('A`)が神を認めないようです。
- 1: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:42:35.77 ID:M2HvHniu0
('A`)「うぅ…。頭がクラクラする。」
目が覚めると同時に感じる不快な目眩。
何がどうなったんだっけか…。
確かクーと訓練してて…、そうだ!流星を具現化しようとしたんだ。
('A`)「たったレベル50でこのざまか…。」
- 3: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:46:26.51 ID:M2HvHniu0
情けない。
本当に自分の弱さに腹が立つ。
こんなことで神に勝てるのだろうか?
クーを守るまもることができるのだろうか??
川 ゚ -゚)「起きたのか??」
('A`)「クー…。」
川 ゚ -゚)「体調はどうだ??」
('A`)「最高…とは言えないな。」
- 5: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:48:01.48 ID:M2HvHniu0
そのときようやく自分が今どこに寝ていたのか確認できた。
ベッド。それもおそらくクーのものだろう…。
枕からシャンプーの匂いがする。
(*'A`)「…………。」
川 ゚ -゚)「どうした?」
(*'A`)「なんでもないです。」
川 ゚ー゚)「へんなやつだな。」
そう言って微笑んでくれるクーを見て、やっぱり俺はこの人を守りたいと再確認する。
そのために…、もっともっと強くならなければならない。
- 6: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:49:37.80 ID:M2HvHniu0
('A`)「クー…ごめん。」
川 ゚ -゚)「ん? なにがだ??」
('A`)「いや、たかがレベル50もまともに使えないなんて情けなくて…。」
川 ゚ -゚)「??」
('A`)「レベル50の槍を具現化したから俺倒れたんだろ?? それが情けないんだ。」
川 ゚ -゚)「あぁ、そういうことか。それなら気にしなくていい。」
('A`)「でも…。」
- 8: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:51:07.83 ID:M2HvHniu0
川 ゚ -゚)「あれは槍のレベル100だ。まだ慣れてないのにあんなものを具現化させれば意識が飛ばないほうがどうかしてる。」
('A`)「…………え??」
川 ゚ -゚)「だから、ドクオが具現化したのは流星ではなく蒼月。レベル100の槍だ。」
(;'A`)「そうなの?」
川 ゚ -゚)「そうなの。」
なんということだろう。
レベル50を具現化させるつもりでレベル100を具現化させてしまうなんて。
これじゃ俺がぶっ倒れてもしょうがないよな…。
でもよく考えてみれば、どれだけ集中できてないんだよ。
結局格好悪いのは変わらない。
…少しイヤになる。
- 9: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:52:25.42 ID:M2HvHniu0
('A`)「他の二人は今どんな感じなんだ??」
川 ゚ -゚)「…………。」
('A`)「クー?」
どうしたんだろう?
あまり言いたくなさそうだが…。
もしかして思うほど上手く進んでないんだろうか?
川 ゚ -゚)「言いづらいんだが…。」
('A`)「え??」
- 12: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:54:22.00 ID:M2HvHniu0
川 ゚ -゚)「ツンはもう第2段階を終了させる勢いだ。 ブーンは驚く事に第4段階をクリアした。
はっきり言って…、ドクオはかなり遅れをとってる。」
('A`)「…………え?」
第2段階ってなんですか?
僕は第1段階ですよね?それも終わって…ないですよね?
