('A`)が神を認めないようです。

3: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:04:06.04 ID:TjcVaMl90
('A`)   :クーと訓練中。4段階目に挑戦中。能力は火、水、雷、槍、弓、合成、アンチ。
( ^ω^) :ショボンと訓練中。4段階目はクリアしていてドクオとツン待ち。能力は火、重力、剣、アンチ。
ξ゚听)ξ :つーと訓練中。4段階目に挑戦中。能力は空間、アンチ。

川 ゚ -゚)  :ドクオと契約してる契約者。所持能力は火、水、雷、重力、剣、槍、弓、合成、アンチ。
(´・ω・`) :ブーンと契約してる契約者。所持能力は火、水、重力、剣、槍、アンチ。
(*゚∀゚)  :ツンと契約している契約者。所持能力は空間、アンチ。


<ヽ`∀´> :神軍のリーダー。ゼロの中で唯一神と直接コンタクトが取れる。能力はフレイムランスのレベル92。

( ´_ゝ`) :人軍のリーダー。弟者と組んで人軍を率いている。能力はフレイムボールのレベル43。
(´<_` ) :立場は人軍の副リーダーだが、実際は二人で仕切っている。能力はフレイムボールのレベル22とアンチ系統のレベル100。

(・∀・)  :神。膨大な人数と強制契約し、ゼロを生み出した元凶。能力はフレイムウォールとアンチソードのレベル300の二つのみ確認済。



5: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:05:24.45 ID:TjcVaMl90

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(#'A`)「おらぁ!」

高く飛び上がり手を頭上にかかげる。
先ほど具現化したそれをターゲットへ向かって全力で投げた。

槍のレベル50〜99の能力「流星」。
特性は具現化された後、自動で対象者へ飛んでいくというものだ。
レベルに応じて最大3本同時に具現化させられる。

だが、現在の状況に限れば流星が相手へ向かって飛んでいってくれるのをただ待っているわけにはいかない。



7: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:06:48.47 ID:TjcVaMl90

川 ゚ -゚)「少しはマシになったか? だが、まだまだ。」


なぜなら相手は腕力よりスピードタイプのクーだ。

本来流星は相手に致命傷を負わせるよりも、隙を産み出す事に向いている能力。
同時に3本の槍が襲ってくれば流石にガードを固めるだろうからな。

しかし、俺が具現化した槍は1本だけ。
これには精神力の無駄な消費を抑えるためというちゃんとした理由がある。
もちろん、これでクーが足止めされれば儲けものだが、そう易々といくわけも無いだろう。



9: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:08:33.00 ID:TjcVaMl90


川 ゚ -゚)「相手との距離をとって戦うのならケチケチしてないで、3本同時に具現化するべきだ。」


身を逸らして流星を避けるとそのままスピードを落とさずにこちらへ向かってくるクー。
その右手に握られてるのは幻槍だ。
だが俺だって何も考えてないわけじゃない。


('A`)「紙一重でかわして突っ込んでくる。そのパターンはいい加減見飽きたんだぜ?」


コール。そう呟き出現して柄を引き抜く。
空間から姿を表すのは1mの柄と、同じく1mの刃を持つ異形の槍、蒼月だ。
重さもあり使いやすい部類ではないが、威力はケタがひとつ違う。
能力は槍を振るった際に発生する3mぐらいの衝撃波。
振り回す筋力さえつければ近接系統の能力ではかなり上のランクらしい。



12: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:10:02.80 ID:TjcVaMl90

川;゚ -゚)「蒼月!? …ッ!!」


そのまま蒼月を力任せに振り下ろす。
クーは慌てて幻槍で受け止めようとするが、能力のレベルが違いすぎる。


('A`)「この時を待ってたんだ!」


間違いない、このまま叩き潰せる。


―――そう確信した時にクーが笑った気がした。
なんだ…? なぜこの状況で笑える?



