('A`)が神を認めないようです。

7: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/25(金) 23:45:38.91 ID:Rmr7OIHZ0
神を倒し、全てを終わらせたと確信した。
皆で家へ帰ろうとしたその時、ドクオは背後で何かの気配を感じる。
振り返るとそこには真っ赤な火柱が燃え上がっていた。
その火柱が消え去った後に立っていたのは―――


倒したはずの神だった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



9: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/25(金) 23:47:42.75 ID:Rmr7OIHZ0
(・∀・)「はっはっは! その顔が見たかったのだよ。わざわざ痛い思いをした甲斐があったよ。」


立っていたのは間違いなくあの男だ。
その表情は心底楽しいというように、とても意地の悪い笑みが浮かんでいる。
見た目的には水蛇に巻きつかれたことなどウソのように、ケガ一つ無い状態だ。


川;゚ -゚)「そんな…ウソだ…」

(*;゚∀゚)「絶対ありえない。」

(;´・ω・`)「どういう事だ! あの状況で生きてるなんt」


(・∀・)「言ったろう?神はあの程度では死なないんだよ。」



11: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/25(金) 23:49:38.91 ID:Rmr7OIHZ0
ショボンが喋っている最中、まるで瞬間移動の姿を消した神。

そしてソレと同時に現れたのはツンの隣だった。

誰もが目を見張った。
誰もが一歩も動けなかった。ツン本人でさえ。 

ただ一人を除いては。


(#^ω^)「ツンに触るな!」


ブーンはツンの肩に触れようとした神の右腕を掴んでいた。
その動きの速さには神自身驚いただろう。
長い付き合いだった俺でさえブーンがそんなに早く反応できるなんて思わなかった。



13: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/25(金) 23:51:37.40 ID:Rmr7OIHZ0
(・∀・)「ふむ…。君はこの女に恋愛感情を抱いているのかな?」

(#^ω^)「黙れお。その質問に答える義務はないお。早くツンから離れるお。」

(・∀・)「まったく、どいつもこいつも…。本当に躾がなっていないようだね。」


なんの脅えも無く神を挑発するブーン。
その行動に俺は正直肝を冷やした。
いや、俺だけじゃない。きっとクーやショボンもだ。

少なくとも今、俺たちに神を倒す手段はないのだ。
神は死なない。

なぜかはわからない。でも、あの攻撃は間違いなく当たっていたのだ。
ハインリッヒの件も合わせて考えると、神が言っている俺たちの攻撃では死なないというのもあながち嘘ではないかもしれない。

なんにせよ、今の俺たちには対抗手段がない…。



16: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/25(金) 23:53:59.85 ID:Rmr7OIHZ0
(・∀・)「まぁいい。そこにいる男を渡してもらおうか。あぁ、弟者じゃなくてニダーの方だ。」

ξ;゚听)ξ「あ…え…」

<ヽ`∀´>「神様!ウリは信じてたニダ! きっと神様はウリを助けてくれるって!」


だが、神はそのまま攻撃してくる事もなくニダーの引渡しを要求してきた。
少しホッとしたのは俺だけではないだろう。
つーの表情が少し安心したように変化したのが視界の端で見て取れた。

誰しもが神の狙いはツンだと思ってたのだから。


( ^ω^)「………。」



17: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/25(金) 23:55:57.04 ID:Rmr7OIHZ0
(・∀・)「そこの太った少年、それくらいなら構わないだろう? 大事なお姫様には触れないから。」

( ^ω^)「…それはリーダーのドクオが決めることだお。」


あくまで強気な態度を崩さないブーンに俺は尊敬の念すら抱いていた。

…正直俺はびびってしまっているから。


('A`)「ニダーか…、構わない。」

(・∀・)「そうか。君がリーダーだったのか。 いや、失礼。こちらの太ったsy」

( ^ω^)「ブーンだお。」

(・∀・)「…ブーン君の方がしっかりしてそうに見えたものでね。 まぁいい、じゃあニダーは預かっていくよ。」

('A`)「……っ。」



21: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/25(金) 23:57:48.31 ID:Rmr7OIHZ0
一切反論できなかった。
あの状況でツンを助けるどころか、神が生きていた事に驚いて反応もできなかった。
その上、神を倒せない事に気付くと、びびってまともに会話もできなくなってしまった。
俺より…ブーンの方が精神的に強い。


