('A`)が神を認めないようです。
- 2: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 22:54:54.86 ID:S76YDj+T0
- (´・ω・`)「もう、やめようよ。」
ショボンの言葉はその場を沈黙させるには十分なものだった。
誰もがその可能性を危惧していた。
断られるんじゃないだろうか。
もう二度と手伝ってくれたりはしないんじゃないだろうか。
だってそうだろう?
目の前で兄を殺されたショボン。
元凶は神であり、一度は倒して敵を討ったつもりになった。
- 4: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 22:56:39.20 ID:S76YDj+T0
- ――だが、その神は生き返る。
戦闘意欲を失くした所で誰が責める事が出来る?
だが…
俺達はそれでもショボンが手を貸してくれるんじゃないだろうかと考えていた。
また力を貸してくれるんじゃないだろうかと。
それはなんでもない、ただの理想だ。
希望だ。自分勝手な妄想だ。
それでも
それでもまた笑いながらしょうがないな、なんて言ってくれると願っていた。
- 8: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 22:58:24.30 ID:S76YDj+T0
- (´・ω・`)「理解ってるんだろう? 君達だって。」
川 ゚ -゚)「…何をだ?」
(´・ω・`)「神を倒すことなんか…不可能だって。」
川#゚ -゚)「…っ!!」
ショボンのその言葉を聞いてクーが飛び掛った。
襟元を掴み引き寄せてにらみつける。
それは…今一番言って欲しくなかった言葉だから。
- 11: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:00:12.71 ID:S76YDj+T0
- 川#゚ -゚)「ショボン!お前は悔しくないのか!? あれだけコケにされて…。
兄と争う事になった原因はあいつだろう?ヘリカルを脅したのもあいつなんだぞ?」
(´・ω・`)「…わかってるさ。」
川#゚ -゚)「わかってる!?わかった上でそんな言葉を吐いたのか!?
お前が戦いたくないなら無理にとは言わない。だが、皆の気を削ぐ様な発言はやめてくれ!」
('A`)「クー。もういい。」
川#゚ -゚)「ドクオ! 私は…私は!!」
('A`)「いい…。クーもわかってるんだろう?」
川#゚ -゚)「…。 あぁ、くそ!私は茶を煎れて来る!」
- 14: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:02:03.35 ID:S76YDj+T0
- クーはそう言い残し、自分の空間へと入っていった。
きっと皆わかってるんだ。
どうしようもない事だって。
実際問題、ショボンが心に負った傷は俺達が理解できるものじゃない。
そして、現時点で神に対抗する手段が無い。
だからこそ、ショボンにも協力してもらって一緒に神打倒の案を考えて欲しかったのだが、
それはあまりにも身勝手な言い分だったのかもしれない。
('A`)「ショボン…。」
(´・ω・`)「…なんだい?」
('A`)「すまないな。 だけど…クーの事、悪く思わないでやってくれ。」
(´・ω・`)「気にしていないよ。……彼女は素直クールという名前なのにやけに熱くなるようになったね。
君の影響かな?」
- 15: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:03:39.74 ID:S76YDj+T0
- (;'A`)「え…。いや、俺もどっちかっていうと冷めてる方だけど…。」
(´・ω・`)「そうか…。だけど昔の彼女は決してあんな感じではなかったんだけどな。ねぇ?つー。」
(*゚∀゚)「…そうだねー。 あんなにクーが笑うとこ見る事なかったもんね。」
ξ゚听)ξ「え?そう…なの? 凄く優しそうに笑うのに。」
(*゚∀゚)「あの子は手に入れたんじゃない?大事なものを。」
('A`)「…。」
(*゚∀゚)「ねぇショボン。本当にこのままでいいの?」
(´・ω・`)「…どういうことだい?」
- 16: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:05:36.29 ID:S76YDj+T0
- (*゚∀゚)「わかってるくせに。 本当は誰よりあいつを倒したいはずだもんね。」
(´・ω・`)「…そりゃそうさ。 クーの言う通り、あいつは僕の大事なものを奪った。
それはもう二度と帰ってはこない…。許すことなんかできないよ。」
(*゚∀゚)「だったらさ…。私たちと――」
(#´・ω・`)「協力してどうなるって言うんだ!!」
(*゚∀゚)「…ショボン。」
(#´・ω・`)「皆で仲良く頭を使えば神を倒せるアイデアが浮かぶとでも?
