('A`)が神を認めないようです。
- 4: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:28:57.53 ID:gBV3hTDm0
- クーの裸を見て意識が飛んでしまった俺。
鳴り続けるチャイムの音もどうでもよくなっていた。
―――どうしてあんなに綺麗なコが俺なんかを好きなんだろう…。
俺はこんなに弱いのに。
強くなると決めた。
もう何度目の決意なのかすらわからない。
それでも強くなりたいし、強くならなければいけない。
もう何も失いたくないから。
- 6: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:31:13.46 ID:gBV3hTDm0
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ξ#゚听)ξ「出るのが遅いのよ! どれだけ待たせるのよ!」
( ^ω^)「まぁまぁ…。 ドクオも寝てたんだからしょうがないお。」
ξ#゚听)ξ「いつまで寝てんのよ! もう朝の7時過ぎてるじゃない!!」
朝からキャンキャンと頭に響く声で叫び続けている女の子。
少し見方を変えれば朝から女の子が家に遊びに来てくれるなんて喜ばしい事だと思う。
たとえそれが友達の恋人で、友達も一緒だとしてもだ。
ん? 寂しいやつ?ほっとけよ。
今まで一人暮らしの俺の家に入った事のある女はクーとツンとつーの三人だけなんだ。
しょうがないだろう?
- 7: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:34:42.38 ID:gBV3hTDm0
- まぁいいや。
なんにせよ、俺が言いたいのは、だ。
('A`)「マンドクセ」
ξ#゚听)ξ「ド〜ク〜オ〜! あんた今何か言った!?」
(;'A`)「い、いえ、何も言ってません! いつまでもだらだら寝ててすみませんでした!」
(; ^ω^)(ドクオ…。思ってる事をそんなにはっきり言えるなんて凄いお! ブーンはそんな事絶対ツンに言えないお…。)
ξ゚听)ξ「まったく…。まぁいいわ。 ところでクーは?」
(;'A`)「え!? あ、え、えっと…。」
- 9: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:37:03.17 ID:gBV3hTDm0
- まずい。
別に何が悪いわけでもないが、今のクーを見られるのは絶対まずい。
一応服を着るようには伝えておいたが、あの状況では二度寝している可能性もある。
―――俺のベッドの中で裸で寝ているクー…。
いやいや、それはまずいだろ。
(;'A`)「あ、そうだ! 昨日のうちに自分の空間に帰ったんだ!」
グッジョブ俺。
土壇場で完璧な言い訳を考えつくところがやっぱ一般人とは違うっつーか、なんと言うか。
- 11: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:39:59.61 ID:gBV3hTDm0
- ξ゚听)ξ「あらそうなの?てっきりクーはあんたの側にいると思ったんだけど…。」
('A`)「へ?」
( ^ω^)「クーは優しいから、昨日のドクオを一人にしておくわけがないってツンと二人で話してたんだお!」
ξ゚听)ξ「今日のあんた見たらますますクーと一緒にいたんだと思ったわ。 ちゃんと元気になってるもの。」
('A`)「あー…そっか。そうだな。」
昨日ショックを受けて回りの事なんか全く考える余裕が無かった俺。
それに比べてこいつらもクーもちゃんと周りの事を見てる。
それはとても凄いことだと思うんだ。
あんな状況じゃ誰だってまともじゃいれなくなると思うのに…。
- 12: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:41:52.32 ID:gBV3hTDm0
- 川 ゚ -゚)「待たせたな。」
ガラッと扉の開く音がして、振り返るとそこにはクーが立っていた。
幸いな事にちゃんと服は着ていて、俺の一番大きな不安は解消された。
ξ゚听)ξ「あら、クーおはよう。」
( ^ω^)「お?クーは自分の空間に帰ってたんじゃなかったのかお?」
そしてブーンのこの言葉に俺の不安は再び膨らむ事になる。
以前似た様な経験をした気がする。
デジャヴだろうか?
