( ^ω^)ブーンの人生は運に恵まれていないようです
- 67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/15(水) 23:29:31.58 ID:NCtkRLhkO
- 1995年6月14日
―――この汚れた仕事をしてどれぐらいだろう
この汚れきった手では数を数えることができない
僕は暗闇の中を歩き続けていた
先の見えないトンネルのような
僕の人生のような
しかしそんな場所に光が差し込んだ
きっかけは一本の電話
『ツンが出所した』
その一言だった
- 73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/15(水) 23:34:06.76 ID:NCtkRLhkO
- 今まで汚れながら貯めたお金
母さんに黙って持ち出した
モララーさんたちにもしばらく会えないと伝えたが
( ・∀・)「そうか……元気でな」
と見送ってくれた
母さんの酒のために稼いだお金
その額はかなりのものだった
夜行バスで名前も知らない町に行く
ほとんど記憶に無い父さんの家へ
ツン姉さんに会いに
- 77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/15(水) 23:39:43.15 ID:NCtkRLhkO
- バスから降りるとそこからは一人旅
しぃおばさんに書いてもらった地図を頼りに歩く
歩く…
歩く……
歩く………
( ^ω^)「……やっとついたお……」
そこは僕の住んでいた家とは雲泥の差
僕みたいな泥は雲を汚すこともできない
なら
せめて努力はしよう
まぐれで雲に届くように
そう思いながらインターフォンを押した
- 78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/15(水) 23:42:31.26 ID:NCtkRLhkO
- ピンポーン
間の抜けた音が響く
『どちらさまですか?』
聞こえてきたのは男の声
《父さん》
いいかけて、飲みこんだ
( ^ω^)「ちょっと出てきてもらえますかお?」
『?わかりました』
しばらくするとドアが開いた
- 80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/15(水) 23:47:47.15 ID:NCtkRLhkO
- (`・ω・´)「どなたですか?ッ!!……ブーン……」
( ^ω^)「覚えてて……くれたのかお」
(`・ω・´)「ああ……当然だそれよりどうした?」
( ω )「……どうした?じゃないお」
(`・ω・´)「え?」
( ω )「どうして母さんを僕に任せたんだお?」
(`・ω・´)「それは……」
- 81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/15(水) 23:52:29.93 ID:NCtkRLhkO
- ( ω )「僕は母さんを養うために売春してたんだお……」
(`・ω・´)「なっ、そんな」
( ω )「あんなことしたくなかったお。でもしょうがなかったお」
(`・ω・´)「金なら言ってくれれば」
( ω )「金じゃ無いんだお……」
- 90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/15(水) 23:57:49.18 ID:NCtkRLhkO
- ( ω )「僕が本当に欲しかったのは……」
(`・ω・´)「……………」
( ;ω;)「人からのぬくもりなんだお……」
(`・ω・´)「ブーン……」
( ;ω;)「あんな関係でも……人と……つながってられたから……エグッ」
( ;ω;)「だから……だから……だからウッだから……」
- 94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 00:01:48.02 ID:BW6J0r7zO
- (`・ω・´)「もういい泣くなブーン」
( ;ω;)「ウッ…ウッ……エグッ…エグッ…エグッ……」
何で
(`・ω・´)「ぬくもりなら俺がやる。だから泣くな」
何で
泣くなって言いながら
こんなに強く抱きしめるんだ
そんなに抱きしめられたら
余計に
涙が出るじゃないか
- 103: ◆E6cMliFHiE :2007/08/16(木) 00:07:22.27 ID:BW6J0r7zO
( ^ω^)「良い朝だお」
僕は父さんの家に一泊した
(`・ω・´)「おう起きたか。朝飯出来たぞ」
父さんがトースト片手に言う
( ^ω^)「ありがとうだお。いただきますお」
男二人で朝食を食べる
ん?
男二人?
少し違和感があるような
(`・ω・´)「ところでブーン」
( ^ω^)「お?」
(`・ω・´)「何で急に家に来たんだ?」
- 105: ◆E6cMliFHiE :2007/08/16(木) 00:13:01.11 ID:BW6J0r7zO
- ( ^ω^)「それはもちろんツ……」
あれ?
