('A`)が神を認めないようです。
- 49: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:21:27.47 ID:G4rknH4N0
从#゚∀从「神出てこいやー!! 私がここでぶっ飛ばしてやる!!」
(;-_-)「落ち着くんだハイン。 少しは体力を温存して…。」
从#゚∀从「うっせー! 調子に乗りすぎなんだよあいつは!!」
その時、ハイン達が入ってきた方と逆の扉が開いた。
中から出てきたのは…。
( ∵)「やれやれ。騒々しいやつだ。」
神ではなかった。
- 51: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:22:42.29 ID:G4rknH4N0
雰囲気から察するに恐らく人間ではなく契約者だろう。
だが、知らない顔だ。
神に従った契約者の3人のなかの一人だと思われるそいつは、ビコーズと名乗った。
从 ゚∀从 「おいおいおいおい! しらける真似すんじゃねーよ。
お前如きに私の相手がつとまるわけねーだろ。とっとと神の野郎を出しやがれ!」
( ∵)「神様は忙しいお方でな。 お前たち如きの相手をする暇はないのさ。」
从#゚∀从「ふざけるんじゃねぇ!!! 」
- 54: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:24:06.46 ID:G4rknH4N0
( ∵)「ふざけてなどいないさ。 お前たちの相手は私で十分だ。」
从#゚∀从「てめぇ!! 言わせておけば!!!」
(-_-)「落ち着けって言ってるだろ。 ビコーズだっけ? いくつか聞きたい事があるんだけど。」
( ∵)「なんだ。人間の方がよっぽど話が出来るようだな。 言ってみろ。」
从#゚∀从「コラ!この引き篭もり野郎!! 邪魔すんじゃねー!!」
(;-_-)「それは何年も前の話だろう…。 僕が話をするからちょっと待っててくれ。」
从#゚∀从「………ケッ。」
- 55: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:25:40.59 ID:G4rknH4N0
なるほど。どうやら噂は本当らしい。
見てるだけでいいコンビだという事がわかる。
あの騒がしいハインリッヒを簡単に大人しくさせるとは…。
ヒッキー。 見た目で判断するなら年のころは20代後半といったところだろうか?
しかし、その落ち着きはもっと上の年齢にも見える。
(-_-)「さて、それじゃまず一つ。 ここに神はいるのか?」
どういうことだ…??
神がいるからこそ乗り込んだのではないのか?
- 56: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:27:07.36 ID:G4rknH4N0
( ∵)「………今はお出かけになられている。」
その言葉に疑問が浮かぶ。
でかけている…。 その事はたいした問題ではない。
だが、なぜそれがヒッキーにわかったんだ?
少なくともハインの表情を見る限り、ハインはその事には気付いていなかったようだ。
(-_-)「僕達がここにきたことは知っているのか?」
( ∵)「………。」
- 57: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:28:10.92 ID:G4rknH4N0
(-_-)「知らないんだな。 つまり、君は独断で僕達の前に出てきたのか。」
( ∵)「…フン。 それがどうした?」
ヒッキーがどうしてそんな事がわかるのかは、私にはわからない。
ただ、コレだけはいえる。
状況を把握する能力。ヒッキーはそれに秀でているのだ。
神という強大な敵。それに挑みに来たときでも、恐怖に縛られたり、興奮して冷静さを失ったりする事がない。
きっちり状況を把握するだけの落ち着き。
間違いない。ヒッキーは契約するときのパートナーとして非常に優れた人間だ。
- 58: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:29:16.67 ID:G4rknH4N0
(-_-)「聞きたいことはそれだけだ。 じゃあ始めようか。」
( ∵)「何を偉そうに。 お前如きが神につかえる天使に勝てるとでも?」
テレビ越しでもわかる。
空気が一気に戦闘状態に変わる。
ついに始まる。 最強のコンビ、ハインリッヒとヒッキー。
この二人が簡単に負けるところなんて想像がつかない。
- 59: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:30:18.19 ID:G4rknH4N0
从 ゚∀从「ヒッキー! 能力の補佐は完璧だ! その身の程知らずを蹴散らしてやれ!!」
(#∵)「なめやがって!! いくぞ、コール!!」
ビコーズが右手を前に構える。
その突き出された手から一本の細長い火で出来た槍が出てくる。
それはかなりの速度でヒッキーへむかっていく。
しかし、それをよけるそぶりもせずヒッキーは正面から突っ込んでいく。