…いや、確かに以前同じような事が。
- 13: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:44:10.25 ID:gBV3hTDm0
- 川 ゚ -゚)「いや? 私は昨日ドクオと一緒に寝たが…。」
そう。そうだよ。
クーはKY。すなわち空気が読めない…。
話を合わすなんて器用な事できるわけが…。
ξ*////)ξ「ちょ、ちょっと! え、い、一緒にって…その…。」
( ´ω`)(童貞の絆…童貞の絆… 友情とはかくも儚いものだお。)
(;'A`)「ちょ、ちょっと待て! お前ら何か勘違いしてるって!」
川 ゚ -゚)「ドクオ…。そうやって事実を無かった事にされると私としては…少し寂しい。」
- 16: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:46:06.96 ID:gBV3hTDm0
- ξ#゚听)ξ「ちょっとドクオ!! あんた何を女に恥かかせてんのよ! 男ならもっと堂々しなさいよ!」
( ´ω`)「そうだおー。ツンの言うとおりだおー。」
(;'A`)「ちょ、違! てかクー、お前わかってて言ってるだろ!!」
川 ゚ ー゚)「…。」
(#'A`)「にやついてんじゃねぇ!」
ξ#゚听)ξ「何を人のせいにしてんのよ! ほんっと男って最低!」
( ´ω`)「そうだおー。ツンの言うとおりだおー。」
川 ゚ -゚)「そうだー。男なんて最低だー。」
(#'A`)「うるせぇーーーー!」
- 18: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:48:10.87 ID:gBV3hTDm0
- ―――というわけで。
俺の優雅な朝のひと時はいつになったらやってくるんだろうか?
もうしばらく朝のコーヒーをじっくり味わうなんて事できてなかったから、
今日こそゆっくり堪能しようと思ってたのに…。
(#'A`)「…。」
川 ゚ -゚)「ド、ク、オ。 ただの冗談だ。いじけちゃイ、ヤ。」
(#'A`)「お前はなだめてんのか挑発してんのかどっちだ!!」
ξ゚听)ξ「もう、いちいちうるさい男ねー。過ぎた事はもういいじゃない。」
( ^ω^)「おっおっお。 やっぱりドクオは仲間だったお。」
- 19: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:50:12.76 ID:gBV3hTDm0
- カチン―――。
お気に入りのジッポで咥えたタバコに火をつけた。
しばらく手入れをしていなかったのに、従順にも一発で火が付くこいつをやはり愛しく思う。
肺の中に甘ったるい煙を吸い込んだ。
(;'A`)「ゴホッ、ゲホッ…。」
だめだ。
やっぱりむせてしまった。
一時期は本気でタバコがなければ生きていけないとまで考えていたのに、
ここしばらく吸わなかっただけで体が拒絶反応を示す程になってしまった。
- 22: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:52:14.48 ID:gBV3hTDm0
- 川 ゚ -゚)「ムリして吸わなくてもいいだろう。」
ξ#゚听)ξ「つーかガキのくせにタバコ吸ってんじゃないわよ!」
( ^ω^)「おっおっお。ツンがお怒りになられてるお。素直にやめといたほうがいいお〜?」
非難の集中砲火だ。
それもしょうがないかもしれない。
この中で喫煙者は俺だけ。
ましてや、本来俺は喫煙の許される年ではない。
非難あれたところで反論のひとつもできやしない。
- 24: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:55:07.85 ID:gBV3hTDm0
- ('A`)「あ〜…。確かにそろそろ辞め時なんだろうな。」
封が開いてから一ヶ月以上たってるタバコを見つめなおした。
煙を吸い込んだときはなんとも思わなかったが、
一ヶ月以上放置されていた事実に気付いた途端なんだか湿気ているような気がした。
禁煙するとメシが旨くなるなんて話をテレビ聞いた事がある。
俺はそのテレビ番組をタバコを吸いながら見ていた。
心の中でそんな事どうでもいいと。タバコがうまければそれでいい。
そういう風に毒づきながら。
- 26: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:57:21.98 ID:gBV3hTDm0
- けれど、クーの空間で訓練していた一ヶ月。
毎日ぶっ倒れて、汗だくになりながら修練して、
唯一と言えるメシ時の休憩だけは至福の時だった。
クーが用意してくれたメシは間違いなくタバコより旨かった。
そして、タバコを吸っていた時よりも確実に体が軽くなった。
やはりこのあたりできっぱり辞めるべきなのだろう。
ξ゚听)ξ「あれ? 甘い匂いがしてきた。前に来たときも思ったけど、お香かなんか焚いてる?」
( ^ω^)「違うおツン。」
川 ゚ -゚)「それはドクオのタバコの匂いだぞ。」