ちょっと落ち着こう
今この家には男二人
ツン姉さんは女
…………………
( ゜ω゜)「アッー!!そうだお!!ツン姉さんはどこだお?」
(`・ω・´)「ツンはショボンのところにいるぞ」
( ^ω^)「ショボンおじさんの家!?今から行くお!!」
すぐに飛び出した
(`・ω・´)「おいちょっと待……」
(`・ω・´)「行っちまった……」
(`・ω・´)「あのせっかちは誰に似たんだろうな……なあツン?」
- 107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 00:17:34.23 ID:BW6J0r7zO
- そこからまたまた一人旅
途中で父さんにショボンおじさんの家への行き方を聞き、それに従う
思ったよりも早くついた
( ^ω^)「今度こそツン姉さんと……」
この家にたどり着くよりは
少し簡単な
インターフォンを押すという行動を
今までのどの動きよりも大仰に
- 108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 00:23:32.66 ID:BW6J0r7zO
- ピンポーン
昨日も聞いた
間抜けな音
でも―――
『はーいどなたー?』
聞こえてくる声は―――
( ^ω^)「ツン姉さん……」
『えっ!!まさか……』
( ^ω^)「ブーンだお」
待ち望んでいたそれで―――
( ^ω^)ξ゚听)ξ「会いたかった―――」
ただいま幼い頃の僕
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:34:37.82 ID:BW6J0r7zO
- それからは色んな話をした
母さんのアル中のこと
学校で出来た友達のこと
それから昨日の父さんとのこと―――
その話の全部を姉さんは嬉しそうに時々相槌を打ちながら聞いてくれた
でも母さんを養うためにやっていたことは言えなかった
姉さんの僕に対する見方が変わるのが怖くて―――
そんな話のあと本題に入る
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:36:01.82 ID:BW6J0r7zO
- ( ^ω^)「姉さん……」
ξ゚听)ξ「何?」
( ^ω^)「僕と暮らさないかお?」
ξ゚听)ξ「……………」
( ^ω^)「あっ、もちろん今すぐにじゃないお。僕が働きだしてからだお」
ξ゚听)ξ「……ブーンありがとう。すっごく嬉しい」
( ^ω^)「良いのかお?」
ξ゚听)ξ「でも一つだけ約束して」
( ^ω^)「何だお?」
ξ゚听)ξ「ブーンの夢って何?」
( ^ω^)「夢かお?僕の夢は―――――――」
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:38:03.33 ID:BW6J0r7zO
ξ゚听)ξ「―――そう。とても良い夢ね」
(*^ω^)「そんなに褒められると照れるお」
ξ゚听)ξ「じゃあその夢を叶えたら会いに来てね」
( ^ω^)「分かったお。それじゃあまたいつか」
そう言って出る準備を始める
ξ゚听)ξ「待って、これからどうするつもりなの?」
( ^ω^)「父さんと暮らそうかと……」
ξ゚听)ξ「母さんはどうするの?」
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:49:02.53 ID:BW6J0r7zO
- ( ^ω^)「あっ!!………」
そうだった
すっかり忘れてた
今はしぃおばさんに面倒を見てもらっているが
それもいつまでもお願いはできないだろう
ξ゚听)ξ「今誰に任せてるかは知らないけど、いつかは私達が面倒見なきゃいけないのよ?」
( ^ω^)「アウアウ……」
ξ゚听)ξ「ブーンが母さんの面倒見れる?」
無理だ
それに嫌だ
出来れば忘れたい人だ
ξ゚听)ξ「分かったわ。私が面倒見るわ」
( ^ω^)「え?良いのかお?」
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:40:31.08 ID:BW6J0r7zO
- ξ゚听)ξ「良いわよ別に、今までブーンが面倒見てくれてたんだし」
ξ゚听)ξ「それに―――――」
( ^ω^)「それに何だお?」
ξ゚听)ξ「何でも無いわよ。気をつけてね。行ってらっしゃい」
( ^ω^)「?じゃあ行ってくるお」
ξ゚听)ξ「夢が叶うの待ってるわよ」
姉さんの声を背に受け出かける
その歩みは一人の声によって止まった
『ブーン君送ってくよ』
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:41:50.45 ID:BW6J0r7zO
- ( ^ω^)「ショボンおじさん……いたんですかお?」
(´・ω・`)「僕の家だから当たり前だろう?ぶち殺すぞ」
( ^ω^)「サーセンwwwwwwwでも歩きで大丈夫ですお」
(´・ω・`)「良いから良いから。話したいこともあるんだ」
( ^ω^)「じゃあお言葉に甘えて」
どうせ話しなんか父さんのことだろう
そう考えながら車に乗りこんだ
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:43:44.52 ID:BW6J0r7zO
- 車は道の半分ぐらい進んだが
まだショボンおじさんは話し始めない
僕は思わずしびれを切らした
( ^ω^)「話っていうのは……」
(´・ω・`)「ああそうだったね。話っていうのはね……」
どうせ父さんの話だろう?
