('A`)ドクオは方舟に乗るようです

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:10:17.91 ID:MXqR9cohO



『九話  誘い』



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:11:19.81 ID:MXqR9cohO
ドクオは森をしばらく散策していると、そろそろ方舟に戻ろうかと思った。
気分転換にと少し外の空気を吸うつもりで来たのはいいが、歩いても歩いてもかわりばえのない風景にうんざりしていたのだ。


(;'A`)「面白みのない所だな……」


目に優しい草木の色、木漏れ日にどこからともなく聞こえる鳥の声と、最初は森林浴に興じてはいたがものの30分程で彼のお腹は一杯になった。
見渡す限りの木々に途方もなくなり徒労感を覚える。


(;'A`)「……それにこれ以上進めば迷いそうだしな」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:11:58.14 ID:MXqR9cohO
特徴の掴みにくい道並に危機感を覚えてドクオは引きかえす。
それにいい加減方舟の中の安定した涼しさが恋しくなっていた。

山には村人が狩をするために来ることがあるがドクオ達がいる所は人が歩いて行くのには険しい場所に位置していたので道と呼べる道はない。
この獣道の中ドクオが迷わず帰れる大きな理由としては方舟自身が大きな目印となっているからだ。

ようやく彼の目に方舟に入るための階段が見えた時にジョルジュとツンが階段を降りてくるのに気付いた。


タイミングが悪かったな、と思うのも束の間ジョルジュがさっそくドクオに気付く。


( ゚∀゚)「よぉー!なんだ、お前も外出かよ」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:13:14.45 ID:MXqR9cohO
('A`)「……今から方舟に戻るとこだよ」


( ゚∀゚)「ヘッへ……そうかそうか、お疲れさん」


ドクオはまた因縁でもつけられるのかと思いきや、ジョルジュの機嫌は妙に良かった。
ツンは我間せずといった具合に一言もしゃべらないが心なしか気の毒そうな顔をドクオに向ける。

('A`)(ジョルジュとツンが二人で散歩……まぁ、どうでもいいか…)


( ゚∀゚)「まぁゆっくり休んでおけよ?クーによろしくな!」

そう言うとジョルジュはツンの手をひいて森に入っていった。
ドクオは二人を見送る事もなく方舟に入っていく。


船内の心地いい涼しさに生き返ったような気分になり、記憶を頼りに自分の部屋に戻っていく。


('A`)(同じようなとこばっかで迷いそうになるのは外もここも一緒だな)



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:16:05.31 ID:MXqR9cohO
部屋に入るとクーが椅子に座って本を読んでいた。
その真新しさから村にある本ではないことが伺える。


川 ゚ -゚)「どこにいっていたんだ?」

ドクオに気付いたクーは本から目を離すことなく言った。


('A`)「ちょっと散歩。
どうもこう閉鎖的な所は落ち着かなくてな……暑いから帰ってきたけど)


川 ゚ -゚)「この時間帯ではな……
そうだ。この辺りにいい場所があると聞いたから日が落ちたら散歩がてらいかないか?」

('A`)「いい場所…?
そうだな、どうせここにいても暇だろうし……。
その本もらったのか?」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:17:24.16 ID:MXqR9cohO
川 ゚ -゚)「ああ……。ショボンさんにな」


('A`)「ショボンさんに…?」


ドクオはやはりあのブーンとかいう太った男に比べてショボンはいい人なんだなと思った。


川 ゚ -゚)「読むか?」

(;'A`)「いや……いいよ、俺字が読めないし」


川 ゚ -゚)「………そうか」


それからクーは本をとじて、机に置いてある紙をドクオに渡す。

('A`)「これは?」


川 ゚ -゚)「明日からの予定表だそうだ。目を通しておいた方がいい。字が読めないなら私が説明するさ。
後、日が沈んでから最初の鐘がなったら夕飯だそうだ」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:18:09.19 ID:MXqR9cohO
しばらくクーと他愛もない会話をした後、夕飯までまた眠ることにした。


(-A-)「スー……スー…」


川 ゚ -゚)「フッ……」

口から空気を漏らして、クーはドクオに毛布をかけてやる。

川 ゚ -゚)「……よく寝る奴だ」






窓の外は色を青から赤、赤から群青へと変えていく。
クーが本を読み終え背伸びをした頃鐘が鳴った。

すると例のごとくスピーカーから下品な声が響く。


『皆食堂へくるお。食堂の場所は───』



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:21:37.53 ID:MXqR9cohO
食堂には村では見たことない食材で作った料理が机に並べられている。
部屋一杯にたちこめる匂いに一堂はより空腹感を誘われた。


ブーンは彼等が到着する前から一人ガツガツと料理を口に運んでいた。


( ^ω^)「ゲプッ……さあさあ遠慮はいらないお。
好きな物を好きなだけ食べるといいお」


その言葉を確認すると彼等はすぐに食べ物にありついた。
流石のお嬢様二人もこの時ばかりははしたないという言葉を忘れてしまったようだ。


( ^ω^)「ブヒヒヒ……」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:22:12.12 ID:MXqR9cohO
川 ゚ -゚)「ふぅ……私はもう満腹だ。先に部屋に戻るよ」


('A`)「わかった。俺はもう少し堪能して行くよ」



結局テーブルに残ったのはドクオとブーンとニダーだけだになったが、ニダーが食べ終わるとブーンも食事を終えて一緒に出ていった。


('A`)「うまかったな……流石に俺も満腹だ」


普段一人で家事をこなすドクオは凝った料理など作ったことはなかったので人一倍食が進んだのであった。


('A`)(さあ……戻るか。クーとの約束もあるし)



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:22:40.67 ID:MXqR9cohO
ドクオが部屋に戻ろうとすると廊下にツンが壁を背にしてもたれて立っていた。


('A`)(ジョルジュでも待ってるのか……?)


彼女はドクオに気付くと彼の予想に反して声をかけてきた。
ドクオはすっかり彼女が自分に目も合わさず無視をするのだろうと思っていたのでつい意表を突かれた顔をする。


ξ゚听)ξ「……あの………」


いつもの高飛車な態度から一変、深刻な顔で手を握って親指をこすりあわせている。

('A`)「……ど、どうしたんだ?」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/29(水) 23:24:04.80 ID:MXqR9cohO

彼はとっさにジョルジュを頭に浮かべた。
奴に何かされたのだろうかと考える。


('A`)「……あいつに何かされた……?」


彼女は首を横にふる。
ξ゚听)ξ「……私……あなたに言わなくちゃならない事が……」
('A`)「俺……に?」

ドクオは心あたりがないかどうか探ってみるが何も思いあたらない。
何より彼女とほとんど面識がないのだからそれも当然だろう。

ξ;゚听)ξ「……ここじゃ言えないわ。外で……話しましょう?」
いよいよ穏やかではない彼女の表情にドクオは「わかった」と一言。

二人は森の中へ入っていった。
そして二人を方舟の窓から見つめる者がいた。


第 九話 終



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