<ヽ`∀´>「神様!ウリは本当に神様を信j」

(・∀・)「勘違いするな無能。」



22: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:00:09.93 ID:Q6VM9KUf0
直後ニダーを襲った炎の槍。
だが、それはニダーに触れる直前に消えた。

消えたが…。

誰も言葉を発さずその事態を見ていた。
今フレイムランスを放ったのは…間違いなく神だったから。



<;ヽ`∀´>「かみ…さま?」

(・∀・)「アンチフレイムか。まったく、そういうところだけは無駄に狡賢いな。」



25: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:02:27.03 ID:nAtghrUP0
<;ヽ`∀´>「どういうことでs」


ニダーが喋り終える前に足元から巨大な火柱があがった。

そう、ニダーの足元から真っ赤な火柱が燃え上がったのだ。
それはシャキンを焼き尽くしたものと同じだった。

その状況を見てようやく事態が理解できた。
神はニダーを助ける気などなかったのだ。

よくよく考えてみれば当然の事と言えるかもしれない。
神軍のゼロはシャキンの攻撃の巻き添えになって多くが死亡した。
さらに残った者達も、そのほとんどは逃げてしまって今ここに残っているのはニダーだけだ。
実質神軍は崩壊したのだ。

シャキン程の強さを持っている者でも簡単に切り捨てるこの男が、
神軍の統率者としての価値が無くなったニダーを生かしておくはずがなかった。



28: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:04:10.56 ID:nAtghrUP0
(・∀・)「本当に使えないやつだ。もっと真面目に人選するべきだったな。」


その火柱が消えた後、そこにはもう何も残ってなかった。


(#^ω^)「お前!! なんで仲間をそんな簡単n」

(・∀・)「あー、待ちたまえ。私はこう見えても忙しくてね。今日はこれで帰らせてもらうよ。」

(#^ω^)「何を勝手な! まだ話しは終わってないお!」

('A`)「やめろブーン!」

( ^ω^)「ドク…オ?」



30: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:06:14.83 ID:nAtghrUP0
現実問題、現状では打つ手がない。
情けないのは百も承知だ。
だが、今は退いてくれるというのならそれを止めることなどない。
そうでもないと…俺たちが生き残る術はないんだから。


('A`)「…やめるんだ。」

( ^ω^)「…………。」





(・∀・)「うむ。やはりリーダーはそういう小賢しさがないといけないな。
     君達の事は…覚えておくよ。ブーン君にドクオ君。またそのうちなんらかの手は打たせてもおう。
     願わくば…生き残って見せたまえ。じゃないと私が暇になってしまうからね。」



32: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:07:56.86 ID:nAtghrUP0
「それでは」そう言い残し、神は姿を消した。

おそらく自分の空間を上手く利用しているのだろうというのは後でクーに聞いた話だ。
自分の空間に出たり入ったりする事をどうにか応用して、いきなり現れた時やツンの隣に移動したときのような
瞬間移動のようなことをしているんだと思われる。


('A`)「…………。」

( ^ω^)「ドク…!  …いや、なんでもないお。」

(´・ω・`)「………。」

ξ゚听)ξ「………。」

(*゚∀゚)「…帰ろう。」

川 ゚ -゚)「そう…だな。」

('A`)「…あぁ。」



34: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:10:23.53 ID:nAtghrUP0
神が消え去ったあと、俺達は誰も何も喋らないまま帰路についた。
ショボンとつーは自分の空間へ。
残りのメンバーはそれぞれ電車で帰った。

ブーンとツンは途中の駅で降りてしまったから、その後どうしたのかはわからない。

俺とクーはとりあえず二人で俺の家へ帰ってきた。


川 ゚ -゚)「ただいま。」

('A`)「…ただいま。」



36: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:12:27.78 ID:nAtghrUP0
その後二人に会話はなく、風呂にも入らずベッドへもぐりこんだ。
クーはシャワーを浴びるようで浴室へむかっていった。