16: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:11:15.52 ID:TjcVaMl90

(;'A`)「…今更退けるか!」


クーに何か考えがあったとしても今更ひくわけにはいかない。
クーを幻槍ごと叩ききった。
そう感じた。
だが、実際はクーに触れた瞬間蒼月が消えてしまった。
これは…アンチランスか。

確信したときにはもう遅い。慌ててバックステップで距離を取ろうとするが…


川 ゚ -゚)「60点。あと少しだな。」


右手を俺に向けてコールと呟くクー。
その手から生み出されるのは炎の塊だ。
直径40p程度の炎の球体。フレイムボールか。
そう理解したところで意識が途切れた。



17: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:13:53.75 ID:TjcVaMl90





('A`)「あ〜…。いけると思ったんだがな。」

川 ゚ -゚)「君達はまだ経験が浅いから仕方がないかもしれないが、能力者同士の戦いで必須なのは最後まで気を抜かない事だ。
     アンチ能力で防がれる可能性を考慮したうえでトドメを刺すまで油断してはならない。」

('A`)「あ〜…。でもそんな偶然そう何回もあるもんじゃないんじゃね?」


完璧なタイミングで捉えたと思った。
動きの速いクーを捉えるには、こちらの攻撃をかわして反撃に転じたとき。そのときしかない。
その状況で相手の攻撃を叩き潰して、なおかつそのまま攻撃できるような状態。
そんなチャンスは滅多にない。
だが、あの時クーが使っていたのがアンチランスじゃ無ければ俺が勝っていたんだ。
素直に悔しい。



18: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:15:13.69 ID:TjcVaMl90

川 ゚ -゚)「偶然?それは違う?」


え?
思わず口から間抜けな声が出てしまった。
偶然じゃない?
クーは俺が槍の能力を使うことを予測してたってことか?


川 ゚ -゚)「私があの状況で君から反撃を受けるとすれば、選択肢は限られてくるだろう?」

('A`)「…ってことは。」


――クーが言おうとしてることがなんとなく理解できた。



22: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:17:48.99 ID:TjcVaMl90
つまり、俺の攻撃を避けて、なおかつすでに攻撃体勢に入ってるクー。
その状況では、能力の発動までに時間がかかる水の能力はムリだ。
さらに、リーチの長い幻槍を構えていたクー。火の能力はどれも近接向きではない。
電撃の能力はクーの攻撃を潰したまま相手を攻撃できるほどの破壊力はない。

すなわち、俺がその状況で使う能力というのは槍、それも具現化するのは蒼月しかないという事になる。


('A`)「あの一瞬でそんな判断してんの?」

川 ゚ -゚)「いや、君が流星を投げた時に笑ってたのを思い出してな。 何か企んでるんだろうと思ったわけだ。」


…ということは、あの時蒼月に驚いたフリをしたのも演技。
全部バレバレだったわけですか。

もう少しで勝てたとか思ってた数分前に自分をぶっ飛ばしてやりたいです。



25: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:19:19.36 ID:TjcVaMl90


('A`)「…くそ。 もう一度だ。」

川 ゚ -゚)「おや? めずらしい。 やる気じゃないか。」

('A`)「何度でもやるさ。落ち込んでる暇すらもったいない。」

川 ゚ -゚)「そうか。 あまりムリはするなよ?」


ムリはするな。
そう言ってくれるクーだが、その言葉に従ってるわけにもいかない。
今度こそ勝つんだ。



31: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:27:02.86 ID:TjcVaMl90


('A`)「コール。」


一度クーと距離を取って仕切り直しする。

今使ったのはアンチフレイムだ。
アンチ系統は重ね掛け不可能。一番最後に使ったものが上書きされていく。
だが、使うことにたいしてのデメリットはほとんどない。
他の能力とは違い、高レベルのものを使ってもほとんど精神に負担がかからないため、
使うときは常に最大のレベル。そして戦闘中は常になんらかのアンチ能力を自分にかけておくのが定石だ。


川 ゚ -゚)「コール。」


それは相手も同じ。
訓練を重ねるうちに、お互いが自分に何らかのアンチ能力をかけることが訓練開始の合図になった。
すなわち、今この時勝負は始まったというわけだ。



36: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:33:27.87 ID:TjcVaMl90


('A`)「今度こそ勝つ。コール!」


クーに向かって右手を向けながら叫ぶ。
じわじわと足元から湧き出てくるのはスライム状の半液体だ。
水の能力のレベル50〜99、粘水。
対象者の足元に非常に粘度の高い液体を出現させる。
温度は術者の意思次第で調節可能で、触れれば簡単には身動きが取れなくなる。
欠点は発現までに時間がかかることで、対象者がジャンプすれば簡単にかわされてしまうことだ。


