('A`)が神を認めないようです。

4: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 21:46:51.51 ID:mmAOcJ660
川 ゚ -゚)「…ふむ。 状況は理解した。お手柄だなブーン。」


照れながら笑うブーンとそれを嬉しそうに見つめるツン。
二人は本当に仲がいい。
もう、見ててイライラするほどだ。

弟者さんには簡単に連絡がついた。
神のことについて話があると言うと、
向こうもこのままでいるつもりはなかったらしく、
一度こちらと連絡を取るつもりだったと話してくれた。

電話では話し合いはしにくいので、今はこっちへ向かってくれている。



7: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 21:48:43.86 ID:mmAOcJ660
その間にお茶をいれて戻ってきたクーに一通り事情を説明し、
ショボンとも和解を果たし現状にいたるというわけだ。


('A`)「お。ご到着だな。」


チャイムの音が鳴り響いた。
玄関のドアを開けると、ケーキを持った弟者さんが立っていた。


(´<_` )「お邪魔します。あ、これ手土産です。」

('A`)「どうぞどうぞ。別にそんな気遣い必要なかったのに。」


お決まりのやり取りをして居間へ案内する。
よくよく考えてみると、この中で直接弟者さんと会話をしたのはブーンだけか?



8: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 21:50:27.61 ID:mmAOcJ660
とりあえず、クーのいれてくれたお茶と弟者さんの持ってきてくれたケーキを皆に配り、
改めて自己紹介することになった。


('A`)「改めて初めまして。俺はドクオ。一応このメンツの中でリーダーという事になってます。
    聞きたいことは色々あると思いますが、とりあえずこれだけは。
    わかっているだろう事ですが、俺達は一般のゼロとは違います。」

(´<_` )「やはりそうですか…。初めまして。人軍の…、いや元人軍か。副リーダーという立場にいた弟者です。
      昨日は失礼しました。命を助けていただいたのに感謝の言葉すら伝えられなかった…。
      改めて言います。助けてくれてありがとう。」


その言葉にツンとブーンは顔をほころばせる。

自分達のしてることは自分達の為のものだ。
その源にあるのは、決して世界を守りたいなんて理由ではない。
もちろん、そういう気持ちもゼロではないが所詮ただのエゴだ。



10: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 21:53:46.93 ID:mmAOcJ660
神についていたとはいえ、神軍の人間を手にかけた。
目の前で何人もの死体を見てきた。

自分のしてることが正しいのかどうか見失うこともあった。

それでも、自分が正しいと思ってやるしかなかった。
たとえ仲間が傷ついても、
たとえ誰かを殺すことになっても。

それは誰かに褒めて欲しいからでもなければ、
褒めてもらえる事ですらないかもしれない。


だけど…。
こうやって感謝の言葉を聞くと安心する。
自分のしたことは無駄じゃなかったんだと思える。



11: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 21:55:33.54 ID:mmAOcJ660
('A`)「さて…。何から話そうか。 まず俺達の説明から話しましょう。」

(´<_` )「そうですね…。お願いできますか。」


契約者。そしてそれと契約することによってえる能力。
レイ。ゼロ。神。天使。
それらのどこまで知ってるかはわからない。
だけど一通り説明しておくべきだろう。

口を開こうとした瞬間、それを制して喋る者がいた。


(*゚∀゚)「ちょーっと待ったぁ!」

('A`)「…と。ん?どうしたんだ?」



12: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 21:57:17.10 ID:mmAOcJ660
(*゚∀゚)「そのまえに〜、弟者さんに質問があるんだけどっ! いいかな?」


いきなりのつーの言葉に若干混乱する俺と弟者さん。


(´<_` )「どうぞ。」

(*゚∀゚)「弟者さん…何歳?」

(´<_` )「…? 26ですが。」

(*゚∀゚)「え〜、年下にタメ口きかれたらムカッとくるタイプですか?」

(´<_` )「いや…。初対面や仕事の後輩でなければそうでもないかな。」



13: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 21:59:25.21 ID:mmAOcJ660
(*゚∀゚)「じゃあお互いよそよそしい喋り方はやめません?
     今からする話は結構大事な話でしょ。正直普通の人間に話すのはタブーなんです。
     だけど…、大事な目的のタメに弟者さんには話すわ。
     それは弟者さんも仲間になって欲しいから。仲間内で敬語なんて変でしょ?」

(´<_` )「…ふむ。わかりました。じゃあ今から敬語は無しだ。
      俺も誠心誠意尽くさせてもらう。仲間としてよろしく頼む。」

('A`)「弟者さん…。わかりまs――わかった。
    これからよろしく。」


つーの人当たりのよさは天才的だ。
他人とうちとけるのが早いというのは、
人見知りする俺には心のそこから羨ましい。



15: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:01:56.74 ID:mmAOcJ660
そして、今つーのおかげで仲間が増えた。
人軍で培ったリーダーシップや人をまとめる能力など、いろいろ学ぶ事が多そうだ。