(´・ω・`)「ツンちゃんの病気のことなんだ」
え?
ツン姉さん?
父さんじゃなくて?
いやいや問題はそこじゃない
ツン姉さんが病気?
冗談だろう?
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:46:04.49 ID:BW6J0r7zO
- (´・ω・`)「ああそんなに重い病気じゃないんだが……」
(´・ω・`)「精神的にちょっとね」
( ^ω^)「え……それはどういう……」
(´・ω・`)「僕も詳しい病名は分からないんだが感情の起伏が激しくなるんだ」
ん?
ちょっと待てよ
本当に感情の起伏が激しいなら……
( ^ω^)「だったら何で僕が一緒に暮らそうって言ったとき―――」
泣かなかったんだ?
(´・ω・`)「ああそれはね。あくまで僕の推測なんだけど」
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:51:30.42 ID:BW6J0r7zO
- (´・ω・`)「ツンちゃんが自分で感情を抑えてたんだと思うよ」
( ^ω^)「……………」
(´・ω・`)「まあそうさせたのが君自身か君の言葉かは分からないけどね」
( ^ω^)「原因は……分かりますかお?」
(´・ω・`)「やっぱり刑務所暮らしかな?これも推測だけど」
( ^ω^)「そうですかお……あっここでおりますお」
(´・ω・`)「そうかい早くツンに会いに来てくれよ」
( ^ω^)「わかりましたお、ありがとうございましたお」
ショボンおじさんを見送り
昨日一泊した家に向けて足を進める
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:53:21.16 ID:BW6J0r7zO
- 父さんは庭で洗車をしていた
(`・ω・´)「おおどうしたブーン。ツンには会えたか?」
( ^ω^)「うん、会えたお。」
(`・ω・´)「で、一体どうした?何か用事があるんだろ?」
( ^ω^)「そうなんだお。お願いがあるんだお」
(`・ω・´)「何だ言ってみろ」
( ^ω^)「父さんと一緒に暮らしたいんだお」
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:55:14.82 ID:BW6J0r7zO
- (`・ω・´)「母さんはどうするんだ?」
( ^ω^)「ツン姉さんが面倒を見てくれるみたいだお」
(`・ω・´)「……そうか……じゃあよろしくなブーン。よし、今夜は飲むか」
( ^ω^)「ちょwwwwwwww僕未成年だおwwwwwwww」
ああこんな何でもない会話が
すごく楽しい
こんな日々が
いつまでも続けば良いのにと
何度でも
何度でも
叶わないと分かっていても
思うのだ
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:57:11.23 ID:BW6J0r7zO
―――ブーンが金を持ち出して逃げたせいで最近酒をあまり飲めてない
今日ももう昼前だというのにまだ飲んでいない
从 ゚∀从「しぃはまだかよ」
そう言ったときだった
コンコンコンコン
とドアがノックされた
从 ゚∀从「噂をすれば影、だな。どうぞー」
ガチャッ
ξ゚听)ξ「……久しぶり」
从 ゚∀从「……………」
本当に影だよ……
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 22:59:03.05 ID:BW6J0r7zO
- 从 ゚∀从「案外早かったね、もうちょっとかかると思ったけど」
ξ゚听)ξ「……………」
从 ゚∀从「アンタの可愛い弟はコキ使ってたら逃げちまったよ」
ξ゚听)ξ「……刑務所の中で考えてたけど」
ξ゚听)ξ「アンタがブーンを引き取ったのは……」
从 ゚∀从「そうさ、アンタに対する当て付けだよ。」
从 ゚∀从「でもその必要もなくなった」
ξ゚听)ξ「……………」
从 ゚∀从「さっさとあいつを連れてどっかに行っちまえ」
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/16(木) 23:02:51.69 ID:BW6J0r7zO
- ξ゚听)ξ「いや、私はここにいる」
从 ゚∀从「……何で?」
ξ゚听)ξ「ブーンと約束したから、ブーンが夢を叶えるまで待つって約束したから」
从 ゚∀从「あんたねぇ私がこんな風になったのは……」
ξ゚听)ξ「分かってる、私のせい」
从 ゚∀从「だったら何で……」
ξ゚听)ξ「だからよ。そのけじめをつけるの」
从 ∀从「……………」
本当に
ξ゚听)ξ「アンタのために何でもやる。死ぬまで付き合ってやるから」
从 ∀从「……………」
だからコイツは嫌いなんだ
お節介で
自己中心的で
まるで
昔の―――
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