しかもブーンは第4段階クリアですか。そうですか。
これはまいったね。
('A`)「もうダメかもわからんね。」
川 ゚ -゚)「何を言ってるんだ。まだまだ追いつけるさ。」
- 13: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:55:59.47 ID:M2HvHniu0
クーのその言葉は励ましだというのが見て取れた。
恐らく、俺がここで馬鹿みたいに寝てる間に差は大分開いてしまったんだろう。
俺が…最下位か。
('A`)「…………。」
川 ゚ -゚)「ドクオ…。」
('A`)「うし。じゃあさっそく訓練再開しよう! とっとと追いつかねぇとな。」
川 ゚ー゚)「…そうだ。 それでこそ私のパートナーだ。」
ダントツの最下位。もうクーには十分格好悪いところを見られた。
なんだかここまでダサイと逆に吹っ切れた。
どうせ自分はこんなもんだ。それならがむしゃらに頑張ってみよう。
全てはそれからだ。
- 16: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:57:30.15 ID:M2HvHniu0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(,,゚Д゚)「決めたぞ。」
(・∀・)「決断力はいいものをもっているようですね。どうします?」
(,,゚Д゚)「俺は…お前の配下につく。」
(・∀・)「おぉ! それは素晴らしい判断だ。喜んで迎え入れますよ。」
(,,゚Д゚)「…………。」
(・∀・)「これからは私の為にしっかり働いてください。
といっても、普段は適当にしてていいですよ。貴方を使う程の場面なんてそうは無いでしょうから。」
- 18: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 01:59:15.48 ID:M2HvHniu0
(,,゚Д゚)「じゃあ俺は行くぞ。俺の帰りを待ってるやつがいるんでな。」
(・∀・)「えぇ、どうぞ。 もし貴方の力が必要になった場合は呼び出しますよ。それでは。」
鍛え上げられた肉体。生まれ持った長身。
筋骨隆々といった感じのその男の名はギコ。
ようやくその男が自分の配下となったのだ。笑いがこみ上げてくるのも仕方がない。
ハインリッヒは使えなかった。クーは姿をあらわさない。
だが一番欲しかった駒であるギコを手に入れた。例え他の二人がムリだとしても、どうしてもギコだけは欲しかったのだ。
敵にまわすと厄介な相手だったが、これでもうその心配もなくなった。
それにしても…。
(・∀・)「帰りを待つ人…ねぇ。」
- 20: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:00:37.89 ID:M2HvHniu0
愚かな。
自分に関係ない話だとわかっていても不愉快に感じる。
(・∀・)「まぁ…、様子をみようか。」
焦る必要はない。
世界は間違いなく自分の思い通りに動いているのだから。
あぁ、そういえばニダーから連絡がきていたな…。
(・∀・)「もしもし、ニダー君かい?」
- 22: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:01:57.67 ID:M2HvHniu0
<ヽ`∀´>「これは神様。わざわざかけなおして頂いて申し訳ないニダ。」
(・∀・)「構わないよ。何の用だい?」
<ヽ`∀´>「近々神軍と人軍で直接対決をするニダ!その時の為に天使様に増援を願いたいニダ。」
ようやくか。
うっかり言葉が口から漏れそうになる。
人軍だかなんだか知らないがとっとと潰してほしいものだ。
しかし…気になる事がある。
(・∀・)「増援を出さないと勝てないのか?」
<;ヽ`∀´>「い、いや。そういうわけじゃないニダ。ただ、確実に勝つために…。」
- 27: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:03:44.63 ID:M2HvHniu0
(・∀・)「つまり天使を増援に出さないと確実には勝てないと?」
そう言いながらも内心では、実際増援を送らないと確実に勝利することはできないだろうと思っている。
人軍の軍長の双子にはそれなりの能力を渡している。
まぁ、まさか人間の味方につくとは思わなかったが…。
さて…。ニダーは私の問いになんと答えるかな?