そんなわけがないだろう!」
- 17: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:07:27.96 ID:S76YDj+T0
- ショボンは今まで溜めていた物を発散させるかの如く、大きな声で叫んだ。
きっと考えていたんだ。
何度も何度も。
昨日の夜からそのことを考えていたんだろう。
だけど答えは見つからなかった。
神を倒す手段は見つからなかったんだ。
(# ^ω^)「そんなことないお!!」
次に激昂したのは今まで黙っていたブーンだった。
皆がブーンの方に注目する。
その言葉の意味はなんなのか。
どういう意思を持ってショボンの言葉を否定したのか。
- 22: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:09:12.24 ID:S76YDj+T0
- (´・ω・`)「…なぜそう言い切れるんだい?」
ショボンの当然の問い掛け。
ブーンの返答に意識が集中した。
( ^ω^)「…なんとなくだお。」
そう。なんとなく。
誰もがショボンの言葉に対し、否定の言葉を紡ぐ事ができなかった。
それに対し、たった一人。
たった一人声を発したブーン。
そんな彼がどんな内容を喋るのか、少なからず尊敬や期待を交えながら耳に意識を集中させていた僕をぶん殴ってやりたいです。
- 26: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:10:57.45 ID:S76YDj+T0
- ξ#゚听)ξ「あ ん た ねぇ〜!! 少しは空気を読みなさいよ!!」
(; ^ω^)「お!? 痛い!痛いお!ツン!!」
ツンがブーンの頬をこれでもかとつねり倒した。
その光景を見ながら止める者は誰もいない。
('A`)(むしろ俺がつねってやりてーくらいだ。)
ξ#゚听)ξ「ショボンの気持ちはわかったんでしょ!? 私には何も言えなかった…。
だからあんたが言い返したときには…少し見直したのに!
結局何も考えてないんじゃないの!!」
- 28: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:12:45.84 ID:S76YDj+T0
- (;メ ^ω; メ)「お、落ち着くおツン!もう顔が伸び始めて…あぁ!痛い!痛いおー!!」
ξ#゚听)ξ「もう、本当にあんたはいつもいつもいつもいつも…!!
肝心な時に一言足りないのよ!! ちゃんと思ってること伝えなさいよ!」
ようやく伸びきったほっぺたから手を離し、力いっぱいブーンの背中を張り倒した。
開放されたブーンは背中を叩かれた衝撃に涙を零しながらショボンに再び向き合った。
しばらく頬をさすりながら少しの沈黙が訪れる。
(;´・ω・`)「えっと…、大丈夫かい?? 背中を叩かれたとき物凄い音がしたけど…。」
(メ ;ω; メ)「それはなんとか大丈夫だお…。 だけど…ほっぺが…ほっぺが…。」
よほど痛かったのだろう。未だ赤みが残り、少し伸びている頬は治る気配が見えない。
それでもぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めた。
- 30: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:14:50.49 ID:S76YDj+T0
- (メ ;ω; メ)「ショボンは…もう僕達のことが嫌いになったのかお?」
(´・ω・`)「…いや、そういうわけじゃないさ。」
(メ ;ω; メ)「じゃあなんで…。なんで一緒に戦ってくれないんだお?」
(´・ω・`)「ブーン。君も見ただろう? あれだけ強い能力を持ち、移動速度も瞬間移動レベル。
挙句の果てにこちらの攻撃をうけても生き返るなんておまけつき。
僕たちが束になってかかっても勝てやしないのさ。」
(メ ;ω; メ)「それは…」
(´・ω・`)「僕は君たちの事を好きなんだよ。だからわざわざ死にに行くような事をしてほしくない。
契約は解除しないでおくよ。これだけの力があればこちらから仕掛けない限りそうそう危険はないはずだよ。」
- 33: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:16:29.86 ID:S76YDj+T0
- (メ ;ω; メ)「…。」
(´・ω・`)「だから…。これでお別れだ。もう会うこともないだろう。」
(メ ;ω; メ)「違うお。」
(´・ω・`)「それj…―――え??」
(メ ;ω; メ)「ショボン、それは違うお。 あぁ、もういい加減顔を戻すお。」
( ^ω^)「ショボンの言ってることは正しいお。…でも違うんだお。」
(´・ω・`)「…ん? 意味がよくわからないよ。」
- 35: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:18:14.46 ID:S76YDj+T0
- その気持ちはよくわかる。
長い付き合いの俺でもブーンの言ってる意味はまったく理解できない。
むしろ理解しようとすること自体おこがましいのですか?どうですか?
ただ…。一つだけわかるのは。
ブーンはきっとまた―――
( ^ω^)「どう言えばいいのか…。 そうだ、覚えてるかお?訓練中にブーンに言ってくれた言葉を。」
(´・ω・`)「ん? 言ったこと…かい?」
( ^ω^)「ブーンは今まで皆より優れたことなんて無いと思ってたお。
体系だってピザだし、頭も良くないお。
きっとお金持ちになる事なんてできないし、大好きなツンを幸せにしてあげられるか不安だお。」
- 37: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:19:54.20 ID:S76YDj+T0
- (´・ω・`)「…あの時の言葉か。」
( ^ω^)「だけど…、だけどショボンはブーンに誰より強くなれるって言ってくれたお!
ツンより…ドクオより!!」
(´・ω・`)「うん…。その言葉に偽りはないよ。」
( ^ω^)「ショボンがいなきゃダメだお!! ショボンがいないと…訓練もできないんだお。」
(´・ω・`)「…すまn」
( ^ω^)「―――それに!