それから弟者には契約者の事や神の事。
そして契約によって得る能力やその種類。
ハインリッヒとヒッキーという有名な契約者コンビでも歯が立たず、
生き返るという謎を抱えた敵の恐ろしさや、
他の契約者の中にギコという者がいて、まだ仲間になる可能性があること。
知っていることのほとんどは伝えた。
そして弟者の口から聞く情報の中に大きな絶望が含まれていることに、この時はまだ気づいていなかった。



17: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:04:27.76 ID:mmAOcJ660
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(・∀・)「せいが出ますね。」

(;,,゚Д゚)「はぁっ!はぁっ! …ふぅ。なんだお前か。」

(・∀・)「望むならあなたの筋力等もシャキンのように増力させてあげますよ?
     そんなに汗まみれになって訓練などしなくても。」

(,,゚Д゚)「ふん。あれは筋力を増大させてるんじゃない。
     催眠術のようなもので無理矢理リミッターをはずしているだけだろう。」

(・∀・)「はっはっは。 さすがギコくんだ。 そう簡単に見抜かれるとこちらとしても悔しいですね。
     ただ、催眠術なんてチンケなものではないのですよ?」



18: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:06:14.34 ID:mmAOcJ660
(,,゚Д゚)「俺は貴様の怪し気な力に頼る気などない。
     いくら契約者の体が普通の人間より頑丈と言っても常にリミッターを外した状態でいるなんて正気の沙汰じゃないな。」

(・∀・)「その対策はもちろんしてありますよ。
     だてに研究を重ねてません。」

(,,゚Д゚)「研究…な。 シャキンはその実験台だったという事か。」

(・∀・)「…あなたはどこまで知ってるんですか?」

(,,゚Д゚)「さぁな。俺はもう行くぞ。」

(・∀・)「…えぇ。」


(・∀・)「―――まぁいい。
     仮に君が全てを知っていたとしても、絶対に私のことを裏切ることはできないんだから。
     私が君の弱点を手にしている限りね。」



20: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:09:35.93 ID:mmAOcJ660
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(´<_`;)「神というのは…本当に神の如き強さなんだな。」

('A`)「他を圧倒する高レベルの能力。速度。体術。そして不死。
    戦闘能力という点に置いてはまさに神と言えると思う。」

(´<_` )「それに…対抗できるのか?」

('A`)「正直な話、現状では無理だと思う。何より不死の対策ができないとどうしようもない。」

(´<_` )「それで俺に連絡をとったと?」

('A`)「理解能力が早くて助かるよ。」



21: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:11:08.45 ID:mmAOcJ660
説明していくうちに理解したが、この人は本当に頭がいい。
一度説明したことはほとんど覚えているようだし、
質問も的確なものだけ。
こちらが1伝えれば10理解するという感じだ。
これが人軍副リーダーの能力。


(´<_` )「そうか…。やはり自分にも使えるんだな。」

('A`)「え…? 何の話だ?」

(´<_` )「助けになるかわからないが、俺の知ってる話はすべて話そう。」



22: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:13:47.97 ID:mmAOcJ660
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


(`・ω・´)「コール。」

<ヽ`∀´>「ニダニダw」

(;<_; )「うわああああああああああああああああああ!!」

(  _ゝ )「…………。」


(`・ω・´)「さて。そいつをとらえておけ。」

<ヽ`∀´>「え…?殺さないニダか?」



23: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:15:58.12 ID:mmAOcJ660
(`・ω・´)「聞こえなかったのか?」

<;ヽ`∀´>「わ、わかりましたニダ…。」

(;<_; )「あぁ…!!あっ…、うぅ…」


(`・ω・´)「兄…か。」

<ヽ`∀´>「え? 何か言ったニダ?」

(`・ω・´)「五月蝿い。さっさと連れて来い。」

<ヽ`∀´>「…。」



24: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:17:30.21 ID:mmAOcJ660
俺がなんで捕らえられたのかはわからない。
別に生かしておく理由なんかないだろう?
人質も何も、俺たちを倒した時点であいつらに敵なんかいない筈だったんだから。

次俺が目を覚ました時は両手を縛られて床に寝転がっていたよ。


(`・ω・´)「おい。」

(´<_` )「…殺せ。」

(`・ω・´)「何?」

(´<_` )「生かす必要などないだろう。 兄を殺したように俺も殺せばいい。」

(`・ω・´)「…兄を生き返らせたいか?」



25: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:19:39.84 ID:mmAOcJ660
その言葉に俺は耳を疑った。
普段ならば戯れ言だと切り捨てる。
だが…完全に人智を超えた能力を使うこいつなら。
そう思った。

(´<_`;)「できるのか!!!兄者を…?頼む!!なんでもするから、兄者を…!」

(`・ω・´)「落ち着け。 俺には無理だ。そんな力はない。」

(´<_` )「…じゃあ誰が?」

(`・ω・´)「俺の主、神ならば可能なのかもしれない。」

(´<_` )「神…なら?」



27: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:23:29.99 ID:mmAOcJ660
(`・ω・´)「あぁ。 あの方はは俺の知らない世界に住んでいる。 俺の力もあの方にいただいた。」