だが、今はクーの事を考えている余裕などなかった。
シーツを頭から被り、今日の出来事を思い出していた。


『そうか。しっかし災難だな。あんな人殺しと顔が似てるなんてw』

『人の仲間を…笑い者にしてんじゃねーぞ!!』

その言葉が戦闘の始まりだった。
そもそも、目的は神軍の壊滅だった。
途中までは作戦通りに事が進んだ。
だけど、ニダーが現れたあたりから少しずつ計画がずれ始めた。
弟者がなぜかニダーサイドに現れ、さらに謎な事に俺のニダーへの不意打ちを邪魔した。



37: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:14:29.50 ID:nAtghrUP0
――そして

『なんだ。懐かしい顔がいるな。』

現れた天使シャキン。
ショボンの兄であり、俺たちにとって初めての敵の契約者。

事前の予定の中で考えうる最悪な状況の中シャキンとショボンの戦闘が始まる。

そして、その中で巻き添えを喰う神軍の者達。
あたりに立ち込める人の肉の焦げる匂い。耳に残る悲鳴や絶叫。
初めて経験する事に嘔吐を繰り返し、自分の甘さを認識した。

そんな中必死でニダーを倒す事に成功するも、
とどめを刺す事はできなかった。
…もっとも結局神に殺されてしまうのだが。



39: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:16:15.34 ID:nAtghrUP0
その後シャキンの相手をしていたつーとクーに加勢するも、結局歯が立たないまま倒されてしまう。
そして知ったシャキンの天使になった理由。つーの過去。人間の汚さ。
自分の正義に疑問を抱き始めた。
さらにクーによって知らされたショボンの憎しみの理由。
それを知ったシャキンは一度退こうとする。

だが…


『いや、どうもどうも。手下が迷惑をかけたね。』


神が現れた。
あれだけ強かったシャキンを一瞬で焼き尽くすとシャキンが協会を裏切った元凶は自分だと明かした。
そのことにブチ切れた俺は神に戦いを挑む。



42: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:19:59.68 ID:nAtghrUP0
その後偶然ともいえる予想外の攻撃の成功によって勝利を収めたように見えた。
全てが終わったと思った。

だけど…だけど…


(;A;)「うっ…うぅ…。」


生きてた。
生きてた。
生きてた。

笑ってた。
あいつ…笑ってたんだ。

全部ウソだった。
俺たちを喜ばせたのも、安心させたのも全部。
そのあと絶望させるためだけのウソだったんだ。



43: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:22:10.48 ID:nAtghrUP0
(;A;)「あぁっ…はっ…うぁ…。」


嬉しそうなブーンやツンの顔も、
頑張って前を向こうとしたショボンやツンの強い笑顔も。

全部ウソだった。


(;A;)「うえっ…えっ…。」


涙がとまらなかった。


その時…



44: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:24:12.36 ID:nAtghrUP0
シーツの上から温かな感触が俺を包んだ。
ふわっといい匂いがした。

(;A;)「…………。」

「怖かったか?」

(;A;)「え…?」

「怖かったんだろう?」

(;A;)「…あぁ。怖かったよ。」

「…………私も中に入っていいか?」



45: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:26:16.22 ID:nAtghrUP0
うなずくと、シーツの中に入ってきたのはクーだった。
まだ髪が半乾きで、シャンプーのいい匂いが鼻腔をかすめた。

クーは優しく俺を抱きしめてくれた。


川 ゚ -゚)「怖くて…泣いていたのか…?」

(;A;)「…違う。 悔しかったんだ。」

川 ゚ -゚)「悔しい?」

(;A;)「…。俺…俺、神が生きてるってわかったとき…、凄く怖くて…。」

川 ゚ -゚)「…あぁ。」



47: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:28:11.51 ID:nAtghrUP0
(;A;)「ツンの隣に現れたとき…全然体が動かなくて。」

川 ゚ -゚)「…うん。」

(;A;)「でも、ブーンはしっかり動けてて…。全然びびったりしてなくて…。」

川 - -)「…………。」

(;A;)「神にも…馬鹿にされても何も言い返せなかった。」

川 - -)「…………そうだったな。」

(;A;)「あいつが退くって言った時…俺本当は安心したんだ。助かったって…。死なずにすんだって!」

川 - -)「…………。」



48: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:30:49.83 ID:nAtghrUP0
(;A;)「ブーンは違った!逃がさないって言ってた。だけど…、俺は自分の命が助かる事しか考えられなかった!」

