('A`)が神を認めないようです。
- 1: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:29:17.95 ID:aKVPfix40
川 ゚ -゚)「よし。いつまでも感心してる場合じゃない。 じゃあ次はレベル50を具現化してみようか。」
('A`)「…わかった。」
少し不安はある。
失敗するんじゃないだろうか? レベル50はちゃんと出現できるんだろうか?
もし失敗すればクーに呆れられるかもしれない。
そんなことはなかったとしても、少しでも格好つけたい。
まだ最初だし失敗するものかもしれない。だからこそ、ここでレベル50を簡単に出せれば自分は褒められるだろう。
褒めてほしい。良く思われたい。
- 3: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:30:39.51 ID:aKVPfix40
…なんてくだらない自尊心だろう。
それは誰の心にでもあるものかもしれない。
しかし、俺はきっとその思いが人より強いんだろう。
自分で勝手に重圧をかけて、勝手に緊張する。
そんな状態で上手くいくはずなんかなかった。
('A`)「コール!!」
三度目ともなると多少は慣れてくる。
今回もいつもどおりに出現するその柄を掴んだ。
- 5: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:32:00.00 ID:aKVPfix40
川;゚ -゚)「それは…!? ドクオ!! 少し待て!!!」
('A`)「え?」
振り向きながらそれを引き抜いた。
空間からズルリと引き抜かれるソレは話に聞いていた飛び道具に使うような槍にはとても見えない。
太くずっしりとした柄の先についているのは剣のような刃だ。
異様なのはその形状だ。
柄の長さは1mといったところだろう。その先にほぼ同じ長さの刃が伸びていたのだ。
その刃はどことなく蒼白く光って見える。
いや?違う。 光っているのだ。
刃の部分が光を発している。
これが…流星??
- 6: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:33:14.53 ID:aKVPfix40
(;'A`)「…………うあっ!?」
その槍に目を奪われているといきなり耐えがたい頭痛に襲われた。
そのまま視界が黒く染まっていく。
必死で意識を保とうとするも、抗いようの無いその感覚についにその意識を手放す事になる。
ガランッ―――。
最後に耳にしたのは手から滑り落ちた槍の奏でる音だった。
- 7: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:34:24.62 ID:aKVPfix40
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「―――であるからして、警察も必死に神軍の暴走を止めようと…。」
( ゚∀゚)「…………。」
退屈だ。
今の気分はその一言で完全に説明できた。
目前で熱弁しているのは数学教師。
ただし、元…だ。
神様が現れてから、ほとんどの授業は全国の状況を報せたり、神軍、人軍の素晴らしさを語るものになってしまった。
そして現在偉そうにごちゃごちゃ語ってくれてるこのお方は人軍派。
神様を信じて、自分は選ばれたんだと確信する自分にとって今の時間は退屈以外の何物でもなかったのだ。
- 8: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:36:10.39 ID:aKVPfix40
( ゚∀゚)(ドクオ…今日は学校来なかったな。)
昨日俺はドクオを神軍に誘った。
理由はいくつかある。 単純に一人で神軍に入るのは怖かった。
それにドクオはなぜか他の皆とは違う気がしたんだ。
きっと一緒に神軍に入って一緒に強くなれる。
そう思ったんだけど…。
( ゚∀゚)(フラれちまったんだな。)
だからって学校まで休むことはねーと思うんだが…。
ツンとブーンまで来てねぇし。
- 9: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:38:23.19 ID:aKVPfix40
ツンとブーンがセットで休むのは今回が初めてじゃない。でもドクオも一緒なのは初めてだ。
…俺一人ハブられたんだろうか?