ξ;゚听)ξ「えぇ!? この甘いバニラみたいな匂い!? タバコなの?」
('A`)「あぁ。もうそれも終わりだけどな。」
- 28: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 19:59:31.66 ID:gBV3hTDm0
- まだ長さの残っているタバコを灰皿に押し付けた。
ツンのようなリアクションは今まで何度と無くされてきた。
それにたいしてバニラじゃなくてココナッツの匂いだよと反論することはもうしなくなった。
めんどくさいし。
パッケージの可愛らしい悪魔の絵に惹かれて買ってみた。
封を切ると、中から出てきたのは真っ黒なタバコ。
そして甘い匂い。
『黒い悪魔』というウケ狙いなのか真面目なのかわからないネーミングセンスも気に入って、
それからずっと愛煙してきた。
それも今日でおしまいだ。
グシャッ。
小気味いい音を立ててまだ中身の残っていたタバコのハコが潰れた。
- 31: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:01:18.26 ID:gBV3hTDm0
- 川;゚ -゚)「ド、ドクオ!?」
(; ^ω^)「ほ、本気かお!?タバコと人生を天秤にかけたら間違いなくタバコを選ぶと言ってたドクオが…。」
ξ;゚听)ξ「え?何? 私? 私のせいなの?」
(;'A`)「落ち着けお前ら。 いいんだよ。 クーの空間でしごかれてるうちに、吸っても旨いと感じなくなっちまったから。」
そう。
そしてこれはひとつのケジメでもある。
別にタバコを辞めたから何が変わるわけでもないが、
なんとなく…ちゃんとしようって。
強くなるためにきちんと努力しよう。
そのための区切りなんだ。
- 33: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:03:00.91 ID:gBV3hTDm0
- ( ^ω^)「…お。 まぁ、体にいいことだから辞めて正解だお!」
('A`)「だろ?えらいだろ?」
川 ゚ -゚)「あぁ。よく決めたな。偉いぞドクオ。」
ξ゚听)ξ「ちょっとクー。あまり甘やかしたらダメよ? すぐ調子に乗るんだから。」
(;'A`)「そんな調子に乗った事ないだろ…。いや、まぁ普通に褒められてもなんだか気恥ずかしいが。」
そんなこんなで思ったよりも禁煙した事は周りに褒められるものらしい。
喫煙者の皆様、一度試してみてはいかがですか?
- 35: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:05:10.42 ID:gBV3hTDm0
- ('A`)「んで、こんな朝っぱらからどうしたよ?」
( ^ω^)「ようやく本題に入れるお…。」
ξ゚听)ξ「まったくよ。せっかく早くに来たのにもう8時じゃないの。」
川 ゚ -゚)「朝食は食べてきたのか? よければ用意するが…。」
ξ゚听)ξ「ホント!? まだなのよ。私も手伝うわ!」
川 ゚ ー゚)「あぁ。助かる。」
そう言いながら女性陣は台所で何やら用意を始めた。
クーの手料理の旨さは折紙つきだが、ツンは…。どうなのか。
- 38: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:07:49.41 ID:gBV3hTDm0
- ( ^ω^)「ドクオ。よければドクオの部屋にいかないかお?」
('A`)「ん? 別に構わんが…。じゃあ行くか。」
椅子から立ち上がり、台所で笑いあってる二人に部屋に居ると声をかける。
出来あがったら呼びに行くという言葉を受け取り部屋へむかった。
部屋に入るとベッドの上のシーツは綺麗にたたまれていた。
少し几帳面そうだが、こんな子を彼女にできたらきっと凄く幸せだろう。
掃除ができて、洗濯もできて、料理も上手い。
優しくて甘えさせてくれて、甘えてきて、綺麗な長い黒髪で、
大きな瞳に白い肌。鼻筋の通った顔に少し薄い唇。
本当に完璧な彼女だ。怖いくらいに。
そしてそんな子の事を俺は―――。
- 39: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:09:40.49 ID:gBV3hTDm0
- バタン。
いろいろ考えているとブーンが部屋の扉を閉めた。
なぜだろう?別に台所まではそう遠くもないが近くも無い。
普通に話すくらいならドアは閉めなくても向こうに聞こえることはないと思うが…。
( ^ω^)「ドクオ。いくつか大事な話しがあるお。」
('A`)「…? なんだよ?」
真剣な顔つきのブーンに少し身構える。
いつもはにこにこしていて、ふざけてる事の方が多い。
だが、だからこそ真剣な表情を見せるときその顔には迫力のようなものすら見える。
そして、今ブーンはその真剣な瞳をこちらへむけている。
- 46: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:15:22.78 ID:gBV3hTDm0
- ( ^ω^)「今後神と戦う意志はあるかお?」