川 - -)「ドクオ…。」

(;A;)「いっぱい人が死んだのに。ショボンやつーがあんなに悲しんでるところを見たのに。
    ブーンとツンにも戦う理由があって、皆で覚悟してたはずなのに!
    いざ自分が死ぬんだって思うと凄く怖かった…。そんな…そんな自分が情けなくて許せないんだ!!」

川 ゚ -゚)「もういい。」

(;A;)「クー…。」

川 - -)「もう、わかったから…。」



50: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:33:33.20 ID:nAtghrUP0
その日、クーは俺を抱きしめながら一緒に眠ってくれた。
自分だってきっといろいろ思うところがあっただろうに。

俺は本当に自分のことばかりだ。

クーの事を考える余裕なんて少しもなかった。

どれだけ弱いんだろう。
情けないんだろう…。


だけど。


強くなりたい。



52: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:36:20.81 ID:nAtghrUP0
人間なんて簡単には変わらないかもしれない。

でも、絶対に強くならなければならない。

今まで何度強くなりたいと願っただろう。
何度強くなろうと決めてきただろう。

少しは変わってるのか?強くなれているのか?

そんなことはわからないけど…。

でも、強くならなきゃいけない。

もう負けたくない。いや、もう負けない。


あいつを…倒す。



53: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:39:11.60 ID:nAtghrUP0
翌朝、AM7:00に来客を告げる呼び出し音が家に鳴り響いた。
それは何度も繰り返し鳴らされ、深い眠りの中にいた俺は非常に不愉快な気分にさせられた。


(#'A`)「だぁー!うっせぇ! どうせ郵便かなんかだろ。一回チャイム押して居なかったらとっとと諦めろよ!」


叫びながら起き上がると隣にクーの姿があった。
一瞬頭の中が混乱したが、良く考えてみれば昨日は俺を心配して一緒に寝てくれたんだっけ。

…本当に優しいやつだよな。
自分だって不安なはずなのに…。
裸で添い寝してくれるんてさ。


そう、裸で。



55: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:41:12.58 ID:nAtghrUP0
…裸?


(;゚A゚)「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!」

川 - -)「ん〜…、もっとぉ…。」

(;゚A゚)「だ、抱きつくな! 胸が!ムネが!」

川 - -)「んっ…ん。 おはよう…。」

(;゚A゚)「お、おはよう…。」

川 ゚ -゚)「ん〜…。ん?なんだ? 面白い顔をして…。私の体に何かついているのか?」



57: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:43:38.73 ID:nAtghrUP0
そう言いながら自分の体を見回す。
その豊満な胸には小さなピンクの蕾が可愛らしく存在をアピールしている。
決して太っているわけでもないが、痩せすぎてもいないその美しい肢体は男なら誰でも目を逸らす事などできないだろう。
更に視線を下へずらすとそこにはわずかな黒い茂みが…


(;゚A゚)「茂みが…じゃない!! なんで裸なんだよ!

川*゚ -゚)「あ、あんまりじろじろ見るな…。恥ずかしい。」

(;゚A゚)「ご、ごめん…。って俺が悪いのか!?」

川 ゚ -゚)「それよりえらく早起きだな。どうしたんだ?」

(;゚A゚)「それよりって…。俺には人生の中で数えるくらいしかないビッグイベントなんですが…。」



59: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:45:49.36 ID:nAtghrUP0
川*゚ -゚)「…触ってみるか?」

(;゚A゚)「ば、ばか! 早く服を着ろ!」

川 ゚ -゚)「…むー。」

(;゚A゚)「じゃ、じゃあ俺は誰か来たみたいだから出てくる。それまでに服着とけよ!」


そう言い残し慌てて部屋を出た。

…全力で見てしまった。
クーの裸体。

綺麗だったな…。



61: ◆2tIpUAdHJU :2008/04/26(土) 00:47:49.53 ID:nAtghrUP0
('A`)「…………えがったなぁ。」


気を抜くと鼻血が出そうだった。
もう来客の事なんかどうでもよくなっていた。




( ^ω^)「ドクオ…。まだ寝てるのかお。」

ξ#゚听)ξ「早く起きなさいよ!イライラするわね…。携帯は電源はいってないし、ひたすらチャイム連打してやる!!」




第28話 敗北



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