ブーンは訓練していて強くなることが実感できたお。
それなのに実戦では何もできなかったんだお…。守られるだけで。
まだまだ、能力以外にもいろいろショボンから教えて欲しいんだお!」
(´・ω・`)「僕…から?」
- 38: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:21:31.98 ID:S76YDj+T0
- ( ^ω^)「そうだお! ブーンのパートナーはショボンだお?
他には誰にも代わる事はできない、ショボンだけがパートナーなんだお!!」
(´;ω;`)「そこまで…そこまで僕のことを…」
( ;ω;)「ブーン達だって馬鹿じゃないお!実は神に対抗する手段を考えるのにもアテがあるんだお!」
(´;ω;`)「ブーン…。君一人でそんな事まで…。そんな…。……え??」
( ;ω;)「でもそんな事は全部どうでもいいんだお!!本当はブーンは友達がいなくなるのが寂しいんだお!
ショボン!イヤだお!! 戦わなくてもいいから一緒にいてくれお!!」
(;´・ω・`)「ちょ、ちょっと待ってくr… うわぁっ!!」
やっぱりブーンはまたお決まりのクサイ台詞を恥ずかしげもなく言う。
それは、周りからどんな評価を得られるのかはわからないが、
少なくとも俺から見ればとても格好良くて、羨ましいものだ。
泣きながらショボンに抱きついたブーン。(鼻から美しく光る透明の水をまきちらしながら)
そのままブーンを抱きしめる格好になったショボンは心なしか頬が赤い気がする。
…いや、気のせいだ。気のせいに違いない。
そんなことより…今は
- 39: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:23:29.40 ID:S76YDj+T0
- (;'A`)「ちょ、ちょっと待て!ブーン!!お前アテがあるっt」
ξ;゚听)ξ「――ブーン! 私そんな話聞いてないわよ!?」
( ;ω;)「…お? 昨日ベッドで言わなかったかお?」
ξ///)ξ「ちょ!! アンタ、こんなとこで何言うのよ!!!!!」
( ^ω^)「…お?言っちゃまずかったかお?」
ξ///)ξ「少しは恥というものをしりなさい!このバカ!!!」
ありえない。ありえない。ありえない。
ブーンに先を越された。先を越された。先をこさr(ry
- 43: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:25:22.44 ID:S76YDj+T0
- 童貞の絆はどうなったんだ。
俺はあの約束を頑なに守ってきたんだぞ?(タイミングがわからなかっただけだが。)
それなのにあいつはどうしてこうも簡単に約束を…。
だいたいなんだ?あのショボンの目は?
なんであんな涙と鼻水まみれのピザが抱きついてきた時は頬を赤らめて、
離れると残念そうなんだよ。
しかもツンを見る目が敵意がこもってないか?
気のせいか?本当に気のせいなのか?
(*゚∀゚)「…話を戻してくれるかなー?」
Σ('A`)(…!!)
そうだ。
今はそんな事はどうでもいい。
どうでも…良くはないが、詳しいことは後でしっかり問い詰めるとして、
今はブーンの話を聞くことが重要だ。
- 44: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:27:02.59 ID:S76YDj+T0
- 神に対抗する手段。
それを考えるアテがあるという。
これは決して確信があるわけではないのだろう。
対抗する手段があるのではなく、それを考えるアテがあるだけなのだから。
だが、今の俺達からすればそれはとても大きな事だった。
( ^ω^)「お。そうだお。そのアテっていうのはある人物だお。」
('A`)「人物…?誰だ?」
(*゚∀゚)「そんな人…いるの?」
( ^ω^)「それは…弟者さんだお。」
- 47: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:28:48.28 ID:S76YDj+T0
- 弟者さん…。
そういえば、彼はどうなったのだろう?
電車で帰っていったのは覚えているが…。
そもそも弟者さんはなぜあそこにいたのか?
初めて姿を見た時は理由がわからなくてあせったが、
今ではその理由にはある程度の想像がつく。
それは高レベルのアンチ能力を買われての捕虜だ。
ニダーはフレイムランスを使えたものの、アンチ能力はもっていないようだった。
そのため、常に自身にアンチフレイムをかけるように脅していたのだろう。
('A`)「弟者さんと連絡とれるのか?」
( ^ω^)「おっおっお。実は電話番号とメアドを交換したんだお。」
(*゚∀゚)「やっるー! ブーン君グッジョブ!」
(* ^ω^)「お〜。照れますお。」
- 49: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/18(水) 23:30:43.55 ID:S76YDj+T0
- ξ*゚听)ξ「や、やるじゃないの! さっそく電話しましょう!」
(´・ω・`)「そうだね。 彼はニダーやシャキンの側にいた。 何か神についての情報を得たかもしれない。」
( ^ω^)「じゃあかけてみるお。」
ブーンはあの戦いのあとからすでに次の戦いを見据えていた。
その為の準備を始めていた。
俺はなにもできなかった。
ただ…。泣いてるだけだった。
だから、今度こそしっかりしなくちゃいけない。
俺は仮にもリーダーに選ばれたんだ。
そのためにも、まずはこの一本の細い希望の糸をなんとか繋ぐんだ。
それが第一歩なのだから。
第30話 決意そして希望
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