- 60: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:31:20.47 ID:G4rknH4N0
(-_-)「コール。」
走りながら両手をビコーズにむけてそう呟く。
その瞬間ビコーズは何かに押し潰されるように地面に這いつくばった。
その姿はまるで潰されたカエルのようだ。
(;∵)「ぐあっ…。重力の能力か…。」
まったく身動きが取れなくなるビコーズ。
しかし、ヒッキーにむけられたフレイムランスはすでに命中する寸前だ。
- 61: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:32:22.18 ID:G4rknH4N0
(-_-)「ハイン、剣だ。」
从 ゚∀从「まかせとけって!!」
だがヒッキーに襲い掛かる火の槍は体に触れた瞬間かきけされた。
そのことがわかっていたかのようにビコーズに向かって走り続けるヒッキー。
(;∵)「馬鹿な!? いつの間にアンチフレイムを…!??」
(-_-)「ここに乗り込んでくる前からさ。」
ビコーズが言葉を発したときにはもうヒッキーは目前にいた。
この距離ではもうアンチは間に合わない。
この勝負は…ヒッキー達の完勝だ。
- 63: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:33:23.24 ID:G4rknH4N0
(-_-)「コール。」
そう呟くと同時に右手で左の腰の位置の何もない空間をつかむ。
いや、正確には何も無かった空間。
その空間にはヒッキーがコールと叫んだ瞬間から剣の柄があったのだ。
そのまま柄を引き抜くと空間から出てくるのは一本の日本刀。
(-_-)「おぉぉぉおおおおお!!!」
叫び声をあげながらビコーズにすれ違い様に斬撃を浴びせる。
居合斬り。
相当鍛錬をつんでいたのだろう。
その斬撃は鋭く、何よりも速かった。
- 65: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:34:25.88 ID:G4rknH4N0
―――勝負あった。
誰もがそう思った。
ヒッキーもハインリッヒも、私もビコーズ本人でさえ。
しかし………。
(;∵)「…………??」
ビコーズは生きていた。
そして……。
- 66: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:35:38.38 ID:G4rknH4N0
(;-_-)「うわあああああああああああ!!!!!!!!」
炎に包まれるヒッキーの悲鳴が響いた。
从;゚∀从「ヒッキー!!? どういうことだ!!?」
そしてハインリッヒの後ろから声がした。
「いけませんねぇ。主のいない家で勝手に暴れてしまっては。」
- 68: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:37:29.82 ID:G4rknH4N0
背筋が凍るような低い声。
すべてを圧倒するプレッシャー。
そう、ここにいるはずのない主。
(・∀・)「はじめましてハインリッヒ君。」
神が立っていた。
- 69: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:38:57.21 ID:G4rknH4N0
从#゚∀从「てめぇぇぇ!!!! ヒッキーに何をしたぁ!?」
(・∀・)「見ればわかるだろう? 燃やしたのさ。」
男はそれが当然と言わんばかりの態度で言葉を紡ぐ。
まるで、自分がしている行為が間違っているはずがないと考えているような瞳。
その男、神はスーツの上着を脱ぎながらビコーズに近寄る。
(・∀・)「大丈夫だったかい? 私のかわいい天使よ。」
(;∵)「は、はい! ありがとうございます神様!」
- 71: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:40:06.03 ID:G4rknH4N0
重力の能力から開放されたビコーズは安堵の表情を浮かべ神にひざまずく。
その様子を見て満足気な顔の神はビコーズに尋ねる。
(・∀・)「一体これはなんの騒ぎだね?」
( ∵)「は、それが…。」
ビコーズが神に状況を説明してると思われる背後では、
ヒッキーが今まさに息を引き取ろうとしていた。
- 73: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:41:29.04 ID:G4rknH4N0
(-_-)「う……、うぁ……」
从 ゚∀从「ヒッキー!! おい、ヒッキー!! 嘘だろ!? こんなとこで死んじゃダメだ!!」
(-_-)「ご……ごめん……ハイ…ン…。」
从 ゚∀从「いやだ!! 謝らないで…、謝らないでよ…。」
(-_-)「いま…まで、…あり…が…。」
从 ;∀从「そんな事言わないで…。 もうワガママ言わないから。 いう事聞くからさ…。」
(-_-)「ごめん…。本…当に。」