( ゚∀゚)(…いや、そんなわけねーよな。 俺たち友達だし。)
そう、友達なんだ。
俺もあいつらを信用してるし、きっとあいつらも俺の事を…。
さてと。
今日の放課後神軍に入りに行くんだ。
くだらない授業はほっといて今のうちに体力蓄えとくか。
( -∀-)(おやすみなさい。)
- 11: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:40:16.73 ID:aKVPfix40
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(*゚∀゚)「さて、そろそろ特訓第二段階に入ろっか♪」
ξ゚听)ξ「ぜぇ…ぜぇ…。 第二段階…って?」
訓練が始まって既に何日たったのかわからない。
1週間もたってないと思うんだけど…。
何せここにいると睡眠が必要ないらしくて、ひたすら能力の発動と少しの休憩の繰り返しなんだもの。
その間しいはマネキンに向かってずっとレベル100の能力を発動させてた。
足を固めてみたり腕を固めてみたり、時には全身を固めたり。
私はレベル90までは数回使えるようになったんだけど、100以上を使うと立っていられなくなる。
それも少しずつマシにはなってきたんだけどね…。
こうなるまでに何回吐いたかわからないけど。
- 13: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:42:00.65 ID:aKVPfix40
(*゚∀゚)「第一段階は思い描いた能力の発動と、それを使える精神力を養う事が目的なの。」
ξ゚听)ξ「うん…、それは…」
なんとなくわかってた。
てか、馬鹿でもわかることよね。
ただ能力使えるようになろうとしてただけなんだもん。
(*゚∀゚)「第二段階はそれを実際にいろんな状況で使う訓練よ。」
ξ゚听)ξ「…………。」
- 15: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:43:03.00 ID:aKVPfix40
いろんな状況…。
私が今、学校を休んで家にも帰らないで訓練してるのはすべて神に勝つため。
つまり、能力を使う状況なんてただ一つだ。
戦闘中。
その時以外にはありえない。
ξ゚听)ξ「わかったわ。 じゃあさっそくその第二段階とやらにはいりましょ。」
あえて戦闘と言う言葉を使わずにおいたのはおそらくつーの優しさなのだろう。
ならば今はその優しさを無碍にする事はない。
気付かないフリをしておくのがいいだろう。
- 16: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:44:23.93 ID:aKVPfix40
(*゚∀゚)「じゃあ今からあのマネキンが動き回るから、それを逃がさないように燃やしてみよう♪」
ξ゚听)ξ「オーケー。そんなの楽勝よ!」
逃げ回るマネキンのうちから一体を狙う。
動き回る相手が複数いる場合、狙ったターゲットをコロコロ変えてはならない。
一つのターゲットを狙い続ける事によって相手の次の行動が予測しやすくなるからだ。
ξ゚听)ξ「コール!!」
マネキンの動きを先読みして、その空間を指定する。
大きさはマネキンとほぼ同じサイズだ。
あとはその空間に次のアクションを指定しなければならない。
思い浮かべろ。イメージするんだ。
紅い炎。燃え上がる火。焼き焦げて崩れるマネキンの姿。
- 18: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:46:17.35 ID:aKVPfix40
ξ゚听)ξ「コール!」
マネキンが指定した空間に侵入した瞬間言葉を発する。
同時に指定した空間の中は真っ赤な火で埋め尽くされた。
行動を完全に読まれたマネキンはその姿をとどめることができずただの炭と化す。
(*゚∀゚)「おー!やるじゃん♪ まさか一発でクリアできると思わなかったよ!」
ξ゚听)ξ「高レベルの能力は苦手だけど、40までの火の能力は完全にマスターしたわ。もう大丈夫。」
(*゚∀゚)「いや、自信もっていいよ! 最初からここまで相手の動きを先読みして、適切なサイズの空間指定をして、
さらに火の中では一番高レベルの40を瞬間に発動する。 初心者が出来ることじゃないさね。」
ξ*゚听)ξ「べ、べつに誰でもできるわよ! それに今回たまたま上手くいっただけかもしれないし…。」
つーは教え方が上手だと思う。
上手く出来たら褒めてくれるし、手を抜いたらちゃんと叱ってくれる。
飴とムチ…っていうのかわからないけど、やる気がでる。
- 19: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:48:26.70 ID:aKVPfix40
(*゚∀゚)「おし。じゃあもう本番いっちゃおうか。」
ξ゚听)ξ「…え?」
本番??
どういうことだろう?
動き回るマネキンの速さはそれほど遅くはなかったと思うのだけど…。
(*゚∀゚)「よし、じゃあさっそく始めよう!スタート♪」
ξ;゚听)ξ「え!? ちょtt…」
私の疑問は最後まで言葉になることはなく中断された。
その理由は簡単だ。
喋ってる暇がなくなったから。
だってそうでしょう?