川 ゚ -゚)「その能力は不意を突く際に有効だが、意識を集中してればかわすことは容易だ。」



37: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:34:08.85 ID:TjcVaMl90

予想通り空中へ逃れるクー。
飛び上がりながらもなんらかの能力を発動させたようだ。
何度も戦ってるうちに気付いたが、基本的に相手が何かの能力を使ったときには周りの空気が変わる。
温度というか、気圧というか…。なんと言えばいいかわからないが、空間が捻じ曲がったような感じがするのだ。
そして、今クーの周りでその現象が起きている。
ほら。右手の先から赤い火が溢れ出してきた。
それは形を整えていき、次第に大きな槍の形を成して行く。


川 ゚ -゚)「それと、今度は勝つ。というセリフはそろそろ聞き飽きた。いい加減本気になってくれないか?」


そう言うと完全に炎の槍と化したそれをこちらへ向かって放り投げる。
見るからに温度が高く、触れれば火傷ではすまないだろう。



38: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:34:42.46 ID:TjcVaMl90

('A`)「そんな軽い挑発には乗らんよ。コール。」


今まで何度も挑発に乗ってきて気付いた。
能力者同士の戦闘は熱くなって勝てるものじゃない。

どの能力も一撃必殺の力があるのだ。
勝負の流れは自然にいかに相手の攻撃を避けて、自分の攻撃を当てる事が出来るかになってくる。
それは詰め将棋のようなものだ。
相手の手を読み、それをかわすのか敢えて受けるのか判断する。
その上で自分が繰り出す最高の一手を瞬時に考えなければならない。

熱くなった頭で勝てるほどあまい物ではないのだ。



39: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:35:28.71 ID:TjcVaMl90

今クーの攻撃をかわしながら使ったのは
フレイムボールだ。
空中で相手の攻撃をかわすのは簡単ではない。
クーが飛び上がっている今がチャンス。


川 ゚ -゚)「コール!」


しかしフレイムボールはクーに触れる直前に消え去る。
アンチフレイム。
だが、そうやって避けるのは計算の上だ。



41: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:36:18.70 ID:TjcVaMl90


('A`)「どうした?ちょっとお疲れモードか?」


フレイムボールを放った瞬間からクーにむかって距離を詰めていた。
狙いは着地の瞬間だ。
走りながら幻槍を具現化する。
空間から引き抜くついでにそのままクーを攻撃する!


(#'A`)「おらぁ!」

川;゚ -゚)「くっ…。コール。」


同じく幻槍を具現化したクー。
ギリギリ俺の攻撃を受け止める事ができたが、今ならクーはアンチ能力が何もかかっていない状態だ。
一気に攻め立てる!



46: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:37:50.55 ID:TjcVaMl90


('A`)「コール!」


幻槍を放棄して次の能力を発動させる。
能力の中で一番発現が早い能力。
雷だ。


川;゚ -゚)「あっ…!」


バチッ!という音と供にクーが膝をつくのが見えた。
いける。次こそとどめだ。



47: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:38:54.27 ID:TjcVaMl90


('A`)「…………。」


クーに使ったのは雷の能力のレベル10。
電撃ほどの威力はないため、少し時間を与えると相手は多少動けるようになるだろう。
つまりここでの追撃は必須。


「トドメを刺すまで油断してはならない。」


ついさっきクーに言われた事だ。
それは理解ってる。

だけど…、身動きの取れないクーに対してこれ以上の追い討ちをかけることができない。



50: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:39:46.42 ID:TjcVaMl90

この部屋の中では、物理的な攻撃以外では傷ひとつつけることができないのは分かってる。
でも、雷をうければビリッとするし、火の能力を受ければ熱い。
一瞬のこととはいえ、クーにそんな思いをさせると考えたら体が動かなくなる。