私は嘘つきがきらいだからね。言葉を選ばないと大変な事になるよ。ニダー君。
- 29: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:05:11.64 ID:M2HvHniu0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
訓練を始めてからもう一ヶ月がたった。
俺もようやく第3段階をクリアしたところだ。
その内容は相手の能力をアンチで消すことに慣れること。
アンチ能力を使うと相手の攻撃が自分に触れた瞬間消滅する。
だが、目の前にフレイムボールやフレイムランスがせまってきたら怖いだろ?常考。
目をつぶったり、反射的に避けようとしてしまうんだけど、そうなったら当然反撃なんかできない。
その上相手に追撃を許す事になる。これは危険だ。
これに慣れるまでに二週間程かかった。
自分でも臆病な方だとは自覚していたつもりだったがここまでとは…。
どうやらブーンは最初の二週間で第4段階まで全てクリアしたらしく、
残りはずっと第4段階のショボンとの戦闘に費やしていたらしい。
- 31: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:07:13.07 ID:M2HvHniu0
ツンは第二段階も第三段階も2週間で突破できたが、第4段階はいまだにクリアできず。
つーは戦闘モードに入ると性格が変わるらしい。 おそろしやおそろしや。
一ヶ月世界から隔離されたこの空間で生活してたが、そろそろ外の世界がどうなってるのか一旦把握しておこうということで、
一時解散してまた明日集合ということになった。
('A`)「しっかし…、やっぱ一ヶ月放置はよくねぇな。」
家に帰ってまず目に付くのは、フローリングの床にたまったほこりである。
家の中は独特の匂いが充満し、なんとも体に悪そうだ。
とりあえずカーテンを開けると明るい光が部屋に差し込む。
埃が舞っているのがとてもよくわかる。うん。呼吸したくない。
- 33: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:09:05.68 ID:M2HvHniu0
(;'A`)「ゲホッ。 とりあえず窓あけて掃除しよう。」
そういえばそろそろ家賃も払いにいかねぇと…。
携帯代やネット代も払ってねぇし、電気もガスも払わなきゃならない。
('A`)「…ウツダ」
まったく使ってない部屋や携帯の料金を払うのがすごくもったいなく感じる。
携帯にいたっては充電がきれたのもいつだったか覚えていない。
とりあえず充電器に差し込み掃除機をかけることにしよう。
- 35: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:10:27.50 ID:M2HvHniu0
川 ゚ -゚)「何か手伝おうか?」
('A`)「手伝ってくれるのか? じゃあ掃除機かけててくれ。先に料金支払ってくるわ。」
川 ゚ -゚)「了解した。」
掃除機をクーに手渡し、代わりに財布と数枚の請求書を持ってコンビニへとでかける。
そういえばコンビニなんて久しぶりだ。
ついでにお菓子やジュースなんかも買おうかな。
クーも喜ぶかもしれない。
(*'A`)「…………。」
一人ニヤニヤしながら歩いてる俺。
どう考えても不審者です。本当にあr(ry
- 37: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:12:27.20 ID:M2HvHniu0
そんなこんなでコンビニで料金支払ってジュースとお菓子を買い込んで帰宅すると、部屋のなかは完璧に掃除されていた。
元々クーの空間に入る前にある程度整理しておいたのだが、テレビの上や台所までピカピカになってる。
('A`)「すげぇ…。」
川 ゚ -゚)「ん? 帰ったのか。」
('A`)「もう掃除終わっちまったのか? 別に寄り道したわけじゃなかったんだけど…。」
川 ゚ -゚)「私も仮にも女だからな。掃除くらいできるさ。」
仮にも――と前置きしているが、俺はクーが女らしくないとは思わない。
訓練してる間俺のご飯を作ってくれていたのはクーだし、
容姿だって顔は整ってるし、髪も長くて綺麗だし。
どう考えても女の子だ。
- 40: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:14:32.82 ID:M2HvHniu0
('A`)「そっか。 じゃあお菓子買ってきたからご褒美にくれてやろう。ありがたく頂戴するがいい。」
川 ゚ -゚)「訓練中の食料、3食×30日で90食。 1食300円として27000円いただこうか。」
('A`)「すみませんでした。 よかったら食べてやってください。」
最初からそう言えばいいんだと微笑むクーはやっぱり綺麗だと思う。
しかし、ルックス良くて運動神経抜群で、能力も多彩。
不公平な話だよな…。 俺じゃ…釣りあわねぇだろ。
('A`)「あー…。ウツダ」
- 42: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:16:38.89 ID:M2HvHniu0
本日二回目のそのセリフを口にしながらタバコに火をつける。
訓練中は一切吸ってなかったからなぁ…。
これこれ、この火をつける感じがいいんだよ。
そしてその煙を肺一杯に送りこむ。
まさに至福の…
(;'A`)「ゲホッ、ゲホ。」
…むせました。
そりゃ1ヶ月も吸ってなけりゃーね。
あー…気持ち悪い。
いい頃合かもしれんね。辞めようかな。
- 44: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:17:15.14 ID:M2HvHniu0
川 ゚ -゚)「大丈夫か??」
('A`)「あぁ。なんとか。そういやテレビ見た??」
川 ゚ -゚)「いや、まだ見てない。ドクオが帰ってきてからのほうがいいかと思ってな。」
確かに、クーが見たものを再度俺に説明してもらうのは二度手間になるしな。
たいした変化はないだろうが、少しはよくなってる事を祈りつつテレビに手を伸ばす。
- 46: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:18:36.51 ID:M2HvHniu0
「――まさに一触即発のこの状況。このままぶつかり合ってしまうのでしょうか??」
テレビから聞こえてくるのはかなり焦ったような声だった。
つけたばかりでいまいち把握できないが、画面右下に赤い文字でこう書かれていた。
【人軍VS神軍 勝つのはどっちだ!?】
その文字から予想できることはあまり考えたくないことだった。
つまり…。
('A`)「神軍と人軍が…戦争か。」
- 50: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:20:35.46 ID:M2HvHniu0
まったく考えなかった事じゃない。
むしろ薄々気付いてはいたんだ。
ただ、それを考えないようにしてただけで…。
今まで想像の中でしか存在しないような能力を手に入れて、人間がとる行動なんて予想がつく。
一つはその力をもって弱者を虐げようとする者。
そして、その強者から弱者を守ろうとする者。
どちらにも加わる事無く傍観する者。
どれが正しいのかなんてわからない。
人間だって肉を食うだろう?