('A`)「っ!!」
いきなり核心をついた話を切り出してきた。
そうか。その事がやはり気になっていたんだな…。
あの神との戦いで、俺は逃げる事ばかりを選択していた。
神の言う事に一切反論しなかった。
神が去ろうとするとき、それを引き止めるどころかブーンに何も言わないよう制止した。
ブーンは疑いを持ったんだろう。
俺がこの先神と戦えるのかどうか。
- 47: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:17:11.29 ID:gBV3hTDm0
- だが、俺の答えはもう決まっている。
('A`)「――あぁ。断言する。 俺は神をぶっ飛ばす。」
この言葉は今はブーンが信じてくれなくてもいい。
情けなくも自分の命が助かる事のみを考えて、
神から逃げる事だけを考えていたところを見られているのだ。
どう思われてもしょうがないと言えた。
( ^ω^)「―――その言葉に偽りは?」
('A`)「無い。」
- 49: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:19:01.09 ID:gBV3hTDm0
- ブーンの真っ直ぐな眼を同じように真っ直ぐ見つめる。
俺は今見極められているんだ。
これから先信用する事が出来るかどうか。
信用する事に値する人間なのかどうか。
( ^ω^)「わかったお。」
にんまり笑ってそう呟いた。
その表情を見て思わず顔を緩めた。
信じてもらえたのかどうかはわからない。
だけど、今俺はチャンスをもらえたんだ。
もう一度一緒に戦ってくれる。もう一度協力してくれる。
ブーンの笑顔はその全てを物語っていた。
- 51: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:20:45.27 ID:gBV3hTDm0
- ('A`)「その事を…聞くためにわざわざ来てくれたのか?」
朝からツンと二人で来るにしては少し大袈裟な気もした。
だいたい、もしそれが聞きたくて二人で来たならこの話も二人で切り出すはずだ。
それをしなかったのは、おそらく俺に気を使っているため。
そしてツンにはこの事を話していないと考える方が自然だといえる。
つまり、本題は別にあるんだ。
( ^ω^)「それだけじゃないお。 …ただ、ブーンにとってはドクオの考えを聞くことが一番大事だったお。」
('A`)「…ありがとうな。」
- 52: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:22:46.14 ID:gBV3hTDm0
- 何に対して感謝の言葉を述べたのか理解できていないブーンは、
一瞬きょとんとした顔をしたが、「友達だから当然だお」とテレビの中でしか聞いた事の無いような
くさいセリフを恥ずかしげも無く返してくれた。
俺はそんなブーンに嫉妬心を抱いた小さな小さな自分を恥じた。
('A`)「それでもうひとつの話しってなんだ?」
( ^ω^)「それは二人だけで話しても意味がないお! ご飯食べてから皆で話すお!」
('A`)「そうか…。 じゃあ朝メシの用意手伝うか。」
( ^ω^)「おっおっお。そうするお。」
- 53: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:24:50.46 ID:gBV3hTDm0
- その後俺達は何も無かったようにクーたちの手伝いをした。
クーとツンも俺達に何の話をしていたのか聞かなかった。
どいつもこいつも…空気を読めすぎていて泣きたくなる。
その後完成した食事。
出汁巻きとお味噌汁。
それから焼き鮭に味付け海苔。炊き立てご飯。
ありがちかもしれないけど、こう言う食事が一番おいしいと思う。
- 56: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:26:39.94 ID:gBV3hTDm0
- ('A`)「ごちそうさまでした。」
( ^ω^)「ごちそうさま! おいしかったお! 特に出汁巻きが最高だお!」
川 ゚ -゚)「お粗末様。ツンは味噌汁を作ってくれたんだぞ。」
ξ゚听)ξ「べ、別にあんたのためにつくったんじゃないんだからね!」
味噌汁…。いつもと味が違うと感じたが、あれはツンがつくったものだったのか。
正直、想像していたよりもちゃんと料理が出来る事にびっくりした。
- 58: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:28:38.40 ID:gBV3hTDm0
- ('A`)「さて…。そろそろ本題に入ろうぜ。」
川 ゚ -゚)「わざわざ朝食を一緒に食べようと思ってきたわけじゃあるまい。」
( ^ω^)「…話ってほどのものじゃないお。 単純に神に対抗する手段を話し合いにきたんだお。」
ξ゚听)ξ「私とブーンは前回ほとんど直接戦っていないっと言っていいわ。でも…、神の強さは十分感じた。」
( ^ω^)「あいつは間違いなくドクオの水蛇を喰らったお。その後死亡した事も間違いなかったお。」