3体のマネキンが一斉にこっちへむかって襲い掛かってきたら、
誰だって疑問なんか置いといてとりあえず逃げようって思うわよ。
- 21: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:49:48.21 ID:aKVPfix40
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ω )「…………。」
(´・ω・`)「どうした? もう終わりかい??」
( ω )「コール。」
その言葉を合図に僕を中心にして半径5m程の円を描くように炎が地面から噴き出す。
真っ赤な真っ赤な炎。
どう考えても逃げ場はない。
全てを焼きつくさんとするその圧倒的暴力は当然目の前にいたショボンをも飲み込む。
――だが。
- 24: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:51:48.28 ID:aKVPfix40
(´・ω・`)「その程度では僕には勝てない事くらいもうわかっただろう?コール!」
その炎を掻き分けて中から姿をあらわすショボン。アンチフレイムか…。
こちらへ飛び掛りながら頭上に高く両腕をふりあげる。
( ω )「コール。」
頭の中に描くイメージは剣の直撃を防ぐ自分自身の姿だ。
僕の体に触れた瞬間姿を消すその刀身。
そのイメージを強固な物にする。
- 26: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:53:11.44 ID:aKVPfix40
(´・ω・`)「そうだ。この状況で僕が使うのは剣か槍の能力。 あそこまで接近してしまえば槍より剣の間合いだ。
その判断が瞬時にできるようにならなければ君は簡単に切り殺されt…」
( ω )「コール!!」
今ショボンが何か喋っていた気がする。気のせいだろうか?
それより今は戦闘中だ。
この状況で余裕をかましているほうが悪い。
重力のレベル100の能力。
それは相手を上から100kgの力で押さえつける能力だ。
重力の能力は非常に単純でわかりやすい。
能力のレベル=相手にかける重力(kg)なのだ。
馬鹿な僕にはありがたい。
- 28: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 00:54:46.56 ID:aKVPfix40
(;´・ω・`)「う…、これは…。。 まずったかもしれないな。」
ショボンのその言葉を聞いて内心ニヤリとする。
長かった戦いだったが、ようやくそれも終止符をむかえることになるのだ。
正直嬉しい気持ちがある。
あとは決めるだけだ。
( ^ω^)「コール!」
さっきに続いて二度目のフレイムウォール。
しかし今回はショボンはアンチフレイムはかけれていない。
さらに重力により身動きも取れない状態だ。
勝った。ようやく…これで休憩できる。
- 33: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 01:01:11.49 ID:aKVPfix40
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(´・ω・`)「よし、合格かな。」
(; ^ω^)「ふぅ…疲れたお。」
ようやく終了した第4段階の訓練。
ショボンに言われて火の能力のレベル200を初めて使ったときは多少目眩を感じたものの、
今では多少連発しても平気になった。
第1段階は能力ごとの最高レベルが使えるようになった事でクリアした。
次は第二段階のマネキンとの戦闘だったが、フレイムウォールを使える時点でそれは意味をなさなかった。
だから、第3段階を飛ばして第4段階の訓練の契約者との戦闘を行っていたのだ。
- 34: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 01:02:53.08 ID:aKVPfix40
訓練室の中では能力同士の戦いではケガをしない。
当然殴れば痛いし、実在する刃物を使えば簡単に致命傷を負わすことができるが、
フレイムランスやフレイムボールでは火傷一つおわないし、
能力で出現させた剣ではかすり傷すらつけることはできない。
ただ、能力の威力はすさまじく、そのほとんどが一撃必殺。
もし訓練室の外でそれをうければ死は免れないだろう。
つまり、攻撃が相手に直撃した時点で勝利はほぼ確定といえるのだ。
この事を考えて訓練を行っている。
だから、こちらの攻撃を相手にクリーンヒットさせることができれば一本となり、
ショボンから一本とることが休憩の条件だったのだ。
戦い始めてからすでに10時間はたっているだろう。
体はバテバテで頭はフラフラだ。
ショボンから一本とるまでに何本とられたかわからない。
おそらく3桁に達するだろう。
- 35: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 01:04:37.91 ID:aKVPfix40
(; ^ω^)「もう最後の方は完全に無我の境地だったお…。」
(´・ω・`)「僕もこんなに長い間やったのは初めてだよ。疲れた…。」
体全体を包む心地よい疲労感と達成感。
何度も負けてやっともぎとった一度の勝利。
それを喜んでいる自分が少し恥ずかしくもあるが、
何より強くなっていると感じられるのが嬉しかった。
( ^ω^)(ツン…。ブーンは頑張ってるお。そっちはどうだお?)
- 36: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/20(土) 01:06:32.63 ID:aKVPfix40
大の字になって寝転がりながら思う。
きっとツンは大丈夫だろう。
自分なんかよりはるかに頭がいいのだから。
このまま目を閉じて少し休む事にしよう。
まだまだ先は長い。
第15話 ブーンの進化
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