食物連鎖ってものがある。弱肉強食って言葉もある。
ただ、人間はもともと食事当の目的ではなく自分以外のものを傷つけたり殺したりする生物だ。
己の欲求を満たす為。ただの腹いせ。憎悪。
理由なんてそれぞれだ。
人間は簡単に他の弱者を虐め、陵辱し、破壊する事ができる残忍な存在なんだ。
- 52: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:22:45.82 ID:M2HvHniu0
その人間が圧倒的力を手に入れたら?
他の力を持たない人間を自分より下に見るのもそんなにおかしい事ではないんじゃないだろうか??
そして人間というのは知恵のある生物でもある。
自分や、自分の大事な物を守るためにいろいろなルールを作って基本的に人殺しはご法度だ。
その結果、人間の世界では弱者を虐げる行為は決して公に認められていることではない。
強大な力を手に入れたからといって人間を殺す事が許されていいはずがない。
これもまた間違っていないんじゃないだろうか?
少なくとも、俺は殺すのも殺されるのもごめんだ。
- 55: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:24:40.79 ID:M2HvHniu0
そして最後に傍観する者。
なんだかんだいって俺はこれが一番人間らしい行動だと思う。
神軍、人軍どちらが正しいとは言えないが、それでも神軍は間違ってると思う。
殺しちゃ…ダメだろ常考。
そこまで考え方が固まっていても人軍に入るつもりはない。
何かキッカケがあれば入ったかもしれない。
ジョルジュに誘われたのが人軍だったら?
ブーンやツンが人軍に入ったら?
クーに人軍に入るべきだといわれたら?
- 57: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:26:24.95 ID:M2HvHniu0
きっと俺は入ってたと思う。
それでも人軍に入らなかったのは、ただ何もしなかったから。
それだけだ。
行動を起こす気になれなかった。
自分ひとりで奮起して、命を掛けて神軍から見ず知らずの一般人を守ろうという気にはなれなかったんだ。
それでも俺は今、神を倒そうと思ってる。
それは何故だ??
答えは簡単だ。クーを神から守りたかった。
もちろん神を倒せば友達やその家族、他にも全国のいろんな人を守る事に繋がるかもしれないし、
そういう気持ちがないワケじゃない。
- 59: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:28:08.75 ID:M2HvHniu0
でも一番の理由はクーが神に指名されてたから。
それだけなんだ。
命をかけて世界を守る。
そんな偽善くさいセリフ、口にする事もできやしない。
それでも俺は神と戦う。
('A`)「あんなやつ…神とは認めない。」
- 61: ◆2tIpUAdHJU :2007/10/29(月) 02:29:19.22 ID:M2HvHniu0
今…そんな事考えてる場合じゃなかった。
神と戦う理由なんて今更再確認するほどのことじゃなかっただろう。
どうして気付かなかったんだ。
どうして一瞬だけでも確認しなかったんだ。
きっと違う未来があったのに。
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