从 ;∀从「やだよぉ…。 私…、ヒッキーがいないと、また一人ぼっち…。」
- 74: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:43:03.24 ID:G4rknH4N0
(-_-)「ハ…イン…。 僕…君の…事…g」
从 ;∀从「なに? お願い! ちゃんと言ってよ! 何でも聞くからさ!!」
(-_-)「好き…だよ…。」
从 ;∀从「…!! 私も…私も好きだよ! ヒッキー!! だから…!」
(-_-)「最後に…水…のみたいな…。」
从 ;∀从「最後なんていうなよ!! いくらでも飲ませてやるから! だから、生きて!!」
(-_-)「…………。」
从 ;∀从「ヒッキー…? ねぇ! ねぇってば!! 起きて! 起きてよ!!!!」
(-_-)「…………。」
从 ;∀从「う……うわぁぁぁぁ!!!!!!!」
- 77: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:44:22.25 ID:G4rknH4N0
ヒッキーはそのまま動かなくなった。
もう、これからハインを支える者はいない。
暴走したハインを止める者はいない。
拗ねたハインの頭を優しく撫でてくれる者は…いない。
- 78: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:45:39.39 ID:G4rknH4N0
(・∀・)「ふむ…。つまり、彼らが侵入してきたから、私に知らせる事なく、迎え撃ったと?」
(;∵)「も、もうしわけありません!!! しかし、わざわざ神様の手をわずらわせるほどの事ではないと…。」
(・∀・)「なぜ君がそれを判断するんだね?」
(;∵)「……は?」
(・∀・)「私の手を煩わせる事ではない、と判断したのだろう? なぜ君にそんなことがわかる?」
(;∵)「いや、しかし…」
- 80: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:46:38.44 ID:G4rknH4N0
(・∀・)「もしハインリッヒ君が私に従うつもりが少しでもあったなら、君のせいでそれが潰れてしまった。」
(;∵)「も、申し訳ありません!! しかし、やつらに服従するつもりなど…」
(・∀・)「何度も言わせるな。 なぜ君にそんなことがわかるのだね?」
(;∵)「…申し訳ありません。」
(・∀・)「私はね。 部下を大事にする主義なのだよ。」
(;∵)「……はぁ。ありがたく思っております。」
(・∀・)「だがね、使えぬ部下は部下ではない。」
- 82: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:47:48.46 ID:G4rknH4N0
そう言いビコーズの肩に手を置く。
ビコーズが言葉の意味を理解し、慌てて神に媚びるような視線を送る。
(;∵)「か、神様! 申し訳ありm」
(・∀・)「消えろ。ゴミが。」
その瞬間ビコーズの体が激しく燃え上がった。
赤く、紅く、朱い、見ているだけで火傷しそうな炎。
その炎は一瞬燃え上がったあとすぐに消えてしまった。
しかし、そこにはビコーズの焼け焦げた遺体すら残ってはいなかった。
- 83: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:48:59.08 ID:G4rknH4N0
(・∀・)「さて、と。」
そう言いながら立ち上がる神。
そしてハインリッヒに向かい一歩ずつ歩いていく。
从 ∀从「ヒッキー…。 ごめんな。 絶対、仇はとるからさ。」
全身火傷だらけのヒッキーの遺体をそっと床に置く。
その体はとても軽く、まるで何もはいっていないようだった。
- 85: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:50:20.06 ID:G4rknH4N0
(・∀・)「ハインリッヒ君。すまなかったね。どうやら私の勘違いだったようだ。」
从 ∀从「………。」
(・∀・)「てっきり一方的に襲われてると思ったのだよ。 しかし、これは正等な勝負だったようだ。」
从 ∀从「………。」
ハインリッヒは何も語らない。
何を考えて黙っているのか、その答えは本人にしかわからない。
ただ、これだけはわかる。
今神がしてる行為。
だらだらとどうでもいい事を喋ったり、何の意味もない説明をしてみたり。
これらの行為は、ただいたずらにハインリッヒを挑発しているのとなんら変わりはない。
- 86: ◆2tIpUAdHJU :2007/08/25(土) 01:51:22.57 ID:G4rknH4N0
テレビ越しに見ているだけでハインリッヒの怒りがどんどん膨れ上がっていくのがわかった。
そしてそれは
(・∀・)「ヒッキーといったかね? まぁあのようなゴミとの契約が解除できただけでもよかったと思ってはもらえないだろうか。」
―――この言葉で爆発した。
从#゚∀从 「ぶっころす!!!!!」
第7話 ヒッキー
戻る/第八話