が届くというプギャーに声をかける。
その掛け声に反応してプギャーはドクオに飛び掛る。
m( ^Д^)m「プギャー!!」
プギャーはドクオの背中に乗り掛かり、体勢を崩したドクオはそのまま地面に倒れこんだ。
(;'A`)「う……あ……」
プギャーは馬乗りになりドクオを殴りつける。
( ・∀・)「よし、そのままおさえてろよ」
モララーは腰に差してある50センチ程の木の棒を右手で抜き、ゆっくり歩いてくる。
(;'A`)(こいつら本気だ!!)
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:35:34.47 ID:SVWWm0TYO
殺られる……。やらなきゃ殺られる……。
ドクオにおぞましい感情が流れ出す。
- 34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:39:02.09 ID:SVWWm0TYO
- (;゚A゚)「うあ嗚呼あああ!!!」
彼は握り締めた砂をプギャーの目にぶつけて怯んだところを突き飛ばす。
(;^Д^)「ぷ、ぷぎゃあ」
(;・∀・)「な……!」
予想外の事に一瞬たじろいたモララーにタックルをかまし、倒れたところを馬乗りになる。
(;゚A゚)「ハアハア……!」
そして拳ぐらいの大きさの石を広いあげ腕を振り上げる。
- 35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:39:41.41 ID:SVWWm0TYO
- そして勢いよくモララーの頭めがけて振り落とそうとする。
(;゚A`)「こいつっ!!」
(;・∀・)「うわあ!」
(゚A`)「!!」
しかしドクオの腕は動かない。
というよりも動けない。
誰かに後ろから力強く腕を掴まれていた。
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:40:37.96 ID:SVWWm0TYO
- (゚A`)「なっ……」
(´・ω・`)「………」
ドクオが腕を掴んでいる手の先を目で追うとショボンが立っていた。
そして彼は静かにドクオに言う。
(´・ω・`)「こんな物を人の頭に振り落とすってことは………それなりの覚悟をしなくちゃならない」
('A`)「あ……あんたは……」
ドクオは我に帰り手に持っていた石を落とす。
(´・ω・`)「そこの二人、見なかったことにしてあげるからさっさと帰りなさい」
あくまで落ち着いた様子で二人に言う。
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:41:39.14 ID:SVWWm0TYO
- モララーは助かったというような顔をしてプギャーを連れて走って逃げて行く。
(´・ω・`)「やれやれ……大丈夫かい?少し顔が腫れてるみたいだけど」
(;'A`)「い、いえ大丈夫……です」
ドクオは動揺を隠せない。
村人全員が神の遣いと畏れた男がこうも優しく自分なんかに話しかけてくるとは思っていなかった。
まして信じられない事に彼は自分を助けてくれた、と。
('A`)「ありがとうございます……」
- 42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:45:03.68 ID:SVWWm0TYO
- (´・ω・`)「……大切なクルー候補に大怪我でもされたらこちらが困るからね」
彼は相も変わらぬ口調で言う。
('A`)(………そういう事か、この人は俺に優しくて俺を助けたんじゃない。
候補者を救っただけなんだ。そしてそれがたまたま俺だったというわけだ)
そう考えるとドクオは少し憂鬱になる。
(´・ω・`)「君………送って行こうか?」
('A`)「……いいです」
(´・ω・`)「そうか」
ドクオは肩を落として墓地に向かおうとする。
(´・ω・`)「…………」
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:45:36.63 ID:SVWWm0TYO
- (´・ω・`)「君……」
ショボンはドクオを呼び止めた。
ドクオは驚いた顔で振り向く。
(´・ω・`)「一つ忠告をしておきたい」
('A`)「……はあ」
(´・ω・`)「君は今すぐにでも志願を取りやめてこの村から出るんだ」
('A`)「………え?」
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:47:17.00 ID:SVWWm0TYO
- ショボンの思わぬ言葉にドクオは間の抜けた返事を返した。
(´・ω・`)「今からでも遅くはない」
('A`)「な、なんでですか……?」
(´・ω・`)「………君には向いていない。私には分かる。
だから──」
('A`)「俺は行きます」
ドクオはショボンの言葉を遮りはっきりとした声でそう言い切った。
(´・ω・`)「……」
そして一回お辞儀をしてお墓に向かっていった。
その背中をショボンは黙って見送る。
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/12(日) 23:53:38.33 ID:SVWWm0TYO
ドクオは墓地につき、母親のお墓にいく。
('A`)(あれ……花だ………)
綺麗な黄色い花が供えられていた。
不思議に思いつつもドクオはお墓に語りかける。
('A`)「かあちゃん………俺、行ってくる。
方船に選ばれたら俺……きっと世界を救う方法見付けるから。
そしたら皆俺をちょっとは見直してくれるかな。
その時はもっと立派な墓作るから」
第五話 終
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