(´<_` )「…なんでだ。なんでそんなことを俺に教える!」

(`・ω・´)「別に。ただあそこにいる男より使えそうだと思っただけだ。」


シャキンが後ろを指差した。
振り返るとそこには不快な鼾をかきながら寝ているニダーの姿があった。


(´<_` )「…どうすればいい?」

(`・ω・´)「とりあえず電話は繋いでやる。あとは自分で交渉するんだな。」



28: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:25:13.47 ID:mmAOcJ660
そういて差し出された電話の向こうから聞こえてきたのは、
いやに軽く、だが無性に耳に残る声。
テレビで何度も聞いたあの男の声だった。


「もしもし? 君が弟者くんかい?」

(´<_` )「…そうです。」


強気にはなれなかった。
それもそうだろう。
機嫌を損ねれば微かな希望は打ち砕かれてしまう。



31: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:33:09.05 ID:mmAOcJ660
「なんでも兄者君を生き返らせて欲しいとか。」

(´<_` )「お願いします…。兄を…、俺のたった一人に兄なんです。なんでもしますから…。」

「まぁ、待ちたまえ。蘇生か…。不可能ではない。」

(´<_` )「じゃあ…!!」

「だが、それには莫大なエネルギーが必要なんだ。」

(´<_` )「エネル…ギー?」

「そのために君たちゼロがいるんだが…まぁいい。何でもするといったな。」

(´<_` )「…兄者を生き返らせてくれるなら。」

「とりあえずシャキン君の手伝いをしていてくれ。私も近いうちにそちらへ向かう。あぁ、兄者君の遺体は保管しておくように。」

(´<_` )「わかりました…。」



33: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:35:02.36 ID:mmAOcJ660
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(;'A`)「やっぱり蘇生は…能力なのか。」

川;゚ -゚)「馬鹿な!!! そんな能力聞いた事がない!」

(;*゚∀゚)「4大レア能力含め、確認されてる能力は全部協会に報告されてるはず…。」

(;´・ω・`)「蘇生…? 神はやはり火の能力以外も使えるのか。」

(´<_` )「よくわからないが、俺が神としたやり取りは以上だ。」


神は蘇生が可能。
つまり、神自身は不死ではないんじゃないだろうか。
だが、蘇生ってのが能力だとしたらまた一つ疑問が生まれる。



34: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:36:44.33 ID:mmAOcJ660
神が生き返ったのは間違いなく神自身が死んだあとだ。

つまり、死んだあとに能力を使ったということなのだろうか。
あるいは別の…。


( ^ω^)「弟者さん…。」

(´<_` )「なんだ?」

( ^ω^)「兄者さんの事は…どうするんですお? 本当に神が蘇生してくれるとしても、ブーン達の味方になったらきっと…。」

(´<_` )「…その後天使に、期待はするなと言われたんだ。」

ξ゚听)ξ「天使…シャキンね。」

(´<_` )「神はひどく人間を見下してると同時に憎んでるらしい。 だから、蘇生してくれるかはまだわからないと。」

(´・ω・`)「……。」



35: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:38:20.06 ID:mmAOcJ660
(´<_` )「だが、神を見て確信したよ。 自分の仲間をも平気で殺し、俺やニダーの事をまるでゴミクズのように見ていた。
      あいつは…。兄者を蘇らせる気なんかない。」


きっとその考えは間違ってないだろう。
ずっと考えていた。
あの時なぜ神が俺たちを見逃したのか。

その理由はレイだ。

おそらく蘇生には膨大なレイが必要になる。
連続しての使用は避けたかったんだろう。

それを天使として配下についた契約者ですら簡単に殺すような神が、
頭が切れるとう理由だけで能力すらつかえない人間を蘇らせるために使うとは思えない。



36: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:40:16.67 ID:mmAOcJ660
俺にわざとやられたのも、目の前で蘇生をつかったのも、
全部力の違いを見せ付けるため。

格の違いを見せ付けて戦闘意欲を削ぐため。

だとしたら…。

その理由は?


('A`)(神は不死じゃないから。)


恐れてるんだ。
俺たちのことを。



38: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:42:18.93 ID:mmAOcJ660
それらは全て妄想でしかない。

だが、それが事実だとしたら。


('A`)「神は倒せる。」


全て空想上の話だ。
仮定が多すぎて話にならないかもしれない。

だけど、それでも先に光が見えた気がした。


川 ゚ -゚)「協会に行ってみないか?」

('A`)「え?」



40: ◆2tIpUAdHJU :2008/06/30(月) 22:44:14.55 ID:mmAOcJ660
突然のクーの申し出に一瞬思考が止まった。
協会…ってクー達が能力について学んだとこだよな。


(*゚∀゚)「あそこはもう廃墟みたいになってるけど…」

(´・ω・`)「まだ何か残ってるかもしれない…かい?」


二人とも賛同しているようだ。
協会に何か強くなるための、あるいは神を倒すための手がかりがあるのならば


('A`)「…協会か。連れてってくれ。」



第31話  謎の能力



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