そうだ。
神が直撃を受けた事は間違いない。
その体が水蛇に焼かれ、溶かされていく様を俺はこの目で確認している。
- 60: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:30:31.21 ID:gBV3hTDm0
- ('A`)「…クー。どういうことかはクーにも…」
川 ゚ -゚)「…あぁ。 わからないな。」
場に訪れる沈黙。
神は契約者だ。これは間違いない。
そしてその能力は火の能力とアンチ系統の二種類だけ。
そう考えられている。
('A`)「火の能力に変わり身の術…みたいなのはないのか?自分の分身を用意してそれに攻撃を喰らわせるみたいな…。」
川 ゚ -゚)「その可能性は低い。 私は火の能力はフレイムウォールまでしか見た事がない。
だが、火の能力自体は攻撃の能力だ。そんな補助的な効果の能力はないと思う。」
- 61: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:33:27.93 ID:gBV3hTDm0
- ( ^ω^)「じゃあ火の能力以外も使えるんじゃないのかお?」
('A`)「いや、それはないらしい。クーが前にそ言っt―――」
川;゚ -゚)「いや、あるかもしれない。」
('A`)「――え?」
川;゚ -゚)「神が火の能力以外が使えるとして…しかも他の能力にそういう自分の分身を作るような能力があるとすれば…。」
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと待ってよ。神って火の能力以外使えないんじゃなかったの!?」
川;゚ -゚)「それ自体私の思い込みだったのかもしれない。
確かに普通レベル500まで能力を強めてる時点で他の能力は鍛えていないと考えるのが定石だ。
だけど…相手はそんな定石が全く通じない相手だ。」
- 63: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:36:06.75 ID:gBV3hTDm0
- 確かに神は俺が知ってるクーやショボンといった契約者とは圧倒的に違う。
悪夢のような数との多数契約。それと同時にクー達は存在すら知らなかった強制契約。
さらに自分の空間に出入りすることを利用していると思われる瞬間移動。
普通の契約者にはムリな事でも今までやって見せているのがあの男なのだ。
( ^ω^)「…コール。」
ブーンが空間に手を向けて呟いた。
いきなり何事かと思ってそっちを見ると、ブーンが手のひらをむけた空間に切れ目が入っていく。
その中から現れたのは―――
(´・ω・`)「…ご指名かい?」
ショボンだった。
- 65: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:38:38.82 ID:gBV3hTDm0
- ( ^ω^)「ツン。つーを呼んでほしいお。」
ξ;゚听)ξ「え?あ、うん。わかった。 コール。」
ブーンに言われて慌ててツンも空間に向けて手をかざす。
そるとやはり同じように空間に切れ目が入って中からつーが顔を出す。
(*゚∀゚)「…おはよう。あれ?どうしたの? 皆こんな朝から。」
( ^ω^)「二人とも…。 辛いのはわかってるお。だけど…神を倒すために協力してほしいお。」
おそらくブーンは最初二人を呼ぶ気はなかったんだろう。
そのつもりなら俺の家に来る前に呼んでいると思うし、
食事もみんなで一緒にって考えたと思う。
- 66: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:40:35.78 ID:gBV3hTDm0
- だけど、二人は昨日の事で強く落ち込んでいた。
そこへ神を倒すために話し合おうなんて言えなかったんじゃないだろうか。
でも、俺たちで話し合っても前には進みそうに無かった。
情けないけど…ここは力になってもらいたい。
(*゚∀゚)「私は…別に大丈夫だよ。」
ξ゚听)ξ「…つー。」
(*゚∀゚)「あいつを放っておくと、被害者は増える一方だもん。
君達が頑張ってるのにおねーさんがいつまでも落ち込んでちゃダメでしょ♪」
ムリして笑顔をつくってるんだとわかった。
でも…それでも今はその笑顔が心強かった。
- 67: ◆2tIpUAdHJU :2008/05/06(火) 20:42:53.87 ID:gBV3hTDm0
- (´・ω・`)「………。」
( ^ω^)「ショボンは…どうだお?」
皆の視線がひとつに集まった。
何も言葉を発さないショボン。
その心の悲しみは、とても俺たちでは理解できる事じゃないだろう。
だけど…それでも、立ち上がって欲しい―――
(´・ω・`)「もう、やめようよ。」
皆の期待の中でショボンが選んだ言葉は決して咎められるものでは無かった。
けれど、決して望まれているものでは無かった。
第29話 絶望そして諦め
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