川 ゚ -゚)「コール!」


一瞬動きがとまった俺を見て、クーが反撃に出たのが見えた。
視界に映ったのは足元から湧き上がる赤とオレンジの2色だ。


(;'A`)「…やっべ。」


またしても視界は赤で染まる事になってしまった。



52: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:41:15.29 ID:TjcVaMl90




川#゚ -゚)「何を考えている?」


意識を取り戻すと、そこにはお怒りのご様子のクーが座っていた。

一瞬の間をおいてどういう状況か把握する。

つまり、なぜあそこで追撃しなかったのかという事だ。
それはそうだ。
あそこで攻撃すれば間違いなく一本取れた。
クーに傷をつけることにはならない事もわかっていた。
それでも俺は攻撃できなかったのだ。



54: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:42:18.76 ID:TjcVaMl90


('A`)「えっと…。」


言い訳しようにも何も浮かばない。
あそこでクーの事を考えると攻撃できなかったなんて言ったらもっと起こられるのは目に見えている。
なんとか怒られずに済む方法は…。


川#゚ -゚)「この部屋の中ではケガしないことはずでに伝えてあるだろう!」


あ、ムリっすねw どう考えてもバレてます。サーセンw


(;'A`)「わ、わるい…。」



57: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:43:25.64 ID:TjcVaMl90

川#゚ -゚)「悪いではすまない! こんなことじゃ訓練にはならないだろう。一体何を考えているんだ!」

(;'A`)「いや…、その…。本当にすいません。」

川#゚ -゚)「訓練中に攻撃を止めるなんてのは優しさじゃない。私への侮辱だ!」


少し反省してろ。そう言い残してクーは訓練室から出て行ってしまった。
一人残されて、ただ立ち尽くしながらクーの言葉をかみ締めていた。

「優しさじゃない。 私への侮辱だ。」



59: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:44:27.53 ID:TjcVaMl90

侮辱…。
もちろんそんなつもりは毛頭ない。
俺のほうが弱いし、慣れてもいない。
そんな状況で相手を侮辱するような心理的余裕などなかった。

だげど、クーは侮辱されたと感じたんだ。

俺がいくら違うと言い訳したところで、相手がそう感じていたのならそれは侮辱以外の何物でもない。

('A`)「どこまでも…ダメなやつだな。」



60: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:45:11.50 ID:TjcVaMl90

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

いろいろ考えながら一人で落ち込んでいるとクーが慌てながら部屋にはいってきた。
いきなりの事でクーになんと謝ればいいかわからない俺は、少し焦りながら素直に謝ることにした。

('A`)「クー。その…、さっきは…」

川;゚ -゚)「ドクオ!!ちょっとこい!」

俺の言葉なんか完璧に無視して手を掴んで走り始めるクー。
引っ張られる格好になりながら必死で走りながら問い掛ける。

(;'A`)「え?え? 何? どこいくの?」



63: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:46:50.54 ID:TjcVaMl90

川;゚ -゚)「ドクオ達の空間だ。私はつーたちを呼んでくる。 先に帰っておいてくれ。」

訓練室を連れ出されたあと、いきなり自分が元いた空間に放り込まれる。
うん。つまり俺の部屋だ。
今回は前の時ほど部屋がほこりぽくなってなくて良かった。

('A`)「いきなりどうしたんだ…? あんなに慌てて…。」

慌てて?
確かにクーは珍しいほど慌てていた。
冷静沈着。普段はその言葉そのままのクーがどうしてあんなに慌てているんだ?



64: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:47:55.14 ID:TjcVaMl90

意味もなく取り乱すわけが無い。
何か…なにかあったんだ。

('A`)「…神に関係する事。」

頭に思い浮かぶのはそれしかない。
大急ぎでテレビの電源を入れる。

電源ボタンを押してから画面が表示されるまでの一瞬。
今はその一瞬すらも惜しかった。

そして放送されていたのは―――。



66: ◆2tIpUAdHJU :2007/11/18(日) 01:49:05.20 ID:TjcVaMl90



(`・ω・´)「コール。」

<ヽ`∀´>「ニダニダw」


全てを焼き払う二人組みと


(;<_; )「うわああああああああああああああああああ!!」

(  _ゝ )「…………。」


右腕と左足がなくなり、その目にはすでに光をともしていない兄の亡骸を抱きかかえて泣き叫んでいる弟の姿だった。


19話 勝者と敗者



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